NY市が決別するトランプ・オーガニゼーションって?… 意外なスポットも「トランプ帝国下」だった

アメリカ下院本会議は13日、トランプ大統領に対して弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。 トランプ氏は「大がかりな魔女狩りの続きだ。すさまじい怒りを引き起こすことになるだろう」と同決議案に強く反発していたが、2019年のウクライナ疑惑に続いて2回弾劾訴追された、全米史上初の大統領となった。 同日ニューヨーク市では、ビル・デブラシオ市長がMSNBC局の朝のニュース番組に出演し、トランプ・オーガニゼーションが市内で運営する4つの人気アトラクションとの契約を打ち切る予定であることも発表されていた。 契約は数百万ドル(約1億円)規模とされているが、同市長は「政府組織に対する反乱の扇動は、明らかに犯罪行為だ。企業とそのトップがそのような違法行為を働いている場合、契約破棄の権利は我々にある」と述べた。さらに「ニューヨーク市はトランプ・オーガニゼーションとは今後何の関係もなくなる」と、トランプブランドや関連事業との断交を強調した。 トランプ・オーガニゼーションとは? トランプ・オーガニゼーションとは、世界中に広がる500ものビジネスを擁する一大グループ企業のことだ。 不動産事業が核となっており、それに付随する商業および住居用ビル、ホテル、リゾート、ゴルフ場、ワイナリー、カジノ、航空、メディア、小売、飲食、ホスピタリティーなど数えきれない。関連事業全体で働く従業員は2万人を越えるとされている。 その中には、五番街のトランプタワーといったわりと有名なスポットから、セントラルパークのアイススケート場やメリーゴーランド、高級フレンチレストラン「ジャン・ジョルジュ」など意外なスポットまで含まれており、ニューヨーク観光の際に何の気なしに訪れたことがある人も多いだろう。 ニューヨーク市が運営面で何らかの契約を締結しているのは、うち4事業だ。セントラルパークのアイススケート場「ウォルマンリンク」と「ラスカーリンク」、そしてメリーゴーランド「カルーセル」、そしてブロンクス区のゴルフ場「トランプ・ゴルフ・リンクス」の4スポット。 特に2つのスケート場とメリーゴーランドは映画でもおなじみの人気の観光名所であり、一般市民(特に子連れの家族)にも親しまれているものだ。だから、筆者も(おそらく大多数の市民も)、これらがトランプ組織の傘下だとは、このニュースを聞くまで知らなかった。 市の突然の決定に対して、トランプ氏に代わり2017年から運営に携わっている次男のエリック・トランプ氏はABCニュースで、「デブラシオ市長の無能さを露骨に表した最たる例であり、政治的差別以外の何ものでもない」と反撃。「ニューヨーク市に我々との契約を強制終了する法的権利はない。市がそれでもプロセスを進めるとなれば、我が社に3000万ドル(約30億円)以上の債務を負うことになる」と威嚇し、市に対して宣戦布告した。 トランプ・オーガニゼーションと言えば10日にも、全米プロゴルフ協会(PGA of America)が、2022年の全米プロ選手権を同オーガニゼーション所有のゴルフ場「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ」(ニュージャージー州)で開催しないと発表したばかりだった。 トランプ氏が訴える「現代の魔女狩り」は、トランプブランドの失速まで及ぶか。 関連記事 今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に トランプ支持者は、厳重なハズの議事堂を「なぜこれほど簡単に」襲撃できたのか? ── 現地で深まる謎 跡形もなくなったトランプ氏ツイッター。世界のリーダー7人はビッグテックの制裁をどう見たか? 次期駐日大使にトランプの長女、イヴァンカ・トランプが浮上。その噂について現地の声を聞いた(’06) (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

ビッグテックの制裁、世界のリーダー7人はをどう見たか?

