バカラグラスと茶の湯。真夏のNY、和の隠れ家の特別茶会で涼む

気温30度近く、湿度70度越え。5分も歩くと額に汗がにじみ出る。夏真っ盛りのニューヨーク、今日は日曜日の午後。 17日、マンハッタンのフラットアイアン地区にある、知る人ぞ知る隠れ家的なリトル日本、グローバス和室で特別な茶会が開かれた。 当地で表千家流茶道講師として活動する北澤恵子さんによる「バカラ茶会」。毎月趣向を変え開催しており、今回は北澤さんのコレクションであるバカラ社の涼しげなガラス製品を茶会の「見立て」にしたもの。温かい茶に加え、冷たい茶やスパークリング酒、ちらし寿司や出汁香るソーメン、和菓子などが出た。 見立てという言葉を聞いた時、筆者はなんとなく意味のイメージができたものの、改めて北澤さんに教えてもらったところ、千利休が本来茶の湯の道具でなかった品々を茶道具として取り込んできたもの、それが「見立て」。見立てを取り入れることで、茶の湯の世界に新鮮さや趣が加わるという。バカラはフランス発なので、この茶会は日本とフランスのコラボとなる。 茶はNY発のティーブランド、Sorate(ソラテ)から提供された宇治茶。 ソラテ(イタリア語で落ち着く、クールダウンする、日本語の「空」の意も)とは、イタリア出身のSilvia Mella(シルヴィア・メラ)さんが日本でその美味しさと出合い健康にも良い抹茶をアメリカの人々にもっと広めたいと、2020年に当地で創業したスタートアップ。現在は米国内の飲食店などに、抹茶を卸している。 北澤さんによると、普段はもっと参加者は多いが、夏の時期はバカンスでゲストが少なめだと言う。それでもこの日は12人がゲストとして参加。日本人はもちろん、アメリカ、イタリア、香港、中国出身者が、茶の世界を楽しんだ。 着物を着て参加した日本人女性は、昨年駐在でニューヨークに来たばかり。海外で日本人としてのアイデンティティが芽生えたようで、「まさか自分が、ニューヨークで着物やお茶の世界に目覚めるとは思わなかった」と語る。 筆者も当地に住んで20年。最近その傾向が強いので、この気持ちは非常にわかる。 「日本文化が大好きな娘が参加しようと誘ってくれた。こんな経験、生まれて初めて。お茶も食事も美味しく、日本を旅したような気持ちになり、素晴らしい体験だった」 ニュージャージーから初参加したヴィクトリア親子は、帰り際このように感想を語った。イベントに母を誘った娘は特に緑茶と和菓子が好きだといい、着物も2枚持っているそう。「和室と聞いて1室をリノベしたのかと思ったら、ストリートからこのビルに入って、最上階のアパート全体がまさかこんな和の空間になっていたとは!細部まで抜かりがないのもすごい」と会場への驚きも隠せない。東日本大震災と新型コロナでいまだタイミングが合わない日本旅行を早く実現させたいと、まだ見ぬはるか彼方の国へ思いを馳せた。 普段は2歳児の子育て中だと言う別の日本人女性は、この日着物を着てこのような会に参加できたことに感謝の意を述べた。 外の世界や普段の生活が「動」だとしたら、この茶会はまさに「静」。この非日常空間での茶会体験は、筆者にとっても多忙な日々のスパイスとして映った。日々忙しないニューヨークをサバイヴする私たちには、時々こんな「贅沢な時間」が必要なのだ。 Text and photos by Kasumi Abe (ブログより一部転載)無断転載禁止

西洋で愛されるKimono ── メトロポリタン美術館で着物展(着物好きはボヘミアン・ラプソディのフレディだけじゃない)

