「Seven Sins(七つの大罪)」バーレスク版が復活 NYブルックリンの劇場で

Photo: 悪魔を演じるLEXXE。 (c) Alexander Sargent Seven Sins Company XIV グラフィティやミューロ(壁画)だらけ、これぞ「ブルックリンの今」といったブッシュウィック地区。 突如現れる落書きだらけの怪しげな鉄製の重いドアを開けると、中ではモクモクと炊かれたお香のかほりが充満し、足を踏み入れた瞬間から五感を刺激しまくり。 ここは知る人ぞ知る「Company XIV(カンパニー・エックス・アイ・ヴィー)」の本拠地、Théâtre XIV(シアター・エックス・アイ・ヴィー)。 この日の公演は、昨年に続き3月31日から再演されている『Seven Sins(七つの大罪)』。 キリスト教で7つの罪とされる欲望、暴食、強欲、怠惰、憤怒、嫉妬、傲慢── ã“れらの罪、快楽主義への誘惑、そして聖書で記されているアダムとイブが神の言いつけを破り禁断の果実(りんご)に手を出した罪と罰とともに、繰り広げられるストーリー展開。 バロック様式のバーレスク、バレエ、オペラ、キャバレーなどの要素に加え、サーカス、イリュージョン、ボールダンス、アスレチック・エリアル*などの要素もたっぷり。いつもながらにこの劇団の(演出、音響、衣装、照明も含めた)総合的なステージの芸術性の高さには感心することしきり。 果たしてアダムとイブ、そして悪魔はどうなっていくか?ぜひ劇場で、あなたの目で確かめて! Seven Sins(七つの大罪) 会場:Théâtre XIV(シアター・エックス・アイ・ヴィー) 383 Troutman St, Brooklyn, NY 11237 予約&問い合わせ:Company XIV(カンパニー・エックス・アイ・ヴィー) *アスレチック・エリアル(アリエル・ファブリック)とは? ファブリックを軸に空中を自由自在に舞うパフォーマンス 過去記事:こちらも人気 Text and photo by Kasumi Abe (「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

ナチスと戦った不死身の男の物語。映画『SISU』 4/28から全米公開

Photo: (c) SISU この最強の目力よ。 個人的にバイオレンス映画や戦争映画はあまり好きではない。なので期待もほどほどだったが、この作品は自分の想像を超え「息もつかせぬ面白さだった」が率直な感想。 フィンランド映画『SISU(シス)』。 不死身の初老の男、そして土壇場でウーマンパワーを発揮する女たちの物語。 時は1944年の第二次世界大戦中の後期、フィンランドの荒野。 戦争でナチスに家族を殺された孤高の男は、金鉱でついに金塊を見つける。そこにナチスの軍隊が男を無残に殺そうと襲ってくる。だが男はなかなか死なない。 絶体絶命の大ピンチの連続。最後は乗っている飛行機まで墜落の危機に。 ヒヤヒヤしながら「自分だったらこんな状況に追い込まれてどうするかな?」と考えながら観るうちに、映画の世界にどっぷりと引き込まれていった。 陰惨なシーンの連続で、ナチスがどんなことをしてきたかを知りたい人、『ベルセルク』や『北斗の拳』などアクション系が好きな人はおそらくこの映画を気に入るだろう。 戦争映画だが、サウンドや映像美も注目。悲惨で野蛮なシーンの連続に対比したカメラワークと映像の美しさよ。映像を学んでいる学生もこの映画から学ぶことはある。 ニューヨークでの試写会は、マンハッタンのDolby 88で開かれた。野蛮なシーンの連続に声を失う筆者だったが、周りのニューヨーカー(プレスの人たち。映画関係者か?)の「あぁ…」とか「やった!」など思わず声が漏れ(時に笑いも)、そんなリアクションも興味深かった。 日本での公開予定は不明だが、アメリカで好評となれば日本公開も近いのでは。 SISU Only in Theaters on April 28, 2023 主演:ヨルマ・トンミラ(Jorma Tommila) 監督&脚本:ヤルマリ・ヘランダー(Jalmari Helander) プロデューサー:ペトリ・ヨキランタ(Petri Jokiranta) 91分、R指定 Text by Kasumi Abe 無断転載禁止