米ビッグテックによるトランプ氏への制裁について、世界のリーダーたちの反響はどうだろう? ツイッターアカウント停止の判断について「民間のテック企業ではなく、市民や国に任せるべき」という声が多く上がっている。ニューヨークポスト紙で紹介されている、世界のリーダーや有力者らの意見はこちら。 ●アカウント削除の判断が、民間の企業の手の内にあることにショックを受けた。 これらの措置の決定は、会社のトップではなく、市民によりなされるべき。 (ソーシャルメディア上の発言内容が法律に違反している場合)違反を主張できる「規制の公的枠組み」が必要。削除か罰金を課すかなどの判断は、市民と立法府によって決定されるべき。 (欧州連合のフランス担当次官、クレマン・ボーヌ氏) ●コンテンツを規制する責任は国や政府にあるべき。 デジタル・ジャイアントの規制は、デジタル・オリガーキー(君主制や民主制に対して、少数の人間が支配する政治形態のこと)によってできるものではない。 ビッグテックは民主主義にとって「脅威の1つ」だ。 (フランスのブルーノ・ルメール経済・財務相) ●ソーシャルメディアがトランプ氏の検閲力を持っているのは「悪い兆候」だ。 誰であろうとも、ツイッターやフェイスブックに投稿する権利を奪われたり、検閲されたりすることは、受け入れられない。 世論を管理する検閲裁判所のような存在は、本当に厄介だ。 (メキシコのオブラドール大統領) ●(ツイッターによるアカウント禁止について)この基本的権利に介入できるのは法と立法府であり、ソーシャルメディアの管理者による決定であってはならない。これらの観点からメルケル首相は、トランプ氏のアカウントが永久凍結されたことは問題だと考えている。トランプ氏は自身の意見を表明できる場を持って然るべき。 (ドイツ・メルケル首相のスポークスパーソン、 ステフェン・セイバート氏) ●トランプ氏の阻止は、検閲に値する。 ツイッター社はなぜ、オーストラリアの兵士がアフガニスタンの子どもを殺しているように合成されたフェイク写真を中国政府が投稿したことを許し、削除しなかったのか。まだアメリカの大統領である人物の投稿を削除する場合、それらの兵士の写真についても考える必要があると、ツイッター社のオーナーに言いたい。(その偽りの写真は)まだ削除されておらず、誤りである。 (オーストラリアのマイケル・マコーマック副首相) ●(ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対するツイッターの扱いについて同様の懸念を表明。自身のアカウントをトランプ氏の写真に差し替え)マドゥロ氏のアカウントがありながら、トランプ氏のアカウントが停止される世界は正常ではない。 (ブラジル、ボルソナロ大統領の子息、エドゥアルド氏) またワシントンポスト紙によると、一般的に欧州の社会は、アメリカより政府による規制を受け入れており、近年はよりアグレッシブにハイテク・ジャイアントの行動を取り締まるなど、対応が進んでいるという。 そんな中で欧州委員会副委員長で欧州連合のデジタル・エンフォーサーのトップ、マルグレーテ・ベスタガー氏は「(フェイクや問題投稿とそのアカウントをどうするかの)課題にどう対処するべきかの決定は、責任の伴わない企業のリーダーではなく、社会の手に委ねられるべき」とした。一方でツイッター社の今回の措置については、「大統領が人々に議会に向かうように促すなど『極端なケースの中でもさらに極端な状況』への対応だった」と理解を示した。 米ツイッター社の関連記事 バイデン暴露記事の拡散ブロックするツイッターに非難殺到 CEOは誤り認めたが・・・ (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

跡形もなくなったトランプ氏ツイッター。暴動扇動で永久凍結に

トランプ氏のツイッター、永久凍結 連邦議会議事堂で6日に起こった暴動を扇動したとして、ツイッターアカウントから「永久追放」されてしまったトランプ大統領。 暴動直後は以下のように、プロフィールは見える状態だったが、現在「跡形も無く」全削除されている(写真上)。 一掃された今でも @realDonaldTrump アカウントがかろうじて残されているのは、第三者によってこの世界一有名とも言えるアカウントが悪用(再利用)されるのを防ぐためだろう。 筆者の記憶では、多い時で8880万人以上ものフォロワーがいたトランプ氏のツイッター。8000万人が投票したとされる次期大統領のバイデン氏でさえフォロワー数は2370万人であるのと比べても、トランプ氏の発信力、拡散力、そして(中には虚言と見られる情報の)影響力が、ツイッター上でいかに群を抜いていたかがわかる。 永久停止措置の理由として、米ツイッター社は以下のように声明を出した。 メインアカウントが永久停止となった後、トランプ氏は米政府所有の @POTUS アカウントから、自身の言論の自由について反撃ツイートを続けたが、それらのツイートもツイッター社によって即削除された。 @POTUS アカウントからのツイートの削除について、ツイッター社がどのような手順を踏んだかは不明だ。 ツイッター社はまた、Qアノンの陰謀説関連の7万以上のアカウントも削除した。 ビッグテックが相次ぎ、トランプ氏の利用停止 or 制限つきに トランプ氏のアカウントを停止もしくは制限つき措置にしているビッグテック14社はこちら。 米フェイスブックもトランプ氏に対して同様に使用停止措置を取っているが、6日の午後までの投稿は見られるようになっている。 しかし大統領就任式を20日に控え、フェイスブック社は11日、不正選挙に対しての合言葉「Stop the Steal」(票を盗むのを止めろ)関連の投稿を、一般投稿も含めて全面排除していくと発表した。 (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