2018年の大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、主役のフレディが着物をバスローブのように羽織っているシーンがある。日本人にとっては今でも印象に残っている1コマなのではないだろうか。 筆者にとってもあのシーンは印象的だった。イギリスが舞台の映画で主役がまさか着物姿で登場するなんて予想だにしなかったことで、突然映し出された着物(筆者には古典的な柄の長襦袢のようにも見えた)に度肝を抜かれたのだった。 欧米では、着物や浴衣(のようなもの)が日常生活のちょっとしたシーンで取り入れられることがある。筆者が住むアメリカ・ニューヨークでも、T字型の薄手の上着は「キモノ・カーディガン」として人気があり、5、6年ほど前から若い女性が羽織ってヒラヒラさせながら颯爽と歩いている光景をたまに見かけることがある。丈の長さはまちまちで、短いものもあれば、膝丈ほどの長さのものも。 おうち時間でもキモノ・ガウンやキモノ・ローブは、朝や夜のリラックスタイムに愛用されている。キモノはもはやファッションの一部なのだ。 ただそれは今に始まったことではない。着物はこれまでも長い歴史の中で西洋のガーメント(衣類、衣装、服飾)に影響を与え、着物自体も西洋のガーメントから影響を受け進化してきた。 筆者が先日話を聞いたドイツ在住の衣装の歴史研究家、スプリー金魚氏によると、着物がヨーロッパに初めて到着したのは17世紀ということだ。贈り物として100枚ほどが持ち込まれ、現地の人は初めて見る神秘的な東洋の被服に魅了されたという。 関連記事 和洋混淆のフリースタイル:ドイツ人着付師が提言する着物の新たな可能性 これまでいかに和と洋の双方の服飾文化が、刺激を与えながらインスパイアし合って進化し続けてきたか、その歴史が一目でわかる展示イベント、Kimono Style(キモノスタイル)が今月7日、ニューヨークのメトロポリタン美術館(通称The MET、メット)で始まった。 キュレーションを担当したのは、日本美術のアソシエイト・キュレーター、モニカ・ビンチク(Monika Bincsik)さん。モニカさんは、日本芸術のコレクターであるThe John C. Weber Collectionから、江戸時代の1615~1868年から20世紀初頭にかけての歴史的な着物、着物に影響を受けた西洋のガーメント(被服)、Kawaii文化やコミックアートを取り入れた最新のものまで60点を選りすぐり、紹介している。 モニカさんが「東洋と西洋の初期の交流の証」と説明するのは、18世紀のイギリス版バニヤン(室内着)。着物やトルコのローブなどに影響を受けたこのT字型の衣服は「自由な発想と世界観を象徴するもの」として、当時ヨーロッパの知識人の間で注目され、リラックスするためのカジュアル着として愛用されたそうだ。 鎖国が終わり、江戸時代後期の19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本とヨーロッパ双方の貿易は活発化していった。それに伴い、着物は西洋のファッションデザイナーによって広く研究されたという。 日本にも海外のファッションは大きな影響を与えたようだ。