夜になっても「Japan」が米ツイッターのトレンド入り PK敗戦の余韻続く…。W杯日本対クロアチア

サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝トーナメント1回戦。5日、クロアチアと対戦した日本代表は1―1で延長戦となり、延長戦でも決着がつかず、PK戦で1―3で敗れた。 アメリカ東部時間(EST)で午前10時からスタートしたこの試合。結果が出たのが午後1時前だった。午後2時からのブラジル対韓国戦ではブラジルが4―1で圧勝。それぞれの試合後、この日戦った4つの国がアメリカのツイッターでトレンド入りしたが、陽が暮れても2つの国がトレンド入りをしたままだった。 その2つの国は、ブラジルと日本。 ブラジルの勝利後、アメリカのトレンド1位は「Brazil」となった。 (「Neymar」「Richarlison」と共に) 試合に負けた日本だったが、「Japan」も試合中からトレンド入り。試合終了後6時間が経っても、未だ堂々のベスト10入り。(「Croatia」と共に)。 同時刻で、上位30位内にクロアチア単体と、ブラジルに負けた韓国の名前は見られず。韓国の「Korea」は午後8時ごろになって21位に入っているのを確認できた。 筆者は日本とクロアチア戦の試合中もツイッターを確認したが、試合中は「LETS GO JAPAN」がトレンド入りしており、日本戦への注目度を実感した。 日本の敗北後、アメリカでは各界のさまざまな著名人やメディアがこの試合についてツイートした。 米女子サッカーのアビー・ワンバック元選手 女子サッカーのアビー・ワンバック元選手は、作家である伴侶のグレノン・ドイル氏が、PK戦で敗れた日本の試合に衝撃を受けている動画をツイッターにアップした。「あぁなんてこと。あなたに勧められ毎日試合をチェックしているけど、これは耐えられない。悲しすぎる…。PK戦はジュネーブ会議で禁止されるべき」とドイル氏。 CNNやESPNなどで活動するフットボール・ジャーナリスト、Usher Komugisha氏 ESPN FC ラーム・エマニュエル駐日米国大使 作家のKhaled Beydoun氏 ツイッター上ではほかにも、大会中に話題に上った日本人サポーターの清掃風景を惜しむつぶやきも見られた。 最後に、アトランティック誌のアダム・シューワー記者が試合後にアップした、このPK戦の分析が興味深かったので、ここで紹介する。 シューワー記者は、この試合が長引くにつれ、2018年のファイナリスト(クロアチア)が勝つことになるだろうと確信したという。それはクロアチアの方が優れているからといった理由ではなく「試合が確実にPK戦になるように見えたから」という。 「PK戦で点を入れるには試合そのものとは異なるスキルが必要であり、それは運動能力よりも精神面でのテスト(試されること)である」 シューワー記者は、優れた選手が必ずしもPK戦で優れた結果を出すとは限らないと述べ、「中年の引退した元サッカー選手の方が、20歳のフィールドで大活躍する現役選手よりPK戦でうまく蹴ることは可能」。 PK戦で得点できる選手とは「プレッシャーに負けない(跳ね除ける力がある)こと」。だからどんなに技術があり運動能力に長けた若手の選手より、年配の選手がPK戦では成功率が高くなることはあるという。 「集中力が何より試されるため、PK戦を成功させることは多くの場合、経験の問題である」 日本のゴールキーパー、権田修一選手はクロアチアのドミニク・リヴァコヴィッチ選手よりもペナルティキックのセーブ率が高いとされているが、PK戦では日本選手のボールを次々にリヴァコヴィッチ選手が止めた。「リヴァコヴィッチ選手がボールを止めることを予測していた、とは言わない。しかしクロアチアの選手の方が、より多くのチャンスを物にするだろうという確信があった。なぜなら彼らはこれまでの試合で何度か同じ経験をしてきたからだ」。 前回のW杯でも、死闘の末にPK戦で2勝してきた経験を持つクロアチアに軍配が上がったということのようだ。 「しかしながら、サムライブルーはここまでの試合を誇りに思うべきだ。ヨーロッパのトップクラブの選手が多く在籍する2つの元世界チャンピオンを打ち負かしたのだから」と同記事は結ばれた。 筆者も、世界における日本のプレゼンスを久しぶりに高めてくれた若き日本の侍たちに、労いを込めて心から感謝の意を伝えたい。感動をありがとう。そしてお疲れ様でした! Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

