3ヵ月で4店舗が次々にオープン。ニューヨークでも「いきなり!ステーキ」の勢いが止まらない

私が日本で子どものころ慣れ親しんだステーキは、大きさはあれど薄い肉だった。だからアメリカに来て、ステーキハウスで初めて熟成肉のTボーンステーキをオーダーしたときに、その大きさ、厚さ、噛み応え、舌触り、香りに驚いたものだ。 アメリカ人はステーキハウスを接待やイベントでよく使うが、普段使いも比較的多く、肉の消費量は日本の比ではない。そんなステーキ王国ともいえるアメリカ、ニューヨークで、「安くて、スピーディーで、おいしい」の三拍子で勝負をかけている日本の飲食チェーンがある。「いきなり!ステーキ」だ。 いきなり!ステーキが、海外初出店のニューヨークに第1号店を出店したのは、ちょうど昨年の今ごろだった。 (1号店オープン時の記事)   1号店オープン時の2017年2月、創業者であり代表取締役社長の一瀬邦夫氏は「年内に10店舗オープンする」と明言していた。しかし同年11月までに新規オープニング情報は入ってこなかった。 ところが、12月に入って堰を切ったように2号店がマンハッタンのチェルシー地区にオープン。続いて2018年1月に3号店がタイムズスクエアに、2月に入ってからもその勢いは続き、4号店、5号店が同じくチェルシーとタイムズスクエアの別の場所に連続オープンしている。 2月16日(金)、タイムズスクエア近くの「5th アベニュー店」がグランドオープンした。元ニューヨークヤンキースの松井秀喜氏をゲストに招き、午前10時30分より華々しくオープニングセレモニーが行われた。

【世界から】「⼿作り」と「助け合い」 NYで息づく⼈の温かさ

ニューヨーク・ブルックリン。マンハッタンのお隣に位置するこの地域ではここ10年ほどの 間、クリエーティブマインドの⾼まりとともに、作り⼿の顔や思い、⼿のぬくもりなどが⾒え たり感じとれたりするモノへの愛着が⾼まっている。 ハンドクラフトにこだわるクリエーターは、マンハッタンより広いスペースが借りやすいブ ルックリンで⽇々創作活動に励んでいる。⼿作りするモノは洋服やジュエリー、⾷べ物、スキ ンケア⽤品、家具と実にバラエティー豊か。そして、その活動は各種アルコール類にまで広が りを⾒せている。 ▽NY産の⽇本酒誕⽣ 全⽶ではクラフトビールが⼤流⾏している。2006年の調査によると、⽶国内にあるビールの ⼩規模醸造所は3千以上。ニューヨーク州には200以上あり、ブルックリンでも20以上の醸造所 が⼩規模ながらビール造りをしているとされる。そのブルックリンでは、クラフトビールはも ちろんのこと、ワインやウイスキー、ウオッカ、ジンなど各種アルコール類も少量⽣産され、 地元の⼈々に親しまれている。地産地消の精神で原材料はできるだけ地元でとれたものにこだ わり、それを誇りとばかりに「ブルックリン産」を声⾼にうたう。 そしてこの秋、ニューヨーク初となる⽇本酒の蔵元まで完成し、グランドオープンを迎えよ うとしている。その名も「Brooklyn Kura(ブルックリン・クラ)」。⽇本滞在中の13年に出 会ったブライアン・ポレン⽒とブランドン・ドーン⽒が⽇本酒のおいしさに⽬覚め、意気投 合。⽇本の蔵元で⽇本酒作りを学び、カリフォルニア⽶やブルックリンの⽔を使って純⽶吟醸 酒や⽣貯蔵酒、にごり酒などをここブルックリンで作り始めた。 味は意外にも驚くほど本格的だ。出来たてもおいしいが、寝かせることで熟成感が増しより 深みある味わいになりそうだ。すしやラーメンに続き、⽇本酒までもが⽶国⼈により作られる 時代になったのだと驚くばかり。 酒蔵を開いた動機を両⽒に聞いてみた。ポレン⽒が「⽇本のウイスキーは質の⾼さで世界中 に名をとどろかせた。しかし、10年前に誰がそんなことを予想できただろうか︖」と話すと、 ドーン⽒が「⽇本で本格的なウイスキーができたのだから、⽶国産の本格的な⽇本酒があってもおかしくない」と⾔葉を継いだ。⽇本では若者の⽇本酒離れが懸念されているが、トレンド の発信地ブルックリンで地酒がブームになれば、⽇本の市場にも好影響を与えることになるだ ろうとして期待が⾼まる。 ▽根付くシェア⽂化 Brooklyn Kuraは投資家の援助があるからこそできた⼤胆な試みだが、彼らのように潤沢な 資⾦を持っている⽣産者や職⼈ばかりではない。そこで、⾃社⼯場や制作スタジオを構えられ ない職⼈らの強い味⽅となっているのが、作業スペースをシェアするスタジオだ。 「シェア⼯ 房」と呼ばれるこれらのスタジオは広いスペースを⽐較的リーズナブルに借りられることに加 え、備えられた⼯具を⾃由に使って創作活動に打ち込め、⼤型設備などの初期投資も不要とあ り⾼く⽀持されている。製作の場をシェアしている職⼈同⼠が⾃然と交流することで、ジャン ルを超えたさまざまなコラボレーションも誕⽣しているという。 ルームシェアの⽂化や近年の コワーキングスペース(シェアオフィス)ブームからもわかるとおり、シェアすることに関し て⽇本よりオープンで寛容な⽶国。ブルックリンのクラフトシーンでもシェア⽂化がすっかり 定着しているのだ。 ▽開業時も助け合い 開業して2年になるブルックリンの⼩規模醸造所「Strong Rope(ストロング・ロー プ)」。コンペティションでいくどとなく受賞するなどビール作りの実⼒はお墨つきだ。オー ナーのジェイソン・サーラー⽒は⾃社ブルワリーをオープンした時を振り返って「近所に Threes Brewingという別のブルワリーがあるが、設備を運ぶときにフォークリフトを貸してく れた。ここには助け合いの⽂化がある」との秘話を教えてくれた。 モノを⼿作りしたり、ローカル産を選んで地元の経済を応援したり、必要なものを貸し合っ たりシェアしたり…。ニューヨークのみならず⼤都会はどこも⼈との関係が希薄になりがちだ が、ブルックリンではこんなほっこりした⼈間模様が繰り広げられている。(⽶ニューヨーク 在住ジャーナリスト、安部かすみ=共同通信特約) Kyodo…

