年末年始限定バロック様式のバーレスク「くるみ割り人形ルージュ」が復活。1月まで

クリスマスシーズンの定番と言えば、チャイコフスキーの最後のバレエ音楽『くるみ割り人形』。 ブルックリン、ブッシュウィックの知る人ぞ知る「Company XIV(カンパニー・エックス・アイ・ヴィー)」は、この名作バレエをムーランルージュの世界に焼き直し、バーレスク「Nutcracker Rouge(ナットクラッカー・ルージュ、くるみ割り人形ルージュ)」として復活させている。 今まで見たこともないバレエ 華やかで心温まる名バレエが、官能的で退廃的なホリデーショーとして120分に凝縮。オリジナルのバレエに加え、シャンテューズ、キャバレー、クラシック、サーカス、ロック、カウントリー・・・さまざまな要素が入り混じり、あなたを驚きの渦に巻き込む。 「爽快」(ニューヨークタイムズ)、「完璧なホットデート」(タイムアウトNY)、「最高のホリデー・オマージュ」(ハフポスト)と米主要メディアに評された「ナットクラッカー・ルージュ」。2010年に初お披露目をし、今年は12回目のシーズンとなる。 今シーズンは、2022年秋から2023年1月29日までの14週間のみ、期間限定で上演中。 私も週末に観に行きましたが、くるみ割り人形のまったく新しい世界で、あっという間の120分。最後はスタンディングオベーションの嵐、でした!流行の発信地、ブルックリンのブッシュウィックという土地柄、観客は若い人が多いけど、60、70代くらいのカップルもちらほら。 大晦日には特別公演も 年越しパーティーに、年末年始のデートや女子会にもぴったりのショー。 今年の大晦日には、ウェルカムカクテル、オードブル、年越しの乾杯、出演者とのアフターパーティーが含まれる特別公演も予定されている。この特別公演のスタンディングルームは125ドルから、シングルシート195 ドル、2人用の「シャンパンカウチ」745ドル。2022年12月31日の10PMから。 (大晦日特別公演の詳細はこちら) Nutcracker Rouge(ナットクラッカー・ルージュ、くるみ割り人形ルージュ) 会場 Théâtre XIV(シアター・エックス・アイ・ヴィー) 383 Troutman St, Brooklyn, NY 11237 入場料 1人95ドルより。 パトロンは予約時「Champagne Upgrade(シャンパン・アップグレード)」を選ぶこともできる。 シャンパン・カクテルは予約時に「シャンパン・アップグレード」にすると+40ドルで追加可 2人がゆっくり座れる「シャンパン・カウチ」は395ドルより(ハーフボトルのシャンパン付き)。 問い合わせ Company XIV(カンパニー・エックス・アイ・ヴィー) Text and photos by Kasumi Abe 無断転載禁止

第49回NYのヴィレッジ・ハロウィンパレード in 2022

歴史あるニューヨークのハロウィンパレード。49年目を数える今年の様子を写真でお届けします。 今年もニューヨークで安全にパレードが開かれたのはニューヨーク市警(NYPD)のおかげ。パレードで行進し市民と触れ合うNYPD警察本部長、キーチャント・スウェル(Police Commissioner, Keechant L. Sewell)氏。 The 49th Annual New York’s Village Halloween Parade Monday, October 31, 2022 at 7 p.m (ビデオも近日投稿予定) Text and photos by Kasumi Abe 無断転載禁止

