アート発信地をチェルシーからハーレムにする男 WhiteBox, ニューヨーク

NYのハーレムで行われた茶会 日本の茶会が、ハーレムのアートスペースで開催されると聞いて驚いた。 ハーレムと言っても最近キラキラした大型商業施設が立ち並ぶ都会の方ではなく、東側の「スパニッシュハーレム」だ。スパニッシュハーレムと言えば、ニューヨークにいる(いた)人はわかるが、治安が良くない地区としてのイメージが今でもある。そこで本格的な茶会が今晩行われるという。 何だか刑務所?のような大きくて重い鉄格子をゆっくりと開ける。 だだっ広いアートスペースが目の前いっぱいに広がった。 冷たい無機質な床に、温かみのある手触りのよい畳が敷かれている。茶の講師が座り、彼女を取り囲むように3人が畳に、別の3人が椅子に座り、お点前をちょうだいしていた。(そのほかにも多くの人が立って見物) 静寂の中、きちんと正座した女の子もいて可愛い! ここにいる誰もが茶の世界に敬意を表し、中には熱心に質問をする人も。ハーレムがこんなことになっているとは誰が想像したか。 場所はWhiteBox Harlem(ホワイトボックス・ハーレム)。2月1日から29日まで「Painter was called outlaw」というテーマで行われている展示会の中での1コマだ。 ここで日本の芸術を中心にキュレーションを行なっている佐藤恭子さんによると、期間中、日本人芸術家(長谷川利行、松本竣介、麻生三郎、宮崎進)の戦時中に日の目を見ることがなかった作品を展示し、その一環として茶会イベントを催したそう。これらの芸術家は、昔の日本では「アウトロー」(無法者)扱いされてきた。皆他界されているが、自分たちの作品が時を経て外国でお披露目とは、きっと誇らしげに思われていることだろう。 最近私は茶会のご縁が多い。この日も改めて茶やアートを含む日本文化の奥深さは、アメリカ人の興味を引くものだと実感した。 NYマンハッタンの中心地にあるお茶室と、そこで定期開催される本格茶会【ニューヨーク】 あるアートの専門家との興味深い会話 さて茶会が終わり、せっかくなので展示されているアート作品を見て帰ることに。 そこに来ていた、ニューヨークのブロンクス区でアート関連の仕事を長年しているという年配のルイスさんと、ある作品の前で立ち話になった。 ルイスさんと作品の前でお互いが感想を言い合ったのだが、会話の中で政治という意味のpoliticsという言葉が彼の口から幾度となく出てきた。私はこのアートの場でまったく予期しなかった言葉が出てきたので一瞬思考が止まり、彼が何の話をしているのか混乱するほどだった。 しかし彼はアートの長年の専門家だ。彼の言っていることは、おそらく「正しい」のだろう。だが私は昔から思ってもみないことを言ったり同意するのが苦手である。正直に理解できていないことを恐る恐る伝えてみた。 そうしたらルイスさん、「この前〜〜で出会った女性が」とさらに混乱する話をし始めるではないか。私の脳内はさらに「???」。ついに「話の腰を折るようで申し訳ありませんが、ちょっと話に着いていけていないかもです…」と伝えたところ、ルイスさんは「私はあなたから今、違う見方を学んでいます。これがアートの面白いところです」と言った。 同じ1つのオブジェクトを見ても、それまで生きてきた経験や知識をもとに、ある人は「政治的」だと感じ、またある人はまったく別のことを感じる。彼が以前出会った女性との会話は、それを彼に気づかせてくれた最初の出来事として、いつもこのようなシチュエーションで思い出すそうだ。 ルイスさんとの会話は私にも学びをもたらしてくれる興味深いものだった。わからないことはわからないと正直に伝える大切さ、そして正解というものがないアートの奥深さや面白さを改めて気づかせてくれた。 ハーレムを次のチェルシーにする男 ここにはもう1人興味深い人物がいた。 このスペースのオーナーで、スペイン出身のファン・プンテス(Juan Puntes)さんだ。彼はその昔、現代アートの発信地、チェルシーにWhiteboxを構えていた。そこが飽和状態になりローワーイーストサイドにスペースを移し、1年前にこのスパニッシュハーレムに引っ越してきた。 聞けば、このだだっ広いスペースは以前は消防署で、大昔は馬車の倉庫だったそう。道理でだだっ広く、ドアも重く、室内奥にも大きな倉庫っぽいドア跡が残っているわけだ。 実はこのWhiteBox Harlemの隣も、別のアートスペースなんだとか。 チェルシーに未だ集まる多くのギャラリーの賃貸契約の更新の時期が今から約10年前で、それ以降はローワーマンハッタンやブルックリンが次のチェルシーになるだろうと言われて久しい。「なぜこのギャラリーはブルックリンを選ばなかったのか?」と聞くと、彼はこのように答えた。 「ブルックリンは若すぎる。もっと成熟した市場が欲しかった。まさかハーレムのしかもスパニッシュハーレムとは、誰もが驚くけど、次(のムーブメント)はここさ」 「ついでに言っておくと」と彼は続ける。 「ここはギャラリーではなく、オルタナティブ(代替的)なアートボックスと僕らは呼んでいる」とあえて、ギャラリーという言葉を否定した。 NPO形態で運営し、ニューヨークの通常のギャラリーのように作品を販売しているわけではなく、grant(企業などからの補助金)で賄っていると言う。 地下フロアでは2月8日から3月1日まで、中国・武漢在住のアーティスト、ケ・ミン(Ke Ming)さんによる作品展もちょうど行われている。 すごいタイミングだが、これはまったくの「偶然」だそうだ。新型コロナウイルス騒動から随分と前に企画されたもので、そして残念なことに、ケさんは今回の騒動で来米できず、展示会に来れなくなってしまった。(ファンさんは武漢の人々を助けるべく、期間中は会場で募金活動も行なっている) ここではほかにも、中国北部出身のアーティストで来月この地下で自身の展覧会をするタンさんや、2ヵ月前にニューヨークに活動拠点を移したばかりの芸術家、野村在さん、そして千住博さんのところで10年ほど働いていたという原田隆志さんらにもお会いした。 アートはまったく専門外で普段はあまりご縁がないが、たまにはそういう所にも足を運んでみるものだ。こんな面白い人々との出会いが待っているのだから。 ちなみにルイスさんとの会話のその後だが、私もルイスさんも作品を見ながらしばらく別の人々と会話を楽しんでいた。そのうち彼は「またどこかで会いましょう」と軽く挨拶し去っていった。 連絡先も交換せず、ご縁があればまたどこかで。何とも後腐れのないニューヨークらしい出会いだ。 [All photos by Kasumi Abe]All images and text are copyrighted.

