005 ブルックリナイツの社交場「Royal Palms Shuffleboard Club」

  ブルックリンのガイドブックの著者が、本で書ききれなかったことやまだまだあるお気に入りスポットをご紹介します。大切な友人に紹介するとしたら?という目線で選んだ私のとっておきスポット。今週は「Royal Palms Shuffleboard Club」です。     メタルの加工工場をリノベートした、500人収容可能な「Royal Palms Shuffleboard Club」。 1,579平方メートルの広さを誇る元工場ならではの広くて開放的なスペースは、ブルックリンならでは。友人から「ブルックリンらしいところに行きたい」というリクエストを聞いて、まず思い浮かぶお店です。 ここでは、夜な夜なブルックリナイツ(ブルックリン子)がニューヨークでも珍しいシャッフルボードをしながら、飲んだりおしゃべりしたりして、社交を楽しんでいます。   誰でも簡単にできるルールが魅力 シャッフルボードとは、キューと呼ばれる長い棒で円盤を突いて点数が書かれた枠の中に入れるゲームのこと。2人以上からプレーでき、もともとはクルーズ客船の甲板で行われていたスポーツとのこと。 オーナーのジョナサン・シュナップスは、「初心者には無料レッスンがあります。シンプルなルールので、誰でもすぐにプレーできるようになりますよ」と紹介してくれました。   人気は東海岸から中西部にも拡大中 ジョナサンがシャッフルボードと出合ったのは、幼少のころ。 祖父母の住むフロリダで人々がプレーしているのを初めて見て興味がわき、大人になったある日「ブルックリンで若者がシャッフルボードをプレーできる場を作ろう」とひらめいて、2013年にオープン。これが大当たりして噂が広がり、シカゴにも姉妹店ができました。 飲みながらする軽めのスポーツかと思いきや、参加者はチームごとにユニフォームなどをそろえて、リーグトーナメントも開催するほどの熱の入りよう、です。 シャッターを開けたスペースには、週替わりのフードトラックが横付けされ、タコスやホットドッグ、バーベキューなどの軽食も楽しめます。それぞれのグループがプレーしているのを、飲みながら見るだけでも楽しめますよ。   コートの使用料は、1時間40ドルで予約不可(早いもの勝ち)。人数が多ければ多いほどお得です。パーティーは10人以上からコートの予約が可で、ドリンクつきのパッケージ料金も用意されています。 Royal Palms Shuffleboard Club (ロイヤル・パームズ・シャッフルボード・クラブ) (Text & Photo by Kasumi Abe  安部かすみ) 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止