NY秋冬、穴場エンタメ!息を呑む驚きの120分「カクテル・マジック」 10/7いよいよ開演

ブルックリンのブッシュウィックに、知る人ぞ知る穴場的な小劇場があります。 Cocktail Magique Théâtre by Company XIV。今年の秋冬一押しの新作ショーが、いよいよ10/7にスタートします。 「えーーーまさかー」「なぜ!!?!?」驚きの連続のイルージョン 過去に『シンデレラ』など数々のヒット作を披露してきたブルックリンのCompany XIV。 彼らの満を辞した新作『Cocktail Magique(カクテル・マジック)』は、簡単に言ってしまえばバーレスクとイルージョン(マジック、手品のより手の込んだもの)、なのですが、これがかなり手が込んでてハイスペック。 マジックと言ってもイルージョン的な技法が使われ、ほかにもシャンテューズ、キャバレー、サーカス、そして占い・・・さまざまな要素が入り混じる、ドラマあり笑いありの抱腹絶倒、総合エンタメです。 120分間、驚きの連続で、周りの観客から驚嘆の雄叫びが上がる、上がる! 私もずっと目が点になり、口もずっとあんぐり開いたまま・・・次から次に披露されるマジックに見とれて、楽しい時間はアッという間に過ぎました。 キャストは皆さん才能あるテクニシャンばかりですが、特にメインマジシャンのSam Urdangさんの技術は必見モノ。 来場者の1人からお札(この日は$100札)を提示してもらい、それに名前を書いて口に入れ、食べてしまった(!)はずなのに、客にカクテルシェイカーを振らせ、開けてみたら・・・!?!?(当日のお楽しみ) 別の来場者が会場中に見えるように水のグラスを頭上に持ち上げたまま、キャストがステージでレモンを絞ったら、なぜかその水の入ったグラスの味が変わっていたり!!(なぜ?) 2人の来場者がその場でカクテルに名前を付けて、ルーレットで当てた封筒を開けたら、今名付けられたばかりのカクテルの名前がそこに書かれてあったり!!!(なぜー?) ・・・と、文章で説明しても、おそらくこの驚きは伝わらないと思うので、ぜひ観てください!後悔はさせません。 次から次に出てくるカクテルテイスティング。“絶品”スイーツも食べずに帰ることなかれ! ちなみに「カクテル・マジック」というだけあって、さまざまなおしゃれカクテルやらシャンパンやらが何杯(!)も「上から、中から(?)・・・」とドンドン出てきます笑。 この手のショーって通常、客もホロ酔いだから、なおさら盛り上がるというのもあるんだけど、お酒を飲まない(もちろんシラフの)この私でさえ、手品のトリックをまったく見破ることはできませんでしたー。 ショウに加えて、もう1つ、私が感動したのは軽食の最後に出てくる、このフライドチキン! これただのフライドチキンじゃないんです。 フライドチキン・アイスクリームというものでした! 外側カリカリ、まるでフライドチキンなんだけど、食べるとアイスクリーム。 これは20年住んでいるけど初めて食べた。こちらも感動〜。 一般公開はいよいよ10/7からです。ホリデーシーズンのマストショー。 会場は62席とアットホーム。日本での上演予定をお聞きしたところ「予定なし」とのことだったので、観光でNYを訪れる際もぜひ。ラブラブシートもあるのでデートや女子会にもおすすめ。 Cocktail Magique Théâtre by Company XIV カクテル・マジック・シアター・バイ・カンパニーフォーティーン 会場 Cocktail Magique Théâtre 17 Wyckoff Avenue, Brooklyn, NY 11237 入場料 チケットは145ドルより(カクテルと軽食付き) Text and photos by Kasumi…

入り口に金箔の新彫刻がお目見え ── NYのメトロポリタン美術館

ニューヨークのメトロポリタン美術館(The MET)の外観に、このほど新しい彫刻が設置されました。 設置場所は、正面玄関入り口横です。隣には、現在開催中の着物展「Kimono Style」の大きな垂れ幕も。 外観、しかも正面玄関と言えば、美術館の「顔」とも呼べる場所。そんな場所に新たな彫刻作品を設置するThe Facade Commissionシリーズの第三弾。 勝利やパワーの象徴であるトロフィー型の金箔の作品で、英国の彫刻家で南米ガイアナにもルーツを持つ、ヒュー・ロック(Hew Locke)氏によるもの。 設置は今日から2023年の5月23日まで。 Info メトロポリタン美術館 1000 Fifth Avenue, New York, NY 10028, U.S.A. The Facade Commission: Hew Locke, Gilt 筆者によるメトロポリタンミュージアム関連記事 Text and photos by Kasumi Abe (ブログ記事より一部転載)無断転載禁止