日系人アーティスト、キョウヘイ・イヌカイ個展。3月17日より

日系人アーティスト、キョウヘイ・イヌカイ(Kyohei Inukai、1913-1985)の展覧会がジャパンソサエティーで開催されます。 生前、ほぼ無名だったシカゴ生まれのイヌカイ。石のように、または炎のように見える抽象的な絵画とスクリーンプリントが3つのエリアに分かれ、展示される。奥の墨絵コーナーはキュレーターにより、まるで日本庭園のように作品が配置され力強くも神秘的。すべて1960年代から80年代にかけての作品。 開催期間:2023å¹´3月17日〜6月25日 * Revised:「犬飼恭平」から「キョウヘイ・イヌカイ」に修正しました。 Text and photo by Kasumi Abe (「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

チェロ&尺八で日本の名曲。ホロコーストから救った日本副領事の功績称え

Photo: © Daphne Youree 14日、ニューヨークのジャパン・ソサエティーで、ある日本人の功績を称えるコンサートが開催された。 その日本人とは、1939年に在リトアニア日本副領事だった杉原千畝(ちうね、1900-1986)氏のことだ。第二次世界大戦中、彼が多くのユダヤ人をホロコーストから救った話はご存知だろうか? 杉原氏はホロコーストの渦中、ナチス・ドイツによって迫害されたユダヤ人にビザを発行し、約6000人の命を救った。 あれから80年以上が経ち2020年、同氏の功績を称えるコンサート「A Concert for Sugihara」がチェリストのクリスティーナ・レイコ・クーパー氏により企画されていた。彼女の夫の父は第二次大戦中、杉原氏が発行したビザで救出された1人だ。しかしコロナ禍でコンサートは延期になり、ようやく今年4月19日にカーネギーホールで「A Concert for Sugihara」が実現する。 A CONCERT FOR SUGIHARA Wednesday, April 19, 2023, 7PM  それに先駆けたこの日、クーパー氏が尺八奏者のザック・ジンガー氏を迎えたミニライブ「An Intimate Prelude to A Concert for Sugihara」では、バッハの『Cello Suite No. 1 in G Major, Prélude』や日本の名曲『荒城の月』などを披露した。 ステージに立ったジンガー氏は「ここにいる皆さんは尺八とは一体何だろうと思うかもしれません。しかし侍映画の風が吹くシーンで聞き覚えがあることでしょう」と紹介し、クーパー氏と共にチェロと尺八という和洋折衷の見事なアンサンブルを披露した。 ステージには、杉原氏に父を救われた国立イディッシュ劇場の芸術監督、ザルメン・ムロテック氏も登場し、同氏に敬意を表した。 杉原氏がビザを発行し出国できた難民は、シベリア鉄道でウラジオストクに到着し、日本や中国へと向かった。その後カナダやアメリカに辿り着き新たな人生をスタートさせた人も多い。杉原氏が救った難民の子孫は、こんにち約4万人と推定されている。 会場に集まったのは地元の人々で多くはユダヤ系の人々だ。何人かと話をしたが、いずれも杉原氏の功績についてはこれまで知らなかったと言い「素晴らしい話だ」「音色に感動した」と話した。 AN INTIMATE PRELUDE TO A CONCERT FOR SUGIHARA ジャパン・ソサエティー&ホロコースト記念館「アメリカン・ソサエティー・フォー・ヤド・ヴァシェム」共催 ### Text and some…