003インダストリアルな雰囲気で世界46ヵ国の豆を楽しむ「Brooklyn Roasting Company」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。今週の私のとっておきスポットは、ダンボにある「Brooklyn Roasting Company」です。 私がニューヨークに移住したのは2002年のことですが、そのころコーヒーといえば、薄くて味もフレーバーもほとんどないものが主流で、おおよそ今市場で出回っているおいしいコーヒーとはまったく別物でした。スターバックスでさえ、数は今ほど多くなかったと記憶しています。 そして時代はサードウェーブコーヒー・ブームとなり、コクや深みのあるコーヒーが浸透し、本格的なカフェも増えました。 どんなコーヒー好きも唸らせる ダンボにある「Brooklyn Roasting Company」(ブルックリン・ロースティング・カンパニー)(以下BRC)は、ニューヨークに数あるサードウェーブ系カフェの中でも、私にとって5本の指に入る店です。 日本からのゲストや友人を何人も連れて行ったことがありますが、どんなコーヒー好きを連れて行っても「これはおいしい!」と言ってもらえる、お墨付きです。 オーナー、マイケル・ポラックは「普通の人はコーヒーを飲みながらほかの話をするけど、僕はコーヒーを飲みながらコーヒーの話しかしないんだ」と言うほど、根っからのコーヒーラバーです。 そんなマイケルは世界46ヵ国のコーヒー農園と提携し、自らが足を運んで豆を厳選。ネイビヤードにある約1,672㎡の広い工場で焙煎&独自にブレンドしています。 「自分の店以外のコーヒーを飲まない」。そんな彼のプラインドあふれるBRCのコーヒー、おいしくないわけがありません。 マイケルは21歳のころからコーヒーを飲み続けているそうですが、ここに到達するまで数々のストーリーがありました。 以前はビデオレンタル店の経営、映画撮影、子ども用ラジオ番組の制作、主夫と子育てなど、さまざまな仕事を経験したのち、現在のビジネスパートナーと出会って、2010年に焙煎工場をオープンしたという、ユニークな経歴の持ち主です。 翌11年、隣の家具屋が退去したのを機に壁を取り壊して店舗スペースを拡大し、現在のカフェスペースをオープン。お店で飲めるようになって、ますます人気が加速しました。 焙煎コーナーに飾られた1枚の絵 日本のメディアの取材ということで、あいさつ早々に「見せたいものがある」と連れて行かれたのは、焙煎コーナーの隅にある1枚の絵。 「昔、フランスの芸術家が外壁に残して行ったゲイシャの絵なんだ」 パナマなどから輸入されるGeishaコーヒー豆(エチオピア種)とかけたもので、マイケルはとても気に入っているそうです。「店のロゴとして使いたくて許可を取ろうと思い、芸術家を探したけど、連絡先がわからずにロゴにするのは諦めた」と言います。 そんな興味深いエピソードを思い出しながらBRCのコーヒーを飲むと、さらに一層味わい深く感じるので不思議です。 (データ) Brooklyn Roasting Company 25 Jay St. (718) 514-2874 地下鉄F線York St駅から徒歩4分 (人物キャプション) 大のコーヒー好きのオーナー、マイケル。©️ Kasumi Abe (店内キャプション) 2017年『Men’s Journal』誌で「全米ベストロースター25」の1つとして選ばれた。©️ Kasumi Abe 女優のグウィネス・パルトローもここのファンだと、WSJ紙で語っている。©️ Kasumi Abe (Text by Kasumi Abe 安部かすみ) 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止

002フレンチ&インダストリーの融合、 週末は2,000人が集まる「Lot 45 Bushwick」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。今週は、ブッシュウィックにある「Lot 45 Bushwick」です。 壁画街「ブッシュウィック・コレクティブ」のあるブッシュウィック・エリアは、クリエイターが多く住み、今ブルックリンでもっとも勢いがある地区の一つです。 私も2005年まで1、2年ほど住んでいました。「おしゃれだから」ではありません。好条件の家がたまたま見つかったからで、飲みに行くのはいつも決まって数駅先のおしゃれなウィリアムズバーグでした。 ブッシュウィックは長年劣悪な治安で、犯罪と戦ってきました。 1980年代、この辺に住んでいた知り合いの女性曰く「拳銃の流れ弾が飛んでくるのは日常茶飯事」だったそうです。私も空き巣に入られたり路上で変質者に遭遇したり、いろんな目に遭い引っ越しました。数年後に、こんなクリエイティブなエリアになるとは思いもせず…。 商業トラック製造所を改造 音楽&イベントベニューも兼ねたレストラン&バー「Lot 45 Bushwick」は、生まれ変わったこのエリアを象徴する店。 19世紀に商業トラックの製造所だった広い敷地を利用し、奥はバースペース、手前のパティオエリアはコンテナを改造したミニキッチンや卓球台もあり、夜な夜な近所のヒップスターが集います。 ラモン・ノラレホ(Ramon Noralejo)が2013年にオープンし、フランス出身のシェフ、サミア・ベハヤ(Samia Behaya)が共同オーナーとして参加。 ラモンが初めてこの空スペースを見たとき「大きなリビングルームが頭に浮かんだ。そこには風が通り抜ける明るいベランダがあって…」。まさに今のLot 45です! 料理は近郊農家で仕入れた食材を使い、すべて手作り。サミアの両親のルーツ、アルジェリアとフランスのフレーバーがミックスした季節ごとの手料理は、店が混んでない時間帯にぜひトライしてみてください。 姪っこへの思がこめられたキッチン さて店名の意味を問うと、「Lotは大きなスペースを表しているのと、ここはもともと店外の向こう側まで一つの大きなプロパティで、店舗リースにサインをするときに割り振られたロットナンバーが45だったのさ」とラモン。 そして「実はねこの店には別のストーリーもあるの」とサミア。 サミアが立つコンテナキッチンは「djenna 」(ジェナ)という名前がついています(アラビア語でパラダイスという意味)。 「2012年に亡くなった姪の名前よ。彼女は生前『フードトラックをしてみたら』とアドバイスをしてくれていた。姪を忘れないために名付けたのよ」 多くのほろ酔いパーティーピープルは気づかないかもしれないけど、ブッシュウィックのイケてるスポットの随所には、そんなオーナーの大切な思い出が込められているのでした。 Lot 45 Bushwick 411 Troutman St. (347) 505-9155 地下鉄L線Jefferson St駅から徒歩2分 時間があれば、ここにも立ち寄ってみて Company XIV (Text by Kasumi Abe 安部かすみ) 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止

【留学情報】ニューヨークの語学学校の特徴が一目でわかるリスト(取材まとめ:保存版)

私は元留学生です。 ニューヨークにやって来たもともとの理由は、英語を勉強するためでした。 貯金だけで来たので2年ぐらいの滞在予定でした。 帰るころに仕事が決まり、それから16年もこちらに住むことになるとはつゆ知らず…。 学校選びは大変だった記憶があります。 当時ネットでの情報に限りがあり、学校を選ぶためにアメリカンセンターなどにリサーチに出向いたりしてとても時間がかかりました。だから学校選びの苦労や、留学中の大変さなど、とーても気持ちがわかります。 (つづきを読む)     (Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

001ミシュラン二つ星、 新たな食の冒険ができる店 「Aska」

ブルックリンのガイドブック『NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ』の著者、安部かすみが、本で書ききれなかったことや、まだあるお気に入りスポットを紹介します。「大切な友人に紹介するとしたら?」という目線で選んだとっておき。今週の私のとっておきスポットは、ウィリアムズバーグにある「Aska」です。 ニューヨークに住んでいると、居酒屋、ラーメン、寿司など日本食はもちろん、ハンバーガーにメキシカン、中華にシシカバブetc…と、世界旅行ができるくらい、どこの国の料理も気軽にアクセスできますよね。 ニューヨーク在住歴が長くなってしまった私も、だいたいのものはこの街で食べてきましたが、世界はやっぱり広かった!まだまだ食べたことがない料理もたくさんあります。「おそらく皆さんもあまり馴染みがないのでは?」と思う料理が、ここ「Aska」でいただけます。 開店4ヵ月でミシュラン2星獲得 アスカはスウェーデン出身のフレドリック・バーセリウス(Fredrik Berselius)が手がける、北欧料理にルーツを持つニューヨーク・スタイルのレストランです。2016年のオープンからたったの4ヵ月で、ミシュラン二つ星を獲得したすごい店なのです(二つ星は現在まで更新中)。 そんな才能を放つイケメンシェフ、フレドリックですが、かつてはプロのスノーボーダーになることを夢見ながら実現できず、将来の自分に不安を抱えていたどこにでもいるような若者でした。 建築やデザインの勉強をしたり、バイクメッセンジャーやモデルの仕事をしながら、マンハッタンの某高級レストランにレジュメを直接持参して働き始めたことから、調理の基礎を築き、セレブシェフとして開花した大変な努力家です。 新たな食の冒険ができる店 アスカに行くとまず苦手な食材を聞かれます。アボカドが嫌いな友人は「大丈夫。うちでは使ってない食材です」とサーバーに言われました。 ここでは、ビーフ、カタツムリ、魚介類、海藻、キノコ類、ベリー類など、フレドリックが食べて育った馴染みのある故郷の食材を使った料理がまるで芸術品のようにクリエートされます。 中には、アップステートにあるセカンドハウスや店に併設したガーデンで栽培した食材も。 「新たな食の冒険」がコンセプトで、Lichenという地衣類(コケの一種で磯のような独特の香りが特徴。キャラメルクリームやスプルース酢など甘酸っぱい出汁入り)や、Mignardisesという豚の血を使った生チョコなど、「わぁ〜これ何!?」と何度言ったことか。 チップ込みで185ドルか265ドルの2種類のコースは、これぞという特別な日に超おすすめ(要予約)。地下スペースとガーデンは予約なしで、ドリンクだけでも利用できますよ。 Aska 47 S. 5th St. Brooklyn, NY 11249 (929) 337-6792 地下鉄J・M・Z線Marcy Av駅から徒歩11分、フェリーSouth Williamsburg乗り場から徒歩8分 時間があれば、ここにも立ち寄ってみて Domino Park (Text by Kasumi Abe 安部かすみ) 本稿は、Weekly NY Japionのコラム Brooklyn本著者が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」を転載した。無断転載禁止©️ Kasumi Abe