日本の人気3ブランド、ブルックリンへ ── 「50 Norman」9/16オープン

日本の人気3店が集まった「50 Norman」(50ノーマン)が、ニューヨークのブルックリン(グリーンポイント)に9月16日オープンします。 3店はこちら CIBONE (シボネ) ハイセンスなライフスタイル雑貨 職人が1つ1つ手作りした、ハイセンスなうつわや生活雑貨など。日本のモノづくりの質の高さが感じられる品ぞろえ。(アーティストはローテーションで変わる) DASHI OKUME(出汁尾粂) 無添加のだし 1871年日本橋で創業の水産仲卸店。スープや煮物、味噌汁、パスタなどに使える乾きもの(すべて日本産)は量り売り。トマトと玉ねぎを試食させていただきましたが、噛みごたえあって良いおだしが出そうでした。だしや日本の調味料は、隠し味として高級店のシェフによく使われるようになりました。この裏技、今後一般の消費者にも浸透していきそうです。オーナーさん曰く、今後はテーブル席で定食を出す予定。「そのうち角打ちもしたい」とも仰っていました。 HOUSE(ハウス) ジャパニーズ・フレンチのレストラン 2007年西麻布にオープン以来新スタイルのフランス料理を提供する店。ブルックリン店は8席のカウンターのみで、日本のエッセンスが入ったフレンチのコース料理を160ドルで提供予定ということです。 Info 50 Norman 50 Norman Ave., Brooklyn, NY 11222 U.S.A. (写真をもっと見る) #Greenpoint Text and photos by Kasumi Abe (こちらより一部転載)無断転載禁止

日本初「体験型ゴッホ展」仕掛け人の「こだわり」とは。新作「クリムト展」NYでスタート

世界各地で注目の没入型アート 埼玉で「ゴッホ」展 ゴッホの歴史的な名画を目と耳で鑑賞する、日本初の360度体験型デジタルアート展「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」が、今年6月18日から11月27日まで開催中だ。 会場は、埼玉県所沢市の角川武蔵野ミュージアム。 最新テクノロジーを駆使して作られた映像を、会場の壁や床、柱など360度に投影し、音楽と共に披露されるこのインスタレーションは、イマーシブアート(没入型アート)とも呼ばれ、世界各地で注目されている。 展覧会は現在、日本のみならずパリ、アムステルダム、ソウル、ドバイなど世界各地で開催中だ。 筆者も「体験」したことがあるが、作品は目と耳の両方で感じ、映像は会場全体に(自分の足元の床まで)投影され、アート展というより「ショー」というニュアンスの方が近いと感じた。 見る角度によって作品の見え方がまったく異なるため、歩きながら鑑賞するも良し、ただ座って作品に没入するも良し。自分の好みで楽しめる。 NYでは最新「クリムト」展も グスタフ・クリムトの作品をテーマにしたイマーシブアートの最新作「ゴールド・イン・モーション(Gold in Motion)」もこのほど完成した。こちらはニューヨークで現地時間9月14日から、約10ヵ月間の予定で開催される。 会場は1912年に建てられたランドマーク的な高層ビルで、最新のデジタルアートセンターとして生まれ変わったばかりのホール・デ・ルミエール(Hall des Lumieres)。ここは、旧・移民産業貯蓄銀行(Emigrant Industrial Savings Bank)で、分厚い扉の金庫室までも展示室としてそのまま残されている。最先端のイマーシブアートと20世紀初頭の歴史的建造物が見事に融合している。 GUSTAV KLIMT: GOLD IN MOTION | NYC 世界中で開催されているこのイマーシブアート。その仕掛け人は、イタリア人クリエイティブ・ディレクターのジャンフランコ・イアヌッツィ(Gianfranco Iannuzzi)氏。クリムト展でニューヨークに滞在中、話を聞くことができた。 ベニス出身で、仕事で世界中を行き来している以外は、パリをベースに活動するイアヌッツィ氏。イマーシブアートを手がけて8年、アート業界では32年のベテランだ。 そんな最先端のアートシーンを牽引する彼に、作品作りにおいて絶対に譲れないものを聞いた。 まずは場所の選定だ。 プロジェクトの準備に1年かけ、その初期段階で会場選びのため現地に飛び、実際に自分の目で確かめるという。 「これは自分にとって重要な作業です。イマーシブアートはバーチャル体験ではなくフィジカル体験だから、どの街のどのような会場で行うか、自分で確認することはとても大切です」 世界中で展開している作品だが、どれ一つとて同じものはないと言う。 「今日本で開かれているゴッホ展も、昨年ニューヨークで見せた作品とは違います。会場の特性に合わせ、新たな作品として一から作り変えています」 自ら趣き、会場内を歩く。自分の五感で確かめ、瞑想をして心を落ち着かせ、そこから得たインスピレーションを作品に取り込む。 映像と共に流す音楽選びも、自ら行う。 「音楽は体験型アートの大切な要素です。同じヴィジュアルでも、感情を喚起する音楽次第でまったく違う作品として映るからです。自分で音楽も手がけると、イメージや動画、すべての要素を自分の頭の中でつなげる作業ができます」 もう一つ譲れないこと。それは初期段階でインスピレーションを得るために、また実際に作品に使うために、会場や素材写真を自ら撮影するということだ。すべての創作はそこから始まる。クリエイティブ・ディレクターといえば現場の総監督といった立ち位置だが、自らがやることが自分にとって大切なのだと言う。そのような地道な作業をアシスタントに任せない理由は、 「自分が欲しいものは自分が一番知っているし、誰かに説明してやってもらうより自分がやった方が早いのです」 自分でやるという姿勢を貫いているのは、ほかにも訳がある。「どういう作品にしていくのか?ストーリー仕立ては?それらを考える時、誰かに頼んでいたらアイデアなど出てきません。想像力が掻き立てらるのは、いつも自分で動いてみた『後』なのです」 一言一句に地位や経験値に甘んじることのないプロ意識と「職人」としてこだわりが垣間見えた。 撮影で使い分けているカメラは、キヤノン、ニコン、パナソニック。日本が好きで、今年5月も仕事で訪れたばかりだ。「今ゴッホ展が行われている角川武蔵野ミュージアムは、とてもモダンで特別な場所です。10万人もの来場者がすでにあったと聞いてとても嬉しい気持ちです。日本での次回作はおそらく来年、東京やその近郊で行う予定です。ゴッホ展、そして次回作もどうぞお楽しみください」。 補足 Interview, text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