アニメ、漫画、ゲーム…日本サブカルの祭典にファン集合。「進撃の巨人」諫山創に会場沸く

日本のサブカルチャーの祭典、アニメNYC(ANIME NYC)が今年も18〜20日の3日間、ニューヨークのジャヴィッツ・センターで開催された。 アニメ、漫画、コスプレ、ゲームなどのポップカルチャーファンが大集結し、開催事務局の発表では3日間で5万人を超える来場者があったという。 コロナ禍3年目の今年は、入場者全員に新型コロナのワクチン接種証明書か陰性証明書の提示が義務付けられたが、マスク着用は任意となった。 個別の会場で行われた講談社USAのトークショーには『進撃の巨人』の漫画家の諫山創氏が登場し、場内は大歓声に包まれた。 同作は特にアメリカでもっとも売れている漫画の1つで、世界累計発行部数の1億部突破が伝えられている。うち販売部数は全体のシリーズを通して約100万部と言われる人気作だ。 ステージに現れた諫山氏は「初めて地球の裏側まで来ました」と通訳を通して挨拶し、冒頭から「オォ〜!」とファンから大歓声が上がった。 小学校の授業の一環で参加した廃品回収で少年漫画に出合ったという諫山氏。人喰い巨人が現れ人類が絶滅寸前というストーリー作りで影響を受けたものとして「山下清の怪獣がやりたかったんです」と言う。「子どもの頃見た怪獣の絵が怖い記憶として残っていた。進撃の巨人はこれに影響を受けたのだと描き終わった後に思い出しました」。 絵が下手だと自覚し、作品を東京の出版社に持ち込んだ時、まさか漫画家になれるともこんなに売れるとも思っていなかったと振り返る。諦めようとしていた矢先、担当者に生まれて初めて面白いと言われた。しかしその時でさえ「嬉しかったけど懐疑的だった」。漫画の世界では「連載が始まっても80%が打ち切りになる」。自分の作品も難しいだろうと思い、当初は「とにかく打ち切りにならない」が最大の目標だった。 ストーリー展開について「なんてひどいことするんだ」とか「もっとやれ」「スカッとした」など読者の意見が分かれるのが良かったと言う。結末は最初から決まっていたが、主人公のエレンについては決めていなかった。「描きながらエレンて思っていたよりいい奴ってなって、エレンがここまでやるのに説得力を持たせるためにストーリーを変えていき、結果うまくいかなくなった。ラストは自分でも難しいなと思いながら描いていました。すみません…」と詫びた。これに対してファンからは笑いと同時に「We love you」という声援と大拍手が沸き起こった。感激した諫山氏は「泣かないように…」と俯き、さらに会場が沸いた。 これから挑戦したい人へのメッセージとして、「何をやってもどうせ80%はダメなので、だったらデカく失敗した方がいいくらいに思い切りやって欲しい」と語った。 最前列で時々笑い声を上げながら聞いていたジョージ・ブラムさんは、母親が噛み砕かれるシーンが強烈で通常の漫画と違うと思い『進撃の巨人』にのめり込んだ。「ストーリー全体がダークだが、今日は作品の裏側にある人となりを見て、才能があるだけでなく地に足がついた人だと知りもっと好きになった。カリフォルニアにいる10代の息子はもっとファンなので私のことを羨ましがっています」と感想を述べた。 テキサス在住のメグ・ソレンセンさんは大学で日本語を学び、日本人のクライアントや友人が多く日頃から日本語に触れ合っている。「日本語で理解できたのは良かった。自分の言葉で話してくれ、幼少期の友人の話や自分は昔は貧乏だったとかお金を稼ぐことができて感謝しているなど、フランクに包み隠さず直球的だったので面白かった」。 3日間の開催中はこのほかにも、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の村瀬修功監督の登壇、『トライガン・スタンピード』『SPY×FAMILY』『モブサイコ100』やアニメ制作会社のパネルディスカッション、声優や漫画家によるサイン会などがあった。 日本人イラストレーター、Acky Bright(アッキーブライト)氏は、来場者を前にライブドローイングを披露した。グラフィックアーティストや漫画家にSNSで取り上げられて海外で知名度が増し、インスタのフォロワー数は今年10万人を突破。それと共にDCコミック、ハズブロ、BMWなど海外案件の仕事も増えている。 今年はLAやNYのイベントに出てみて、海外のアニメ熱の盛り上がりを直に感じたという。「ライブドローイング中の観客の反響やノリも良く、アメリカ最高です」。 彼の描くイラストは白黒の女の子とメカやツノなどの対比が特徴で、繊細で可愛くかつ豪快で力強さもある。この日の来場者も、イラストが描かれる過程をじっと興味深く見守っていた。 「ネットで世界にアピールできる時代になったが、日本で伝えられている情報と現地で実際に得られるものが違うと感じる。せっかく日本の文化が注目されているので、日本のアーティストはもっと外に出て行って現地に触れ、ファンと交流するともっと広がりが出ると思う」 今月25〜27日、幕張メッセの「東京コミコン2022」にも参加し、DCコミックのブースでライブドローイングを行うそうだ。 会場ではこのほか、ガンダムエキスポUSA、東映アニメーション、バンダイナムコ、クランチロール、原神などの展示販売、お好み焼きや弁当、カレーなど日本食の販売などもあった。 来場者はそれぞれのコスチュームで、思い思いの3日間を楽しんだ。 Anime NYC 2022 Attack on Titan Hajime Isayama’s panel highlights 『進撃の巨人』諫山創トークショーハイライト 過去記事 Text, photos and video by Kasumi Abe(Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NYハロウィンパレードが渋谷の「仮装どんちゃん騒ぎ」とは根本的に違うと思うこれだけの理由