ブルックリン名物「スモーガスバーグ大阪」開催! 【創業者インタビュー】

ニューヨークの週末の昼下がり、香ばしいグリルの香りに誘われて辿りつくのは── 「Smorgasburg(スモーガスバーグ)」。ニューヨーク・ブルックリンの公園や広場、空き地などを利用した屋外フードマーケットだ。地元ブルックリンはもとより全米、世界中からも人々が訪れる、アメリカ最大規模の食の青空屋台市場として2011年にスタート。以来「週末のお楽しみ」として人々に親しまれてきた。 そんな週末の定番イベント、スモーガスバーグがブルックリンでのスタートから6年、いよいよ今秋、大阪に上陸することが決まった。 「Smorgasburg(スモーガスバーグ)」とは? 時期によって参加する店(ベンダー)のラインナップは違うが、平均100店前後が参加し、食の競演が繰り広げられる。BBQ、ハンバーガー、ホットドッグ、ロブスターロールなどアメリカンフードから、フィリピンやタイ、中国など世界各地の軽食もそろう。中にはたこ焼き、お好み焼き、焼き鳥、おにぎり、味噌汁、ラーメンなどといった、日本の軽食を見かけることも。屋外で食べるとどんどん食が進んで、あれもこれも食べたくなる。 また、ベンダー側にとってこのイベントは、新メニューを試験的に出して客のリアクションを知ることができるポップアップ的なショーケースとしての意味合いも大きい。スモーガスバーグからスタートし、実店舗を持つまでになった店は数多い。 10月27日(金)~29日(日)大阪で開催。その理由は? 2017年10月27(金)・28(土)・29日(日)、大阪で開催されるにあたり、共同創業者のエリック・デンビー氏に、日本進出のきっかけやイベント開催に向けての抱負を聞いてみた。 ── 大阪でスタートさせるきっかけになったのは? 3年前に長年の友人ハリー・ローズンブラム(料理学校、Brooklyn Kitchenの共同オーナー)が、大阪で貿易関係やマーケティングの仕事をしているユウコ・スズキを紹介してくれたんだ。みんなでマンハッタンでラーメンをすすりながら、大阪とブルックリンのベンダーを交換できたらいいねという話になった。大阪とブルックリンは共通点が結構あるからね。例えば両都市とも、歴史的に食べ物がおいしい街だし、マンハッタンや東京とは違う「第2の都市」として異彩を放つ存在だし、両市ともアントレプレナーががんばっている街でもあるからね。 その後ユウコが阪急電鉄を紹介してくれて、今年の3月、阪急電鉄を訪問する機会に恵まれた。企画をプレゼンテーションしたところ、スモーガスバーグに興味を持ってくれて、ぜひ大阪でやりましょう!となったんだ。 ── スモーガスバーグ大阪に期待していることは? 大阪のすばらしい食文化のショーケースになり、スモーガスを披露するめでたい場になるだろう。才能あるシェフが作り上げた特別なフードにたくさん出合えるはずだ。そしてブルックリンの食ベンダーも参加するから、海を超えて彼らのスキルをどう日本のみんなに披露できるか、僕も楽しみにしている。たくさんのハッピーな笑顔が溢れるイベントになるのは間違いないよ。(SNSも)食べ物の絵文字で溢れるだろうね(笑)。 ── 次の展開としてほかの都市への出店の可能性は? 大阪のイベントがうまくいったら、もちろん今後も日本で継続していきたいと思っているよ。ただ2018年いっぱいは、大阪での開催にフォーカスしていきたいと思っている。 ── 日本での開催を楽しみにしている読者にメッセージを。 スモーガスバーグ初の国外開催を、大阪というすばらしい食文化と歴史を持つ街で開催でき、とてもうれしく思っている。今年3月に大阪を訪問した際、たくさん美味しいものを食べ、人々から心の温まるすばらしいおもてなしを受けた。ブルックリン同様、大阪でも人々に楽しんでもらえるイベントになればうれしい。 日本初のスモーガスバーグの開催は、2017年10月27日(金)~29日(日)の11:00~22:00、大阪市北区、阪急・中津の高架下にて。入場無料。 (写真・文:安部かすみ fromニューヨーク) ■開催情報 「スモーガスバーグ大阪」 開催日/2017年10月27日(金)~29日(日) 開催時間/11:00~22:00 会場名/阪急中津(梅田方) 高架下区画 Smorgasburg 世界の素敵な暮らしをお届け。『Global Lifestyle』 ■取材国・都市:アメリカ・ニューヨーク 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter   TSUTAYA T-SITE(2017.10.13)「ブルックリン名物「スモーガスバーグ大阪」10月開催! 創業者インタビュー」より転載(無断転載禁止)ウェブサイトのコピー    