有名アパレルのSNSが炎上!「多様化」目指す米でも批判を免れなかった体型イメージ

米アパレル、Abercrombie & Fitch(アバクロンビー・アンド・フィッチ)がソーシャルメディアに投稿したあるイメージが、大炎上した。 ニューヨークで1892年に創業した同ブランドは、主に白人の大学生を中心に人気がある。歴史が長く若年層に大きな影響力を持つ有名ブランドが、あるモデルを採用してイメージ広告を作成し、先週公式インスタグラムに投稿したところ、週末にかけて一気に拡散されたが炎上する騒ぎとなり、同社が投稿を削除した。 火種となったイメージ広告は、プラスサイズの女性にフィーチャーしたものだった。近年、プラスサイズのモデルを積極的に採用するアパレル企業は増えている。しかしこのイメージ広告に対しては、否定的な反応が大多数を占めた。 物議を醸した主な理由は「体型の多様性とインクルージョン(互いの個性を認め合うこと)を口実に、肥満と不健康な食習慣を正当化しようとしていないか?」というものだった。 あるSNSユーザーは「今シーズンの彼ら(アバクロ)は、糖尿病と心臓発作(の原因)にフィーチャーしている」と書き込んだ。また別のユーザーからは「あの写真を見て『あんな姿になりたい、あのショートパンツを注文しよう』と誰が思うのだろうか?」「​​肥満のイメージをセクシーで魅力的なものとしてアピールすることは、不健康そのものではないか」という書き込みもあった。 インスタのイメージ広告の炎上はほかのSNSにも波及した。ある投稿者の「削除したのか?」との質問に、「質問やお問い合わせがある場合はDMを送ってください」と同社。 イメージに対して、擁護派の意見ももちろんあった。ある人は「肥満の人のために服を作ることは、今やそんなに悪いことなのか?」と反対意見を挙げた。 同ブランドはイメージ戦略としてこれまで、鍛え上げられたモデルのような上半身裸の男性スタッフを店頭に立たせるなどし、ルッキズム重視の傾向があった。女性もののXLサイズ以上を販売しなかったことに対して2013年、当時のCEO、マイク・ジェフライズ氏が「自分の店には大柄の人ではなく、細身の美しい人に来てほしい」と発言し、批判の的になったこともある。 これまでアメリカのファッション業界全体でも、伝統的に痩せたモデルが持て囃される傾向が強かった。しかしそのようなカッコ良いとされるイメージが、若者の痩せ願望や非現実的なボディスタイルへの憧れを助長させ、間違ったダイエットや不健康な食生活に誘導しかねないとして、近年、同ブランドやヴィクトリアズ・シークレットなど若年層に人気のブランドは、痩せ過ぎたモデルの採用を避ける傾向にあった。加えて、時代の流れと共にプラスサイズのモデルを積極採用するアパレルも少しずつ増え、体型の多様性がフォーカスされるなどし「価値観」の軌道修正がなされてきた。 ただし同時に、アメリカという国は先進国の中でもっとも肥満率が高いことでも知られる。CDCのデータによると、2017年から2020年3月まで、アメリカの成人の41.9%が肥満とされており、肥満率は年々増加傾向にある。肥満は心臓病、脳卒中、高血圧、糖尿病など生活習慣病の原因にもなり、高い肥満率は社会問題の1つである。よって、ダイバーシティが重視される近年のアメリカにおいても、今回のイメージ広告について「やや行き過ぎ」と見た人が多かったようだ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