歌川広重『六十余州名所図会』 篠原有司男&乃り子夫妻の姿も@NYロウニンギャラリー

ミッドタウンの高層ビル内に、まるで隠れ家のように佇むRonin Gallery(ロウニンギャラリー)。このギャラリーは木版画にフォーカスし、現在は約140年前の江戸時代、歌川広重が日本全国の名所を描いた浮世絵木版画『六十余州名所図会』を展示中。 ここのオーナーは日本人かと思いきや、David Libertsonさんという方。半世紀前にオープンしたこのギャラリーを家族で運営し、日本をはじめ世界中の版画をコレクト、展示しています。 浮世絵はアメリカで葛飾北斎、歌川広重、そして月岡芳年がマニアの間で有名ですが、この日のオープニングで知り合ったゲストの中にも、月岡芳年の作品を2つも所有しているという金融系の方などがいました。 そして懐かしいお顔も。前衛芸術家の篠原有司男(ギュウチャン)&乃り子夫妻です。 お二人はドキュメンタリー映画『キューティー&ボクサー』(ザッカリー・ハインザーリング監督)でも有名です。 5〜10年前、ダウンタウン(だったかな)すごく広いギャラリーで開かれた夫妻の個展を開催し、そこでお会いしたのが初めてだったかな。その後も別のギャラリーで息子さんも入れて再会したり、ダンボを歩いているのを見かけたり(ギュウチャンの移動が早すぎて声をかけられず…)。でもここ数年、少なくともパンデミック中は見かけなかったので、5〜10年ぶりの再会でしたが、相変わらずお元気で驚きました!(ニューヨークで創作活動をされている人ってなんでこんなにもお若いのでしょう?!) ニューヨークに移ってもう50年になるとのこと。半世紀!年齢はもういいよ〜と初めはおっしゃらなかったけど「91!」とギュウチャン。私が5〜10年前にお会いした時は80代だったから、そのくらいのお年頃になりますよね。でも全然お変わりなく、この日初めて夫妻に会った私の友人も驚いていました。友人が「若さの秘訣はなんですか?」とギュウチャンに尋ねると、アーティストとして裕福にならず現在地にあぐらをかかないことという趣旨のお答えでした。「ハングリー精神ということですか?」と尋ねると「そう」とのこと。いつまでもお元気でいて欲しいです。また会いましょうと言って、別れました。 Ronin Gallery Hiroshige: 60-odd Provinces Opening Reception Text and photos by Kasumi Abe 無断転載禁止

【レビュー】超高齢化の日本に訴えかける。58年の映画『楢山節考』NYで

Photo: © 1958 Shochiku ニューヨークで日本の文化を紹介する「ジャパンソサエティ」では月例で、日本の名作が上映されています。今月の映画は、木下恵介監督の『楢山節考(ならやまぶしこう)』(1958年、原作:深沢七郎)。 同作は、食料不足が続く貧しい村で70歳に達した老人を楢山に遺棄する恐ろしい因習を題材としたもの。慣わしに従い年老いた母を背板に乗せ真冬の楢山へ捨てに行きます。 母はこの年で健康な歯を恥じ岩に打ち付け自傷。山に行きたくないと拒否する村人がいる中、母は自ら進んで「楢山まいり」の日を早めたいと言います。無言で母を背負い山に登っていく、心優しい一人息子。神様がいると言われる山の頂上で見た実際の光景は・・・。 両親が高齢となった人、また自身も数十年後にそのような年代になる人には切ないシーンでした。そして若い世代にとっても他人ごとではありません。人は必ず老い死ぬのですから。 現代日本では人口減少と超高齢社会が深刻化する中、これといった解決策は見出されておらず、対応策について意見が分かれています。しかしいかなる場合であってもネット上で推奨、炎上した集団自決のような結末はあってはなりません。また社会が高齢者をそのような思想に追い込んだり、生きていて恥に思うような風潮は決して許されません。 58年の映画でしたが、現代の日本人にも大いに関わってくる題材でした。 上映室は日本人よりローカルの人が多かったです。所々感嘆の声が上がっていました。アメリカはどのようにこの映画を受け止めたでしょうか。 Text by Kasumi Abe (「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