NYはコワーキングスペース激戦区。最旬は「Spacious」や日本初上陸「WeWork」【創業者インタビュー】

ニューヨーク発のコワーキングスペースWeWorkが2018年、いよいよ東京にも上陸することが先日発表された。コワーキングスペースをはじめとするシェアリングオフィスの需要が世界中で高まっている中、WeWorkのような人気企業が東京にもやってくることにより、日本でも職場に求められる環境が今後さらに変わるだろう。 今回は、ニューヨークでWeWork同様に、今もっとも注目されているユニークなコワーキングスペースを紹介する。 おしゃれなレストランを有効活用 ニューヨークで2016年7月にスタートしたスペーシャス(Spacious)。今もっとも勢いのあるニューカマーのコワーキングスペースとして注目されている。 当地にはWeWorkをはじめ、The FarmやThe Productive、Ensemble、Primaryと数え切れないほどのコワーキングスペースがあり、数は日々増え続けているが、Spaciousのユニークなところはオフィス施設そのもの。 彼らが利用しているスペースは、昼間の営業していないレストラン。ディナーのみオープンするレストランを利用して、コワーキングスペースとして開放している。ロケーションもメンバー数もこの1年で急増し、飛ぶ鳥落とす勢いで成長中だ。CEOでコファウンダーのプレストン・ペセック(Preston Pesek)氏に話を聞いた。 ── ニューヨークからスタートし、現在何箇所拠点がありますか。 マンハッタンやブルックリンなど、この1年で10ヵ所ロケーションが増えました。この夏から秋にかけてさらに5ヵ所ロケーションを増やし、さらにニューヨークだけではなくボストン、サンフランシスコにも進出することが決まっています。 今年中には、ニューヨークに20ヵ所、ボストンに6~10ヵ所、サンフランシスコに8~10ヵ所オープンする予定で計画を進めているところです。 ── 総メンバー数は? 現時点で750人です。毎月20~30%ほどメンバーが増えています。 ── 昼間のレストランをコワーキングスペースとして利用していますが、そのユニークなアイデアはどこから浮かんだのですか。 大学院で不動産関連(Real Estate Science)の修士号を取得し、起業前は建築業界や商業用の不動産業界で働いてきました。2004年ニューヨークに移り、この街には美しくてセンスのよいレストランが、昼間ただの空きスペースになっているのを目の当たりにして、もったいないと思いました。この価値あるアセット(資産)をどうにか有効利用できないかと思ったのが始まりです。 ── スペースを貸し出すレストラン側にメリットはあるのでしょうか。 我々からはレストラン側に、毎月利用料を支払っています。しかも、私たちがSNSなどを使ってそのロケーションをPRするので、レストラン側にとっては無料でマーケティングができ、広告を出しているようなものなのです。またコワーキングスペースの利用者が、ディナータイムにそのまま残ってハッピーアワーやアペタイザーを楽しんでいることも多いです。 ── レストランがランチタイムにオープンしない理由は何ですか。 これはすごく自然に発生した経済的な理由があります。特に我々が利用しているハイエンドなファインダイニングレストランは、高品質のメニューを提供しているので、昼と夜、2つのメニューを作ってそれぞれ提供するのがなかなか困難なのです。 もう一つは、ニューヨークおよび全米の他都市でのランチ市場が近年、ファインダイニングからファストカジュアルに移行しています。高級なファインダイニングディナーは接待などで相変わらず需要がありますが、ハイエンドランチは以前ほど主流になっていません。 月95ドル払うだけで、どのロケーションも利用できる ── 利用者としてスペースの使い方について教えてください。 当日の気分で好きなロケーションを選び、そこに行くだけです。事前のサインアップは必要ありません。毎日違うロケーションの利用もできます。お店に着いてチェックインすると、携帯のテキストメッセージでWifiのパスワードが届きます。席は決まっていないので、好きなところで仕事ができます。席の空き状況は、事前にアプリで確認できます。 通常のコワーキング同様、ドリンク(コーヒー、お茶、水)やスナック、会議室なども完備しています。会議室については、ほとんどのハイエンドレストランはプライベートダイニングルーム(個室)を持っていますから、そのスペースを利用しています。プレゼンテーション用に、プロジェクターやホワイトボードも完備していますよ。 ── WeWorkなどで人気の生ビールは提供していませんか。 ビールは今のところ提供していないのですが、お店によっては我々のためにバーを早めにオープンしてくれるところもあるので、そういうロケーションでは仕事を早めに切り上げ、アフターワークの1杯を同僚と楽しんでいる姿をよく見かけます。 ── ニューヨークといえばコワーキング激戦区ですが、スペーシャスを使う一番のメリットは? 毎日同じオフィスに通うとどうしても飽きてしまうものですが、スペーシャスは毎日違った場所で(しかもレストランで!)仕事ができるという、ユニークな体験を提供している点だと思います。ニューヨークのほかのコワーキングスペースでは月額400ドルも500ドルもする利用額が求めれますが、スペーシャスは月95ドルというリーズナブルな価格で利用できるというのも、大きなアドバンテージです。 ── 席が決まっていないですが、休憩中やお手洗いに行く際、貴重品などセキュリティーの問題はないですか。 そういう問題はないですね。各ロケーションの入り口にレセプショニストが常駐し、出入りする人を必ず確認しています。来客などの際もレセプショニストが案内するので、不審者がうろうろするようなことはないです。利用者はSlackを使ってコミュニケーションをとりあっています。また、私たちが主導して、起業家を交えて朝のミートアップの交流イベントや夕方のハッピアワーイベントなどを開催しています。このように、利用者同士が次第に顔見知りになっていくような仕掛けをたくさんしています。 ── レストランの開店時間までに仕事を終わらせる必要がありますね。 ディナーサービスが始まるころ、テキストメッセージを利用者に送っています。利用者には「退出する時間ですよ」ではなく、「バーで何かオーダーしませんか?」という意味合いのメッセージですので、好意的に受け止められています。 ── ニューヨークに出張や旅行で来たときも、スペーシャスは便利そうですね。 もちろん! ニューヨークに短期滞在で仕事をする場合でも、ホテル近くのロケーションで気軽に利用できる最適なオフィス環境だと思います。また、クライアントとミーティングがある際でもクライアントの近くのロケーションを会議場所として選ぶこともできるので便利ですよ。 (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■店舗詳細 Spacious ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.8.16)「NYはコワーキングスペース激戦区。最旬は「Spacious」や日本初上陸「WeWork」」より転載(無断転載禁止)ウェブサイトのコピー