バカラグラスと茶の湯。真夏のNY、和の隠れ家の特別茶会で涼む

気温30度近く、湿度70度越え。5分も歩くと額に汗がにじみ出る。夏真っ盛りのニューヨーク、今日は日曜日の午後。 17日、マンハッタンのフラットアイアン地区にある、知る人ぞ知る隠れ家的なリトル日本、グローバス和室で特別な茶会が開かれた。 当地で表千家流茶道講師として活動する北澤恵子さんによる「バカラ茶会」。毎月趣向を変え開催しており、今回は北澤さんのコレクションであるバカラ社の涼しげなガラス製品を茶会の「見立て」にしたもの。温かい茶に加え、冷たい茶やスパークリング酒、ちらし寿司や出汁香るソーメン、和菓子などが出た。 見立てという言葉を聞いた時、筆者はなんとなく意味のイメージができたものの、改めて北澤さんに教えてもらったところ、千利休が本来茶の湯の道具でなかった品々を茶道具として取り込んできたもの、それが「見立て」。見立てを取り入れることで、茶の湯の世界に新鮮さや趣が加わるという。バカラはフランス発なので、この茶会は日本とフランスのコラボとなる。 茶はNY発のティーブランド、Sorate(ソラテ)から提供された宇治茶。 ソラテ(イタリア語で落ち着く、クールダウンする、日本語の「空」の意も)とは、イタリア出身のSilvia Mella(シルヴィア・メラ)さんが日本でその美味しさと出合い健康にも良い抹茶をアメリカの人々にもっと広めたいと、2020年に当地で創業したスタートアップ。現在は米国内の飲食店などに、抹茶を卸している。 北澤さんによると、普段はもっと参加者は多いが、夏の時期はバカンスでゲストが少なめだと言う。それでもこの日は12人がゲストとして参加。日本人はもちろん、アメリカ、イタリア、香港、中国出身者が、茶の世界を楽しんだ。 着物を着て参加した日本人女性は、昨年駐在でニューヨークに来たばかり。海外で日本人としてのアイデンティティが芽生えたようで、「まさか自分が、ニューヨークで着物やお茶の世界に目覚めるとは思わなかった」と語る。 筆者も当地に住んで20年。最近その傾向が強いので、この気持ちは非常にわかる。 「日本文化が大好きな娘が参加しようと誘ってくれた。こんな経験、生まれて初めて。お茶も食事も美味しく、日本を旅したような気持ちになり、素晴らしい体験だった」 ニュージャージーから初参加したヴィクトリア親子は、帰り際このように感想を語った。イベントに母を誘った娘は特に緑茶と和菓子が好きだといい、着物も2枚持っているそう。「和室と聞いて1室をリノベしたのかと思ったら、ストリートからこのビルに入って、最上階のアパート全体がまさかこんな和の空間になっていたとは!細部まで抜かりがないのもすごい」と会場への驚きも隠せない。東日本大震災と新型コロナでいまだタイミングが合わない日本旅行を早く実現させたいと、まだ見ぬはるか彼方の国へ思いを馳せた。 普段は2歳児の子育て中だと言う別の日本人女性は、この日着物を着てこのような会に参加できたことに感謝の意を述べた。 外の世界や普段の生活が「動」だとしたら、この茶会はまさに「静」。この非日常空間での茶会体験は、筆者にとっても多忙な日々のスパイスとして映った。日々忙しないニューヨークをサバイヴする私たちには、時々こんな「贅沢な時間」が必要なのだ。 Text and photos by Kasumi Abe (ブログより一部転載)無断転載禁止