トランプ支持者は、厳重なハズの議事堂を「なぜこれほど簡単に」襲撃できたのか? ── 現地で深まる謎

米首都 暴動で死者5人、逮捕者82人に (前回「トランプ支持者の『誰』が議事堂を襲撃したのか?」からの続き) なぜ、いとも簡単に侵入できたのか? この事件が起きて現地では「議事堂ってそんな簡単に侵入できるものなの?」と、メディアも人々も首を傾げている。 アメリカの建物は一般的にセキュリティが日本より厳しい。その中でも役所関係、特に連邦政府の建物ともなれば、日ごろからテロを警戒してもっとも厳重に守られている。 実際にはこの議事堂も、普段からチェックポイントでバリケードを張り巡らし、議事堂警察や警備員らが入り口で警備をしていた。 1800年に完成した歴史的な建物の一部は普段、観光客が訪れることができるよう一般公開している。しかし事前予約が必要で、入り口では空港にあるような手荷物のX線検査がある。館内でも、常に専門ガイドとの行動が求められている。とにかくセキュリティは日頃から万全なのだ。 当然6日も、トランプ氏の呼びかけに応じて、全米中から支持者が集まってくるだろうというのは予測され、厳重で十分な警備体制が敷かれていたはずだ。 なんせトランプの支持者は、銃を持っていてもおかしくない人々である。(ワシントンD.C.では銃の持ち歩きは禁止されているが) それが、である。 ヒートアップした群衆は議事堂警察と衝突してバリケードを取り去り、壁をよじ登ったりして、数カ所ある入り口を強行突破。建物内でも、窓ガラスを割るなどして奥に奥に進んでいった。 このニュースを知って筆者は当初「厳重であるはずの警備体制も、大群には降参状態だったのか」と思っていた。 しかし調べを進めていくと、驚くべき映像が出てきた。目を疑ってしまうのだが、群衆のためにバリケードを取り去ったり、建物内で侵入者らとセルフィーを撮る警官や警備員の姿などもソーシャルメディアでシェアされているのだ。 これらの映像を見る限り、特に混乱状態ではない。また前述のオクス容疑者もそうだが、一旦入り込んだ侵入者らはリラックスして、自由に建物内を行き来している。 主要メディアで映されている写真はどれも、警官が拳銃を向けていたり、容疑者らが床に倒れ込んだりと緊迫したシーンが多い。しかしソーシャルメディアで流れてくるイメージの中には、違うものもたくさんある。 ニューヨークタイムズ紙にも驚くべきコメントが掲載されていた。まず「ワシントンD.C.に今から来るように、知り合い全員に電話を」という侵入者のコメント。そして、彼らに退去するよう説得はしたものの、聞く耳を持たない群衆らに対して 「ただ彼らがやりたいようにさせてあげた」という警官のコメントだ。 ワシントンポスト紙の公開した映像には、警官が後ろに逃げて行く様子も映し出されている。 CURBEDによると、過去数ヵ月間に起こった大規模な抗議と違い、この日の議事堂警察は暴動鎮圧のための特別武装をしていなかったという。 「攻撃を阻止できなかった議事堂警察(年間予算4億6000万ドルで2300人の部隊)についての疑問が高まっている」と報じたのは、ニューヨークポスト紙。情報筋のコメントと共に「要するに、暴徒を防ぐのに十分な人員を配置していなかった」と述べ、連邦政府機関が暴動を過小評価したことが、侵入を防止できなかった要因とした。 ABCニュースも、「なぜ議事堂警察がこれほど準備ができていなかったのか、私にはわからない」という、ジョージタウン大学法科大学院の教授で元連邦検察官、メアリー・マコード氏のコメントを掲載している。 同ニュースのコントリビューター、ブラッド・ギャレット氏は「怒りに満ちた群衆が押し寄せ、大規模な事件に発展するとわかっていたのに、その準備や対策ができていなかった」とコメント。元FBI特別捜査官も 「これは驚異的な法執行の失敗だった」と述べた。 巨大化した暴動を抑えるために、待機中だった州兵やFBIの特殊部隊「SWATチーム」が現場に到着したのは、「事が起こった後」だった。 ギャレット氏は、「議事堂警察がそのための訓練をしなかったとは想像し難い」と語った。7日の記者会見で、ライアン・マッカーシー陸軍長官は「事前に議事堂警察と話し合った際に、国家警備隊への要請はなかった」と述べ、計画内容の欠如を滲ませた。 「警官の抵抗なしで議事堂のドアが破られたのをテレビで観て非常に驚いた。これらは今後すべて分析されるでしょう。本当にチェックしなければならない」(国土安全保障省の副書記代理、ケン・クッチネリ氏) 「私はいつでもこの議事堂内では安全を感じていた。しかし、どうやったらこのような暴動が建物内で起こり得るのか。徹底的な調査が必要である」(カリフォルニア州の民主党および下院司法委員会、カレン・バス議員) ワシントンポスト紙も、「あまりにも無防備なままにされていることに驚いた」とする専門家の声や、「警官配備策の失態について調べれば調べるほど憤懣やる方無い思いが増す。911テロ後の調査並みの厳密なる取り調べがなされるだろう」とするティム・ライアン下院議員などのコメントを載せた。 再発防止に向けて、今後どのような解明がなされるだろうか? 関連記事: 今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

