NYはコワーキングスペース激戦区。最旬は「Spacious」や日本初上陸「WeWork」【創業者インタビュー】

ニューヨーク発のコワーキングスペースWeWorkが2018年、いよいよ東京にも上陸することが先日発表された。コワーキングスペースをはじめとするシェアリングオフィスの需要が世界中で高まっている中、WeWorkのような人気企業が東京にもやってくることにより、日本でも職場に求められる環境が今後さらに変わるだろう。 今回は、ニューヨークでWeWork同様に、今もっとも注目されているユニークなコワーキングスペースを紹介する。 おしゃれなレストランを有効活用 ニューヨークで2016年7月にスタートしたスペーシャス(Spacious)。今もっとも勢いのあるニューカマーのコワーキングスペースとして注目されている。 当地にはWeWorkをはじめ、The FarmやThe Productive、Ensemble、Primaryと数え切れないほどのコワーキングスペースがあり、数は日々増え続けているが、Spaciousのユニークなところはオフィス施設そのもの。 彼らが利用しているスペースは、昼間の営業していないレストラン。ディナーのみオープンするレストランを利用して、コワーキングスペースとして開放している。ロケーションもメンバー数もこの1年で急増し、飛ぶ鳥落とす勢いで成長中だ。CEOでコファウンダーのプレストン・ペセック(Preston Pesek)氏に話を聞いた。 ── ニューヨークからスタートし、現在何箇所拠点がありますか。 マンハッタンやブルックリンなど、この1年で10ヵ所ロケーションが増えました。この夏から秋にかけてさらに5ヵ所ロケーションを増やし、さらにニューヨークだけではなくボストン、サンフランシスコにも進出することが決まっています。 今年中には、ニューヨークに20ヵ所、ボストンに6~10ヵ所、サンフランシスコに8~10ヵ所オープンする予定で計画を進めているところです。 ── 総メンバー数は? 現時点で750人です。毎月20~30%ほどメンバーが増えています。 ── 昼間のレストランをコワーキングスペースとして利用していますが、そのユニークなアイデアはどこから浮かんだのですか。 大学院で不動産関連(Real Estate Science)の修士号を取得し、起業前は建築業界や商業用の不動産業界で働いてきました。2004年ニューヨークに移り、この街には美しくてセンスのよいレストランが、昼間ただの空きスペースになっているのを目の当たりにして、もったいないと思いました。この価値あるアセット(資産)をどうにか有効利用できないかと思ったのが始まりです。 ── スペースを貸し出すレストラン側にメリットはあるのでしょうか。 我々からはレストラン側に、毎月利用料を支払っています。しかも、私たちがSNSなどを使ってそのロケーションをPRするので、レストラン側にとっては無料でマーケティングができ、広告を出しているようなものなのです。またコワーキングスペースの利用者が、ディナータイムにそのまま残ってハッピーアワーやアペタイザーを楽しんでいることも多いです。 ── レストランがランチタイムにオープンしない理由は何ですか。 これはすごく自然に発生した経済的な理由があります。特に我々が利用しているハイエンドなファインダイニングレストランは、高品質のメニューを提供しているので、昼と夜、2つのメニューを作ってそれぞれ提供するのがなかなか困難なのです。 もう一つは、ニューヨークおよび全米の他都市でのランチ市場が近年、ファインダイニングからファストカジュアルに移行しています。高級なファインダイニングディナーは接待などで相変わらず需要がありますが、ハイエンドランチは以前ほど主流になっていません。 月95ドル払うだけで、どのロケーションも利用できる ── 利用者としてスペースの使い方について教えてください。 当日の気分で好きなロケーションを選び、そこに行くだけです。事前のサインアップは必要ありません。毎日違うロケーションの利用もできます。お店に着いてチェックインすると、携帯のテキストメッセージでWifiのパスワードが届きます。席は決まっていないので、好きなところで仕事ができます。席の空き状況は、事前にアプリで確認できます。 通常のコワーキング同様、ドリンク(コーヒー、お茶、水)やスナック、会議室なども完備しています。会議室については、ほとんどのハイエンドレストランはプライベートダイニングルーム(個室)を持っていますから、そのスペースを利用しています。プレゼンテーション用に、プロジェクターやホワイトボードも完備していますよ。 ── WeWorkなどで人気の生ビールは提供していませんか。 ビールは今のところ提供していないのですが、お店によっては我々のためにバーを早めにオープンしてくれるところもあるので、そういうロケーションでは仕事を早めに切り上げ、アフターワークの1杯を同僚と楽しんでいる姿をよく見かけます。 ── ニューヨークといえばコワーキング激戦区ですが、スペーシャスを使う一番のメリットは? 毎日同じオフィスに通うとどうしても飽きてしまうものですが、スペーシャスは毎日違った場所で(しかもレストランで!)仕事ができるという、ユニークな体験を提供している点だと思います。ニューヨークのほかのコワーキングスペースでは月額400ドルも500ドルもする利用額が求めれますが、スペーシャスは月95ドルというリーズナブルな価格で利用できるというのも、大きなアドバンテージです。 ── 席が決まっていないですが、休憩中やお手洗いに行く際、貴重品などセキュリティーの問題はないですか。 そういう問題はないですね。各ロケーションの入り口にレセプショニストが常駐し、出入りする人を必ず確認しています。来客などの際もレセプショニストが案内するので、不審者がうろうろするようなことはないです。利用者はSlackを使ってコミュニケーションをとりあっています。また、私たちが主導して、起業家を交えて朝のミートアップの交流イベントや夕方のハッピアワーイベントなどを開催しています。このように、利用者同士が次第に顔見知りになっていくような仕掛けをたくさんしています。 ── レストランの開店時間までに仕事を終わらせる必要がありますね。 ディナーサービスが始まるころ、テキストメッセージを利用者に送っています。利用者には「退出する時間ですよ」ではなく、「バーで何かオーダーしませんか?」という意味合いのメッセージですので、好意的に受け止められています。 ── ニューヨークに出張や旅行で来たときも、スペーシャスは便利そうですね。 もちろん! ニューヨークに短期滞在で仕事をする場合でも、ホテル近くのロケーションで気軽に利用できる最適なオフィス環境だと思います。また、クライアントとミーティングがある際でもクライアントの近くのロケーションを会議場所として選ぶこともできるので便利ですよ。 (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■店舗詳細 Spacious ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.8.16)「NYはコワーキングスペース激戦区。最旬は「Spacious」や日本初上陸「WeWork」」より転載(無断転載禁止)ウェブサイトのコピー

NYであの和菓子が注目の的に。高級避暑地ハンプトンのハイエンドな食の祭典「Chefs & Champagne」(2017)

リッチなニューヨーカーにとっての避暑地、ハンプトン。マンハッタンから車で3時間ほどの場所で、真っ白な砂浜が広がる自然に恵まれた高級ビーチリゾートだ。ここに別荘を持つセレブも多く、人混みのマンハッタンを逃れこの地でゆっくりするのは、お金持ちの夏休みの定番。 毎年この時期、ハンプトンで夏を過ごすセレブたちがおしゃれをして、Wölffer Estate Vineyard(ウォルファー・エステート・ヴィンヤード)というワイナリーに集まる。食の屋外イベント「Chefs & Champagne(シェフズ&シャンペン)」があるからだ。 食の祭典「Chefs & Champagne」へ日本の和菓子が参戦 今年は7月29日に開かれ、会場では40もの飲食ブースが出店。来場者はシャンペンやワインを片手に小皿料理を優雅に楽しんだ。