西洋で愛されるKimono ── メトロポリタン美術館で着物展(着物好きはボヘミアン・ラプソディのフレディだけじゃない)

2018年の大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、主役のフレディが着物をバスローブのように羽織っているシーンがある。日本人にとっては今でも印象に残っている1コマなのではないだろうか。 筆者にとってもあのシーンは印象的だった。イギリスが舞台の映画で主役がまさか着物姿で登場するなんて予想だにしなかったことで、突然映し出された着物(筆者には古典的な柄の長襦袢のようにも見えた)に度肝を抜かれたのだった。 欧米では、着物や浴衣(のようなもの)が日常生活のちょっとしたシーンで取り入れられることがある。筆者が住むアメリカ・ニューヨークでも、T字型の薄手の上着は「キモノ・カーディガン」として人気があり、5、6年ほど前から若い女性が羽織ってヒラヒラさせながら颯爽と歩いている光景をたまに見かけることがある。丈の長さはまちまちで、短いものもあれば、膝丈ほどの長さのものも。 おうち時間でもキモノ・ガウンやキモノ・ローブは、朝や夜のリラックスタイムに愛用されている。キモノはもはやファッションの一部なのだ。 ただそれは今に始まったことではない。着物はこれまでも長い歴史の中で西洋のガーメント(衣類、衣装、服飾)に影響を与え、着物自体も西洋のガーメントから影響を受け進化してきた。 筆者が先日話を聞いたドイツ在住の衣装の歴史研究家、スプリー金魚氏によると、着物がヨーロッパに初めて到着したのは17世紀ということだ。贈り物として100枚ほどが持ち込まれ、現地の人は初めて見る神秘的な東洋の被服に魅了されたという。 関連記事 和洋混淆のフリースタイル:ドイツ人着付師が提言する着物の新たな可能性 これまでいかに和と洋の双方の服飾文化が、刺激を与えながらインスパイアし合って進化し続けてきたか、その歴史が一目でわかる展示イベント、Kimono Style(キモノスタイル)が今月7日、ニューヨークのメトロポリタン美術館(通称The MET、メット)で始まった。 キュレーションを担当したのは、日本美術のアソシエイト・キュレーター、モニカ・ビンチク(Monika Bincsik)さん。モニカさんは、日本芸術のコレクターであるThe John C. Weber Collectionから、江戸時代の1615~1868年から20世紀初頭にかけての歴史的な着物、着物に影響を受けた西洋のガーメント(被服)、Kawaii文化やコミックアートを取り入れた最新のものまで60点を選りすぐり、紹介している。 モニカさんが「東洋と西洋の初期の交流の証」と説明するのは、18世紀のイギリス版バニヤン(室内着)。着物やトルコのローブなどに影響を受けたこのT字型の衣服は「自由な発想と世界観を象徴するもの」として、当時ヨーロッパの知識人の間で注目され、リラックスするためのカジュアル着として愛用されたそうだ。 鎖国が終わり、江戸時代後期の19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本とヨーロッパ双方の貿易は活発化していった。それに伴い、着物は西洋のファッションデザイナーによって広く研究されたという。 日本にも海外のファッションは大きな影響を与えたようだ。当時呉服店だった高島屋や、絹製品専門の椎野正兵衛商店など最先端のアパレルやテキスタイル業界は、ヨーロッパのアパレルやシルク業界と活発に交流しはじめた。ヨーロッパ市場を見据えて作られたイブニングコートやドレッシングガウンには、ラインや柄などの細部に、和と洋(一部中国)のエッセンスが入り混じっている。1873年のウィーン万国博覧会にも出品され、ヨーロッパの人々を魅了したという。 