
ニューヨーク州では19日、ビジネスの入店・入場制限の規制のほとんどが解除され、大規模に経済活動が再開した。
規制が解除されたのは、飲食店、オフィス、小売店、イベント会場、博物館、遊戯施設、ジムなどさまざまなビジネスの入店・入場率、および閉店時間だ。
- 例外:店内飲食の営業時間規制解除は今月末、ブロードウェイミュージカルの全面再開は9月。集会やイベントは屋外は500人まで、屋内は250人まで、など。
深夜の営業を停止していたニューヨーク市の地下鉄も2日前の17日から、以前のような24時間の終日運行に戻った。

ニューヨークはこの1年間で、第1波〜第2波と2つの大きな感染の波を乗り越え、やっとここまで到達した。街の人々からは「やっと再開だね」という安堵の声が聞こえてくる。
入店率制限は撤廃されたものの、店内では人同士が6フィート(約1.8メートル)離れなければならないため、いくつかの人気店には依然として入場制限をせざるを得ないところも。

緊急事態宣言が長引く日本からすると、一時期の感染爆発地ニューヨークが今、一体どのくらいの数値で全面的に経済再開に踏み切ったのか気になることだろう。現状の数値と共にお届けする。

NY州が全面再開した当日(19日)の感染状況と、2波の推移
ニューヨークは第2波を乗り越え、感染者数は減少傾向にある。
- 19日に実施された新型コロナ検査は18万6078回。うち、1583件が陽性(全体の0.85%)
- 新型コロナウイルスによる入院患者(重症患者)数はこの日の時点で、1490人
- 死者18人

NY州の最新のワクチン接種状況
ワクチン接種も順調だ。駅で接種ができるパイロットプログラムが成功し、来週からは州内7つの空港にも居住者を対象に、予約不要の接種会場を開く。
これまでワクチン投与された実績はこちら。
- これまでに州内で投与されたワクチン回数:1785万4772回
- 24時間以内に投与されたワクチン回数:10万9748回
- 少なくとも1回のワクチン接種を受けたのは、18歳以上の62.2%(すべての年齢層の50.5%)
- 必要回数分(1回もしくは2回)のワクチン接種を「完了」したのは、18歳以上の53%(すべての年齢層の42.5%)


これまで報告されている州内の感染総数
NY州
- 感染総数 約209万件
- 死者数 5万2505人
NY市
- 感染確認総数 約94万4000件
- 死者数 3万3078人
- ニューヨーク州の人口 約1950万人
以上が現時点での数値だ。
街で聞こえてくるのは、主流は初夏の訪れと共に経済再開を嬉しがる声だが、中にはさまざまな意見がある。
例えば、この1年間働くことなく失業給付金を得られ、また自分の元々の給料より失業給付金の方が多いため、復職したくないと言う声が人づてに伝わってくる。また、依然陽性者数も少なくないことから、経済再開は「時期尚早」とする声もある。
近所に住むサブリナさん親子は、ワクチン接種を2回「完了」したが、いつもマスクを着けて外出している。「まだビジネスの全面再開もマスクを取るのも早いと思います。多くの人が気を緩めると、またすぐにぶり返すかもしれません」。

さまざまな人々の考えがある中、ニューヨークは行政主導で、復興へ向け大きく舵を切った。
忙しなく行き交う大勢の人々を眺めながら、クオモ州知事が昨年の今頃、会見で言った言葉を懐かしく思い出す。
「今、我々の正面に立ちはだかっているのは、歴史的にも稀にみる困難へのチャレンジだ。しかし911(同時多発テロ)やハリケーンサンディを乗り越え、その後より良い社会を再構築したように、もう一度 “Build Back Better” 」
この街はこれから、新型コロナに「打ち勝った」“先行事例”の大都市となれるだろうか。
(クオモ州知事のツイッターより)


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Text and photo by Kasumi Abe ( Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止