トランプ支持者の「誰」が襲撃したのか? 米首都 暴動で死者5人、逮捕者82人に

アメリカでは6日、暴徒化した一部のトランプ支持者が連邦議会議事堂を占拠し、銃撃で1人を含む5人の死者を出すなど、前代未聞の大惨事が起こった。 夜には沈静化し、止むを得ず中断した上下両院会議は午後8時以降に再開。翌7日、バイデン次期大統領の当選が正式に確定した。 一方トランプ氏に対しては暴動を煽ったと非難が集中し、即時罷免を求める声も上がっている。事件後、ツイッターなどは一時使えなくなった。 トランプ支持者や共和党支持者の大多数は、平和的に抗議したかったはずだ(実際に筆者の知る支持者も皆、平和で良識があり友好的な人々だ)。しかし、群衆のうちいったい「誰が」、そして厳重警備体制が敷かれているはずの議事堂内に「どのようにして、いとも簡単に侵入」できたのか? ── 事件から一夜明け、現地の人々は首を傾げている。 建物に乱入した者とは? コロンビア特別区首都警察は、容疑者の写真をオンライン上で公開した。警察はFBIと協力し、ホテルや空港などでも情報提供を呼びかけている。 そこには右翼でQアノンを支持する、Qシャーマン(Q Shaman)ことジェイク・アンジェリ(Jake Angeli、32歳、写真上)容疑者などが含まれている。アンジェリ容疑者はこれまでも、地元アリゾナでトランプ氏の集会や、選挙結果への抗議デモ、経済再開を求めたデモなどで、たびたび目撃されてきた。 ハワイから参加したニック・オクス (Nick Ochs)容疑者など、極右団体「プラウドボーイズ」のメンバーも目撃された。同団体は男性メンバーのみで構成されており、白人至上主義、反移民制度主義などとして知られる。 白人至上主義者として知られる、ベイクド・アラスカ(Baked Alaska)ことインフルエンサーのティム・ジオネット(Tim Gionet)も容疑者として捜査の対象になっている。この容疑者も占拠中、動画を生配信していた。(現在アカウントが停止) 南北戦争中の「南軍の旗」を掲げている不法侵入者も確認された。この旗は奴隷制の継続を希望した南部の、いわゆる人種差別のシンボルとして、また憲法や民主主義の拒絶のシンボルとして、一般的には嫌厭されている。一方で、尊い南部の歴史そのものとしてそのまま捉える人も中にはいる。 逮捕者は現時点で少なくとも68人だが、今後増えていくだろう。 亡くなった5人 サンディエゴに夫を置いて1人で参加したアシュリ・バビット(Ashli Babbitt、35歳)さんは議事堂に不法侵入し、群衆の先頭に立って窓枠によじ登り、さらに奥の部屋に入ろうとしていたところを、議事堂警官に至近距離から胸元を撃たれ、死亡した。(注:暴力的なシーンが含まれています。警官に撃たれた映像) バビットさんは14年間の米空軍歴があり、その間に4度、アフガニスタンやイラクなどに派遣された退役軍人だった(注:アメリカでは軍人は国を守るヒーローとして尊ばれる存在)。 バビットさんのツイッターを見ると、愛国者で自由を愛し、熱心なトランプ支持者だったことが窺える。ツイッターでは、トランプ政権に関する情報をリツイートしたり、MAGAハットをかぶっているセルフィーや政治に関する意見を述べた動画を載せていた。 6日の抗議集会についても前日に、「我々をもう止められない。24時間以内に暴動が起こる。暗闇から光へ」といった趣旨の内容をツイートしていた。 ほかにも4人が議事堂内で死亡した。ペンシルバニアから参加の男性(50歳)、アラバマの男性(55歳)、ジョージアの女性(34歳)と、いずれも熱心なトランプ支持者だった。もう1人死亡が伝えられたのは、議事堂警官だ。 死因について、55歳の男性は心臓発作とされているが、ほかの人については、警察の発表では「救急措置によるもの」とされ、詳細は明かされていない。 (「厳重警備体制が敷かれているはずの議事堂内に『どのようにして、いとも簡単に侵入』できたのか?」に続く) (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に