さまざまな年齢、人種、性別が入り混じるニューヨークのハロウィンイベントとパレードは、歴としたこの街の文化である。 近年、渋谷の若者がコスプレ姿で、表面だけを真似たドンチャン騒ぎをして物議を醸しているが、それとは似て非なるもの ── 久しぶりに本場のパレードを取材して、そう思った。 ハロウィンパレードと言えば、ニューヨークの10月の風物詩である。31日、世界最大規模のパレード、New York City’s 49th Annual Village Halloween Paradeが、今年も開催された。 ただの仮装パレードと侮ることなかれ。 1974年以降、新型コロナの感染拡大でパレードを行うことができなかった年を除き、半世紀の長い歴史と伝統を誇る大イベントだ。 文化や経済面でも、市に大きな功績を残している。 公式サイトによれば、都市生活を豊かにし街や文化を保存するための非営利団体、ニューヨーク芸術協会(Municipal Arts Society of New York)より、人々の文化的な生活に大きな貢献をしたとして賞を贈られている。 また国立芸術基金(National Endowment for the Arts)、市長観光助成金(Mayor’s Tourism Grant)、マンハッタン区長観光イニシアティブ(Manhattan Borough President’s Tourism Initiative)から、多額の助成金が出ている。これはひとえに、長年にわたる芸術的功績や経済にもたらす貢献が認められたからだ。 当地は観光都市であるから、観光客誘致のためにパレードが利用されているのも事実だ。このパレードは「何十万人もの観光客、および推定9000万ドル(約133億円)の観光収入をもたらす」と公式サイトで発表されている。よってこの規模のパレードは、市が一丸となって実施する意味合いが強い。 そもそも収穫祭や悪霊払いに由来しているハロウィンは、アイルランド系移民がアメリカに風習をもたらしてからは、子どもが楽しめるイベントへと変化していった。よってアメリカでは、毎年ハロウィンが近くなると、街中で子どもが「トリック・オア・トリート」(菓子をもらえないとイタズラするぞ)と言いながら、菓子をもらうために練り歩く微笑ましい光景を目にする。 よって当地で半世紀にわたって開催されているパレードも、家族向けを意識して構成される。仮装、出し物、山車も子どもが喜びそうな仕掛けのものが多い。 (写真)不動の人気「スリラー」のパフォーマンスは子どもにも人気。ハロウィンパレードにて。 今年のテーマは「フリーダム」 パレードには毎年テーマが設けられており、今年のテーマは「フリーダム」だった。 パレード参加者はただ行進しているだけではなく、見に来た人々にそれぞれの主張をする。 今年はフリーダムというテーマに沿い、以下のようなメッセージを掲げている参加者を目にした。 etc… (写真)家賃が高すぎると主張をする人。 仮装以上にそれぞれの主張は興味深く、パレードを見ていて飽きることはない。 このように社会問題への関心が高いことも、ハロウィンパレードの参加者の特徴の1つだが、日本のハロウィンパレードに参加した人から何か主張のようなものはあっただろうか。コスプレ姿で酒を煽って馬鹿騒ぎをしている人は、一体どのようなメッセージを社会に伝えているだろうか。 ソウルの事故を踏まえ警戒が高まった今年のパレード パレードでは、グランドマーシャル(先頭に立つ人)の1人として、NYPD警察本部長のキーチャント・スウェル氏が参加し、行進しながら市民と触れ合う場面も見られた。 今年は直前に、韓国ソウル市の梨泰院で起きた雑踏事故により、当地でのパレードには警戒感が一層強まっていた。当然このような大規模イベントには、NYPD(ニューヨーク市警察)がその威信をかけて、全力で警備にあたる。この日も多くの観客がパレードを見に集まったが、不測の事態に備え多くの警官が配備され警備にあたっていた。おかげで今年のパレードも大きな事件や事故はなく、成功裏に終わった。 もちろん多種多様な人がいるから、参加者の中には仮装して酒やドラッグを楽しんでいるだけの人も存在するのは事実だ。文化的背景がわからず参加している人がいるのも否定しない。 また都市の汚点としては、残念なことに治安悪化の一途を辿るこの街ではこの日もパレード終了後の深夜、同じ地域で21歳の男性が何者かに複数回銃で撃たれるという凶悪事件も発生した。(注:当地はコロナ禍以降治安が悪化している) しかし、この歴史あるハロウィンパレードに限って言えば、主催者側にイベント開催の意図や思いがあり、渋谷で近年模倣されているコスプレパーティーやお祭り騒ぎとは、本質的に異なる。 筆者が本場ニューヨークのハロウィンパレードを見て「いい大人が仮装して恥ずかしい」と思うことがないのは、そういうわけである。 ハロウィン関連記事 Text and some…