NYで急増する「混合店」企業生き残り、話題作り

    ニューヨークでは近年、業種が混合したお店が増えている。日本で業種が混合といって頭に浮かぶのは、カフェと本屋だろうか。ニューヨークでは、カフェと本屋の混合はもちろんのこと、カフェと洋服屋、カフェと銀行、カフェとボクシングクラス、バーと花屋、靴屋とアイスクリーム、質屋とレストランバー、レストランとコワーキングスペースと雑貨店など、実にユニークで種類もさまざま。混合店が増えている背景を探った。 ▽ここ数年のトレンド 「混合店がニューヨークのここ数年のトレンドになっているのは確かだね」 そう語るのは、流行の発信地、ブルックリンにある「Upstate Stock」のオーナー、ブラム・ロビンソンさん。ブラムさんの店は、キルティング倉庫だった古い建物を改造して作った、クリエーティブで個性的なアパレルとカフェの混合店だ。アパレルコーナーには、ローカル産の雑貨も置いている。 ブラムさんがオリジナルブランド「Upstate Stock」を立ち上げたのは、今から5年前。今ではアメリカはもとより日本でも販売されるほど人気となった。そんな中、店の手前入り口側に、カフェスペースを併設したのは昨年のことだった。 ▽高騰する賃料 なぜカフェを併設したのか、理由を聞いてみた。 「主な理由はレンタル(賃料)だよ」とブラムさん。アパレルだけの売り上げでは、ブルックリンの高い賃料を賄うのが難しいのだという。 ニューヨークでは不動産価格が高騰し続けている。ブルックリンも例外ではなく、賃料の高さは、経営者には頭の痛い問題だ。 ブラムさんの店の賃料を尋ねることはできなかったが、「LoopNet.com」という、店舗用空き物件情報を調べられるウェブサイトによると、ブラムさんの店から徒歩5分圏内にある、角に面した、同じようなロフトタイプの店舗用リース物件は、1スクエアフィート(約0.093平方メートル)につき月5ドル。その物件の実際の広さは1400スクエアフィート(約130平方メートル)だから、月の賃料は約7千ドル(約79万円)だ。今のブルックリンの賃料のだいたいの相場が分かってもらえたと思う。 ▽頭ひねる経営陣 混合店には、個人店と大手企業の2種類が存在する。ブラムさんの店のような個人経営の店ではファイナンシャル的な理由が主なようだが、大手企業が混合店を開く場合、そのほとんどは、企業の生き残りをかけたマーケティング戦略と話題作りが理由にあるようだ。 例えば昨年、マンハッタンの14丁目に米大手銀行「Capital One」がカフェを併設し、「Capital One bank Cafe」としてリニューアルオープンし話題になった。 また、表向きは質屋だが、店の奥にあるドアを開くと豪華なレストランバーになっている人気店「Beauty & Essex」も、飲食とナイトライフ事業を全米展開する大手の「TAO Group」が経営している。 賃料が高く、競合店も多いニューヨーク。混合店は、経営陣が頭をひねって生み出した、この街で生き残るための試行錯誤のカタチなのだ。(ニューヨーク在住ジャーナリスト、安部かすみ=共同通信特約) Kyodo 47 News(2017.7.25)【世界から】「NYで急増する「混合店」企業生き残り、話題作り」より転載(無断転載禁止) 類似記事: TSUTAYA T-SITE(2017.7.29)「質屋レストランに銀行カフェ? NYで話題の混合店がおもしろい」より転載(無断転載禁止)ウェブサイトのコピー   ウェブサイトのPDF

“世界のベストレストラン50”の頂点がNYにファストカジュアル店をオープン。話題の「メイドナイス(Made Nice)」って?