Zero Waste Danielのランウェーのないショーfrom NY ファッションウィーク2020

2月3日から12日まで開催中の「ニューヨーク・ファッションウィーク」。市内ではさまざまなファッションショーが催され、ファッション関係者やモデルなど世界中のおしゃれピープルが一堂に集まっている。 (続きを読む)「使い捨て文化でしたか?」21世紀最先端のファッション哲学がNYファッションウィークで開花 [All photos by Kasumi Abe]All images and text are copyrighted. 本稿はYahoo! Japan News個人からの転載。無断転載禁止

Listening to music, feel like living in NYC!

「今を生きるためにここにいる。瞬間を生きているなら、止まることなく動き続けよう。天井なんてどこにもない」(撮影地:Brooklyn: Williamsburg, DUMBOなど) 「ブルックリンからシティー(マンハッタン)にやってきた。このコンクリートジャングル、ニューヨークでは、叶えられないことは何一つない」 「ニューヨークで酔っ払っちまって朝までしゃべった。けどキミと一緒にいる僕が好き 」(撮影地:Brooklyn: DUMBOなど) 「僕はニューヨークで生きる、孤独な英国男だ。何て言われようと自分らしく…」

豪邸を丸ごと「和」にしたニューヨーカー NY中心地に茶室、その理由は【お宅訪問】

豪邸を丸ごと「和」にしたニューヨーカー NY中心地に茶室、その理由は【お宅訪問】 「NYの自宅を丸ごと和の空間に全改築しました」。(c) Kasumi Abe 人はここを「ニューヨークのオアシス」と呼ぶ。私が初めてその存在を知ったのは、かれこれ10年ほど前のこと。今回ご縁があって、そこを訪れた。 場所は、映画などによく登場する、マンハッタンのフラットアイアンビル近く。レンガ造りの瀟洒な建物に到着し、入り口ベルを鳴らす。ドアが開き、オールドスクールなエレベーターでペントハウス(最上階)へ。 廊下奥のドアを開けた瞬間、驚いた。外界 ── クラクションが無造作に鳴り響く都会の喧噪、がいっさい遮断されたその空間に、落ち着きある「和の佇まい」が広がっている。 3フロアの豪邸を丸ごと大改築した家主、スティーブン・グローバス(Stephen Globus)さんとは何者ぞ? 彼の自宅で話を聞いた。 (以下スティーブンさんのインタビュー内容) 3フロアの自宅が丸ごと和の空間に Globus Washitsu まずこの階(ペントハウス)は、2間の茶室に縁側、日本庭園、和風の台所や風呂場があり、階段を上がった最上階にもギャラリースペースを兼ねた和室2間、屋外ルーフトップがあります。丸ごと和の空間に改築したのは2012年のこと。2フロア全体をGlobus Washitsu(グローバス和室)と名付け、茶室の庵号をマンハッタンのオアシスという意のKeisuian(憩翠庵)としました。 もちろん自分が住む家として改築したのですが、今では日本から来たアーティストが展示やパフォーマンスを行う場、そしてニューヨーカーにとって本物の日本文化に触れ合える機会の場としても使ってもらっています。例えば、ティーマスター(茶道家)による茶会や、画家によるペインティング・パフォーマンスなど、才能あるアーティストが自分たちの芸術を発表する場になっています。 Globus Ryokan 実は、下の7階も私の自宅で、そこも和室2間に床の間、水屋などを設けて丸ごと和の空間に改築しました。完成したのは2004年なので、この7階の方が先です。 こちらはGlobus Ryokan(グローバス旅館)という名のゲストハウスにし、ニューヨークを訪れたアーティストにパフォーマンスを披露してもらう代わりに、滞在スペースとして無料で提供しています。ここに寝泊まりした人は、かれこれ100人以上になります。 私は自分の活動を、カルチュラル・グッドウィル(文化に絡んだ親善活動)と呼んでいます。日本を訪れるときも、アーティストや茶道の家元、着物メーカーの人々に積極的に会い、文化啓蒙活動のニューヨークへの招聘をしています。 なぜ日本なのか? 我が家を訪れた人は、だいたいこのように聞いてきます。「なぜこのようにしたの?」「どうして日本?」ってね。 私の仕事の話から説明しますね。仕事は主に2つあって、兄弟で撮影スタジオを共同経営しているのと、ほかにはベンチャー・キャピタリストという顔も持っています。 ベンチャー・キャピタリストとして私はPlasmaCoという会社を興し、松下電器産業(現パナソニック)と、フラットパネル・スクリーンの開発に携わりました。今から24年前、1996年のことです。それで、縁も所縁もなかった日本を初めて訪れることになりました。 私はここで生まれ育った生粋のニューヨーカーです。それまでヨーロッパに行くことはよくあっても、日本はおろかアジアについての知識はありませんでした。 大阪の空港に降り立つと、私の目の前にはそれまでの人生で見たことがない世界が広がっていました。想像できますか? 西洋文化しか知らないニューヨーカーが、初めて見た「別世界」を。 特に、仕事の関係者に連れて行ってもらった、京都・龍安寺の冬景色は、今でも脳裏に焼き付いています。それは15世紀の日本そのもので、美しい庭園には雪が舞っていて、私は思わず息を呑みました。しかもその後、仕事の件で、携帯でニューヨークまで国際電話をかけなければならず、歴史とテクノロジーのコントラディクションも興味深い思い出です! とにかくそんなわけで、3ヵ月ごとに東京&大阪とニューヨークを行き来する生活が始まったんです。日本に行くたびに、新たな発見がありました。この「新世界」にはまったく違う物の見方、考え方が存在していました。人も言葉も食べ物も、何から何まですべてが違う。自分にとっては完全に「新ルネサンス」ともいえる体験で、すっかりのめり込みました。 特にハマったのが、文化と芸術面です。日本の文化はとても深く、知れば知るほど自分の知識が微々たるものであることを思い知らされます。そして一度ハマると、もっと知りたい欲求に駆られます。そんな深みとパワーが日本文化には秘められていますね。 畳の間が恋しくて… そのうち親友ができ、彼の自宅によく泊めてもらうようになりました。東京・新宿にある伝統的な日本家屋で、とてもピースフルでメディテーションにも最高の空間でした。さすがに新婚さんの邪魔はできないので、宿泊は彼が結婚するまでですが。そしてニューヨークに戻って来ると、次第にこんな気持ちを持つようになりました。「あぁ、畳の間が恋しい!」 ニューヨークでも畳の間を作れないか探してみたところ、宮障子(ミヤショウジ)という日本人経営の和専門インテリア&施工会社がマンハッタンにあり、すぐに依頼しました。と言っても、最初から3フロアを丸ごとリノベーションしたわけではなく、少しずつ。まず着手したのが7階です。 コンセプトにしても初めから旅館にしようと思っていたわけではなく、ただ自分のために和室を作りたかったのです。そうしたら噂が瞬く間に広がっていき、「茶会をできないか?」「陶器の展示会をしたい」と相談がくるように。特に茶会は、すぐさま人気を博すイベントになりました。でも7階の和室は茶会用に作ったわけではなかったから、茶道口(亭主用の出入り口)や炉(ろ)がない状態です。それで本格的な茶会を開くために、8階のペントハウスを今度は大改築することになったのです。 そうして、このような本格的な茶室の完成となりました。これも、宮障子なしでは成し得なかったでしょう。運命とも言える出会いで知り合った、ティーマスターの長野佳嗣さん(上田宗箇流)と北澤恵子さん(表千家流)に、一般向けに茶会を開いてもらっています。ここはニューヨークだから、うちはどの流派もウェルカムなのです。 普段はほかにも、アートパフォーマンス、着物の着付けクラス、古楽器の演奏会など、さまざまな文化交流イベントを開いています。 改築費用について知りたいって?ええっと…そうですね(記憶を辿る)、だいたい25万ドル(約2,500万円)以上はかかりましたかね。 異文化の啓蒙には苦労がつきもの 今後も私はスポンサーとして、日本文化の体験の場、継承の場を提供し続けていきたいです。 2016年には、日本人カップルの結婚式を本格的な神前スタイルで行ないました。世界のさまざまな宗教がこの街にはあるけど神社だけはないんです。そこで、福岡の宮地嶽(みやじだけ)神社の神主を招聘しました。ニューヨークの人々にとっても神道にとっても、よいイントロダクションになったんじゃないかな。 また、茶会イベントを始めてかれこれ15年が経ちますが、やっとここ数年で時代が追いついてきた感があります。今抹茶ブームで、どんなカフェでも抹茶ドリンクがあります。でもティースプーンや砂糖がセットで付いてきたりして、まるでカプチーノみたいに出されている。要はカフェで働いている人たちが、本物の抹茶の味も作り方も知らないからなんですが。 それで私はスポンサーとして京都の丸久小山園と提携し、茶道の講師を招聘し、正しい抹茶の点て方のトレーニングをカフェでしてもらったこともあります。 何でも初めのころは大変なんです。でも致し方ないことですね。寿司にしたって、今ではアメリカ人でも何人でも器用に握る時代になりましたが、初めのころは魚の切り身とライスをただ適当に掴んで出す、みたいなことがなされていました(!) 異文化が浸透していくプロセスは、たいてい苦労や努力がつきものです。 でも私たちの活動が少しでも抹茶ブームの火付け役となっているのだったら嬉しいです。また、素晴らしい日本の文化や芸術をもっと多くの人に体験してもらえるのであれば、それ以上の喜びはありません。 本稿は「Yahoo!ニュース個人」の記事 からの転載。無断転載禁止

022 ゼロウェイスト、市内初のバルク(量り売り)デリ「Precycle」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。今週はブッシュウィックにある「Precycle」です。 レシピを見て凝った料理をするとき、常備していない調味料や食材が必要になったりします。スーパーで買って残りを使わないままホコリが被ったもの、結構あったりしませんか? そんなときに「必要な分量だけ」を買える量り売り(バルクフード)店が、昨年12月オープンしました。昔は日本にもアメリカにもこういうお店、ありましたよね。 ゼロウェイスト(粗末にしない) 「Precycle」のウェブサイトの「The Problem」ページをクリックすると、海岸一帯を埋め尽くしている大量のペットボトルやごみの衝撃的な写真が掲載されていて、考えさせられます。 「市内初のゼロウェイスト専門のグロッサリーマーケットです」と、オーナーのカテリーナ。ジュエリーデザイナーをしていたある日、自宅で大量のごみを見て唖然(あぜん)としたそうです。「過剰包装されていないものを売る店、必要のないごみを出さない店を作ろう」。そう思い付いたのが2015年のことでした。 ここで販売されているものは、米、パスタ、小麦粉、豆やナッツ類、スナックやスパイス、発酵食品、茶葉、オイル類、せっけん、歯ブラシなどの生活用品、そしてジャーなどの透明容器です。 白みそ(1ポンド18ドル99セント)やキムチ(1ポンド8ドル99セント)、豆腐(1ポンド4ドル59セント)、マルカン酢(1ポンド4ドル 99セント)もあります。食品はできるだけオーガニック認証された地元産を仕入れています。 容器を持参しよう 重量分が料金なので、持参した容器の重量を店内にあるスケールでまず計り(その数値をスマホ撮影してレジで見せる)、必要な量だけを入れる。包装などはないので、購入後はそのまま自分のバッグへ。 「オープンから1カ月以上経ち、出たごみは1袋分のみ。これからもごみ量を、同業他社が出す平均量の10%以内に保っていきたい」とカテリーナ。 必要な分だけを買いたい時はもちろん、少量のみ必要な調味料や試したことのない味を試しで買うときなどにも、ぜひ利用してほしいお店です。 (Text & Photo by Kasumi Abe  安部かすみ) 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止

013 手作りコスメ&自然ハーバルスキンケア「Brooklyn Herborium」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。 今週はウィンザーテラスにある「Brooklyn Herborium」(ブルックリン・アーボリウム)です。 ホリスティックスキンケアのお店で、全商品をウィンザーテラス店奥のワークショップ(作業場)で手作り&少量生産しています。 日本の友人に連れて行かれて知ったと話したら、共同オーナーのモウリーは「口コミが日本まで広まっているのね」とうれしそうでした。 妊娠を機に「自然派」に目覚める 商品の原料は自然成分にこだわっていて、ニームの木のハーブなど一部は国産がないため輸入品ですが、基本的にはアップステートの農家などと対話し、仕入れ先を選定。環境問題にも取り組み、熱帯林の破壊につながるパーム油などは一切使用しないなど徹底したポリシーです。 モウリーの第一印象は、すてきな笑顔と透明感のある肌。洗顔にはクレー、保湿にはオイルとミストと自分たちで手作りしたものだけを使っていて、日焼け止めクリームやファンデーションは塗らないそう。以前は芸術家だった彼女は現在3児のママ。1人目を妊娠して、自然派に目覚めたそうです。 心身が健康になるフェーシャルも人気 ベイビーヨガクラスで出会ったハーバリスト&エステティシャンのエマが市販品で肌が荒れ、オリジナルライン「Between You & The Moon」を作ったことから2人は意気投合し、店を2011年に立ち上げました。 ホリスティックとは、肌表面だけでなく体の内側と外側、メンタルなども含んだ総合的なアプローチのこと。フェーシャルサービス(75分、169ドル~)では、コンサルテーションもしっかり行います。 「伝統的なハーバリズムをベースにアユールベーダなどさまざまなメソッドの良さを組み合わせて提供しています。ただし人は自ら治療する力がある。私たちは心身ともに健康になるための『神聖な旅』に出るドアを開けているだけです」 メソッド取得の見習いコース(毎週、3カ月間)もあり(参加無料)。 「いいものは私たちだけのものにしておきたくない」海外からの応募歓迎とのことです。 (Text & Photo by Kasumi Abe  安部かすみ) 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止

009 19世紀の薬屋で食べるイタリアン「Locanda Vini e Olii」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。今週はクリントンヒルにある「Locanda Vini e Olii」(ロカンダ・ヴィニ・エ・オリ)です。 ブルックリン本の取材で、オーナーや地元のミュージシャンにインタビューした際、「おすすめ」ということで偶然にも2人に教えてもらったのが、この店でした(そのうちの1人は、毎週通うほどの大ファン)。 本場トスカーナのシンプルで素朴な味 店名は「ワインとオリーブオイルの旅館」という意味。魅力は何といっても、1896年創業の薬屋さん時代の内装がそのまま大切に残されていることです。 当時使われていたままの戸棚には、アルコールのボトルや置物などが陳列されていますが、「当時のままのピル入りのボトルもあるよ。古いから絶対に服用できないけど」と笑うのは、同店の共同オーナー兼シェフの、ミケル・バルダッチ。 ミケルはイタリア中部のトスカーナ州フィレンツェ出身で、彼がこの店で作っているのも本場のトスカーナ料理。ミケルいわく「一言にイタリア料理と言っても地方によってさまざま。同じ地域でさえも北部と南部では微妙に異なるんだ」と聞いて、妙に納得しました(私の地元福岡は豚骨ラーメンが有名ですが、博多と北九州で確かに違うな、と)。 同店の料理は良質のオリーブオイルや牛肉、豆類などをよく使い、バターの使用は控えめです。一番人気のメニューは、パスタのTagliatelle Al Ragu(17ドル)。どれもイタリアンマンマから受け継がれてきたような、素朴なおいしさです。 「ニューヨークでは手に入らない食材も結構あるんだけど、すべてが手に入ってしまうと世界はつまらなくなる。だからそれでいいんだと思う」という意見に、私も大きく納得しました。 古き良きNYらしさが残る隠れ家 お店に行くときは迷うかもしれません(!)。なぜなら、外観には以前の薬屋「Lewis(ルイス)のオリジナル看板が今でも掲げられているからです(私も初めて行ったとき、気づかずに通り過ぎました…)。 地価が高騰するニューヨークではランドマーク的な多くの老舗が閉店に追いこまれています。このような素敵な店がいつまでも残り続けますように。

007 創作カクテルのおいしいバー「The Binc」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき、今週はブルックリンハイツにある「The Binc」です。 ブルックリンには、歴史的建造物の保存地区が33カ所もあり、ブルックリンハイツは第1号として1965年に認定された地区。 それより102年も前の1863年に創立されたブルックリン歴史博物館を中心に、映画に出てくるような重厚なブラウンストーンが一帯に広がり、街歩きが楽しい地区です。 関連全6店はすべてブルックリンに そんなブルックリンハイツを散策していてたまたま見つけたバーが、この「The Binc」でした。 The Bincがオープンしたのは2016年。姉妹店全6店の一つとして誕生しました。 姉妹店は、Bevacco、Provini、Bar Tano、Bar Toto、Ogliastroなど、すべてブルックリンにあり、イタリア系です。 そしてBevaccoとThe Bincは隣同士で、Bevaccoでの食事後にThe Bincへ移動し2次会というのもカンタンです。 The Bincは看板バーテンダーのフレージャー・タイが生み出す、季節ごとのクラフトカクテルが自慢。常時13種類以上がそろい、好みを伝えればその場でオリジナルカクテルを作ってくれます。 中でも人気は、日本文化にインスパイアされた酒&ジンベースの「ボンサイ」と、メキシコの蒸留酒メスカルベースの「エビータ」。 私はボンサイをいただきましたが、ワサビが鼻腔を通ってほんのり香り、レモンの爽やかさと黒コショウの苦味が混じり合ったユニークな味で飲みやすく、一瞬で飲み干してしまいました…。 環境問題にも真剣に取り組む店 この店は、環境問題にも真剣に取り組んでいます。脱プラスチックに向け、プラ製ストローから紙ストローへの移行をオープン時から計画していました。取引先の会社が紙ストローを取り扱っていないため、紙ストローの業社を調べたそう。 「価格は1本プラ製が0.005セントほどなのに対して、紙製は3~5セントほどに値上がりしました。でも環境保全を考えたらどうってことのない差額です」と、ジェネラルマネジャーのエイミー・マスセナ。 今後は、フードの持ち帰り用の紙製容器の導入も考えていくそうです。T (Text & Photo by Kasumi Abe  安部かすみ) 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止

【留学情報】ニューヨークの語学学校の特徴が一目でわかるリスト(取材まとめ:保存版)

私は元留学生です。 ニューヨークにやって来たもともとの理由は、英語を勉強するためでした。 貯金だけで来たので2年ぐらいの滞在予定でした。 帰るころに仕事が決まり、それから16年もこちらに住むことになるとはつゆ知らず…。 学校選びは大変だった記憶があります。 当時ネットでの情報に限りがあり、学校を選ぶためにアメリカンセンターなどにリサーチに出向いたりしてとても時間がかかりました。だから学校選びの苦労や、留学中の大変さなど、とーても気持ちがわかります。 (つづきを読む)     (Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止