当時呉服店だった高島屋や、絹製品専門の椎野正兵衛商店など最先端のアパレルやテキスタイル業界は、ヨーロッパのアパレルやシルク業界と活発に交流しはじめた。ヨーロッパ市場を見据えて作られたイブニングコートやドレッシングガウンには、ラインや柄などの細部に、和と洋(一部中国)のエッセンスが入り混じっている。1873年のウィーン万国博覧会にも出品され、ヨーロッパの人々を魅了したという。 1920年代から30年代にかけてのアメリカでは、リラックス着としてビーチパジャマが大流行した。ヨーロッパのファッション誌にも掲載され、日本でも紹介された。抽象的な幾何学的モチーフは(左の夏物の着物のように)着物のデザイナーにも影響を与えたようだ。今見てもおしゃれ。 「西洋のデコルテ見せ」は、衣紋を抜いてうなじを見せる文化の日本人には、当時「最先端の魅せ方」として紹介された。さぞや大きな衝撃を与えただろう。 20世紀初頭の大正ロマンの時代、日本の知識層のみならず、庶民の間にも西洋のファッションセンスや美的感覚が大きく影響した。 会場には、和と洋がコラボした最新のファッションも展示されている。コム・デ・ギャルソン(川久保玲)が2018年に発表した、Kawaii文化やコミックアートを取り入れた着物のようなローブ/アンサンブルはインパクト大だった。 奥深い着物の歴史には知られざる西洋文化との融合があり、和と洋の双方が刺激し合ってここまで来た。アメリカでも着物は敬意を持たれていて、日本人が誇るべき民族衣装だ。そんな着物の世界は現地の人に興味深かったようで、筆者が開催日の前日に参加したプレスプレビューでは、多くの記者が熱心にモニカさんの説明に耳を傾け、質問をしていた。 イベントの帰り、マンハッタン在住のフリーランス記者の女性と会場を後にした。その女性は「素晴らしい展示会だった」と、感想を述べるために笑顔で近寄ってきて、このように言った。「父が第二次世界大戦の終戦後、日本から着物を2枚持ち帰ったのよ。子どもながらにその着物を見て、美しさに魅了されたものよ。倉庫のどこかに眠っているから、久しぶりにあの着物をまた見てみたい」。 筆者もこの春日本から持ち帰った母の昔の着物を着て、どこかにお出かけしてみたくなった。 【Information】 KIMONO STYLE(着物スタイル) 会場:メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art) 開催期間:2022年6月7日~2023年2月20日 #MetKimonos NYで注目される着物文化 関連記事 和洋混淆のフリースタイル:ドイツ人着付師が提言する着物の新たな可能性(nippon.com) 欧米で注目される着物 NYで開催の「アフリカ風ハイブリッド着物」展、のぞいてみた キモノ好きニューヨーカーが堪能【世界から】(47NEWS) ニューヨークのメトロポリタン美術館 関連記事 眞子さまNY移住で噂される3つの「就職先候補」ってどんなところ? 現地在住目線でその「魅力」を紹介 Text and some photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

