
ニューヨークは1日、市職員に対して義務付けられた新型コロナウイルスワクチンの接種期限を迎えた。
デブラシオ市長は定例記者会見で、ワクチン接種義務化に反対し接種を拒否する職員約9000人がこの日、無給休暇を取得したと明らかにした。
市の職員は、警察から公園管理まで全体で約37万8千人いるとされ、そのうちの91%以上の職員は、少なくとも1回の接種を受け、勤務を続けている。
また休職中の9000人とは別に、医学的または宗教的な理由のために接種ができないとして特別免除申請をした職員は1万2000人とされ、一時的な接種義務の免除を認められ勤務を続けている。
市が職員への接種義務を発表した10月20日から今月1日まで、接種率の増加は顕著だった。例えば、市消防局(NYPD)消防士は58%から77%、救急隊は61%から88%、市警察(NYPD)は70%から84%、衛生局(DSNY)は62%から83%に接種率は増えた。
現在ニューヨーク州での全体の接種状況はこちら。18歳以上の87%以上が少なくとも1度の接種を受けている。
市ではこれまで、医療従事者と教育者に対してもワクチン接種を義務化した。今回の義務化もそうだが接種数が伸びたことで、専門家からは「なぜ義務化を早めなかったのか」「発表から期限まで日数がもう少し長ければ、より増えたかもしれない」などという声も聞こえてきた。
休職している9000人は多いように聞こえるが、市職員全体の6%以下にあたる数字だ。
休職の理由として、その多くはワクチン接種を期限までに受けていないことがあるが、中には義務化への抗議のため病欠(仮病)を取っている職員もいるようだ。また、ワクチンをギリギリに接種し副反応により休んでいる職員も含まれると見られている。
休職者としては決して少ない数字とは言えないが、市民生活への混乱は今のところ特に見られない。デブラシオ市長は「警察も消防も通常通り機能し、市のオペレーションに混乱は見られない」と強調し、「休職中の職員はいつでも(ワクチン接種を受けることを条件に)復職を歓迎する」と述べた。
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当地では副業を持つ職員もいるくらいなので、本職を離れている間は副業に専念している人もいるかもしれない。
一方、市長の発言とは裏腹に、休職による労働者不足から、市内350の消防署のうち18の消防署がこの日、閉鎖したことも伝えられている。
ニューヨークタイムズによると、18という数字は普段と比べて特段多いとは言えないという。また、現状で大きな混乱は見られないといえども、こうした状況が長期化した場合、市民生活への影響は避けられないのではないかと懸念する声もある。
一部のエリアによっては、清掃業者によるゴミの回収が停滞しているとも報じられている。労働者不足は、今後数週間で大きな「問題」として現れてくるかもしれない。
また、昨年突然コロナ禍となり感染が拡大する中も、休みなく市民のために働きヒーロー視されてきたエッセンシャルワーカーに対して、このような処遇は許されるのかと疑問視する声も市民からは上がっている。
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Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止