先日、とあるニューヨークの高級レストランが2017年度の世界一に選ばれた。世界のトップレストランを決める毎年恒例の「World’s 50 Best Restaurants」で栄えある1位に選ばれたのは、マンハッタンのノマドエリアにある高級レストラン「イレブン・マジソンパーク(Eleven Madison Park Restaurant)」である。 世界一のレストランがハイエンドの次に目指したもの さすがは世界最高峰。お値段も一流クラスで、テースティングメニューは1人295ドル(税別、チップ込み)。旅行中はいろんなことに挑戦してみたい気分になるから、ハイソサエティーなニューヨーカーに混じるのもよい経験だろう。しかし、食事のみで300ドル越えとなると、なかなか簡単に踏み切れるものではない。 しかし!諦めることなかれ。2017年4月、姉妹店のファストカジュアル・ダイニング店がオープンしたのだ。お店の名前は「メイドナイス(Made Nice)」。 この店はオープンキッチン・スタイルで、商品をカウンター越しに受け取るシステム。テーブル席もあるので店内でも食べられるし、トゥーゴー(持ち帰り)もできる。特筆すべきは、イレブン・マジソンパークと同じ食材とテクニックで作った良質のものを、ニューヨークでは破格の10ドル代で楽しめるということだ。 また、ファストフード店ではなく「ファストカジュアル店」なのもミソ。ニューヨークのファストフードは、おいしくない、早くない、健康によくない、それほど安くない……など悪名高く、一部の層で不人気になりつつあるが、そこで誕生しているのが、おいしくてスピーディー、リーズナブルで健康にも良い、メイドナイスのようなファストカジュアル店だ。トレンドとして近年、ニューヨークで注目されている。 高級食材のカウンター販売で高いコスパが実現 ランチメニューの人気ナンバー1は、ハンガーステーキとブロッコリーの「Khao Salad」(15ドル)。また、マネージャーのカークさんの一押しは、蒸し煮したチキンとインド系のバスマティライスの「Chicken Rice」(14ドル)や、カリフラワー、豆腐、クスクスの「Curry Cauliflower」(11ドル)。 特に「Curry Cauliflower」は、イレブン・マジソンパークで6年間にもわたって人気のあるメニューと“ほぼ同じ”内容らしい。試してみたが、おこげがほんのり香るカリフラワーはほどよくジューシーで、クスクスと一緒にミッスクされているココナッツやレモングラス、クレソン、アーモンド、グレープなどとの相性もバッチリだった。 ランチメニューは常時9種類そろっている。季節の素材を使うため、シーズンごとに変化し、いつ行っても週に何度通っても飽きない工夫がされている。また、午後5時以降はディナーメニュー(22ドル)もプラスオン。ブルックリン産の地ビールやニューヨーク州産のローカルワインは、昼夜共にあり。この夏ニューヨークを訪れることがあれば、ここはもうマストでしょう!   Made Nice Eleven Madison Park (文・写真:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.6.10)「“世界のベストレストラン50”の頂点がNYにファストカジュアル店をオープン。話題の「メイドナイス(Made Nice)」って?」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー

NY人気店「ベンジャミンステーキ」が六本木に6月30日オープン。味や雰囲気はどうなる?【現地レポート】

ニューヨークの人気ステーキハウス「ベンジャミンステーキ」が、2017年6月30日(金)に日本第1号店となる「ベンジャミンステーキハウス六本木」店をオープンする。 現地ライターも太鼓判。NYの人気ステーキハウス「ベンジャミンステーキ」とは ニューヨーク店の共同創業者は、ブルックリンの老舗ステーキハウス「ピータールーガー」でマネージャーとして10年の経験を積み、義理の兄弟および同店で20年間シェフをしていた同僚らと共に、2006年、自分たちの店「ベンジャミン」をマンハッタンにオープン。 現在はニューヨークエリアに、全3店舗展開している。 安定した味とボリューム、上質のサービスを誇り、オープン以来、連日のように周辺のビジネスマンや観光客らで満席になるなど大盛況。2014年には安倍首相もニューヨーク訪問の際、この店で食事をしている。 筆者もビジネス関連で個人的によく利用する店だが、どんなクライアントを連れて行っても食事を楽しんでもらえる、誰に紹介しても恥ずかしくない店の一つだ。 海外初進出。NYの味と雰囲気そのままに 海外初進出となるベンジャミン六本木店は、ニューヨーク本店そのままの味と雰囲気を楽しんでもらえるように、まったく同じメニューを提供する。 サーロインステーキ(9,000円)やリブアイステーキ(11,000円)、フィレミニョン(9,000円)なども見逃せないが、初回はまずいわゆるTボーンステーキと言われる「ポーターハウス」から試してみてはいかがだろう?(2人前16,000円、3人前24,000円、4人前32,000円)。 熱々の大皿でサーブされるポーターハウスは、骨を挟んでサーロインとテンダーロイン(フィレ)の2つの味が楽しめる。ボリュームがあるので、3人で行った場合でも2人前(ポーターハウス・フォー・トゥー)の注文で十分なはず。 ステーキハウスの楽しみ方は個々でさまざま。最初はおしゃれにマティーニグラスを傾けるもよし、シーフードやベーコンなどからスタートするもよし、いきなりステーキと赤ワインを注文するもよし、とにかくお堅いルールなどはいっさいない。 先述のように、特にマンハッタンのビジネス街にあるステーキハウスは接待や同僚との食事会、記念日などによく利用されているが、皆どの人もワイワイガヤガヤとカジュアルに楽しんでいる様子がうかがえる。 ステーキハウス=格式高い、と身構えず、ニューヨーカーのように気取らずに食事を楽しんでみよう。 予約受付は2017年6月5日(月)より。 ■店舗詳細 Benjamin Tokyo Benjamin New York (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.6.1)「NY人気店「ベンジャミンステーキ」が六本木に6月30日オープン。味や雰囲気はどうなる?【現地レポート】」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー

NY最先端の試着室が未来すぎる! 魔法の鏡&タッチパネルで新ショッピング体験

フツウではない魔法の鏡 洋服を見に行って試着室へ。そこにあるのは全面タッチパネルの大きな鏡 ── サイズや色の在庫確認から支払いまで必要なことがすべてそこでできる(しかも日本語で)、魔法の鏡だった。 なにも近未来の話をしているのではない。実際にアメリカの小売店ですでに導入されている試着室のことだ。 この魔法の鏡の正体は、「The Oak Mirror(オークミラー)」。開発したのは、米「Oak Labs, Inc (オーク・ラボズ社)」。同社のジェニー・サムエルズさんによると、オークミラーは、元eBayの小売イノベーションチームにいたテック専門家らにより開発され、2015年に誕生したものだとか。 オークミラーは、レベッカ・ミンコフやラルフローレン、ゲリーヴェーバーなどですでに導入されているそうだ。魔法の鏡とはいかなるものか。それを体験しに、レベッカ・ミンコフのニューヨーク店に行ってみた。 近未来の試着室をいざ体験 マンハッタンはソーホーにある、セレブ御用達の店、レベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)。お店に入るとまず、大きな鏡のようなものが目に飛び込んでくる。 これもただの鏡ではなかった。タッチスクリーンになっており、最新のルックブックが見れたり、サービスで出してくれる無料ドリンク(お茶、コーヒー、エスプレッソetc …そしてシャンパンも!)を選べたりするのだ(希望により携帯番号を入力すれば、ドリンクが用意された際にテキストで知らせてくれる)。 早速入り口から、最新テクノロジーを思い切り感じられる店だ。店内をぐるっと回っていると、スタッフが熱々のおいしいエスプレッソを持って来てくれた。ありがたくいただきながらお店をひとしきり見たら、気に入った洋服を持っていざ試着室へ。 試着室に入ると、何もしなくても商品情報が鏡に写し出された。これにより、スクリーン(鏡)上でほかのサイズや色など、在庫確認が瞬時にできる。店員さんを呼んでリクエストして「少々お待ちください」の時間が省けというわけだ(オークミラーは店員が各自で持っているiPadと繋がっているため、タッチスクリーンで希望を出せば、瞬時に在庫を持って来てくれる)。 ほかに言語(日本語を含む)や、その洋服を着るであろうシーン(照明)の選択メニューもある。「試着室内では好きな色だったけど、日中や薄暗いレストランではいまいちだった」なんていう失敗を防ぐための優しい心遣いだ。 店員のメルセデスさんによると、これら一連のプロセスを可能にしているのは、RFIDと呼ばれるセンサー技術なのだとか(洋服には、ID情報が埋め込まれたRFタグが付いている。Suicaのような非接触ICカードをイメージするとわかりやすいか?) 新決済システムでの支払いも可能 またオークミラーではこの2月より、近距離無線通信と言われる「NFC技術」(*)も導入し、オークミラー内でApple PayやAndroid Payの利用が可能になった。これにより、すべての買い物のプロセスを、このオークミラーで完了させることができるようになったのだ。 (※注釈) ほとんどのスマホやクレジットカードに備えつけられている機能。NFCタグにより、ウェブページやソーシャルメディアなどの情報をリンクさせたり、電子支払いが可能になる。 自分でチェックアウトもできる ちなみにレベッカ・ミンコフでは、テックパートナーとしてほかに「QueueHop, Inc.(キュー・ホップ社)」とも提携しており、顧客が現金を持たずして自分でチェックアウトができる「ノーキャッシュレジスター」も導入している。これで(特にアメリカの大都市にある人気店では当たり前の)レジに並ぶ時間が節約できる。 オークミラーとの相性もバッチリとかで、試着室で支払いを済ませたあとは、キュー・ホップステーションで、盗難防止用のセキュリティタグを自分で外すことも可能。 試着室内で、店員など他人に煩わされることなく、ほぼ自分で、ほぼすべてのプロセスを、スピーディー&スムーズにできるとあり、オークミラー設置以降評判は上々のようだ。 「たかだか数分の待ち時間かもしれませんが、待っている間はまるで永遠のように感じるもの。オークミラーは試着室内でのプロセスを40%早くしてくれるだけでなく、消費者に『ここなら時間がなくても大丈夫』『さっと購入できる店』というイメージを潜在的に与えてくれるものなのです」とジェニーさんは胸を張る。全米では今後、夢のミラー導入店が増えていくことだろう。 Oak Labs, Inc. QueueHop, Inc. Rebecca Minkoff   (文・写真:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.3.15)「NY最先端の試着室が未来すぎる! 魔法の鏡&タッチパネルで新ショッピング体験」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー ウェブサイトのPDF