tibiのおしゃれなオフィスを覗いてみた。NYファッションウィーク

ニューヨークの2月はファッションウィーク。今回は、ウォール街にあるtibiのショウルームに新作を見に行ってきました。 tibiと言えば私が好きなブランドで、10年くらい前に買ったドレスは今でもお気に入り。素材もいいのでずっと着られます。 オフィスに入るとまず大プロジェクター室がありました。美術館やギャラリーみたいで、おしゃれ。 ショウルームも(撮影できなかったけど)オフィスも、これぞ「ザ・ニューヨーク」的でおしゃれ。ニューヨークは2月にマスク着用義務が解除されたため、誰もマスクを着けていませんでした(私も取りました)。 案内してくれたスタッフによると、tibiの来秋シーズンのテーマは「ウェスタン」。カウボーイっぽい幅広のデニムジーンズとかディテールが特徴的。 *すべて、掲載許可をいただいて撮影しています。 Text and photos by Kasumi Abe 無断転載禁止

NYで開催「アフリカ風ハイブリッド着物」展 キモノ好きニューヨーカーが堪能

茶道に琴、アニメにゲームなど、伝統的なものからポップカルチャーまでさまざまな日本の文化が、海を越えここ米ニューヨークで人々に親しまれている。日本古来の着物もそうだ。このほど、一風変わった着物の展示イベントが催された。披露された着物は、カラフルなアフリカンパターン(柄)が特徴で、まさに着物の進化系とも呼べるもの。キモノ好きのニューヨーカーが集まり、国境を越えた奥深いキモノの世界を堪能した。(ニューヨーク在住ジャーナリスト、共同通信特約=安部かすみ) ▽会場はNYの茶室  ニューヨークのダウンタウン、フラットアイアン地区で2021年12月3日から6日までの4日間、着物の展示イベント「きものビジョナリーズ(Kimono Visionaries)」が開かれた。会場となったのは、ベンチャー・キャピタリストのスティーブン・グローバスさんが所有する「グローバス和室(Globus Washitsu)」だ。ここはグローバスさんの居住アパートで、元々は一般の建物だが、日本好きが高じて2012年、庭園付きの茶室に大改築した。 期間中、展示された25点の着物や帯はすべて一点物で、南アフリカ出身で現在英国で活動するデザイナー、ティア・オグリさんによって作られた。テキスタイルデザインは、アフリカのエンデベラ(Ndebele)族などに影響を受けたもので、非常に色彩豊かだ。生地にはアフリカを代表するアンカラコットンが使われ、英国およびヨーロッパ諸国でキモノとして仕立てられた。  グローバスさんは、初めてオグリさんの着物を目にしたときをこのように振り返る。「ヴィヴィッドなテキスタイルに即くぎ付けになり、すぐにコンタクトをしました」。デザイナーが日本人かどうかも分からず調べたところ、英国オックスフォードに住んでいることがわかった。英国にはグローバスさんの娘夫妻が住んでいるため家族訪問にかこつけて訪れ、オグリさんに会って直接思いを伝えた。そして「素晴らしいこのミックスカルチャーをニューヨークの茶室で紹介しよう」と、2人は意気投合した。 オグリさんは「以前行われた同様の展示イベントが素晴らしかったので、参加の依頼を受けた時は光栄な気持ちでいっぱいになった」と当時の思いを振り返った。  展示品のキュレーションは、数年前のファッションイベントでグローバスさんが出会ったドイツの着物スタイリストで着付師、衣装の歴史研究家のスプリーキンギョ(SpreeKingyo)さんに依頼した。スプリーキンギョさんのセンスにより、展示された着物はハイヒールやブーツから博多織の帯などまで、さまざまなアクセサリーと共に、先鋭的にコーディネートされた。 ▽着物好きの在英デザイナー  オグリさんは、もともとアニメ『イタズラなKiss』やNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』などを見て日本文化に魅了され、徐々に着物のミートアップにも参加するようになっていった。今ではちょっとしたお出かけの際や結婚式などで着物をまとう生活を送っている。  おそらく多くの日本人以上に着物が身近なものとして存在するオグリさん。本国日本で進む着物離れについて、「西洋化が世界中の文化と伝統を破壊している」と危惧する。また、ファストファッション人気に押されつつある現代のアパレル、ファッション界と比較しつつ、「1枚で複数のスタイリングが可能になる着物は、よりサステイナブルな衣類」だとも表現。「ただし、『着物警察』の存在や文化の盗用だと叫ぶ輩も存在する。それらの声に悩まされないためにも、何より自信を持って着る必要があると感じている」と独自の見解を語った。 ▽ニューヨーカーを魅了  期間中は、多くのニューヨーカーが着物姿で来場した。中には、着物を洋服のようにまとっておしゃれを楽しんでいる人もいた。  子どもの頃に見た黒澤明監督の映画をきっかけに空手や禅などに目覚めていったエイジャ・ウォルフさんもこの日は、アレンジした浴衣に帽子とタートルネック、革の帯とベルトを合わせたコーディネートでイベントを楽しんだ。着物や浴衣を30着所有し、普段から着物でイベントに行くことが多いという。「私にとって着物は伝統的な『衣装』としてだけではなく、着る『服』という存在です。ですからこの展示も着物自体が(着る服として)生き生きと見えました」と語った。 同イベントの展示品は当地のKaede Kimonosで販売中。一点物のため、売り切れ次第販売は終了となる。 Text and photos by Kasumi Abe (Kyodo 47 Newsより一部転載)無断転載禁止