ロシアのウクライナ侵攻1年 世界のアートシーンでも「脱植民地化」の動き

ロシアのウクライナ侵攻から1年。アメリカではバイデン大統領がキーウを電撃訪問し、軍事支援の継続をゼレンスキー大統領に示したことで、二国間のさらなる結束が報じられた。 両国の死傷者は兵士と民間人で推計32万人超と報道され、未だ戦争終結の見通しは立たず暗いニュースが続く。 開戦から1年経ち、ウクライナから逃れてきた人々の新たな生活は、ここニューヨークでも始まっている。 人種の坩堝と言われる当地には「小さなウクライナ」があるのをご存知だろうか。街を歩けばウクライナ国旗がなびき、ウクライナ料理店(ヴェセルカ)やウクライナ文化の紹介施設(ウクライナ・インスティテュート・オブ・アメリカ)が、移民の心の拠り所となっている。 市内にはウクライナの芸術品を集めた美術館もある。1976年に創立し、47年間の歴史があるウクライナ美術館(ユークレイニアン・ミュージアム)だ。同国の芸術に焦点を当てる美術館としては、同国外にあるもので最大規模とされる。 このウクライナ美術館は20世紀以降の芸術作品に焦点を絞り、約1万点を超える作品をコレクションとして収蔵している。 現在はキーウ出身の写真家、Yelena Yemchukが南部オデーサの陸軍士官学校の少年少女を撮影した「オデーサ」展、そして身体障害があり第一次世界大戦中に孤児となった画家、Nikiforの絵画作品が展示されている。 ピーター・ドロシェンコ(Peter Doroshenko)館長によると、同美術館の来場者はロシア侵攻後に増えており、今では年間2万2000人が訪れる。その多くはウクライナ系でないといい、ロシアによる侵攻後、多くの人が同国へ関心を寄せていることがわかる。 またドロシェンコ氏によると、世界の芸術界では今、新たな動きがあるという。 これまでロシアのアートと表示されていた芸術品の誤った解説パネル(もしくはボーダーレスに分類されていた)が再考され、ウクライナのアートとして修正される作業が始まっているのだ。 「ウクライナは長年ロシア帝国の陰に隠れ、文化や芸術、言語の面でも侵略されました。文学、シアター、シネマ、出版、音楽などの分野で自国のオリジナル性、そして母国語が少しずつ失われていったのです。我々の怠惰がそれを許したのですが」 侵攻から1年を前に行われたパネルディスカッションで、ドロシェンコ氏はコロンビア大学で言語やフィルムを教えるYuri Shevchuk教授ら3人の知識人と登壇し、そのように説明した。 ドロシェンコ氏自身も以前、キーウの美術センターで代表を務めていた時、そこが管理するウェブサイトがロシア語であることに疑問が湧き、ウクライナの母国語や文化面での独立を意識するようになった。 ウクライナが軍事面でロシアに抵抗している今こそ、文化面でもロシアから独立しようとする機運が高まっているという。知識層の間では「Decolonize(脱植民地化)」や「Desovietise(非ソビエト化)」などと呼ばれている動きだ。 例えば(世界三大美術館の一つ)メトロポリタン美術館では、より正確にラベルづけをしようと、アーティスト・プロフィールの精査が進められている。 「実際に、これまでロシア人として分類されていた3人のアーティストがウクライナ人アーティストとして修正されたところです」(ドロシェンコ氏) ウクライナ表記に修正された芸術家は、19世紀に活躍したイヴァン・アイヴァゾフスキー(Ivan Aivazovsky)、アルヒープ・クインジ(Arkhyp Kuindzhi)、イリヤ・レーピン(Ilya Repin)だ。 米誌アートニュース(ARTnews)もこのように伝える。 「例えば、クインジが生まれたロシア帝国の一部は現在ウクライナのマリウポリ市だ。元ロシアのチュフイフ生まれのレーピンも、現在はウクライナのアーティストと見なされている。ロシア帝国の一部だったクリミアのフェオドシヤで生まれたアイヴァゾフスキーについては、2014年のロシアによるクリミア併合後、両国が『自国のアーティスト』と主張し合った(家族はアルメニア人のため、アルメニア国立美術館は彼をアルメニア人と呼んでいる)。しかしアート界の新たな解釈ではアイヴァゾフスキーもロシア人ではなくウクライナ人と見なされている」 この動きは現在世界のアートシーンで起こっている。ロンドンのナショナル・ギャラリーでも、エドガー・ドガの描いた『Russian Dancers』(ロシアの踊り子、1899年)が以前はロシア人ダンサーとされていたが、今はウクライナ人として『Ukrainian Dancers』に変更されているという。 「多様化が進む現代社会では、さまざまな地域や性的マイノリティの人々が自身のアイデンティティを表明している。我がウクライナにとっても戦いが止まず厳しい時期だが、同時に変化の時期でもある。願わくは、このようなアートシーンの動きがほかの文化の分野でも『脱植民地化』の第一歩になれば嬉しい」 登壇者らは未だ終わりが見えない暗闇の中で、ひと滴の希望を示した。 NYとウクライナ関連記事 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