全米で同性婚が合憲に。今後も続く「真の平等」への戦い

  再祝福ムードにわいた決勝戦の日 今月6日付けのCNNや『TIME』誌など各メディアは、女子サッカー選手のアビー・ワンバックさんと妻のサラ・ハフマンさんが、歓喜の中、熱いキスを交わしているシーンを大きく報じた。2015年FIFA女子ワールドカップの決勝戦で、アメリカが宿敵・日本を破り優勝の座を勝ち取った瞬間の様子だ。 ワンバック選手は自身を同性愛者と公言しており、2013年にはハワイでかねてから交際していたチーメイトのハフマンさんと結婚している。 決勝戦の日は、アメリカの連邦最高裁判所の判決により、全州で同性婚が憲法上の権利として認められた歴史的な日から9日後。また、判決の2日後の今月5日には、ニューヨークで夏の風物詩になっている毎年恒例のプライドパレードもタイミングよく開催されており、今年はいつにも増して盛り上がりをみせたばかりだった。 ワールドカップ決勝戦で会場にいた多くの観客に、ワンバック選手と妻・ハフマンさんの勝利の抱擁がいやが上にも微笑ましくうつったのは間違いないだろう。 戦いが終わったわけではない ニューヨークのマンハッタン区西13丁目に、LGBTの憩いの場とも呼べる文化センターがある。「The Lesbian, Gay, Bisexual & Transgender Community」(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル&トランスジェンダー・コミュニティー、以下「The Center」)は、LGBTの人々をサポートするために1983年に設立され、イベントや文化系の講座、勉強会などを定期的に開催している。 The Centerのエグゼクティブ・ディレクター、グレンダ・テストーンさんは、同性婚合憲の判断について「長くて厳しかった戦いが終わり、この瞬間がついにやって来ました。LGBTの人々にとって結婚の平等(Marriage Equality)が大きな前進になったことは間違いないでしょう」と語った。しかしながら、同センターにとって祝福ムードばかりではない。 同性婚合憲の判断は「一つの自由が認められたに過ぎない」とし、「差別が原因の暴力および貧困問題と、特に若年層を中心とした中毒、ホームレス、自殺などの問題が山ほど残っています。これらを解決するための戦いは今後も続いていきます」。真の平等(Truly Equal)に到達するために、引き続き取り組んでいくとした。 全国民は平等(Equal)であるべき 同判決関連のニュースで、オバマ大統領や合憲判決を支持したケネディ判事のコメントとして、平等を表す「Equal」「Equality」という言葉が何度となく出てきた。 「平等」という言葉で思い出したのは、昨年12月の出来事。筆者はゲイの友人に連れられて、前述のThe Centerを訪れたことがあった。そこで開催されている勉強会に参加させてもらうためだ。 その日友人に連れられて行ったのは、「Planning Biological Parenthood for Women group」(女性カップルのためのバイオロジカル家族計画)という勉強会だった。内容。ゲストスピーカーが、レズビアンのカップル同士で精子バンクを使って出産した経験談をシェアするという内容だ。 ゲイの友人が以前参加して、いい経験になったというその勉強会だが、筆者は同性愛者ではないので、興味本位だけで参加したのだった。ちょっと見学しようという軽い気持ちだった。 相手が誰であれ「受け入れる」「平等に扱う」姿勢 参加者7人のうち、私とゲイの友人以外は、子供を作ることを希望している30代前後のレズビアンだった。主催者は私たちにもフレンドリーに「どうぞどうぞ」と歓迎ムードで、「初めは専門用語ばかりで分からないだろうから、質問があればご遠慮なく」と言いながら、ゲストスピーカーを含んだ大きな輪に私と友人を入れてくれた。 まずは自己紹介からスタート。私も友人もレズビアンではないけれど勉強会の内容に興味があって参加したことなどを自己紹介に交えたが、会の途中ではたびたび話を振られ、見学どころか立派な参加者として扱われた。 終了後、レズビアンである主催者の子供が辺りを走り回ったりして、実にアットホームな雰囲気だった。ゲイの友人は「僕だけが男で恥ずかしかったけど、みんな温かく迎え入れてくれたので良かった」と言っていた。 この経験はもう半年の前のことだが、今になって思うのは、社会に不平等に扱われ、もがき苦しんできた彼らだからこそ、相手が誰であれ「受け入れる」「平等に扱う」姿勢が当然のこととして根付いているということだ。今回の判決は長い闘いの大きなランドマークだが、ゴールではない。ストレート(異性愛者)、LGBTの隔てなく社会があらゆる人々を受け入れられるようになったとき、彼らに「真の平等」が訪れるのだろう。 【筆者】 安部かすみ(あべ・かすみ) フリーランスライター、アメリカ・ニューヨーク 編集者、ライター。1994年から2001年まで、日本の出版社で編集者として勤務し(音楽編集者4年、別冊ガイドブックの編集長3年)2002年よりニューヨーク在住。07年から14年まで、在NYの日本語新聞社でシニアエディターとして勤務。退職後はIT企業や様々な日本語メディアでNY情報を発信中。日米での編集者歴21年。福岡県出身。 朝日新聞社の言論サイト WebRonza(2015.07.29)「全米で同性婚が合憲に。今後も続く「真の平等」への戦い」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのPDF

「キューバに行きたい」── 高まるアメリカ人の期待。オンライン旅行会社も直行便チケットの販売を開始

「I surely wanna go!(もちろん行きたい)」。 キューバに行ってみたいかとアメリカ人に聞くと、大抵このような言葉が返ってくる。理由を尋ねると「ノスタルジックで美しい国。どんなところか実際に見てみたい」。それはそうだろう。キューバはこれまで、アメリカから最も近くて遠い国だったのだから。   4月に入り両国の動きが活発に   1961年以来、半世紀以上も国交が断絶しているこの二つの国が、国交正常化に向けた交渉を開始すると発表したのが昨年暮れ。2015年4月に入り、国交回復に向けた動きが一気に活発になってきた。   パナマで4月11日に開かれた米州首脳会談で、アメリカのオバマ大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が握手を交わして話題になったのを発端に、その数日後にはアメリカがキューバに対するテロ支援国家指定の解除を承認と、ニュースが続いた。 また同月下旬には、ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事が貿易促進のためにキューバを訪れた。これらのニュースはその都度、米メディアで大きく報じられた。   「自分のルーツを訪れてみたい」   「ぜひキューバを訪れてみたい」。これは今や、旅好きなアメリカ人の合い言葉だ。その思いは、キューバにルーツを持つ者なら特に強いだろう。 「両国の関係性が改善するのは喜ばしいこと」と言うのは、ニューヨーク在住のキューバ系アメリカ人、ハニエル・コロナさん。キューバには母方の親戚が住んでいるが、一度も訪れたことがない。「世界遺産である美しいハバナを訪れてみたい。母が以前暮らしていたヴィラ・クララ地方にも」と目を輝かす。 筆者は2008年の年末に、ニューヨーク発でキューバを訪れたことがある。一般向けにはアメリカからの直行便がないため、メキシコを経由することにした。 キューバはアメリカの南端・フロリダから目と鼻の先。マイアミからだと直行便でたった1時間の距離なのに、トランジットを含めて約1日がかりの長旅となり、しかも航空券も日本円で20万円ほどとかなり高くついた。   オンラインで直行便が販売開始   しかしそんな骨折りも、今後はなくなる方向に行くだろう。4月に入り、オンライン旅行会社の「Cheapair.com(チープエア・ドットコム)」が、アメリカーキューバ直行便のチケットの販売を始めたのだ。 同社では今年2月、これまた業界に先駆け、アメリカ発キューバ行きの航空券を販売し始めたが、直行便ではなかったため、顧客からは不満の声も上がっていた。 ただ、直行便が運行し始めたと言っても、ニューヨークとフロリダ発のみで、本数もかなり限られている。さらに、アメリカ人が合法で渡航するには、未だ「12の正統な理由」のうちのどれかに該当することが必要だ。家族の訪問やジャーナリストの活動、教育関係の活動などで、審査や書類提出が義務づけられている。   「国交回復後は30%アップ」   「キューバ行きで取り扱ったのは教育交流プログラムの一環。相応の手続きを踏んで成功させた」と言うのは、カリブ海周辺を専門とする旅行会社「Caribbean Journey(カリビアンジャーニー)」の代表、ローラ・サングスターさん。 「まだ市民レベルまで旅行規制が緩和されているわけではない。だからこそアメリカ人は、キューバを個人旅行できる日を待ちわびているのです」と言う。 チープエア・ドットコムのマーケティング・バイスプレジデント、グレゴリー・サムソンさんも、「今後、大量のアメリカ人ツアー客がキューバに押し寄せるだろう」と予想。現在、直行便の売れ行きはまだそれほど多くはないそうだが、「国交が回復したら旅行客数はこれまでより300%アップを見込んでいる」。   「アメリカナイズする前に見ておきたい」   これまでも、アメリカから第三国を経由するなど、キューバ渡航への抜け道はいくらでもあった。それを証明するかのように、昨年は60万人のアメリカ人がキューバを訪れたと、イギリスの日刊紙『Daily Mail』は発表している(筆者がキューバを訪れた際にも、何人ものアメリカ人旅行客に出くわした)。 今後国交が回復し、個人旅行が簡単にできるようになったら…。結果は想像に難くない。記事冒頭で紹介した理由もそうだし、もう一つ大きな動機は「アメリカナイズする前に見ておきたい」ということだ。   そう、変わる前のノスタルジックで美しいキューバという国を目に焼き付けるために、アメリカはもちろんのこと、世界中から観光客が押し寄せることは必至だ。 【筆者】 安部かすみ(あべ・かすみ) フリーランスライター、アメリカ・ニューヨーク   編集者、ライター。1994年から2001年まで、日本の出版社で編集者として勤務し(音楽編集者4年、別冊ガイドブックの編集長3年)2002年よりニューヨーク在住。07年から14年まで、在NYの日本語新聞社でシニアエディターとして勤務。退職後はIT企業や様々な日本語メディアでNY情報を発信中。日米での編集者歴20年。福岡県出身。 朝日新聞社の言論サイト WebRonza(2015.05.05)「キューバに行きたい」── 高まるアメリカ人の期待。オンライン旅行会社も直行便チケットの販売を開始」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのPDF