“世界のベストレストラン50”の頂点がNYにファストカジュアル店をオープン。話題の「メイドナイス(Made Nice)」って?

先日、とあるニューヨークの高級レストランが2017年度の世界一に選ばれた。世界のトップレストランを決める毎年恒例の「World’s 50 Best Restaurants」で栄えある1位に選ばれたのは、マンハッタンのノマドエリアにある高級レストラン「イレブン・マジソンパーク(Eleven Madison Park Restaurant)」である。 世界一のレストランがハイエンドの次に目指したもの さすがは世界最高峰。お値段も一流クラスで、テースティングメニューは1人295ドル(税別、チップ込み)。旅行中はいろんなことに挑戦してみたい気分になるから、ハイソサエティーなニューヨーカーに混じるのもよい経験だろう。しかし、食事のみで300ドル越えとなると、なかなか簡単に踏み切れるものではない。 しかし!諦めることなかれ。2017年4月、姉妹店のファストカジュアル・ダイニング店がオープンしたのだ。お店の名前は「メイドナイス(Made Nice)」。 この店はオープンキッチン・スタイルで、商品をカウンター越しに受け取るシステム。テーブル席もあるので店内でも食べられるし、トゥーゴー(持ち帰り)もできる。特筆すべきは、イレブン・マジソンパークと同じ食材とテクニックで作った良質のものを、ニューヨークでは破格の10ドル代で楽しめるということだ。 また、ファストフード店ではなく「ファストカジュアル店」なのもミソ。ニューヨークのファストフードは、おいしくない、早くない、健康によくない、それほど安くない……など悪名高く、一部の層で不人気になりつつあるが、そこで誕生しているのが、おいしくてスピーディー、リーズナブルで健康にも良い、メイドナイスのようなファストカジュアル店だ。トレンドとして近年、ニューヨークで注目されている。 高級食材のカウンター販売で高いコスパが実現 ランチメニューの人気ナンバー1は、ハンガーステーキとブロッコリーの「Khao Salad」(15ドル)。また、マネージャーのカークさんの一押しは、蒸し煮したチキンとインド系のバスマティライスの「Chicken Rice」(14ドル)や、カリフラワー、豆腐、クスクスの「Curry Cauliflower」(11ドル)。 特に「Curry Cauliflower」は、イレブン・マジソンパークで6年間にもわたって人気のあるメニューと“ほぼ同じ”内容らしい。試してみたが、おこげがほんのり香るカリフラワーはほどよくジューシーで、クスクスと一緒にミッスクされているココナッツやレモングラス、クレソン、アーモンド、グレープなどとの相性もバッチリだった。 ランチメニューは常時9種類そろっている。季節の素材を使うため、シーズンごとに変化し、いつ行っても週に何度通っても飽きない工夫がされている。また、午後5時以降はディナーメニュー(22ドル)もプラスオン。ブルックリン産の地ビールやニューヨーク州産のローカルワインは、昼夜共にあり。この夏ニューヨークを訪れることがあれば、ここはもうマストでしょう!   Made Nice Eleven Madison Park (文・写真:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.6.10)「“世界のベストレストラン50”の頂点がNYにファストカジュアル店をオープン。話題の「メイドナイス(Made Nice)」って?」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー

NY人気店「ベンジャミンステーキ」が六本木に6月30日オープン。味や雰囲気はどうなる?【現地レポート】

ニューヨークの人気ステーキハウス「ベンジャミンステーキ」が、2017年6月30日(金)に日本第1号店となる「ベンジャミンステーキハウス六本木」店をオープンする。 現地ライターも太鼓判。NYの人気ステーキハウス「ベンジャミンステーキ」とは ニューヨーク店の共同創業者は、ブルックリンの老舗ステーキハウス「ピータールーガー」でマネージャーとして10年の経験を積み、義理の兄弟および同店で20年間シェフをしていた同僚らと共に、2006年、自分たちの店「ベンジャミン」をマンハッタンにオープン。 現在はニューヨークエリアに、全3店舗展開している。 安定した味とボリューム、上質のサービスを誇り、オープン以来、連日のように周辺のビジネスマンや観光客らで満席になるなど大盛況。2014年には安倍首相もニューヨーク訪問の際、この店で食事をしている。 筆者もビジネス関連で個人的によく利用する店だが、どんなクライアントを連れて行っても食事を楽しんでもらえる、誰に紹介しても恥ずかしくない店の一つだ。 海外初進出。NYの味と雰囲気そのままに 海外初進出となるベンジャミン六本木店は、ニューヨーク本店そのままの味と雰囲気を楽しんでもらえるように、まったく同じメニューを提供する。 サーロインステーキ(9,000円)やリブアイステーキ(11,000円)、フィレミニョン(9,000円)なども見逃せないが、初回はまずいわゆるTボーンステーキと言われる「ポーターハウス」から試してみてはいかがだろう?(2人前16,000円、3人前24,000円、4人前32,000円)。 熱々の大皿でサーブされるポーターハウスは、骨を挟んでサーロインとテンダーロイン(フィレ)の2つの味が楽しめる。ボリュームがあるので、3人で行った場合でも2人前(ポーターハウス・フォー・トゥー)の注文で十分なはず。 ステーキハウスの楽しみ方は個々でさまざま。最初はおしゃれにマティーニグラスを傾けるもよし、シーフードやベーコンなどからスタートするもよし、いきなりステーキと赤ワインを注文するもよし、とにかくお堅いルールなどはいっさいない。 先述のように、特にマンハッタンのビジネス街にあるステーキハウスは接待や同僚との食事会、記念日などによく利用されているが、皆どの人もワイワイガヤガヤとカジュアルに楽しんでいる様子がうかがえる。 ステーキハウス=格式高い、と身構えず、ニューヨーカーのように気取らずに食事を楽しんでみよう。 予約受付は2017年6月5日(月)より。 ■店舗詳細 Benjamin Tokyo Benjamin New York (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.6.1)「NY人気店「ベンジャミンステーキ」が六本木に6月30日オープン。味や雰囲気はどうなる?【現地レポート】」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー

NY最先端の試着室が未来すぎる! 魔法の鏡&タッチパネルで新ショッピング体験

フツウではない魔法の鏡 洋服を見に行って試着室へ。そこにあるのは全面タッチパネルの大きな鏡 ── サイズや色の在庫確認から支払いまで必要なことがすべてそこでできる(しかも日本語で)、魔法の鏡だった。 なにも近未来の話をしているのではない。実際にアメリカの小売店ですでに導入されている試着室のことだ。 この魔法の鏡の正体は、「The Oak Mirror(オークミラー)」。開発したのは、米「Oak Labs, Inc (オーク・ラボズ社)」。同社のジェニー・サムエルズさんによると、オークミラーは、元eBayの小売イノベーションチームにいたテック専門家らにより開発され、2015年に誕生したものだとか。 オークミラーは、レベッカ・ミンコフやラルフローレン、ゲリーヴェーバーなどですでに導入されているそうだ。魔法の鏡とはいかなるものか。それを体験しに、レベッカ・ミンコフのニューヨーク店に行ってみた。 近未来の試着室をいざ体験 マンハッタンはソーホーにある、セレブ御用達の店、レベッカ・ミンコフ(Rebecca Minkoff)。お店に入るとまず、大きな鏡のようなものが目に飛び込んでくる。 これもただの鏡ではなかった。タッチスクリーンになっており、最新のルックブックが見れたり、サービスで出してくれる無料ドリンク(お茶、コーヒー、エスプレッソetc …そしてシャンパンも!)を選べたりするのだ(希望により携帯番号を入力すれば、ドリンクが用意された際にテキストで知らせてくれる)。 早速入り口から、最新テクノロジーを思い切り感じられる店だ。店内をぐるっと回っていると、スタッフが熱々のおいしいエスプレッソを持って来てくれた。ありがたくいただきながらお店をひとしきり見たら、気に入った洋服を持っていざ試着室へ。 試着室に入ると、何もしなくても商品情報が鏡に写し出された。これにより、スクリーン(鏡)上でほかのサイズや色など、在庫確認が瞬時にできる。店員さんを呼んでリクエストして「少々お待ちください」の時間が省けというわけだ(オークミラーは店員が各自で持っているiPadと繋がっているため、タッチスクリーンで希望を出せば、瞬時に在庫を持って来てくれる)。 ほかに言語(日本語を含む)や、その洋服を着るであろうシーン(照明)の選択メニューもある。「試着室内では好きな色だったけど、日中や薄暗いレストランではいまいちだった」なんていう失敗を防ぐための優しい心遣いだ。 店員のメルセデスさんによると、これら一連のプロセスを可能にしているのは、RFIDと呼ばれるセンサー技術なのだとか(洋服には、ID情報が埋め込まれたRFタグが付いている。Suicaのような非接触ICカードをイメージするとわかりやすいか?) 新決済システムでの支払いも可能 またオークミラーではこの2月より、近距離無線通信と言われる「NFC技術」(*)も導入し、オークミラー内でApple PayやAndroid Payの利用が可能になった。これにより、すべての買い物のプロセスを、このオークミラーで完了させることができるようになったのだ。 (※注釈) ほとんどのスマホやクレジットカードに備えつけられている機能。NFCタグにより、ウェブページやソーシャルメディアなどの情報をリンクさせたり、電子支払いが可能になる。 自分でチェックアウトもできる ちなみにレベッカ・ミンコフでは、テックパートナーとしてほかに「QueueHop, Inc.(キュー・ホップ社)」とも提携しており、顧客が現金を持たずして自分でチェックアウトができる「ノーキャッシュレジスター」も導入している。これで(特にアメリカの大都市にある人気店では当たり前の)レジに並ぶ時間が節約できる。 オークミラーとの相性もバッチリとかで、試着室で支払いを済ませたあとは、キュー・ホップステーションで、盗難防止用のセキュリティタグを自分で外すことも可能。 試着室内で、店員など他人に煩わされることなく、ほぼ自分で、ほぼすべてのプロセスを、スピーディー&スムーズにできるとあり、オークミラー設置以降評判は上々のようだ。 「たかだか数分の待ち時間かもしれませんが、待っている間はまるで永遠のように感じるもの。オークミラーは試着室内でのプロセスを40%早くしてくれるだけでなく、消費者に『ここなら時間がなくても大丈夫』『さっと購入できる店』というイメージを潜在的に与えてくれるものなのです」とジェニーさんは胸を張る。全米では今後、夢のミラー導入店が増えていくことだろう。 Oak Labs, Inc. QueueHop, Inc. Rebecca Minkoff   (文・写真:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.3.15)「NY最先端の試着室が未来すぎる! 魔法の鏡&タッチパネルで新ショッピング体験」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー ウェブサイトのPDF