今夏配信の人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』続編が話題。NY撮影地にファン集まる

Photo: キャリーが住んでいたアパートを訪れた、SATCのファン。(c) Kasumi Abe ニューヨークを舞台に、90年代後半から2000年代前半にかけて一世を風靡したドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』(Sex and the City=SATC)。その続編が2021年12月、『And Just Like That…(セックス・アンド・ザ・シティ新章)』として蘇り、日本でも話題になった。 配信元のHBOマックスは昨年3月、『セックス・アンド・ザ・シティ新章』の続編となるシーズン2の制作に入ることを発表していたが、ここにきて続報が入ってきている。 米各紙(エル誌、ヤフー・エンターテインメントなど)の報告によると、シーズン2の配信開始は今年の夏ごろのようだ。そしてドラマの舞台、ニューヨークでの撮影の模様もいくつか伝えられている。 この人気ドラマシリーズの新作を待ちわびているファンの間では、ドラマ撮影地を巡るツアーも好評だ。 撮影地を専用バスで廻る「Sex and the City ホットスポットツアー」には、この日13人が参加した。うち2人は男性で、いずれもドラマは観ていないが連れの女性に誘われて参加したという。残り11人は全員、SATCファン。全米のみならずヨーロッパからの参加者もいた。サラ・ジェシカ・パーカー世代かと思いきや、意外や意外、20代や30代の女性が多かった。 ツアーを主催する「On Location Tours」のツアーガイド、ルー・マシュー(Lou Matthew)さんによると、『セックス・アンド・ザ・シティ新章』の影響もあって、撮影地を巡るツアーは今も多くの参加者から依頼があるという。若い世代がこのドラマに関心を寄せる理由については、母親の影響だと語る。 「『SATC』の熱狂的なファンだった親が娘へその面白さを伝えることで、娘もストリーミングやDVDで昔のドラマをチェックするなど、名作SATCは、親から子へしっかり受け継がれているようです」 ロンドンからニューヨークを旅行中のミラさんは、自身の誕生日に彼にお願いし、このツアーにカップルで参加した。「イギリスでもこのドラマはすごく人気です。ツアーでいろんな撮影スポットを実際に訪れて目にすることができ、それぞれのシーンが当時自分が抱いた感情と共に蘇ってきました」と嬉しそうに語った。 一行は、キャリーが住んでいたダウンタウンのアパート(タウンハウス、冒頭写真)も訪れた。「このビルの所有者は44年前に60万ドル(約7800万円)で購入したものなんですよ」とマシューさんは豆知識も紹介。現在の価格はビルが売りに出されていないため不明だが、「隣のビルが8年前に売りに出されていた時の価格は1800万ドル(約23億円)でした。不動産価格の高騰で現在の価値はさらに高いでしょう」(マシューさん)。 ツアーはこのほかにも、ドラマに登場したトレンディなレストランやバー、カップケーキの店など市内数ヵ所を廻った。 ファンはしばし撮影地を訪れてドラマに思いを馳せながら、新作の到来を首を長くして待っているようだ。 SATC 関連記事 Text and some photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

NYオフブロードウェイ・ミュージカル「Stranger Sings!」3月まで延長上演

週末、オフブロードウェイ・ミュージカル『Stranger Sings!』(ストレンジャー・シングス)を観てきました。 ストーリーは、ネットフリックスで配信されたSFホラードラマシリーズ『Stranger Things!』(ストレンジャー・シングス、邦題『未知の世界』)のパロディおよび劇場版。舞台は1983年のインディアナ州の小さな町。行方不明になった少年を巡って、不思議な超常現象が繰り広げられます。 ファッションや髪型、ローラースケートなど栄光の80年代にタイムスリップし、笑いあり驚きありの楽しいお芝居でした。 天井には古典的なステンドグラスのライト。ステージは真ん中のフロアで、それをぐるっと囲むように観客席が設けられています(正面はまるで自宅リビングのようなソファタイプの椅子も)。四方八方から現れる演者の熱気や息遣いが直に伝わってきて迫力大。 先日観劇した『K-POP』もステージとの目線が近く、観客がステージを囲むという意味では似たような形式だったし、オフブロードウェイはこのように演者と観客との距離感が近いのも良いです。 当初、元日に終演予定だったけど、好評につき8週間延長され、3月5日までの期間限定公演になります。 Text by Kasumi Abe (ノアドット「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

妖艶に腰落とすポーズが全米で話題 お笑い芸人アツコ・オカツカさんって誰?