NYの飲食店で「焼酎」メニューが今後増えていくかもしれない…その理由

アメリカでは一般的に日本酒の「Sake」(サキと発音されることが多い)は知られていても、「Shochu」になるとまだ日本酒ほどの認知度には至っていない。 しかし今後、焼酎にもスポットライトが当たっていくかもしれない。 ニューヨーク州では6月30日、アルコール飲料管理法が改正された。これにより、ビールやワインなどと同類で、アルコール度数24%以下の焼酎もソフトリカーライセンスで販売することが可能になった。 つまりこれまで焼酎は、ハードリカーライセンスのある店(バーなど)でしか取り扱いができなかったが、度数24%以下であれば、ソフトリカーライセンスを持つ一般のレストランでもメニューとして置くことができるようになったというわけだ。 そこで10月3日、九州から蔵元11社を招き、日本酒造組合中央会(JSS)が主催してセミナーと試飲会が行われた。 参加した蔵元: ① 霧島酒造 ② 薩摩酒造 ③ 宝酒造 黒壁蔵 ④ 繊月酒造 ⑤ 高橋酒造 ⑥ 三和酒類 ⑦ 八鹿酒造 ⑧ 京屋酒造 ⑨ 赤嶺酒造場 ⑩ 玄海酒造 ⑪ 山の守酒造場 セミナーや試飲会では、お湯割りや酎ハイ、カクテルなどさまざまな楽しみ方ができる日本の焼酎の魅力が、飲食店関係者やメディアを対象に紹介された。 登壇者の一人、ビル・ガンサー(Bill Gunther)氏は、当地の日系のバーで焼酎に出合って以来焼酎にのめり込み、焼酎オタクを自称する。ガンサー氏は焼酎の魅力を発信するウェブサイトKANPAIの寄稿者でもあり、実際に九州の蒸留所を訪問するなどして、アメリカで焼酎の魅力を伝える活動をしている。焼酎のどこに魅力を感じたかについては「フレーバーがたっぷりで、飲みやすいこと」と話す。 参加者の1人も「焼酎カクテルを初めて試したが、飲みやすくて美味しかった」と感想を語った。また「ニューヨークは、新しいものにオープンで味に偏見のない人が多いので、今後広まっていくのではないか」と期待を寄せた。 関連記事 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

「分断した日本」安倍氏国葬。米英メディアは「反対派」をどう報じたか?

27日、安倍晋三元首相の国葬が執り行われた。アメリカをはじめとする海外メディアも、この国葬について報じた。 国葬の時間はアメリカ東部時間(EST)の真夜中だったため、国葬を取り巻くさまざまな報道が行き交ったのは翌朝だった。ニュースには、国葬を巡る「日本の分断」の問題が散見された。 「日本社会を真っ二つにした日」BBC 英BBCはShinzo Abe: A divided Japan bids farewell to its slain ex-PM(安倍晋三:分断された日本が殺害された元首相に別れを告げる)という見出しで、着物の喪服姿の昭恵夫人がお辞儀をしている写真と共に報じた。 「安倍元首相は国外で高く賞賛されたが国内では(評価が)分かれる人物で、国葬は大きな論争を巻き起こした」とし、会場の外での「騒々しい怒りのデモ」を引き起こしたとした。 「安倍氏の死後、多くの国民は安倍氏が日本に安定と安心を与えてくれたことに気付いた」「献花台に並ぶ人の列は3kmをはるかに超えた」と説明しながら、16億6000万円の国葬費用に激怒し「安倍氏はその栄誉に値しない」というデモ隊の声を拾い、「日本社会を真っ二つに切り裂いたような日だった」「複雑でしばしば分断的とされる安倍氏の遺産の象徴のようだった」と説明。 また、「国葬反対派の多くは年配の人々」「安倍氏の支持者の多くは若い世代」とも紹介している。 「年配の人々は『平和主義』憲法を支持し、多額の軍事費に反対してきた。それを憲法で変えようとしたのが安倍氏であり、戦争の記憶に悩まされていない世代は、日本の領土に対する中国の攻撃的な主張に反応している」 海外の要人については、「アメリカやオーストラリアなど世界の要人が参列したことや、エリザベス女王の国葬を欠席したインドのナレンドラ・モディ首相も参列したことは(安倍氏がそれほどの人物だったことを表し)驚きに値しない」とした。また「安倍氏は常に中国からの脅威の高まりを警戒していた。それは同盟国が抱いている懸念でもあり、(国葬に参列したこれらの要人は)安倍氏が時代をはるかに先取りしていたことを認識しているだろう」と分析した。 「生前と死後、日本の世論を二極化させた」ワシントンポスト 米ワシントンポストもA divided Japan sends off Shinzo Abe, its polarizing former leader(分断された日本が世論を二分した元指導者、安倍晋三を見送る)と、BBC同様に「分断」という単語を使った見出しで、安倍氏について「生前と死後、日本の世論を二極化させた人物」と報じた。 反対派の動きとして、「何千人もの人々がデモ行進し、16億6000万円の国葬費 — インフレの上昇と政府による十分な説明がなされなかったという扱いにくい問題 ― に抗議」「安倍氏と統一教会の関係を巡るスキャンダルが拡大し、抗議者の不満を増幅させている」と説明した。 この記事に関する読者のコメントは14件に留まっている。1100を超えるコメントがついている韓国の尹大統領の米議員への侮辱発言の記事と比較しても、14件は少ない方と言える。 読者からのコメントとして、以下のような意見が上がっている。 「この記事は、何千人もが献花台に列を成して花を捧げ、安倍氏に敬意を表した事実を故意に無視している」「エリザベス女王の国葬と比べると昼と夜の真逆のコントラストのようで、多額の費用がどこに使われたのかまったく見えなかった。ちょっとした工夫で刺激を与えることができるのに、会場は高校の体育館のようで華やかさに欠け、とても退屈で気が滅入る雰囲気で、記憶に残るものとは程遠い。同時通訳用イヤフォンは見えず、外国の要人は退屈そうだった。男性ばかりで女性の参列者の少なさも目立った」 「世界の要人、そして抗議者が集結」WSJ 米ウォール・ストリート・ジャーナルはShinzo Abe State Funeral Draws World Leaders, Protesters(安倍晋三の国葬に世界の要人、抗議者が集結)という見出しで、「何千人もが国葬に抗議する一方、世界の要人が日本でもっとも長く在任した元首相に敬意を表した」と報じた。 同紙は国葬自体について、「エリザベス女王の豪華な国葬とは対照的に、安倍氏の国葬は式典への長い行列や大規模な軍事展示を特徴とせず、祝日でもなかった」と紹介した。 安倍氏については、「自由で開かれたインド太平洋という言葉を作り出したのは彼だった。この原則は日米同盟を形成する絆の一部であり、我々は支持する」と、安倍氏の功績を称える参列者の1人、米ハリス副大統領のコメントに触れた。 「日本では滅多にない政治的安定をもたらし、国際的な知名度を上げた」人物としながらも、「彼個人の支持率は決して高くなかった」とも説明。 献花に訪れた一般市民の声として、賛否両方の声を拾った。「もっとも尊敬する政治家。隣国との困難な関係への対処など、日本がただの敗戦国のままにならぬよう懸命に働いてくれた」「日本に人生を捧げてくれた人物にせめて花を捧げたい」など支持派の意見を拾った一方で、安倍氏が推し進めていた憲法改正について「抑止のためだと言ったが軍事費が無制限に増やさざるを得なくなる」とする、デモ参加者の声も紹介。また「事件後に明らかになった、安倍氏および自民党と統一教会との関係は、岸田政府に対する感情を悪化させ、国葬への反対を強めた」とした。 過去記事 Text by…

米ハリス副大統領 国葬で今日から訪日。弔問外交4日間のスケジュールは?(詳細)

安倍晋三元首相の国葬の日がいよいよ迫ってきた。参列のため218の国・地域から約700人の要人が訪日予定で、岸田政権は各国代表団との弔問外交の意義を示している。 アメリカからは、カマラ・ハリス副大統領が国葬に出席する。 23日、米政府高官がメディアを対象に行ったプレスコールによると、ハリス副大統領と代表団らは今日(日本時間26日)、日本に到着する。滞在スケジュールは以下のようなものだ。 26日(日本時間、以下同) 東京に到着。夕方、岸田文雄首相と二国間会談を行い、安倍氏の死に哀悼の意を表すほか、台湾海峡の平和と安定の維持や自由で開かれたインド太平洋をはじめとするさまざまな議題について話し合う。 夜は岸田首相主催の夕食会に参加する。 27日 国葬参列で訪日するオーストラリアのアンソニー・アルバニーズ首相、そして韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)首相と、それぞれ会談を予定。 午後2時より、日本武道館で開催される安倍氏の国葬に参列する。 28日 日本の半導体企業の幹部らを招き、バイデン大統領が署名した(中国対抗半導体法の)CHIPSおよび科学法案や、米製造業への投資の意義などについて話し合う。 その後、ハリス氏一行は米海軍横須賀基地を訪問する。 29日 日本から韓国に移動し、ソウル市で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と、北朝鮮問題などについて二国間会談を行う。 その後、さまざまな業界で活躍する“groundbreaking Korean women”と呼んでいる団体と座談会形式の場を設け、女性の社会進出やジェンダー平等問題について話し合う。 ハリス副大統領は昨夏、ベトナムとシンガポールを訪問。日本と韓国には、バイデン大統領が今年5月に訪問したばかりだ。ハリス副大統領の今回の訪日の主な目的は、安倍氏の葬儀に参列してその死を悼み、暗殺という悲劇に見舞われた日本の人々をサポートすることとした上で、弔問外交としては、先の訪問のフォローアップ、つまり米経済の発展に焦点を当て、中国と台湾関係や北朝鮮の脅威などますます複雑化するインド太平洋地域の平和と安定を高める意味合いが強そうだ。 記者の1人から、安倍氏の国葬が日本で物議を醸していることについて問われると、政府高官はこのように答えた。 「日本の内部事情についてコメントするつもりはないが、我々の立場から言えることは、安倍元首相はアメリカにとって素晴らしい友人であり、日本にとっては偉大なリーダーだった。また、自由で開かれたインド太平洋地域というビジョンの背後にある主力の1人だった。彼は日米同盟を強化し大きく前進させた。これは重要な遺産であり、今後も我々は前進させていく」 過去記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

「米大統領 国葬で14列目のワケ」「日本の天皇の姿も」… 米英メディア報じる

19日、ロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われたエリザベス英女王の国葬で、アメリカのバイデン大統領の席が後ろの方の14列目だったことが、米英メディアで報じられた。 各国の要人500人を含む2000人が参列したこの国葬での、バイデン大統領夫妻の席順について、米ニューヨークポストは「世界でもっとも力を持つ人物かもしれないが、エリザベス女王の国葬では最前列の席を確保することができなかった」と報じた。 厳重な警備と道路規制のため、会場への移動は、天皇皇后両陛下を含む世界中の多くの要人が大型の乗り合いシャトルバスを利用した。一方バイデン大統領は、セキュリティの理由から、専用リムジン「ビースト」での到着を認められた数少ない要人の1人だった。そのため「交通渋滞に巻き込まれて遅刻したようだ」と英ガーディアンは報じた。 事前に発表されていたスケジュールによると、500人の要人ゲストは、午前9時35分から午前9時55分の間に着席する予定だったが、バイデン夫妻が着席したのは午前10時5分だったという。流れが中断されぬよう、夫妻はすぐに席に通されず、着席までしばし待つことを余儀なくされた。 大統領夫妻が着席したのは通路側の14列目で、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領夫妻の後ろ、チェコ共和国のペトル・フィアラ首相夫妻の前、スイスのイニャツィオ・カシス大統領の隣だった。 通路を挟んで、チャールズ国王夫妻らが最前列に着席し、その後ろに英連邦でチャールズ国王を国家元首とする英国以外の14ヵ国の要人の席が続いた。そしてその後ろの方には、世界中のリーダーの席となっていた。ここでは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領夫妻や、韓国のユン・ソクヨル(尹錫悦)大統領夫妻の姿もあった。 ガーディアンは「ホワイトハウスから依頼された特別扱い(ビーストでの到着)は、特に無理難題ではなかった」としたものの、(英国と親密な関係であるはずの)アメリカの大統領としてこのような席順になったことについては、「おそらく、要人を乗せたバスに便乗しなかったことによる結果だろう」とした。つまり、ほかの要人とは別行動での到着となったため、入りやすいよう、前の方でなく後ろの方の席が確保されたということのようだ。 「滅多に外国訪問しない天皇の姿も」と英紙 いくつかのメディアは天皇、皇后両陛下のご臨席についても、記事で触れた。 英インディペンデントは、「日本の天皇、徳仁(Japan’s emperor, Naruhito)のような、ロイヤルメンバーの姿があった。これらのロイヤルファミリーの多くは長年、英女王と所縁がある」とした。 ガーディアンは「参列者の中には、滅多に外国を訪問しない日本の天皇、徳仁(Japan’s emperor, Naruhito)と、愛子内親王(Princess Aiko)を出産後、宮内庁発表があった『適応障害』に苦しみ、公の場にほとんど出席していない皇后雅子(Empress Masako)の姿も目にした」として、記事を結んだ。 両陛下の席次について読売新聞は、ひつぎを挟んで向かい側の各国王室からの参列者席で「天皇、皇后両陛下は6列目」「隣はマレーシアのアブドゥラ国王だった」などと報じた。 写真を見る SNSでは「日本の天皇は両親の国葬を除いて葬儀に参列しないから、英女王の国葬に出席したのは非常に重要なこと」「ブータンの国王はいつも伝統的な衣装で良い。日本の天皇が英国式のモーニングスーツ(モーニングコート)を着ているのも好感が持てる」などの声が上がっている。 過去記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

「独身おじさん友達いない問題」 アメリカの場合は?

日本では少し前、中年男性について書いた記事が話題になっていた。 また最近になって、独身女性という別の視点で書かれた記事も目にした。 筆者はどちらも興味深く読んだ。アメリカでもたまにこの手の話が聞こえてくるからだ。 筆者の耳に入る限り、友だちに関しては「中年」や「独身」に限った問題というより、あらゆる年齢層やステータスで共通する悩みなのかもしれない。(もちろん人によるが) アメリカではあらゆる層の悩み? 例えばつい数週間前、あるパーティーで出会った20代前半の日本人女性が、会話の流れで「アメリカ人の友人ができにくい」という悩みを筆者に漏らしたことがある。 渡米して1、2年足らずの彼女。大学生で英語はうまい方だと思うが、「友人になるのは、特に女子は難しいですね。なかなか仲間に入れてもらえないです」と愚痴った。 「向こうから擦り寄って来るまで待つのがいいかも?」。アメリカで多感な時期〜大学時代を過ごしていない筆者は、これ以上の的確な助言が浮かばなかったが、異性の友人はできやすくても、同性となると話が異なるから、彼女の言わんとしている状況はなんとなく想像ができた。 「友人作り」の難しさ。学生時代もそうなのかもしれない。しかしそれ以上に、アメリカでは成人以降、社会人になってからが顕著だと感じる。 既婚者は家族が最優先 アメリカ社会では独身であっても、慣習的に職場の同僚と頻繁に飲みに行ったり、休日まで会って出かけたりなんてことは比較的少ない。結婚すると誰もが家族との時間を最優先するので、家族ぐるみの付き合いは続いても、平日の夜や週末に友人と飲み明かしたり、旅行に行ったりすることは激減する。 独身や離婚経験者で友人がいない場合は?つい先日、とある会合の立食パーティーで立ち話になったある中年男性が、まさにそのようなケースだった。彼はその会合の会員になった理由として「時間があるから」とし、頻繁に会員イベントに参加しているそうだ。離婚をした後は独身貴族を満喫中のようで、イベントは基本的に1人で参加するという。バーに好きなお酒を飲みに行くのも、セントラルパークに散歩に行くのも1人だと言った。恥ずかしげに告白っていう感じでもなく、さらっと「おひとりさまを楽しんでいる日常」を明かしてくれた。 フレンドリーなアメリカ人。でも生涯の友情となると…… 当地に長年住んでいる筆者の所感だが、一般的にアメリカ人はフレンドリーで、知らない人ともすぐに打ち解けて心を開き、会ってすぐでも身の上話や家族の話をしたりする。だからといって友人が無数にいるかといえばそうでもなく、どっぷり浸かる友情や一生ものの友となると、数はかなり限られるようだ。 (一方日本人は、知らない人とはあまり話さないが、一度心を開いて友情を築けば、深く長い付き合いを続ける傾向があるのではないだろうか) そもそもアメリカ人が長い友情を持続しにくい理由の1つに、引越しが多い国民性が関係しているというのは、昔からよく言われていることだ。彼らは他の街や州外へ頻繁に引越すものだから、せっかく友だちになっても友情が持続しにくいというわけだ。ただこの問題もここ15年ほど、フェイスブックの台頭により(オンライン上に限って)解決されつつあるが。 アメリカ人の友人作りの難しさについて書かれたある記事が興味深かった。2000人を対象にした統計で、一般的なアメリカ人の友人・知人の数が書かれている。 多くの人は前職の同僚、学生時代の友人、近所の幼馴染みと今も親密な関係を継続させている。 一方、新たな友人作りの難しさも浮き彫りになっている。 新しい友人を作ることについて、成人の45%が「難しい」と答えた。また直近5年間、新しい友だちは1人もできていない。その理由として、内向的で恥ずかしがり屋という性格が関係している。この国ではそのような性格は短所と見られるが、友人作りとなると、自分の殻を破るだけでなく、サークルやコミュニティに自ら入っていく自信や勇気が求められる。このハードルの高さが新たな突破口を破るネックになっているようだ。 また友人作りの障壁はほかにも、「社交の場であるバー文化(飲み会)への嫌悪」「仲良しグループがすでに存在し新参者が入りづらい」「家族が優先」「出会いの可能性のある趣味がない」などが挙げられた。 さらに、せっかく友人になっても関係を持続させるのも難しい。 その理由は、「別の街への引越し」「成長するにつれて(なんとなく)」「多忙」「秘密についての裏切り行為、ゴシップ好き」「困難な時にサポートしてくれなかった」などだ。 中年以降の友人観 今月7日付の地元紙は、中年以降の交友関係の実情について報じた。 市場調査会社のOnePollが、55歳以上の2000人を対象に行った調査によると、37%が1人行動は孤独に繋がりかねないと認め、20%が実際に週の半分以上を孤独に感じている。そして、4分の3の人が、年齢を重ねるにつれて社交の輪が小さくなっていると感じ、48%が過去2年間で3人の友人と関係を解消したと回答した。 一方、年齢が上がるにつれ、52%が「友人と過ごすことに集中したい」と考え、40%が「旅行をしたい」とした。83%は新しい交友関係について楽観的に考え、何歳になろうと充実した関係を築くのに遅すぎることはないと答えた。 筆者が考える「アメリカの友達いないおじさん」への助言 – 教会に通う – ボランティア活動に参加 – 釣りやダンスなど1人でできる趣味から始める – 犬を飼う(外出する理由ができ、散歩中やドッグパークで知り合いが増える) – バーでは近くの人に1杯ご馳走する – ご近所さんと波風を立てず散歩の時にいつもニコニコしておく(アメリカではホームパーティーは隣人も招くため、いずれ招待されるかも) – もしくは、本文中に出てきた男性のように徹底的におひとりさまを楽しむ 新たな友人を作ることに興味があると答えた70%は、友人になるのは「好きなことに共通点がある人」「人生経験が似ている人」で、共にアクティブに行動することを望んでいる。64%が一緒にする人がいればウォーキング、ハイキング、スポーツ、クラス受講などもっとアクティブに活動すると答え、46%がアクティブに活動するうちに新しい友人ができたとした。 アメリカ人は家族最優先だと前述したが、つまるところ人生の後半以降は友人の存在の意義を再確認するということなのか。 そしてこの記事でも「『良い友人を見つけるのは難しく、友情を維持させるのはさらに難しい』ことがこの調査からわかった」とある。年齢に拘らず、良い友人と交友関係の持続は努力なしでは叶わないというのは、世界共通のテーマのようだ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

日本の人気3ブランド、ブルックリンへ ── 「50 Norman」9/16オープン

日本の人気3店が集まった「50 Norman」(50ノーマン)が、ニューヨークのブルックリン(グリーンポイント)に9月16日オープンします。 3店はこちら CIBONE (シボネ) ハイセンスなライフスタイル雑貨 職人が1つ1つ手作りした、ハイセンスなうつわや生活雑貨など。日本のモノづくりの質の高さが感じられる品ぞろえ。(アーティストはローテーションで変わる) DASHI OKUME(出汁尾粂) 無添加のだし 1871年日本橋で創業の水産仲卸店。スープや煮物、味噌汁、パスタなどに使える乾きもの(すべて日本産)は量り売り。トマトと玉ねぎを試食させていただきましたが、噛みごたえあって良いおだしが出そうでした。だしや日本の調味料は、隠し味として高級店のシェフによく使われるようになりました。この裏技、今後一般の消費者にも浸透していきそうです。オーナーさん曰く、今後はテーブル席で定食を出す予定。「そのうち角打ちもしたい」とも仰っていました。 HOUSE(ハウス) ジャパニーズ・フレンチのレストラン 2007年西麻布にオープン以来新スタイルのフランス料理を提供する店。ブルックリン店は8席のカウンターのみで、日本のエッセンスが入ったフレンチのコース料理を160ドルで提供予定ということです。 Info 50 Norman 50 Norman Ave., Brooklyn, NY 11222 U.S.A. (写真をもっと見る) #Greenpoint Text and photos by Kasumi Abe (こちらより一部転載)無断転載禁止

