
米ビッグテックによるトランプ氏への制裁について、世界のリーダーたちの反響はどうだろう?
ツイッターアカウント停止の判断について「民間のテック企業ではなく、市民や国に任せるべき」という声が多く上がっている。ニューヨークポスト紙で紹介されている、世界のリーダーや有力者らの意見はこちら。
●アカウント削除の判断が、民間の企業の手の内にあることにショックを受けた。
これらの措置の決定は、会社のトップではなく、市民によりなされるべき。
(ソーシャルメディア上の発言内容が法律に違反している場合)違反を主張できる「規制の公的枠組み」が必要。削除か罰金を課すかなどの判断は、市民と立法府によって決定されるべき。
(欧州連合のフランス担当次官、クレマン・ボーヌ氏)
●コンテンツを規制する責任は国や政府にあるべき。
デジタル・ジャイアントの規制は、デジタル・オリガーキー(君主制や民主制に対して、少数の人間が支配する政治形態のこと)によってできるものではない。
ビッグテックは民主主義にとって「脅威の1つ」だ。
(フランスのブルーノ・ルメール経済・財務相)
●ソーシャルメディアがトランプ氏の検閲力を持っているのは「悪い兆候」だ。
誰であろうとも、ツイッターやフェイスブックに投稿する権利を奪われたり、検閲されたりすることは、受け入れられない。
世論を管理する検閲裁判所のような存在は、本当に厄介だ。
(メキシコのオブラドール大統領)
●(ツイッターによるアカウント禁止について)この基本的権利に介入できるのは法と立法府であり、ソーシャルメディアの管理者による決定であってはならない。これらの観点からメルケル首相は、トランプ氏のアカウントが永久凍結されたことは問題だと考えている。トランプ氏は自身の意見を表明できる場を持って然るべき。
(ドイツ・メルケル首相のスポークスパーソン、 ステフェン・セイバート氏)
●トランプ氏の阻止は、検閲に値する。
ツイッター社はなぜ、オーストラリアの兵士がアフガニスタンの子どもを殺しているように合成されたフェイク写真を中国政府が投稿したことを許し、削除しなかったのか。まだアメリカの大統領である人物の投稿を削除する場合、それらの兵士の写真についても考える必要があると、ツイッター社のオーナーに言いたい。(その偽りの写真は)まだ削除されておらず、誤りである。
(オーストラリアのマイケル・マコーマック副首相)
●(ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対するツイッターの扱いについて同様の懸念を表明。自身のアカウントをトランプ氏の写真に差し替え)マドゥロ氏のアカウントがありながら、トランプ氏のアカウントが停止される世界は正常ではない。
(ブラジル、ボルソナロ大統領の子息、エドゥアルド氏)

またワシントンポスト紙によると、一般的に欧州の社会は、アメリカより政府による規制を受け入れており、近年はよりアグレッシブにハイテク・ジャイアントの行動を取り締まるなど、対応が進んでいるという。
そんな中で欧州委員会副委員長で欧州連合のデジタル・エンフォーサーのトップ、マルグレーテ・ベスタガー氏は「(フェイクや問題投稿とそのアカウントをどうするかの)課題にどう対処するべきかの決定は、責任の伴わない企業のリーダーではなく、社会の手に委ねられるべき」とした。一方でツイッター社の今回の措置については、「大統領が人々に議会に向かうように促すなど『極端なケースの中でもさらに極端な状況』への対応だった」と理解を示した。
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(Text by Kasumi Abe Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止