海を越え愛され続けるNYの「リトル日本」。思わず息を呑む「ホリデー仕様の絶景」に地元民の反応は

ニューヨークのブルックリン区にあるブルックリン植物園(Brooklyn Botanic Garden)。52エーカー(約21万平方メートル)の広大な敷地には、在住者なら誰もが知る「日本庭園」(Japanese Hill-and-Pond Garden)が併設されている。 この植物園が桜の名所でもあることから毎年春になると「桜祭り」(Sakura Maturi)が開かれ、日本のポップカルチャーファンが着物やコスプレ姿で集まる。ここはいわばニューヨークの「リトル日本」であり、在住日本人にとって心のオアシスのような存在だ。 当地の長く厳しい冬季は、植物が枯れてしまい、日本庭園も注目を集めることはそれほどない。しかし今年は、同植物園で光と音楽の装飾イベント「Lightscape at Brooklyn Botanic Garden」がホリデーシーズンの11月19日から来年1月9日まで開催されている。 日暮れと共に園内の明かりが灯りはじめ、周辺の植物やオブジェが煌びやかにライトアップされ、いつもとは違った顔を見せている。春と秋には桜や紅葉で彩られる日本庭園も、期間中はホリデー仕様だ。 106歳、NYの日本庭園 Japanese Hill-and-Pond Gardenは、アメリカに現存する中でも歴史が長くもっとも人々が足を運ぶ日本庭園の1つとされている。1907年に渡米した造園家の塩田武雄氏が手がけ、1915年に開園した。同植物園によると、当時日本式の庭園が流行し、美術館やホテル、裕福な人々の住宅の庭などに、その美的センスが取り入れられたという。 これまで火事が発生したり、第二次世界大戦下で一時閉鎖されたりするなど苦難の時期もあったが、戦後は日系アメリカ人の庭師、フランク・オカムラ氏が庭園の修復や手入れをし、1世紀以上経った今も地元の人々に愛され続けている。 この日本庭園もホリデーライティング用にお色直しをされているわけだが、神社、鳥居、橋、石灯篭などに装飾が施されている訳ではない。これは植物園サイドからの日本文化に対する最大の敬意であろう。煌びやかにライトアップされているのは周囲の樹木や歩道、池などで、それらのイルミネーションが朱色の鳥居をダイナミックに魅せている。特に夕暮れ時は、夕日のバックグラウンドと相俟って思わず息を呑むほど美しい。来園者の多くがまずここで歩を止め、幻想的な景色に見入っていた。 イルミネーションを見るために訪れた近所に住む女性は、「毎年春の時期に日本の祭りを楽しみに来園するけど、今の時期にこのような神秘的な日本庭園を見たのは初めて」と、うっとりしながらケータイで写真を撮っていた。日本を訪れたことがあるという男性は「ニューヨークにいながらこんな素晴らしい光景を見られるのは嬉しい」と話した。 このホリデーイルミネーションではほかにも、全長1マイル(約1.6キロメートル)の遊歩道に続く10万個以上の電球による光のオブジェやポエムなどを楽しむことができる。 これら枯れ木に「光の花」を咲かせたデザインは国外から地元までさまざまなアーティストや詩人らがクリエートしたもので、イギリスに拠点を置くカルチャークリエイティブ社(Culture Creative)が1つのライトスケープ作品として仕上げた。 植物園の担当者によると、「ライトショーとしてはニューヨーク市内で最大のもの」で、同植物園が行うのも初めての試みだとか。まだコロナ禍の最中だが、巣篭もりしがちなこの季節に「人々に外に出るきっかけとなるような、そしてこれまで当園に足を運ぶことのなかった人々への訴求にもなるような『ワォ』と思わず声を上げる真冬の目玉アトラクションとして計画に3年の年月を費やし、満を辞して今年やっとお披露目が叶いました」。 当地にはほかにも、世界一有名と言われるロックフェラーセンターのクリスマスツリーが今月1日から点灯され、多くの観光客が足を運んでいる。アメリカ最大のイベント、クリスマスを今週に控え、ニューヨークはホリデームードが一層高まっている。 * 筆者が撮影した光と音楽の装飾イベント「Lightscape at Brooklyn Botanic Garden」の動画 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

人気ドラマSATC続編が米で配信!若年層の共感も呼ぶだろうと思う理由(アンド・ジャスト・ライク・ザット)