アメリカは6日、今年最初の最悪な日となった。 首都ワシントンD.C.の連邦議会議事堂では、選挙人団で選ばれたバイデン氏を次期大統領に選出するための最終プロセスとも言える、上下両院合同会議の審議が行われていた。その途中で、全米から集まったトランプ支持者が、議事堂内に不法侵入。会議は中断、現場にいたペンス副大統領や議員らは避難した。 衝突は午後1時すぎに起こった。不正選挙の抗議のために集まった集団の一部は徐々に暴徒化し、議事堂入り口で警官ともみ合いに。議事堂内に入り込んだ暴徒集団の中には、議長席に座ったり器物を取り去ったり、好き放題に振る舞う者も。 トランプ支持者とされる女性(撃たれた直後の映像が報道されたが、それを見る限り若いようだ)が議事堂内で、警官に至近距離から胸元を撃たれた。重体とされていたが、その後死亡が確認された。そのほか3名の死亡も伝えられている。 侵入者には催涙ガスが撒かれ、銃を向けられるなど一触即発の場面も。議事堂内は法も秩序もない、カオス状態となった。 これを受けトランプ大統領は、映像やツイッターなどで「平和的な抗議行動」と「帰宅」を促し、午後6時以降は外出禁止令が発出されているが、陽が暮れても、人々の怒りは収まらない。 上下両院合同会議の前に、トランプ氏が再三「彼には権限がある」「彼なら正しいことをしてくれるだろう」と圧力をかけ続けた最後の頼みの綱、ペンス副大統領だが、実際には「選挙人票を拒否することはできない」と、トランプ氏の意向には沿えない形となった。 トランプ氏はこの日正午から、大勢の支持者(ほとんどがマスクをしていない)を前に演説を開いていた。ここでも不正選挙は許されないと訴え、「(国の恥として)歴史に残る大規模な不正を、我々は決して忘れない」「これは終わりではない。今日という日はただの始まりだ」と発言。自身が退任した後も続くであろう「トランプ帝国」の存続を、支持者らに直接アピールした。 共和党支持者の70%は今でも「票が盗まれた」と信じており、「民主主義の冒涜だ」と憤慨。一方、民主党支持者も「議会がこのような形で襲撃されるとは、憲法と民主主義を踏みにじる行為だ」と激昂している。 国の分断はさらに進んでいる。どちらが大統領に選ばれようと、この巨大な溝は今後も簡単には埋まらないということを、まざまざと見せつけられた。 (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