大谷翔平選手、大坂なおみ選手、BTSなどアメリカでアジア系の人々が話題になる中、エンタメ界ではある女性が大注目されている。 スタンドアップコメディアンのアツコ・オカツカ(Atsuko Okatsuka)さん。アメリカのショウビジネスの表舞台に彗星の如く登場し、頭角を現している。 オカツカさんは昨年、ニューヨークタイムズに「コメディ部門の2022年ベストデビュー」として選ばれた。 最近の話題作は、先月10日にオンエアが開始したHBO MAXオリジナル『Atsuko Okatsuka: The Intruder(ザ・イントゥルーダー)』だ。彼女は、HBOでコメディ番組を持った2人目のアジア系女性となった。 彼女の芸風は、自分のルーツに絡んだネタを笑いにしたものが多い。 ちなみにアメリカのコメディアンは、黒人が黒人を、アジア系がアジア系の特徴を笑いにするなど人種ネタを取り入れることは割と多い。そしてほかの人種がそれを大笑いするのも許される。 オカツカさんもこの国のマイノリティであるアジア系を逆手に取り、「親は自分にアツコ・オカツカと(アメリカでは聞きなれない名前を)つけたのに、自分たちの名前は英語名なんだよね。ご丁寧にありがとう、母さん」と自虐ネタを披露し、会場は大爆笑。「食べろ、食べろ」と年配のアジア系の人がよく言うセリフを使ったネタも、面白おかしく披露している。 彼女はちょうど1年前、ビヨンセの曲『パーティション』と共に艶めかしく腰を下ろすドロップチャレンジ(Drop Challenge)を披露し、ソーシャルメディア上で瞬く間に広がった。俳優のテリー・クルーズやテニスのセリーナ・ウィリアムズ選手などセレブが次々に真似をし、さらに話題となった。 つい最近、CBS局の人気番組『ザ・レイトショー・ウィズ・スティーヴン・コルベア』にもフィーチャーされ、ドロップチャレンジのことを話している。この番組のゲストにブッキングされることがどれほどすごいかは、ここ1、2ヵ月でゲスト出演したヘンリー王子や大坂なおみさんなどの錚々たる名前を見ればわかる。過去に近藤麻理恵(こんまり)さんも出演している。 アツコ・オカツカさんは日本にルーツを持つ日系人? 彼女の英語を聞く限り100%アメリカ人だが、名前は100%日本人だ。 彼女のルーツについて、ウィキペディアには「日本人と台湾人のハーフで、台湾で生まれ日本で10歳まで育ち、母親と祖母とアメリカに移住した」とある。自身も過去の動画で「私は日系と台湾系のアメリカ人コメディアンです」と自己紹介している。 また動画の中で、幼少期についてこのようにも告白。「ある日祖母に『2カ月、アメリカ旅行に行くわよ』と言われて渡米。そのうち滞在ビザが切れ、7年間オーバーステイ(不法滞在)となった」。 無名時代のお笑いのステージ(2016年) 5年前の映像で、「スタンドアップを始めて8年になる」と言っていることから、2010年ごろからスタンドアップ・コメディアンとして活動をしているようだ。以前より、日本の文化(アメリカでは聞き慣れない自分の名前や日本の変わったクリスマスなど)もネタにしている。最近は、祖母や夫をフィーチャーしたネタやダンスネタを取り入れたり、たまにセミヌードになり超セクシーな格好でSNS上に現れる。これらも話題作りの1つだろう。 筆者は彼女のインスタグラムやツイッターの中からいくつかのイメージを見て、一時期のブルゾンちえみさんをよりセクシーなアメリカ版にした印象を持ったが、どうだろうか。 志村けんさんが亡くなった時のインスタに、「日本にいた時、自分にとってのアイドルだった」と追悼していた。オカツカさんが日本のお笑いに影響を受けた芸人であることは間違いなさそうだ。 現在は3月中旬まで、コメディショウで全米ツアー中のオカツカさん。今年はさらに、アメリカ中を笑いの渦に巻き込んでいくことだろう。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止