ニューヨークの人気スィーツ店Egglooが「色が変わるアイスクリーム」を新発売

ニューヨークで人気のアイスクリーム屋を経営している若きアントレプレナー、マイクさんから連絡をいただきました。 彼のお店の名前はEggloo(エッグルー)と言って、2016年のオープン以来、Instagramのフォロワーは4万人超え。人気過ぎて、イーストビレッジにも新店を出したほど。 オープン時に書いた記事 とにかく大成功しているスィーツ店です。そのマイクさんが 今度、うちで新しい商品出すんだ。Changing color ice creamって言うんだ。食べにこないか? と言うではありませか。 お誘いは基本断らないがポリシーの私。しかも、すっかり30℃超えで一気に夏になったかのようなニューヨーク。アイスクリームとは、なんとパーフェクトなお誘いではないですか。 二つ返事でOKしました! と言っても、行くまでChanging color ice creamが何のことだかよくわかっていなかった私…。 さっそくお店のスタッフが作ってくれました。 左はBefore、右はAfter。 わかるかな? この左に刺さっているスポイドの中の液体をかけたらあら不思議、青色が薄紫に変わって、さらにインスタ映え! 食べてみると、お茶のフレーバーで、アメリカらしからぬ甘さひかえめのお味です。(たこ焼きワッフルこと、香港スタイルのエッグワッフルが甘めなので、バランスが良い) アメリカの中でも、健康志向の人が多いと言われるニューヨークですが、庶民派スーパーやデリに行くと、体に悪そうな色と液体がそこかしこで大量に売られている。 このスポイドの液体も何か?と訝しげに思っていると、「自然のレモン汁だよ」とスタッフが教えてくれました。 ちなみに、ソフトクリーム(アメリカではソフトサーブと呼びます)は、アールグレイの茶葉とバタフライ・ピーの茶葉のブレンドで、この青色はバタフライ・ピーの茶葉からのナチュラルカラーだそうです。 ソフトサーブはカップが5ドル、エッグワッフル入りが9ドル。エッグワッフルな外側カリッと内側やわらかくておすすめです。 4月27日に発売したばかりの新商品で、店内にはまだメニューがない、いわば隠れメニューなのですが、インスタグラマーのお客さんが、店内メニューを見ずとも次々に注文していました。 1号店の場所はこちら 2号店のイーストビレッジ店はこちら 【お問い合わせ】 https://www.myeggloo.com/  

ニューヨークでディープでアングラな芸術を観るならこれ。ブルックリンの超人気バーレスク『シンデレラ』

ニューヨークではブロードウェイのショーもいいけど、もう少しディープでアングラな芸術を求めているなら、バーレスクに行こう。   バーレスクは、昔からニューヨークのいたるところにあって、バーなどこぢんまりとしたベニューで開催されている、ちょっとエロスでコミカルなショー。   アメリカ女子たちが、誕生日パーティーや結婚式の前夜に行うバチェラレットパーティーをこのバーレスクで楽しむことも多い。 また、通常のバーで、例えば午後8時以降、バーレスクショーを上演するというところも多いので、同僚と仕事上がりに飲みながら観たりすることもあるし、普通の観光客にももちろん人気。   その中でも私のおすすめは、ブルックリンのブッシュウィックで木、金、土、日曜のみ上演しているCompany XIV(カンパニーフォーティーン)の『シンデレラ』。 ショーとしての完成度、ダンサーらのレベルは非常に高い。周辺の治安は近年向上しており、夜間でも特に問題ないとされている(ただし観光客の一人歩きはなるべく避けた方が無難)。 チケットは当日上演時間の直前だと、インターネットではアップされていない安い残席が残っていることもある。 観劇は18歳以上(要ID)。チケットは65~300ドル。   【お問い合わせ】 Company XIV (All photos, video and text by Kasumi Abe) 本稿は、ブログ『ニューヨーク直行便』の投稿記事を一部加筆した。無断転載禁止

【GW直前】観光客に「これ何?」とよく聞かれるNYの建築物3選(ニューヨーカーでも知らない豆知識)

  「こんなに古くて歴史的な高層ビルがたくさん残っているとは思わなかった」というのは、ニューヨークを観光で訪れた方からよく聞かれる言葉です。どうやら日本に住む人にとって、ニューヨークといえば、東京のようにキラキラ輝く近代的な高層ビルばかりが乱立しているイメージがあるようです。 しかしニューヨークに降り立ち、マンハッタンを少しでも歩けば、エンパイアステートビルやグランドセントラル駅に代表されるように、歴史のある瀟洒なデザインの建築物がこの街にたくさん残されていることに気づくでしょう。東京にはないニューヨークの良さは、これら歴史的な建築物と近代的な建築物が混在していることにあります。 今年のゴールデンウィークにニューヨークを訪れる人も多いでしょう。ニューヨークを象徴する新旧建築物の中から、「これ何のビルですか?」と観光客に聞かれることの多い建築物3つと、ニューヨーカーでも知らない豆知識を紹介します。 The David N. Dinkins Municipal Building(ザ・デービッド N・ディンキンズ・ミュニシパル・ビル) ブルックリン橋をマンハッタンからブルックリン方面に歩いて渡る際、橋の入り口左手に立つこの荘厳な建築物は、ザ・デービッド N・ディンキンズ・ミュニシパル・ビルです。 6年かかって1914年に竣工し、完成当時、世界有数の規模を誇る庁舎として話題になりました。市内で最初に地下鉄の駅と連結した画期的なビルとしても知られています。1914年といえば日本はちょうど大正3年。大正初期の時代にすでにこのような高層建築技術がアメリカにはあったのだと驚くばかりです。 庁舎内は、市政監督官、パブリック・アドヴォケート(公的擁護)、マンハッタン区長室の3つのオフィスと、建物を管理する市営行政サービス局の本部があり、約1,000人が毎日ここで働いているとされています。市の財務省や税務署、公務委員会、歴史的建造物の保存委員会、ペイロール(給与)管理局、環境保護局、市長の関連チーム、IT&通信局もここにオフィスがあります。 ビル名は、この街の経済回復に貢献したデイビッド ・ディンキンズ(David Dinkins)元マンハッタン区長に敬意を払い、2015年、The Manhattan Municipal Buildingから現在の名前に改名されました。 建築資材は石灰岩で、ローマ建築、ルネサンス建築、クラシカル建築に影響を受けた建築様式が特徴です。 1階のオープン広場には、古代ローマ時代のコンスタンティヌスの凱旋門に影響を受けたアーチや柱があり、3階部分までの高さは、下から見ると圧巻の一言。 また、建物の一番上に乗っているのは、Civil Fame(市民の名声)という名の金色の女性像。市内5区が集まってできたニューヨーク市を祝っているもので、像の左手には五岳の冠があります。この像、下から見上げるととても小さく見えるのですが、実際は7m弱の大きさです。 建物は、結婚の儀式を執り行うシティクラークス・オフィスとしても長年使われてきました。2009年にシティクラークス・オフィスが現在の場所に移転するまで、約30万人のニューヨーカーがここで結婚式をあげたそうです。 写真はこちらのウェブサイトからも確認できる。(引用元) The William Vale(ザ・ウィリアム・ヴェイル) 低層の建物が多く、マンハッタンに比べて空が広いブルックリン。その中でも特に人気のエリア、ウィリアムズバーグ北部を歩いていると、近年視界に入ってくるのは、1つだけ飛び出ている高層近代建築。これは、ザ・ウィリアム・ヴェイル というデザイナーズホテルです。2016年開業の22階建てビルで、全183室にベランダがついているのが特徴です。 この建築を手がけたブルックリンの建築会社アルボ・リベリス社のニック・リベリス氏によると、(近年のブルックリンスタイルのトレンドである)インダストリアル・デザインのマネゴトだけは避けたいというクライアントの意向を汲み取ってデザインし、完成させたものだとか。 また、ホテルを下から支えるコンクリート製のトラス構造は、ブルックリンの象徴である橋、工場設備や跡地、タンクなどとうまく同化するようにデザイン、設計されたものだそうです。 ザ・ウィリアム・ヴェイルが決して無機質な印象を与えていないのは、ここを訪れるとすぐにわかります。敷地内には、芝生のある屋外広場、ヴェールパーク(Vale Park)があり、気候の良い季節はミスターディップス(Mister Dips)というレトロなフードトラックでランチを買ったり、休憩で芝生の上に寝っころがっている人々なども見かけます。 ホテルのルーフトップバー、ウェストライト(Westlight)はぜひ訪れてほしいです。ゴージャスなマンハッタンの景色を見ながら飲むマティーニは、格別です。 Oculus(オキュラス) 最後はこちら。世界貿易センター跡地のグラウンドゼロを観光する人に、必ず「あれ何ですか?」と聞かれるのが、このオキュラスです。2016年にグランドオープンした、大きく広がった鳥の翼や何かの骨を連想させるような、クリエイティブな近代建築物は必見です。 マンハッタンとニュージャージー州を繋ぐPATHトレイン、地下鉄ワールド・トレード・センター駅、ショッピングモール、室内プラザから成るオキュラス。広さは約7万4300平方メートルで、ターミナル駅としては市内で3番目に大きな規模です。 建築家は、スペイン出身のサンティアゴ・カラトラバ(Santiago Calatrava)氏。アテネオリンピックのスタジアムを手がけたことでも有名で、ほかにも青空に映える白色と、骨や翼を組み合わせたようなフレームがトレードマークの建築物をたくさん創ってきました。米国内ではほかにも、テキサス州ダラスのマーガレット・ハント・ヒル橋やウィスコンシン州のミルウォーキー美術館新館なども、カラトラバ氏が手がけています。 オキュラスの見所はユニークな外観同様に、内側も見逃せません。建物の内側両脇に、エスカレーターを併設した階段があります。構造計算を駆使して、下からの支柱がないまま、内側に飛び出したかような状態で設置されているんです。建築業界の関係者でさえも、「どのように支えられているのか?」と首をひねるほど高度な技術で作られたものです。近代建築が好きな人は、必ず見てほしい建築物の1つです。 以上、「これ何?」と聞かれることが多い建築物3選を紹介しました。ニューヨークを訪れる際には、この記事を参考にしながら街歩きを楽しんでいただけたらうれしいです。 (All photos and text by Kasumi Abe) 本稿は、ニューヨーク便利帳2018年4/20号の記事を転載し、一部加筆した。無断転載禁止