毎年、上品な1口サイズのアペタイザーは創作料理が主流だが、その中でもひときわ異彩を放っていたのは日本の和菓子だった。 日本から参加したのは、うなぎパイで知られる春華堂の新ブランド「五穀屋」(ごこくや)。和菓子の魅力を異なる切り口でニューヨーカーに紹介したいと、ニューヨークまでやって来たという。 当地で和菓子というとまず思い浮かぶのは、マンハッタンのマジソン街に店を構える源吉兆庵だろう。日本好きな一部のニューヨーカーの間ではこの店は定番人気だし、庶民路線の柿の種やのり巻きあられ、わさび味の豆菓子なども、だいたいどこのスーパーやデリでも手に入るようになった。…と書けば、ニューヨークで和菓子がすっかり定着しているように聞こえるかもしれないが、やはり大多数の人は知らない(もしくは口にしたことがない)のが実情だろう。 この日パーティーを訪れた人々に、(おそらくはじめて目にする)日本の和菓子はどのように映ったのだろうか? 食のアカデミー賞、JBFが主催 Chefs & Champagneの説明からしよう。主催は「James Beard Foundation」(ジェームズ・ビアード財団、以下JBF)。数々の功績を残した料理人ジェームズ・ビアードの名を冠した由緒ある団体で、そこからの受賞は、料理界のアカデミー賞とも言われるほど権威があり、レストラン業界で知らない人はいない。 そのJBFが声がけした40人のシェフ(そのほとんどがJBF受賞歴あり)がボランティアで集まり、それぞれ食のブースを設けるというもの。入場料は一般275ドル、会員は200ドル、VIPは375ドルとまさに料金も“一流”だが、実力派シェフによる創作料理を気軽にテースティングできるとあり、毎年来場者で満員になるほどの盛況ぶり。グレートギャッツビーよろしく、老若男女誰もが全身着飾っている様子からも、このパーティーをいかに楽しみにしていたかがうかがい知れる。 和菓子を体験したニューヨーカーの反応は? 五穀屋がこのパーティーで用意したのは、同社の商品である「よつわり」という、もなかの皮を使ったアミューズ2品「焼きトウモロコシとローズマリー、醤油のフリーズドライ」「味噌ピーナッツと水窪のアワ、ミントの香り」。監修者として参加したジャンジョルジュ東京の米澤文雄シェフが創作した限定スィーツで、どちらも甘さ控えめでサクッと食べやすい。 五穀屋のブースは、会場入り口近くと恵まれた場所だったのと、スタッフが涼しげな浴衣姿だったため、来場者の目に止まるのに時間はかからなかった。どの人も初めて目にする和菓子に、「これなに?」と覗き込むように興味を示す。スタッフが説明しながら差し出すもなかに戸惑いを見せる人はおらず、どの人もためらいなく「パクッ」。どの来場者からも、絶賛の声があがった。 手巻きスパイシーツナも大人気 参加シェフはすべて実力派とあり、どのブースも人垣ができていた。その中でもほかに特筆すべきは、マンハッタンの高級創作ジャパニーズ、Zuma(ズマ)だ。 Zumaでは、西京味噌味のバゲットに和牛タルタルのトリュフ添えと、天かすつきスパイシーツナ手巻きを提供。スパイシーツナと言えば、ニューヨークではどの日本食レストランでも大人気メニューで、この日のパーティーでも開始後1時間半ほどで在庫切れするほどだった。五穀屋のもなかといいZumaの手巻き寿司といい、アメリカ人の日本食への関心を改めて身近に感じた。 次回もし、五穀屋の親元である春華堂がパーティーに参加する機会があるとすれば、日本が誇るべき傑作和菓子、うなぎパイもぜひ出展してほしい。今年以上のリアクションを見せるニューヨーカーの笑顔が浮かんでくる。 (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■店舗詳細 Chefs & Champagne 五穀屋 Zuma ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.8.13)NYであの和菓子が注目の的に。高級避暑地ハンプトンのハイエンドな食の祭典「Chefs & Champagne」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー