
新型コロナウイルス(Covid-19)の影響による景気回復のため、世界各国では国民や事業オーナーに対して、特別定額給付金措置がとられている。
日本では昨年、1人当たり10万円の特別定額給付金が支給された。その用途は一様ではないが、4割から6割の人が貯金したという調査結果もある。麻生副総理兼財務相は以前、給付金に消費を押し上げ景気を浮揚させる効果は薄かったという認識を示しており、菅首相も1月26日の衆院予算委員会で「再支給の予定はない」と答えた。
2度支給のアメリカは、3度目も?
新型コロナの大打撃を受けているアメリカ。パンデミックが長引くにつれて人々の財政難は日本以上に深刻で、特別定額給付金は昨年と今年の2度、支給されてきた。
1度目は昨春、大人(外国人も含む納税者)1人につき1200ドル(約12万円)。2度目は今月、大人1人につき600ドル(約6万円)だった。これに加え、17歳未満の子ども1人につき1度目は500ドル(約5万円)、2度目は600ドル(約6万円)ずつも追加給付された。
そして早くも、3度目の給付金の話が浮上している。
現在、バイデン政権によって協議されている1兆9000億ドル(約190兆円)の新型コロナ救済対策は、3度目となる給付金構想も含んでいる。
最終的には1兆〜1兆5000億ドル程度に落ち着くかもしれないが、どちらにせよこの対策案が通過したら次の給付金は4月ごろ、これまででもっとも多い大人1人につき1400ドル(約14万円)の支給になる可能性が高い。
また新政権は、過去2度にわたり給付対象外となった扶養家族の17歳以上〜大学生も対象内としたい考えだ。実現に向け、国民からの期待も大きく膨らむ。
何せアメリカの国内失業率は依然として高い。昨年4月の最悪期(14.8%)に比べて下降したものの、最新の数値(昨年12月)は6.7%だ。今年に入り第1週だけで予想を超える100万人の失業給付請求がされた。
参照記事
- 昨年3月、緊急支援金2.2兆ドルの経済対策法が成立。個人への現金給付、失業給付、助成金などに充てられた。 新型コロナで失業「来月の家賃が払えない」 救済金13万円はどこまで国民を救えるか
アメリカの人々は給付金を何に使ったか?
ワシントンポスト紙は26日、今月支給された2度目の給付金について、人々の消費動向を報じた。非営利調査組織Opportunity Insightsの調査結果をもとにした分析によると、年収が高い世帯より低い世帯の方が、給付金の受給期間の消費活動に大きな動きが見られた。
例えば年収7万8000ドル(約780万円)以上の世帯はこの2ヵ月間で、クリスマスの買い物以外に消費動向に大きな変化は見られなかったものの、年収4万6000ドル(約460万円)未満の世帯は給付金を受け取った今月上旬から、消費活動や支出額が大きく動いている。
年収に関係なく、初回の給付金の時期の方が2回目より消費動向に大きな動きが見られたのは、「収入が低い世帯は依然として不況に陥っている一方で、収入が高い層は仕事復帰したからだろう」と見た。
また、年収2万5000ドル(約250万円)未満の世帯の87.6%は、給付金を使い切ったとある。
センサス(米国国勢調査局)が初回の給付後に発表した内容によると、調査に回答した7万3472世帯の中で、給付金やビジネス支援金を食費に充てた人が約80%と、用途として最多だった。また別に、家賃や住宅ローン、光熱費、携帯電話やネット費などにも充てたかその予定と回答した人も多かった(77.9%)。半数近くの人は家庭用品にも、5人に1人は衣類にも使っていた。少数だが電化製品や家具、フィットネス機器、おもちゃやゲームなどの娯楽用品に充てたと回答した人もいた。
一方、年収7万5000ドル(約750万円)〜10万ドル(約1000万円)世帯の人々は何らかの支援金を受けても、生活費ではなく借金や貯金に充てる傾向が見られるという。アメリカでは通常、それくらいの年収世帯になってくるとその場しのぎの現金を必要としないため、給付金を受けても経済を回すアクセラレータには繋がらないようだ。現金給付の対象を年収約750万円辺りで線引きするのは、この国では妥当とする見方を示した。
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