3ヵ月で4店舗が次々にオープン。ニューヨークでも「いきなり!ステーキ」の勢いが止まらない

私が日本で子どものころ慣れ親しんだステーキは、大きさはあれど薄い肉だった。だからアメリカに来て、ステーキハウスで初めて熟成肉のTボーンステーキをオーダーしたときに、その大きさ、厚さ、噛み応え、舌触り、香りに驚いたものだ。 アメリカ人はステーキハウスを接待やイベントでよく使うが、普段使いも比較的多く、肉の消費量は日本の比ではない。そんなステーキ王国ともいえるアメリカ、ニューヨークで、「安くて、スピーディーで、おいしい」の三拍子で勝負をかけている日本の飲食チェーンがある。「いきなり!ステーキ」だ。 いきなり!ステーキが、海外初出店のニューヨークに第1号店を出店したのは、ちょうど昨年の今ごろだった。 (1号店オープン時の記事)   1号店オープン時の2017年2月、創業者であり代表取締役社長の一瀬邦夫氏は「年内に10店舗オープンする」と明言していた。しかし同年11月までに新規オープニング情報は入ってこなかった。 ところが、12月に入って堰を切ったように2号店がマンハッタンのチェルシー地区にオープン。続いて2018年1月に3号店がタイムズスクエアに、2月に入ってからもその勢いは続き、4号店、5号店が同じくチェルシーとタイムズスクエアの別の場所に連続オープンしている。 2月16日(金)、タイムズスクエア近くの「5th アベニュー店」がグランドオープンした。元ニューヨークヤンキースの松井秀喜氏をゲストに招き、午前10時30分より華々しくオープニングセレモニーが行われた。