飲む万能薬「ボーンブロス」って? NYの流行はコーヒーやコールドプレスジュースだけじゃない

ヘルスコンシャスなニューヨーカーが注目 ニューヨーカーといえばその特徴の一つとして、歩きスマホならぬ「歩きコーヒー」というのがある。 おしゃれなコーヒータンブラーを持っている人も中にはいるが、主流は使い捨て紙コップ。せっかちなニューヨーカーは、ストリートで電車でオフィスで、いつでもどこでも片手にコーヒーカップを握りしめ、飲みながらスタスタ歩いている。 しかし最近(この寒い時期は特に)、紙コップの中身が「あるもの」にシフトしつつある。 その中身はというと、ここ数年ニューヨークで話題のボーン(骨)ブロスだ。牛や鶏などの骨をグツグツ煮込んだ、あれである。日本だったら、豚骨ラーメンや水炊きのベースとしてよく使われるだろう。それがここ数年ニューヨーカーの間で話題なのだ。 なぜボーンブロスなのか? 注目されているわけを聞くために、昨年5月にオープンしたボーンブロスカフェ「Springbone Kitchen」(スプリングボーン・キッチン)を訪ねた。 ボーンブロスの健康効果 「ボーンブロスは、コラーゲン、ゼラチン、アミノ酸、ヒアルロン酸などが豊富に含まれています。美肌効果があり、関節や筋肉を強化し、腸の調子を整えて消化を助けたり、免疫力を上げてくれたりするんですよ」と説明するのは、同店のオーナー、ジョーダン・フェルドマンさん。 ジョーダンさんは説明を続ける。 「美肌によいものとしてコールドプレスジュースも話題ですが、それと比べても、ボーンブロスはカロリーや糖分が低く、プロテインが豊富に含まれ、そして値段も安いんですよ!」 これこそが、ボーンブロスが「万能の美容液」と言われている所以(ゆえん)だろう。   店のオープンにおいてボーンブロスに着目したきっかけを聞くと、「健康になれることを自ら実感したから」。 「テニスで膝の関節を傷め理学療法士のもとに6ヵ月間通ったが、一向に治らず焦っていました。2年前、友人に勧められてボーンブロスを寝る前に飲み始めたところ、ほんの数週間で膝の調子がよくなったんです。『店をするならこれだ!』と思いました」 ボーンブロスのお味は? 早速、一番人気のチキンブロスの「Liquid Gold」(小6ドル)をいただいた。 オーガニックチキンのボーンブロスにタマネギやニンジン、セロリなどの各野菜、ココナッツミルク、ターメリック、リンゴ酢などが入っている。コクがあり、味わい深くまろやか。フーフーしながら飲み終わると、プハ~ッとほっこりする。極寒のニューヨークで、体の芯から温まった。 自宅で作ってみる? そもそも、ボーンブロスは誰でも自宅で手作りできるもの。ジョーダンさんに、うまく作るコツを聞いた。 「特に初心者は、簡単な鶏肉のブロスから始めるといいでしょう。フレーバーが豊かなので、どのように調理してもおいしく作れます。フレーバーは少ないけど健康の利点から考えると、ゼラチンの豊富な首もしくは足の部位は必ず入れること。見た目は気持ち悪いけど、そこはがんばるしかないです(笑)」 もしくは、チキンの丸焼きを食べた後の骨を捨てずに使うのもいいそうだ。どちらにせよ、煮込んだりして約1日がかりの作業になる。 「いい食材(骨)を調達することも大切です。作るのが面倒という方は…ぜひうちのカフェに寄ってください! 」 ニューヨークを訪れることがあれば、温か~いブロス・カップ片手に、ニューヨーカーよろしく街を闊歩してみてはいかがだろうか。   Brodo Broth Shop Marlow & Daughters (文・写真:安部かすみ fromニューヨーク) 世界の素敵な暮らしをお届け。『Global Lifestyle』 「ニューヨーク」の記事をもっと読む ■取材国:アメリカ・ニューヨーク 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2017.1.11)「飲む万能薬「ボーンブロス」って? NYの流行はコーヒーやコールドプレスジュースだけじゃない」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー

「醜い農産物」を救え? アメリカ全土が本気で取り組む食プロジェクトとは

    「Ugly Produce. Delivered.(醜い農産物。配達されます)」   アメリカ西海岸を拠点とするデリバリー系スタートアップ「Imperfect Produce」「Imperfect Produce」(インパーフェクト・プロデュース)のウェブサイトを開くと、このメッセージがまず目に飛び込んでくる。   スタートアップが大型スーパーと提携し、醜い農産物を救う 何ごとにおいても醜いものを好む人は世の中そんなに多くないだろうから、このスタートアップが誕生した背景を知らない人には、なかなか衝撃的なキャッチコピーだろう。 インパーフェクト・プロデュースのサービスは“Ugly”(見た目の悪い)野菜やフルーツをリーズナブルな価格でデリバリーすること。もちろん形の悪い野菜やフルーツでも、言わずもがな味や栄養面で何ら問題ないが、一般市場では売り物にならないため農場で廃棄されているのが現状だ。   例えばアメリカの食品廃棄に関するあるリサーチ発表では、全米における食品の年間廃棄量は約30万パウンド(13万6,077キログラム)、所帯ごとの平均食品廃棄量は年間で640ドル分にも上るらしい。これは1970年代と比べると1.5倍も増えており、何らかの対策を講じなければ今後さらに廃棄量が増えていくことが懸念されている。 この問題に目をつけたのが、このインパーフェクト・プロデュースだった。彼らは、自然食品を中心にセレクト販売する全米展開の大型スーパー、Whole Foods Market(ホールフーズ・マーケット)とパートナーシップを組み、4月下旬から見た目の悪い野菜やフルーツ(オーガニック含む)を販売すると発表した。現在は北カリフォルニアだけの取り組みだが、今後は全米展開も視野に入れられている。       食品廃棄問題、アメリカ東海岸の取り組み 食品廃棄問題に取り組んでいるのは、何もアメリカ西海岸の話だけではない。 東海岸のメリーランド州に本社を置く「Hungry Harvest」も、食品廃棄を減らすことをミッションに掲げたデリバリー系のスタートアップだ。 2014年創業で、すでに600世帯が利用している。同社の発表によれば計50万パウンド(22万6,796キログラム)の食品を廃棄せずに有効活用したとしている。そして、このスタートアップにはもう一つ特徴がある。 同社は顧客を「ヒーロー」と呼んでおり、ヒーローからのオーダー1箱ごとに契約農場を通して、新鮮な野菜やフルーツをフードバンクや教会、低所得者層らに無料で提供している。 同社の発表では全米の生活困窮者は5000万人で、これまでに寄付された野菜やフルーツは18万5,000パウンド(8万3,914キログラム)。そして今年1月、同社のCEO、エヴァン・ラッツさんがABC局のリアリティーショー『Shark Tank』に出演し、同社が希望していた投資額の倍である10万ドル(約1千万円弱)の投資を受けたことでも話題になった。   人気のテレビ番組が彼らの活動をフィーチャーし投資を決めたことから、この取り組みも今後さらに広がっていくことは容易に予想される。   「廃棄ゼロ」を取り組むレストランも さて、ニューヨークでは前述のデリバリーサービスとはまた違うユニークな店が注目されている。 昨年9月にブルックリンにオープンしたレストラン「Saucy by Nature 」(ソース・バイ・ネイチャー)」。地元の農家でとれたオーガニックの食材を出すFarm-to-tableの店で、「Zero Waste(廃棄ゼロ)」をスローガンに掲げている。 もともとオーナーのパシェミック・アドルフさんは結婚式やイベントなどで料理を提供するケータリング会社を経営していた。しかし、店をやっているとどうしても食材が残ってしまう。パシェミックさんが頭を抱えて考えた結果、あるアイデアが浮かんだ。   「残った食材を活かすために、レストランも開こう」。 それがこのSaucy by Natureだった。   例えば、ケータリングで余ったレタスをレストランではハンバーガーやサンドイッチなどに使うといった具合に、両店でうまく食材を使い切る工夫をしている。そしてそれでも余ってしまった食材は……? これはフードバンクに寄付しているそうなので、実質的にZero Waste(廃棄ゼロ)を実行しているレストランだ。   食品を救済するためならごみ集めツアー 食品廃棄に関する記事ということで、最後にもう一つ、私のニューヨークでの経験をつけ加えておきたい。 皆さんはFreegan(フリーガン)という言葉を聞いたことがあるだろうか? スーパーから廃棄された賞味期限が切れたばかりの(まだ食べられる)食べ物を、ゴミ山の中から拾う活動をしている団体だ。 このTrash Tour(ごみ集めツアー)は定期的に開催されており、私は10年ぐらい前に取材で参加したことがあるのだが、いろんな意味で予想を遥かに越えた体験だった。…