ニューヨークを舞台に4人の女性とさまざまな恋愛模様を描き、90年代後半から2000年代前半にかけて一世を風靡したドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(Sex and the City、以下SATC)。その続編である『アンド・ジャスト・ライク・ザット(And Just Like That…)』(HBO MAX)が9日、アメリカで配信開始した。 当地在住の筆者も心待ちにしていたこの続編。観た感想は、初回から笑いあり驚きの展開ありで、非常に面白かった。本稿では極力ネタバレにならない程度に紹介していきたい。 (注:まっさらな状態でドラマを観たい人は、ここから下の内容を読まないことをお勧めする) まず、SATCの初回オンエアから約20年以上が経ち、主役(ロンドンに移住したサマンサ以外)の女性3人は年齢を重ね、皆50代半ばになっていた。当然、シワや白髪が自然に出てくるお年頃だ。しかしそれらが気にならないほど、彼女たちは相変わらず人生をそれぞれ謳歌し、輝いている。 SATCを今観ると、ケータイの形やタバコを吸う姿に時代を感じるように、2021年版の今作にも当然、現代的な要素が鏤められている。 まずパンデミックで人々がハグをしなくなったことや、エレベーターのボタンを押すために手袋を着用したりしていることなど、きちんとコロナ禍による「ニューノーマル」が描写されている。 ビッグが「新しい本のネタ?」と質問することから、主役のキャリーは相変わらず書く仕事を続けているようだ。スマホには「VOTED」(投票してきた)のシールが貼られ、コンピュータはMac。さらに、インスタグラムで発信をしたりポッドキャストに出演したりするなど、Z世代やミレニアル世代に負けず劣らずの精力的な活動が見られる。 ほかにジェンダー問題、セクシャルオリエンテーション(性的嗜好)などのLGBTQ関連はよりほかに人種やジェンダー問題、LGBTQ関連はより多様に描かれており、トイレはもちろんオールジェンダートイレ(みんなのトイレ)がデフォルトだ。当地では(特に黒人の)髪型についての言及は御法度など、近年人々に意識が広がりつつある要素も含まれる。 そして何より、ドラマ全体を通して、ミドルエイジ(中年)がずば抜けておしゃれに描かれている。 主人公のキャリーがこの年でマノロブラニクのハイヒールをエレガントに履きこなすなど、ファッションセンス然り、自宅のインテリアセンス然りだ。きっと若年層が見ても、ファッションやインテリア、ひいては主役の女性らの生き方について、「年齢を重ねても彼女たちのように人生を楽しみたい」「生き方のお手本にしたい」という気持ちになること請け合いだ。 また、エピソード2までに「Life is too short」という言葉が2、3度出てくる。「人生は短い、よって今を楽しもう」という意味で、アメリカ人がよく使う言葉だ。続編がスタートしたばかりの現段階で、全体の構成やテーマを語るのは時期尚早だが、ミドルエイジの人々なら誰もが思い悩むこと、孤独感や今後の人生について、また自分の存在意義について、人々に問いかける作品なのかもしれない。 ちなみに、続編の冒頭で出てくるレストランは、ホイットニー美術館の1階にあるホイットニーカフェだ。 以前は映画「素晴らしきかな、人生」でも使われた、ロケ地の常連のアンタイトルドゥという店名で、ハンバーガーが美味しく、筆者のお気に入りでもあった。そんな実在する素敵なスポットが所々に登場するのも、ニューヨーク好きにはたまらない。 日本でもこの冬、U-NEXTにて独占配信される予定ということだ。 関連記事 サラ・ジェシカ・パーカーにも矛先、ミソジニストの視線。(フィガロ) Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