ブルックリンにオープンしたNY初の酒蔵「Brooklyn Kura」【創業者インタビュー】

ニューヨークでは、もはや珍しくない食のジャンルになってしまった日本食。レストランに行くと、現地の職人が器用にお寿司を握っていたり、熱々のおいしいラーメンを作ったりしている姿をよく目にする。板前が包丁持つまでに3年(もしくはそれ以上)というのは、伝統的な日本食の限られた世界だけの話になってしまったようだ。 そして時代は2018年。世界中のもので手に入らないものはないと言われるこの街で、これまでなかったものの一つに日本の酒蔵があったが、まさかニューヨーク初の酒蔵がアメリカ人によって作られるとは、誰が想像しただろうか。 オープンした酒蔵の名は、「Brooklyn Kura(ブルックリン・クラ)」。場所はトレンドの発信地ブルックリンで、クリエイターやアントレプレナーたちから大注目を浴びる、一大複合ビル群「Industry City(インダストリー・シティ)」の一室だ。 本格的な日本酒をNYで作った2人の男たち 早速、ブルックリン・クラを訪れた。鮮やかな青色のドアや、打ち放しのコンクリート壁や床など、モダンなインテリアがお出迎え。純米吟醸酒を試飲させてもらったが、程よいドライさと甘さが混じり合い、「この味がアメリカで実現できるとは」と驚く。麹の発酵から30~40日後にはここでいただけるとあり、できたて新鮮なお酒を飲めるのも魅力的。冷やや常温でもおいしいが、半年~3年ほど寝かせて熟成させても味わいがより深くなりそうだ。 この生まれたばかりの酒蔵で、共同創業者のブライアン・ポレン(Brian Polen)氏とブランドン・ドーン(Brandon Doughan)氏に話を聞いた。 日本旅行中に出合い意気投合した ── 2人が酒蔵をオープンするに至った経緯から教えてください。 ブライアン:僕たちは2013年、共通の友人の結婚式に参列するために日本を訪れた際に出会った。滞在中に何人かで飛騨高山や京都を訪れた。実はそれまで僕たちは日本酒についてほとんど知らなかったんだけど、たまたま訪れた伝統的な酒蔵で日本酒の美味しさに出合い、魅了されてしまったんだ。 ── 日本で飲んだ日本酒はどんな味でしたか。 ブライアン:これまでアメリカの日本食レストランで飲んだものとは似て非なるものだった。決して簡単には生み出せない複雑な味わいで、質の高さに驚いた。僕は当時金融マンで、ブランドンは生化学者。2人ともモノ作りに興味があり、ビール造りの工程を見学できるブルワリー訪問が好きという共通点があった。2週間の滞在中に多くの酒蔵を訪れ、さまざまな種類の酒を試飲した。 ── 自分たちで造ろうと思ったきっかけは何だったのですか。 ブランドン:僕は長年、趣味の一環でクラフトビールを自宅で作っていたんだ。1回あたり24ビールを一気に作っていた。まぁビールというより、どちらかというと「発酵」自体に興味があった。だから、自宅で醤油を造ったこともあるよ。日本でおいしい日本酒と出合って造り方を見学し、これはアルコール類の中でももっともユニークな発酵物だと思った。 ブライアン:アメリカの小さな街ではだいたいどこも地ビールや地ワインがあるけど、地酒はほとんどない。だからブランドンと話をして、地酒がなぜアメリカにはほとんどないのか? ないなら僕たちで造ろうじゃないか、となったんだ。 ── どこで日本酒造りを学んだのですか。 ブランドン:静岡県沼津市の高嶋酒造や長野県諏訪市の宮坂醸造、アメリカ・ポートランドのSaké One(サケ・ワン)で、見習いとして実地訓練をさせてもらった。また、酒造りの本でもいくつか学んだ。酒造りについて最初に学んだことは、「日本酒については一生学ぶことがある」ということだった。 原料は日本や全米各地から調達 ── そして、ニューヨーク初の酒蔵がオープンするに至るわけですね。 ブライアン:そのとおり!全米には大小合わせて約15~16軒の酒蔵があるけど、僕たちの酒蔵はニューヨークで最初の酒蔵になった。日本から戻ってすぐに、限られたスキルと知識で自宅で日本酒造りを始めた。それから2016年、ブルックリンのブッシュウィック地区の小さなスペースを実験的に借り始めた。当時は技術的にも未熟で今の10分1くらいのスキルしかなく、すべてが手探りだった。しかし日々酒造りに挑戦していくうちに、僕たちにも質の高いものができると自信がつき、本格的な酒蔵を作るため2017年3月この場所を確保し、6月中旬ごろから設備を整えはじめた。 ── 日本酒の原料はどこから調達していますか。 