全米で同性婚が合憲に。今後も続く「真の平等」への戦い

  再祝福ムードにわいた決勝戦の日 今月6日付けのCNNや『TIME』誌など各メディアは、女子サッカー選手のアビー・ワンバックさんと妻のサラ・ハフマンさんが、歓喜の中、熱いキスを交わしているシーンを大きく報じた。2015年FIFA女子ワールドカップの決勝戦で、アメリカが宿敵・日本を破り優勝の座を勝ち取った瞬間の様子だ。 ワンバック選手は自身を同性愛者と公言しており、2013年にはハワイでかねてから交際していたチーメイトのハフマンさんと結婚している。 決勝戦の日は、アメリカの連邦最高裁判所の判決により、全州で同性婚が憲法上の権利として認められた歴史的な日から9日後。また、判決の2日後の今月5日には、ニューヨークで夏の風物詩になっている毎年恒例のプライドパレードもタイミングよく開催されており、今年はいつにも増して盛り上がりをみせたばかりだった。 ワールドカップ決勝戦で会場にいた多くの観客に、ワンバック選手と妻・ハフマンさんの勝利の抱擁がいやが上にも微笑ましくうつったのは間違いないだろう。 戦いが終わったわけではない ニューヨークのマンハッタン区西13丁目に、LGBTの憩いの場とも呼べる文化センターがある。「The Lesbian, Gay, Bisexual & Transgender Community」(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル&トランスジェンダー・コミュニティー、以下「The Center」)は、LGBTの人々をサポートするために1983年に設立され、イベントや文化系の講座、勉強会などを定期的に開催している。 The Centerのエグゼクティブ・ディレクター、グレンダ・テストーンさんは、同性婚合憲の判断について「長くて厳しかった戦いが終わり、この瞬間がついにやって来ました。LGBTの人々にとって結婚の平等(Marriage Equality)が大きな前進になったことは間違いないでしょう」と語った。しかしながら、同センターにとって祝福ムードばかりではない。 同性婚合憲の判断は「一つの自由が認められたに過ぎない」とし、「差別が原因の暴力および貧困問題と、特に若年層を中心とした中毒、ホームレス、自殺などの問題が山ほど残っています。これらを解決するための戦いは今後も続いていきます」。真の平等(Truly Equal)に到達するために、引き続き取り組んでいくとした。 全国民は平等(Equal)であるべき 同判決関連のニュースで、オバマ大統領や合憲判決を支持したケネディ判事のコメントとして、平等を表す「Equal」「Equality」という言葉が何度となく出てきた。 「平等」という言葉で思い出したのは、昨年12月の出来事。筆者はゲイの友人に連れられて、前述のThe Centerを訪れたことがあった。そこで開催されている勉強会に参加させてもらうためだ。 その日友人に連れられて行ったのは、「Planning Biological Parenthood for Women group」(女性カップルのためのバイオロジカル家族計画)という勉強会だった。内容。ゲストスピーカーが、レズビアンのカップル同士で精子バンクを使って出産した経験談をシェアするという内容だ。 ゲイの友人が以前参加して、いい経験になったというその勉強会だが、筆者は同性愛者ではないので、興味本位だけで参加したのだった。ちょっと見学しようという軽い気持ちだった。 相手が誰であれ「受け入れる」「平等に扱う」姿勢 参加者7人のうち、私とゲイの友人以外は、子供を作ることを希望している30代前後のレズビアンだった。主催者は私たちにもフレンドリーに「どうぞどうぞ」と歓迎ムードで、「初めは専門用語ばかりで分からないだろうから、質問があればご遠慮なく」と言いながら、ゲストスピーカーを含んだ大きな輪に私と友人を入れてくれた。 まずは自己紹介からスタート。私も友人もレズビアンではないけれど勉強会の内容に興味があって参加したことなどを自己紹介に交えたが、会の途中ではたびたび話を振られ、見学どころか立派な参加者として扱われた。 終了後、レズビアンである主催者の子供が辺りを走り回ったりして、実にアットホームな雰囲気だった。ゲイの友人は「僕だけが男で恥ずかしかったけど、みんな温かく迎え入れてくれたので良かった」と言っていた。 この経験はもう半年の前のことだが、今になって思うのは、社会に不平等に扱われ、もがき苦しんできた彼らだからこそ、相手が誰であれ「受け入れる」「平等に扱う」姿勢が当然のこととして根付いているということだ。今回の判決は長い闘いの大きなランドマークだが、ゴールではない。ストレート(異性愛者)、LGBTの隔てなく社会があらゆる人々を受け入れられるようになったとき、彼らに「真の平等」が訪れるのだろう。 【筆者】 安部かすみ(あべ・かすみ) フリーランスライター、アメリカ・ニューヨーク 編集者、ライター。1994年から2001年まで、日本の出版社で編集者として勤務し(音楽編集者4年、別冊ガイドブックの編集長3年)2002年よりニューヨーク在住。07年から14年まで、在NYの日本語新聞社でシニアエディターとして勤務。退職後はIT企業や様々な日本語メディアでNY情報を発信中。日米での編集者歴21年。福岡県出身。 朝日新聞社の言論サイト WebRonza(2015.07.29)「全米で同性婚が合憲に。今後も続く「真の平等」への戦い」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのPDF

「キューバに行きたい」── 高まるアメリカ人の期待。オンライン旅行会社も直行便チケットの販売を開始

「I surely wanna go!(もちろん行きたい)」。 キューバに行ってみたいかとアメリカ人に聞くと、大抵このような言葉が返ってくる。理由を尋ねると「ノスタルジックで美しい国。どんなところか実際に見てみたい」。それはそうだろう。キューバはこれまで、アメリカから最も近くて遠い国だったのだから。   4月に入り両国の動きが活発に   1961年以来、半世紀以上も国交が断絶しているこの二つの国が、国交正常化に向けた交渉を開始すると発表したのが昨年暮れ。2015年4月に入り、国交回復に向けた動きが一気に活発になってきた。   パナマで4月11日に開かれた米州首脳会談で、アメリカのオバマ大統領とキューバのカストロ国家評議会議長が握手を交わして話題になったのを発端に、その数日後にはアメリカがキューバに対するテロ支援国家指定の解除を承認と、ニュースが続いた。 また同月下旬には、ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事が貿易促進のためにキューバを訪れた。これらのニュースはその都度、米メディアで大きく報じられた。   「自分のルーツを訪れてみたい」   「ぜひキューバを訪れてみたい」。これは今や、旅好きなアメリカ人の合い言葉だ。その思いは、キューバにルーツを持つ者なら特に強いだろう。 「両国の関係性が改善するのは喜ばしいこと」と言うのは、ニューヨーク在住のキューバ系アメリカ人、ハニエル・コロナさん。キューバには母方の親戚が住んでいるが、一度も訪れたことがない。「世界遺産である美しいハバナを訪れてみたい。母が以前暮らしていたヴィラ・クララ地方にも」と目を輝かす。 筆者は2008年の年末に、ニューヨーク発でキューバを訪れたことがある。一般向けにはアメリカからの直行便がないため、メキシコを経由することにした。 キューバはアメリカの南端・フロリダから目と鼻の先。マイアミからだと直行便でたった1時間の距離なのに、トランジットを含めて約1日がかりの長旅となり、しかも航空券も日本円で20万円ほどとかなり高くついた。   オンラインで直行便が販売開始   しかしそんな骨折りも、今後はなくなる方向に行くだろう。4月に入り、オンライン旅行会社の「Cheapair.com(チープエア・ドットコム)」が、アメリカーキューバ直行便のチケットの販売を始めたのだ。 同社では今年2月、これまた業界に先駆け、アメリカ発キューバ行きの航空券を販売し始めたが、直行便ではなかったため、顧客からは不満の声も上がっていた。 ただ、直行便が運行し始めたと言っても、ニューヨークとフロリダ発のみで、本数もかなり限られている。さらに、アメリカ人が合法で渡航するには、未だ「12の正統な理由」のうちのどれかに該当することが必要だ。家族の訪問やジャーナリストの活動、教育関係の活動などで、審査や書類提出が義務づけられている。   「国交回復後は30%アップ」   「キューバ行きで取り扱ったのは教育交流プログラムの一環。相応の手続きを踏んで成功させた」と言うのは、カリブ海周辺を専門とする旅行会社「Caribbean Journey(カリビアンジャーニー)」の代表、ローラ・サングスターさん。 「まだ市民レベルまで旅行規制が緩和されているわけではない。だからこそアメリカ人は、キューバを個人旅行できる日を待ちわびているのです」と言う。 チープエア・ドットコムのマーケティング・バイスプレジデント、グレゴリー・サムソンさんも、「今後、大量のアメリカ人ツアー客がキューバに押し寄せるだろう」と予想。現在、直行便の売れ行きはまだそれほど多くはないそうだが、「国交が回復したら旅行客数はこれまでより300%アップを見込んでいる」。   「アメリカナイズする前に見ておきたい」   これまでも、アメリカから第三国を経由するなど、キューバ渡航への抜け道はいくらでもあった。それを証明するかのように、昨年は60万人のアメリカ人がキューバを訪れたと、イギリスの日刊紙『Daily Mail』は発表している(筆者がキューバを訪れた際にも、何人ものアメリカ人旅行客に出くわした)。 今後国交が回復し、個人旅行が簡単にできるようになったら…。結果は想像に難くない。記事冒頭で紹介した理由もそうだし、もう一つ大きな動機は「アメリカナイズする前に見ておきたい」ということだ。   そう、変わる前のノスタルジックで美しいキューバという国を目に焼き付けるために、アメリカはもちろんのこと、世界中から観光客が押し寄せることは必至だ。 【筆者】 安部かすみ(あべ・かすみ) フリーランスライター、アメリカ・ニューヨーク   編集者、ライター。1994年から2001年まで、日本の出版社で編集者として勤務し(音楽編集者4年、別冊ガイドブックの編集長3年)2002年よりニューヨーク在住。07年から14年まで、在NYの日本語新聞社でシニアエディターとして勤務。退職後はIT企業や様々な日本語メディアでNY情報を発信中。日米での編集者歴20年。福岡県出身。 朝日新聞社の言論サイト WebRonza(2015.05.05)「キューバに行きたい」── 高まるアメリカ人の期待。オンライン旅行会社も直行便チケットの販売を開始」より転載(無断転載禁止) ウェブサイトのPDF