1920年代から30年代にかけてのアメリカでは、リラックス着としてビーチパジャマが大流行した。ヨーロッパのファッション誌にも掲載され、日本でも紹介された。抽象的な幾何学的モチーフは(左の夏物の着物のように)着物のデザイナーにも影響を与えたようだ。今見てもおしゃれ。 「西洋のデコルテ見せ」は、衣紋を抜いてうなじを見せる文化の日本人には、当時「最先端の魅せ方」として紹介された。さぞや大きな衝撃を与えただろう。 20世紀初頭の大正ロマンの時代、日本の知識層のみならず、庶民の間にも西洋のファッションセンスや美的感覚が大きく影響した。 会場には、和と洋がコラボした最新のファッションも展示されている。コム・デ・ギャルソン(川久保玲)が2018年に発表した、Kawaii文化やコミックアートを取り入れた着物のようなローブ/アンサンブルはインパクト大だった。 奥深い着物の歴史には知られざる西洋文化との融合があり、和と洋の双方が刺激し合ってここまで来た。アメリカでも着物は敬意を持たれていて、日本人が誇るべき民族衣装だ。そんな着物の世界は現地の人に興味深かったようで、筆者が開催日の前日に参加したプレスプレビューでは、多くの記者が熱心にモニカさんの説明に耳を傾け、質問をしていた。 イベントの帰り、マンハッタン在住のフリーランス記者の女性と会場を後にした。その女性は「素晴らしい展示会だった」と、感想を述べるために笑顔で近寄ってきて、このように言った。「父が第二次世界大戦の終戦後、日本から着物を2枚持ち帰ったのよ。子どもながらにその着物を見て、美しさに魅了されたものよ。倉庫のどこかに眠っているから、久しぶりにあの着物をまた見てみたい」。 筆者もこの春日本から持ち帰った母の昔の着物を着て、どこかにお出かけしてみたくなった。 【Information】 KIMONO STYLE(着物スタイル) 会場:メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art) 開催期間:2022年6月7日~2023年2月20日 #MetKimonos NYで注目される着物文化 関連記事 和洋混淆のフリースタイル:ドイツ人着付師が提言する着物の新たな可能性(nippon.com) 欧米で注目される着物 NYで開催の「アフリカ風ハイブリッド着物」展、のぞいてみた キモノ好きニューヨーカーが堪能【世界から】(47NEWS) ニューヨークのメトロポリタン美術館 関連記事 眞子さまNY移住で噂される3つの「就職先候補」ってどんなところ? 現地在住目線でその「魅力」を紹介 Text and some photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

tibiのおしゃれなオフィスを覗いてみた。NYファッションウィーク

ニューヨークの2月はファッションウィーク。今回は、ウォール街にあるtibiのショウルームに新作を見に行ってきました。 tibiと言えば私が好きなブランドで、10年くらい前に買ったドレスは今でもお気に入り。素材もいいのでずっと着られます。 オフィスに入るとまず大プロジェクター室がありました。美術館やギャラリーみたいで、おしゃれ。 ショウルームも(撮影できなかったけど)オフィスも、これぞ「ザ・ニューヨーク」的でおしゃれ。ニューヨークは2月にマスク着用義務が解除されたため、誰もマスクを着けていませんでした(私も取りました)。 案内してくれたスタッフによると、tibiの来秋シーズンのテーマは「ウェスタン」。カウボーイっぽい幅広のデニムジーンズとかディテールが特徴的。 *すべて、掲載許可をいただいて撮影しています。 Text and photos by Kasumi Abe 無断転載禁止