日本ブームは続く!コロナ禍「アニメNYC」にファン大集結。「鬼滅の刃」英語声優登壇、三浦建太郎追悼も

アニメや漫画に代表される日本のポップカルチャーの大祭典、アニメNYC(ANIME NYC)が19〜21日の3日間、ニューヨークのジャヴィッツ・センターで開催され、全米中のアニメや漫画ファンがコスプレ姿で集結した。 今年はコロナ禍での開催ということで、入場するにはワクチン接種証明書とマスク着用が義務付けられたが、例年以上の来場者が訪れ、特に初日の開始時間には入場するのに数時間待ちの列ができた。 当地での「鬼滅の刃(Demon Slayer)」は相変わらずの人気だ。劇場版の声優3人を迎えた20日のトークイベントには、会場に入りきれないほどファンが押し寄せた。 このイベントを楽しみに、そして自らも竈門炭治郎のコスプレ姿で訪れた、ジェンド・カステリオさんは、子どもの頃「NARUTO -ナルト-」を見て育った。「会場の中は、自分の格好がノーマルに見えるほど、多くの人が同じコスチュームを着ていてびっくりしました」と嬉しそうに語った。 「昨年はイベントが中止となりとても残念だったが、今年はその分楽しみます」と言うのは、「ブルーアーカイブ(Blue Archive)」のシロコのコスプレ姿のリチャードさん。2年ぶりに有観客で行われたこのイベントを、誰よりも心待ちにしてきた。 来場者に「一番好きなアニメや漫画作品」を聞くと、即答で「ベルセルク(Berserk)」「NARUTO -ナルト-」「モブサイコ100(Mob Psycho100)」という答えが多く返ってきた。 会場内にはベルセルクの作家で、今年5月に54歳の若さで亡くなった三浦建太郎氏の追悼コーナーも設けられ、多くのファンが悲しみのメッセージを寄せた。 ほかにも来場者に話を聞くと、好きなアニメや漫画として、「鬼滅の刃(Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba)」「天空の城ラピュタ(Laputa Castle in the Sky)」「ノラガミ(Noragami)」「魔入りました!入間くん(Welcome to Demon School! Iruma-kun)」「シリアルエクスペリメンツレイン(Serial Experiments Lain)」「ハンター×ハンター(Hunter x Hunter)」「ビースターズ(BEASTARS)」など、さまざまな作品の名も上がった。 期間中、アニメ監督の荒牧伸志氏のパネルディスカッションとサイン抽選会、漫画家やイラストレーターのブース、ビデオゲームから百人一首までさまざまなゲームができるブース、カレーや弁当などの日本食販売コーナーも好評だった。 (動画もアップしました) Text and photo by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

アンディ・ウォーホルのあまり知られていない話。レベレーション=隠してきたものとは?Andy Warhol: Revelation

アンディ・ウォーホルと言えば、マリリン・モンローやキャンベルのスープ缶のシルククリーン画を、きっと誰もが思い浮かべるだろう。 だが、この企画展にはそれらの代表作はない。 あるのは、宗教画のマリア様、十字架、最後の晩餐(The Last Supper)、スケルトン、母ジュリアの肖像画など。ポップアートの巨匠としてはあまりこれまで目にしなかったものだ。 この企画展を訪れるまで知らなかったけど、彼の両親は敬虔なビザンチンカトリック教徒(byzantine catholic)で、今でいうスロバキアから20世紀初頭にアメリカに渡ってきた労働者階級の移民一家だった(アンディはペンシルベニア生まれ)。経済的に決して豊かではなく、また移民として言葉もわからないから肩身の狭い生活だったが、家族(特に母親)は彼の才能に着眼し、アート活動を支援した。 アンディは、ニューヨークでアーティスト活動を本格化させるにあたり、本名(アンドリュー・ウォーホラ、Andrew Warhola)を短くして名乗り、移民の労働者階級出身であることを隠した。 生涯にわたって自身も教会に通ったが、実は彼はゲイだった。 ニューヨークでは、カトリック教とは相反する、今でいうLGBTQの交友(セックス、ドラッグ、ロックンロールの)関係も広がっていった。 これもちろん現代の話ではなく、1928年生まれで、50年代以降にアメリカで花開いた芸術家の話。(アンディがもしまだ生きていたら93歳) 当時のニューヨークといえど、ジェンダーアイデンティティ(Gender identity)とかLGBTQとかの言葉がない時代ですから、芸術家として、一人の人間としてこの国で生きていく中で、時に本当の自分を隠し、偽り、愛する母親を傷つけたくないがための葛藤や苦悩があったことだろう。私の想像を絶するものだが、それをバネに彼は時代を超越し、死後も愛される偉大なアーティストに大成した。 どんな天才だって、どんなセレブだって、人に言えないことあるよね、ウンウン。そのほうが人間らしくていいわ。 企画展は11/19からいよいよスタート。来年6/19まで開催。 #WarholRevelation Andy Warhol: Revelation(アンディ・ウォーホル:レベレーション展) 11/19, 2021~6/19, 2022 Brooklyn Museum200 Eastern Pkwy, Brooklyn, NY 11238 Text and photos by Kasumi Abe 安部かすみ 無断転載禁止