432パークアベニュー:57丁目の『Race to the Sky』NYイチの高層コンドミニアムがマンハッタンの摩天楼を変える

ニューヨークで一番高い住居用ビルとして、2015年春の完成へ向け着々と建設が進む「432 Park Avenue」。建物の完成予想図やペントハウスからの眺望が、先日取材陣に公開され話題となっている。 建設場所は、マンハッタンの『お金持ちの象徴』であるパークアベニュー、56丁目と57丁目の間。 全長1396ft(約426m)と、エンパイアステートビル(1250ft=約381m)やクライスラービル(1046ft =約318m)よりも高く、高層階からはそれらのアイコンビルを見下ろすことができる。 マンハッタン内はもちろ んのこと、お隣のブルックリンやクイーンズ、ニュージャー ジー州、そして天気の良い日はロングアイランドまで見渡せるとか。 同ビルのPRを手掛ける、PRCo社のジェシカ・ヘンリーさんによると、着工した2011年当初より 投資家や富裕層の間で話題になっており、住居スペース104世帯のうち、現時点で半分以上がす でに契約済みだという。 ペントハウスは10世帯分あり、うち7世帯が契約済。1世帯分がフロア全体(8400ft2、約781.2m2)を占めるため、どのペントハウスからも 360度の絶景が楽しめる。 ちなみにペントハウスのお値段は最高95億ドル(約110億2000万 円)と、気が遠くなるようなお値段! まだ入居可能なものは、82.5億ドル(約95億7000万円)と76.5億ドル(約88億7400万円)の部屋だ(ちなみに月々の共益費だけでも、毎月1万6000ドル、約180万円弱)。 ニューヨークの不動産事情は最近どうなのか、国際不動産連 盟FIABCIの次期会長で、老舗不動産会社「Brown Harris Stevens」社のダニエル・グロセンバッチャーさんに話を聞 いてみた。 ダニエルさんによると、「不動産需要に対して供 給が追いついていない状態で、それがさらに不動産市場を活 気付けている」とか。また「2016年にはこのビルを越え る高さの高層ビルが、そこから目と鼻の先(57丁目とブロードウェイの角)に建設される予定」と言う。ほかに、57丁目 の5番街と6番街の間にも同様の高層ビルが建設予定だ。 これらの現象は、「57丁目の『Race to the Sky』(空に向かった競争)」と呼ばれている。今後、摩天楼の景色が変わっていくのはもちろんのこと、ミリオネアやビリオネアという 『超』富裕層がこの周辺に移り住むため、周辺の店なども劇的に変わっていくだろうと予想される。 日本人がアメリカで不動産を持つことについて、当地で「滝 田不動産」を経営する滝田佳功(よしのり)さんに話を聞くと、「絶対にアメリカで持つべき」と力説。「日本の不動産 は購入した瞬間から目減りしていき、投資家の間では20年も 経つと価値がゼロになるとも言われている。それに対し、目 減りをしないのがアメリカの不動産」と言う。 「20年後には 2倍、3倍にまで膨れ上がるため、投資家は明らかにアメリカへと目が向いている。また両国の税法などを利用し、相続や 税金対策として考えることもできる」。この国で不動産を持 つ利点をこのように語っているように、もし不動産購入を考 えているのなら、アメリカで購入するべきだというのが専門家の見方だ。 さて、気になる「432 Park Avenue」のウェブサイトを見てみると、そこの住民になった気分でパノラマ風 景を確認でき、購入なんて夢のまた夢だとしても充分楽しい。しばしのミリオネア気分に浸るのも良いだろう。 街や風景を変える起爆剤となる同ビルだが、これらの変化を受け付けない住民も中にはいるようだ。周辺住民からは「こんな高過ぎるビルをセントラルパークの近くに建設して、公園内に影を作られるのは困る」という不安や苦情も出ている。 いい意味でも悪い意味でも、このビルがしばらく話題の中心となるのは確かだろう。 (*すべてのデータは、2014年10月現在) > 432 Park Avenue Luxury Apartments…