 NYタイムズスクエアの年越しカウントダウン  コロナ禍で史上初「無観客」

日本から14時間遅れて、ニューヨークでも年が明けました。 新年おめでとうございます! 当地の一番有名な年越しイベントは、タイムズスクエアのカウントダウン。 ボールドロップが始まったのは1907年(イベント自体は1904年)のこと。それ以来、100年以上にわたって毎年この地で行われてきたのですが(第二次世界大戦下の1942年、43年を除く)、コロナ禍の今年は史上初の無観客&バーチャル形式で行われました。 現地時間12月31日午後6時~翌0時15分(日本時間の2021年1月1日午前8時~午後2時15分)、ウェブキャスト、Facebook、Twitterなどで生配信されたため、日本から観た人もいたかもしれません。 招待された人は、スポンサー企業関係者に加え、今年のヒーロー的存在である医療現場の最前線で働いているファーストレスポンダー、医療従事者、教師など一部のエッセンシャルワーカーと家族のみ。 そうは言っても教師だけでも相当な数いる中で、「どうやって選んだの?」と思っていたら、母親と一緒に参加していたある教師の女性は「勤務先の学校でインタビューを受けて選ばれた」と言っていました。面接に加えて数が多い場合は抽選などで選ばれたのでしょう。 このボールドロップの参加者は毎年、基本的に観光客もしくはニューヨークに移住したばかりの人が多く、地元の人は少ないので(極寒の中で早朝から場所取り、トイレなし、など過酷な状況なため)、今年は1年間の感謝も込めて、このように「ヒーローたち」に開放できてよかったと思います。また市がこのような形で彼らに敬意を表したというのも好感が持てます。 ライブパフォーマンスとして、グラミー賞を2回受賞したディスコソングの女王グロリア・ゲイナーがコロナの年にふさわしい“I Will Survive” や “Joy Comes In The Morning” “Never Can Say Goodbye”を披露(パワーみなぎる若々しいお姿と歌声。何歳?とググったら77歳!全然見えない…)。ほかにジェニファー・ロペス、ピットブル、シンディ・ローパー&ビリー・ポーターなども登場。 アンドラ・デイも、グラミー賞にノミネートされた“RiseUp”や“ForeverMine”、そして年が明ける直前には、ジョン・レノンの“Imagine”も披露してくれました。 これらの大スターがすぐそこのステージにいたんだけど、私など取材陣が入れるエリアからはスクリーンしか見れませんでした。音が聴けたのでよかったですが。 こんな感じで「異例」のボールドロップは今年も終わりました。例年に比べて人がとにかく少ないので迫力には欠けたけど、考え方によってはもう2度とないであろう(あって欲しくない)スタイルでのイベント。未だ感染拡大が止まらないコロナ禍において、withコロナ・イベントとしてはこのスタイルがもっとも適切だったのではないでしょうか。 2021年が皆さまにとっても、健康でより良い1年になりますように願っております! 2020-21年カウントダウン準備(インストール風景&おまけ映像つき) 2019-20年(コロナ禍直前)のカウントダウンの記事 2019-20年の動画 (Text, photos and video by Kasumi Abe) 無断転載禁止

「クリスピー クリーム」ドーナツ、NY中心地に復活 セックス・アンド・ザ・シティにも登場した人気店

私はこのクリスピークリーム(Krispy Kreme)ドーナツを食べると、いつも18年前、ニューヨークに来たばかりの頃を思い出します。 TVシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」にも登場したということで、当時話題のドーナツでした。当時の私はマンハッタンのモーニングサイドハイツに住んでおり、すぐ近くのハーレムに住んでいた留学仲間がお気に入りっていうことで、ハーレムにあったこのドーナツ店に一緒に行ったのが始まり。店内奥に工場があって、そこで焼き上がったばかりの甘いドーナツをコーヒーと一緒にいただくのが、貧乏学生にとってのささやかな楽しみであり贅沢でした。 いつしかクリスピークリームはニューヨークから姿を消し、気づいたらペンステーション店だけ、あとはスーパーで見かける箱売りだけになっていったのです。 パンデミックの最中、タイムズスクエアに復活 そんな私にとっての「懐かしい味」が、今回ニューヨークに大復活しました。 オープンしたのは初の旗艦店。場所はNYの中心地、タイムズスクエア。時は2020年9月15日という新型コロナのアウトブレイク最中! 取材した、最高マーケティング責任者(CMO)のデーブ・スケナさん曰く、本当は5月オープン予定だったけど、パンデミックにより4ヵ月も遅れたのだそうです。 見える工場 店に到着すると右側の列はドーナツやコーヒー購入者用、左側は体験型と聞き「どういうこと?」と思ったら、店に入ってなるほど。 店内左部分は「見える工場」になっていて、目の前でドーナツが作られている様子を「工場見学」できるようになっています。1時間に4500ものドーナツが作られていると言います。CMOのデーブさん曰く「世界中にある同社他店と比べて、旗艦店の工場は最大規模」。 消費者側からすると、目の前で作られている様子を実際に確認できるのは、安心ですね。 新店舗のコンセプトは「スタジアム型」だそうで、見える工場の向かい側には、野球場のようなシートがありました。つまりドーナツができる様子(試合)をそのシートから「観戦」できるというわけです。 エンタメはこの店の1つのテーマで、時折スタッフが全員で、急に楽しげに掛け声をかけて歌い出します。なんだかこのガヤガヤした熱気が、野球観戦にでも来たように気分を盛り上げてくれ、店内でもドーナツを買うのに待ったのですが、自然と楽しい気持ちになれました。 リピートする楽しさ 顧客に「リピートさせる」いくつかの工夫も見られました。 まず1つは、オリジナルグッズの豊富さ。 店の敷地の半分がグッズ販売コーナーになっています。売られているものは、各種Tシャツ、エコボトル、マグカップ、キーホールダーなど。NY観光シーズンがまた復活したら、お土産を買うのにおすすめです。 2つ目は季節ごとに変わるドーナツ。今の時期はパンプキンドーナツでした。 NY店限定ドーナツ「ビッグアップルドーナツ」(Big Appleにかけて)もあります。10.99ドルと割高ですが、CMOのデーブさんは「今のところトップセラーは、このりんごドーナツなんです」とのこと。 私のお気に入りは当時も今も「Original Glazed」(1.99ドル)と「Chocolate Iced Kreme Filled」てやつです。機会があればぜひ食べてみてください。 10年ぶり?15年ぶり?に食べたドーナツの感想はというと… フワフワ、超甘〜い、でも美味しい!通っていたハーレム店とあの頃の日々を懐かしく思い出しました。 この旗艦店は、今年のクリスピークリームの拡大戦略の一環であり、市内では今年だけでも新しく7店舗をオープンし、400人以上の雇用を生み出す予定だそうです。 (Text and photos by Kasumi Abe) 無断転載禁止