ブライアン:日本産の麹菌と日本とアメリカ産の酒母(しゅぼ)、カリフォルニア産とアーカンソー産の酒米(山田錦)、そしてブルックリン産の水を使っている。酒米はカリフォルニアとミネアポリスの業者に依頼し表面を60%磨いてもらい、それ以外は発酵からボトル詰めまですべての工程をこの酒蔵でやっているよ。 ── ブルックリンの水は日本酒造りに適していると思いますか。 ブランドン:ブルックリンの水質には自信を持っているよ。ニューヨーカーが世界に誇るべきご当地グルメ、ニューヨークスタイルのピザやベーグルも、同じ水源の水で作られているからね。それらで証明されているように、水質はすばらしい。ニューヨーク市が約100年前に開発し整備した水源がアップステート・ニューヨーク(ニューヨーク州北部)にあって、そこからニューヨーク中に水が供給されているんだ。軟水でイースト(酵母)に適しているが、パイプの関係で粒子、鉄分、塩素が含まれるので、フィルター(浄水器)に通してそれらを除去し、ミネラルを残している。 ── このブルックリン・クラでは、どのような日本酒を製造していますか? ブライアン:現在、純米吟醸生原酒を中心に造っていて、おり酒や搾りたてなどの期間限定商品も、このタップルーム(試飲ができるバーエリア)で出しているよ。将来的に、純米酒、純米吟醸生貯蔵、にごり酒、スパークリング酒なども加えて、生産量は年間最大300石(こく・一石=180リットル)まで増やし、市内の主要な酒屋や酒バーにも卸していきたい。このインダストリー・シティ内に人気バーベキュー店や日本のフードホール「Japan Village」がオープンする予定なので、そこに行った人が帰りに寄ってくれる場所になったらいいな。 日米で日本酒ファンを増やしていきたい ── 日本酒ファンへ何か伝えたいことはありますか。 ブライアン:日本酒事業に参入し日本と繋がれるのは、僕たちにとって大変な挑戦だけど、同時にすばらしく誇りに思える。また僕たちが交流させてもらっている日本の酒蔵は、新たな酒蔵がブルックリンにオープンしたことを喜んでくれていてとてもうれしい。僕たちは伝統的な日本酒をリスペクトしているし、僕たちは僕たちで独自のスタイルのアメリカンクラフト酒をこの地で造っていきたい。 ブランドン:アメリカではたまに他国から持って来たものがぐちゃぐちゃにかき混ぜられたりすることが起こるけど、悪い例ばかりではない。例えばビールはアメリカでIPAが造られ世界に広がっている。カリフォルニア産ワインも個性的なものとして世界で高く評価されている。逆バージョンだってそう。日本産のウィスキーは今では世界一のクオリティーがあると呼び声が高いが、10年前に誰が日本のウィスキーを知っていただろう? ここで造られるアメリカンクラフト酒が今後どう発展していくか、楽しみに見守ってほしいな。 ── 今後積極的に挑戦していきたいことは何ですか。 ブライアン:この酒蔵の中にあるタップルームをイベントスペースとして活用したい。白ワインやミックスドリンクのようにもっと身近なものとして日本酒をこちらの人に楽しんでほしいから、日本酒のプロモーションのためのワークショップなどを開いて、日本酒のおいしさを啓蒙していきたい。また、日本から来る酒蔵の方にも使ってもらえたらと思う。酒だけじゃなく、いろんなイベントのために使っていきたい。 ブランドン:僕たちは、どのようにしたら質の高い日本酒ができるのか、いつも情熱を持って集中して考えているので、本気でやったら不可能なことはないと思っている。 アメリカは日本酒の輸出先としてもっとも大きな市場だ。私たちはこの市場を成長させたい。日本酒全体にとってもよいことだと思う。 ブライアン:今日本の若者の間では日本酒離れが進み、クラフトビールやウィスキー人気が高まっていると聞く。でもここ、ブルックリンのクールなトレンドを発信する土地柄を利用して、うちが成功することでそのトレンドを日本に逆輸出し、日本中で日本酒ファンが増えるといいなと思っている。 公式サイトBrooklyn Kura (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■取材国・都市:アメリカ・ニューヨーク 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2018.2.17)「NY初の酒蔵「Brooklyn Kura」がオープン。日本酒をタップでアメリカ流に提供も」より転載(無断転載禁止)ウェブサイトのコピー