日本初「体験型ゴッホ展」仕掛け人の「こだわり」とは。新作「クリムト展」NYでスタート

世界各地で注目の没入型アート 埼玉で「ゴッホ」展 ゴッホの歴史的な名画を目と耳で鑑賞する、日本初の360度体験型デジタルアート展「ファン・ゴッホ ー僕には世界がこう見えるー」が、今年6月18日から11月27日まで開催中だ。 会場は、埼玉県所沢市の角川武蔵野ミュージアム。 最新テクノロジーを駆使して作られた映像を、会場の壁や床、柱など360度に投影し、音楽と共に披露されるこのインスタレーションは、イマーシブアート(没入型アート)とも呼ばれ、世界各地で注目されている。 展覧会は現在、日本のみならずパリ、アムステルダム、ソウル、ドバイなど世界各地で開催中だ。 筆者も「体験」したことがあるが、作品は目と耳の両方で感じ、映像は会場全体に(自分の足元の床まで)投影され、アート展というより「ショー」というニュアンスの方が近いと感じた。 見る角度によって作品の見え方がまったく異なるため、歩きながら鑑賞するも良し、ただ座って作品に没入するも良し。自分の好みで楽しめる。 NYでは最新「クリムト」展も グスタフ・クリムトの作品をテーマにしたイマーシブアートの最新作「ゴールド・イン・モーション(Gold in Motion)」もこのほど完成した。こちらはニューヨークで現地時間9月14日から、約10ヵ月間の予定で開催される。 会場は1912年に建てられたランドマーク的な高層ビルで、最新のデジタルアートセンターとして生まれ変わったばかりのホール・デ・ルミエール(Hall des Lumieres)。ここは、旧・移民産業貯蓄銀行(Emigrant Industrial Savings Bank)で、分厚い扉の金庫室までも展示室としてそのまま残されている。最先端のイマーシブアートと20世紀初頭の歴史的建造物が見事に融合している。 GUSTAV KLIMT: GOLD IN MOTION | NYC 世界中で開催されているこのイマーシブアート。その仕掛け人は、イタリア人クリエイティブ・ディレクターのジャンフランコ・イアヌッツィ(Gianfranco Iannuzzi)氏。クリムト展でニューヨークに滞在中、話を聞くことができた。 ベニス出身で、仕事で世界中を行き来している以外は、パリをベースに活動するイアヌッツィ氏。イマーシブアートを手がけて8年、アート業界では32年のベテランだ。 そんな最先端のアートシーンを牽引する彼に、作品作りにおいて絶対に譲れないものを聞いた。 まずは場所の選定だ。 プロジェクトの準備に1年かけ、その初期段階で会場選びのため現地に飛び、実際に自分の目で確かめるという。 「これは自分にとって重要な作業です。イマーシブアートはバーチャル体験ではなくフィジカル体験だから、どの街のどのような会場で行うか、自分で確認することはとても大切です」 世界中で展開している作品だが、どれ一つとて同じものはないと言う。 「今日本で開かれているゴッホ展も、昨年ニューヨークで見せた作品とは違います。会場の特性に合わせ、新たな作品として一から作り変えています」 自ら趣き、会場内を歩く。自分の五感で確かめ、瞑想をして心を落ち着かせ、そこから得たインスピレーションを作品に取り込む。 映像と共に流す音楽選びも、自ら行う。 「音楽は体験型アートの大切な要素です。同じヴィジュアルでも、感情を喚起する音楽次第でまったく違う作品として映るからです。自分で音楽も手がけると、イメージや動画、すべての要素を自分の頭の中でつなげる作業ができます」 もう一つ譲れないこと。それは初期段階でインスピレーションを得るために、また実際に作品に使うために、会場や素材写真を自ら撮影するということだ。すべての創作はそこから始まる。クリエイティブ・ディレクターといえば現場の総監督といった立ち位置だが、自らがやることが自分にとって大切なのだと言う。そのような地道な作業をアシスタントに任せない理由は、 「自分が欲しいものは自分が一番知っているし、誰かに説明してやってもらうより自分がやった方が早いのです」 自分でやるという姿勢を貫いているのは、ほかにも訳がある。「どういう作品にしていくのか?ストーリー仕立ては?それらを考える時、誰かに頼んでいたらアイデアなど出てきません。想像力が掻き立てらるのは、いつも自分で動いてみた『後』なのです」 一言一句に地位や経験値に甘んじることのないプロ意識と「職人」としてこだわりが垣間見えた。 撮影で使い分けているカメラは、キヤノン、ニコン、パナソニック。日本が好きで、今年5月も仕事で訪れたばかりだ。「今ゴッホ展が行われている角川武蔵野ミュージアムは、とてもモダンで特別な場所です。10万人もの来場者がすでにあったと聞いてとても嬉しい気持ちです。日本での次回作はおそらく来年、東京やその近郊で行う予定です。ゴッホ展、そして次回作もどうぞお楽しみください」。 補足 Interview, text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止