056 Black Lives Matter 巨大路上アート出現

白人警官に殺されたジョージ・フロイドさんの死をきっかけに、全米に広がった、BLMことBlack Lives Matter(黒人の命は大切)ムーブメント。ごく一部の過激派や犯罪者により、暴動や略奪にも発展しましたが、現在は沈静化し、平和的にデモが続けられています。そんな中で現れたのがこの路上アートです。 DCに続きNYにも 6月5日、ワシントンDCでBLM関連の巨大ミューラル(=ミューロ、市公認の路上アート)が完成し、話題になりました。ニューヨークのデブラシオ市長も「われわれも、力強く叫ばれているBLMパワーを(市民に)感じてほしい。市は全面的にバックアップする」と言い、市内5区全てでのミューラルの完成を約束しました。 DCでの完成の1週間後、ブルックリンに市内初のミューラルが完成しました。場所は、人口の65%を黒人が占めるというベッドフォードスタイヴサント地区。この一角のフルトン通りに完成したのは、ビビッドな黄色で描かれた「Black Lives Matter」の巨大文字。早くも街並みにとけ込んでいます。約1ブロックいっぱいに描かれ、全長約114メートル、幅約8.5メートルもの大きさです。 アーティスト30人参加 プロジェクトを指揮したのは、ビリーホリデー・シアターのエグゼクティブ・アートディレクター、インディラ・エトゥワルーさん。著名アーティストのセイ・アダムスさんとダウッド・ウエストさんらがリードし、ブルックリンで活躍する約30人のビジュアルアーティストが共同で作業。13日に開始し、1日で完成しました。 またミューラルの傍には、人の形をした像もあります。フロイドさんの他に、NYPDに殺された黒人の犠牲者の名前がグラフィティー調のフォントで刻まれています。人々の記憶にいつまでもBLMの理念が残り、コミュニテーィの士気を高めてくれそうです。 ミューラルは、全米では他にもロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、オースティン、シャーロットなど多数の街で誕生中です。マンハッタンでは、五番街のトランプタワー前の道路も予定されています。2020年を代表するBLMのシンボルとして残されていくでしょう。 フルトン通りに面した雑貨店、ニコラス・ブルックリンに入ってみました。お香やアロマオイルが充実していました (c) Kasumi Abe ミューラルのそばには、フロイドさんをはじめとする犠牲者の名前が描かれた像も展示されています (c) Kasumi Abe [by Kasumi Abe]All images and text are copyrighted. 本稿はWeekly NY Japionのコラム 、安部かすみ(Brooklyn本著者)が案内する「古くて新しい、とっておきのブルックリンへ」からの転載。無断転載禁止