G7でワクチン承認されていないのは「日本だけ」だが、実は・・・。米紙はどう見た?

イギリスを皮切りにアメリカ、EU諸国、イスラエル、アジアでは中国、シンガポール、ネパール、ミャンマーなど、世界各国で次々と新型コロナウイルスのワクチンが承認されている。 そんな中、イギリスでの開始から2ヵ月経っても、未だに日本だけがG7の中で唯一「承認すらされていない」と、アメリカでも報じられている。 菅首相は2日、国内での接種開始を前倒しして今月中旬を目指す考えを示した。遅れにはさまざまな事情があるにせよ、世界に「大きく出遅れた」感は否めない。 1日(日本時間の2日)付の主要紙ワシントンポストは、Japan’s pharmaceutical industry is huge. But it was left behind in the race to get vaccines to Japanese citizens.(日本の製薬業界は大きいが、国民へのワクチン接種の(世界的な)競争で取り残された)と報じた。 記事にはこのようにある。 G7の中でワクチン接種プログラムの開始を待っているのは日本だけ。しかし裕福な国で、ワクチン接種が始まっていないのはオーストラリアと韓国も同様。 日本が大きく遅れを取っている理由についてまとめると、このような内容だ。 日本は、アメリカと中国に次ぎ3番目に大きな医薬品市場だが、パンデミック初期のころも厚生労働省は、精度に関する懸念から検査キットの導入に消極的で、検査開始に時間がかかった。現在も、国外からのワクチン調達に苦労しており、国内でのワクチン開発も大きく遅れている。承認されても浸透しづらいだろう。 その理由として、非常に慎重な官僚の文化、ワクチンの安全性に懐疑的な国民性、国内のワクチン業界の競争力の低さ、これまでの訴訟問題や議論、パンデミックへの準備不足、などを上げている。 以下は概要となる。 パンデミックへの準備不足: 厚生労働省は2016年の報告書の中で、すでに警告を発していた。それは『日本のワクチン業界は競争が激しくなく、ワクチンの安全性に対する国民の意識が低い。パンデミックが発生したら、日本は深刻な状況に直面するだろう』という内容だった。「この報告書は、パンデミックへの備え不足を警告していた世界中の報告書と共に棚上げされた」とある。 つまりパンデミックへの準備不足は、日本だけではないということだ。 ワクチン業界の競争力の低さ: WHOによると、世界中で臨床試験が行われている63のワクチンのうち、日本のものは1つ(アンジェス)だけ。しかし、それすら今年末までフェーズIIIの試験に入ることができない。 安全性に懐疑的な国民性と、訴訟問題: 1994年、日本政府は「ワクチンの義務化を放棄したが、同時にワクチンの安全性について国民に啓蒙することもやめてしまった」。これはどういうことかと言うと、予防接種法改正により、予防接種が社会防衛から個人防衛として大きく舵を切ったことだ。昭和時代の終盤に相次いだ予防接種禍訴訟が背景にある。2013年、比較的軽微な副作用で物議を醸した子宮頸がん予防のHPVワクチン接種の推奨も中止となった。 「これにより、数千人の命が(子宮頸がんによって)奪われた可能性がある」と記事にはある。日本人がワクチン接種による利点の方に目が向かないのは「『完璧さ』への期待、過ちへの不寛容、物事が完璧でない場合に責任の所在を明らかにする傾向など、さまざまな日本の文化に根ざしている」(在日経営コンサルタント)。 接種を様子見しているのは日本人だけ、ではない アメリカでの新型コロナウイルスのワクチン接種は、12月14日に開始した。筆者の住むニューヨークでも、フェーズごとに優先順位をつけて接種が進んでいる。フェーズ1aと1bまで(エッセンシャルワーカーや65歳以上)が接種可の対象となっており、2日よりタクシー運転手や飲食店の従業員もフェーズ1bの対象内となった。 ちなみに接種はすべて無料で行われている。「すべての人」が接種を受けられるのは当初第2四半期とされてきたが、最新の情報では「夏ごろ」になる見通しだ。ただし、最近になってワクチン不足が叫ばれ始めているので、その時期もずれ込むかもしれない。 アメリカの報道では、連日のように予防接種を受けたり接種会場に並んだりする人々の姿が映し出されている。一方、1日付のニューヨークポストでは「アメリカ人の半数が新型コロナワクチンを拒否または様子を見る」という、最新の調査結果が発表された。 カイザーファミリー財団(Kaiser Family Foundation)による世論調査では、ワクチン接種を希望する人の数は12月以降増加しているが、それでも51%の人が接種を「拒否または延期する」と答えた。約半数がワクチンの副作用や有効性に関する十分な情報がないと答えており、その内訳は31%が接種前にワクチンの有効性と副作用についてさらなる結果を見たいと述べ、13%は接種を拒否、7%は(旅行や就職などで)必要となった場合のみ接種するとした。一方で回答者の41%は、できるだけ早く予防接種を受けたいと答えており、その数は12月に比べて7%増加した。6%は世論調査が実施された時点(1月)で、すでに接種を受けていた。 また世論調査には、黒人とヒスパニック系の成人で若い世代は、情報不足に警戒しているが、これらの層の中にも先月以降、予防接種を受けたいと考え始めた人が増えているとある。 日本人の傾向としてワクチンに懐疑的と言われているが、同調査によるとアメリカの人も半数近くは接種に前向きだが、同数の人が足踏みしているということだ。ちなみにアメリカでは農村部に住んでいる共和党支持者ほど、接種にためらう傾向にあるという。 アメリカのメディアでは最近になって再び、東京オリンピックについての報道を見かけることも増えてきた。日本でのワクチンの承認や浸透について気になるのは、オリンピックの開催にも関わってくることになるからというのも一理あるだろう。 関連記事 【新型コロナワクチン】死者30万人超の米国 初接種の感想は?一般はいつから? (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース…

逮捕者135人の一部は釈放、 警官2人が自殺 ── 議事堂乱入事件、その後

すでに釈放された逮捕者も 1月6日にワシントンD.C.の連邦議会議事堂で起こった乱入事件から、3週間が経った。 デイリーニュースなど米主要メディアによると、これまでに400人の容疑者が特定され、大陪審の召喚状と捜査令状の発行は500を超えている。 実際の逮捕者は今のところ135人に上る。その中には、ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)のパソコンを盗み、ロシア情報当局に売り渡そうと企て、政府所有物の窃盗罪などで逮捕されたライリー・ジューン・ウィリアムズ(Riley June Williams)容疑者(22歳)も含む。同容疑者は先週すでに釈放されており、現在は母親宅で監視下に置かれている。 詰めが「甘過ぎた」警備 あの日、大きな衝突が勃発する懸念はあったものの、議事堂警察(USCP)は連邦機関に警備の応援を事前に要請しておらず、結果的に乱入や暴動を許すことになってしまった。その警備態勢の不備や詰めの甘さが指摘され、スティーブン・サンド(Steven Sund)議会警察署長は、16日付で辞任した。 議事堂警察を代表する組合は27日、「指導する立場としての準備不足に怒りとショックを覚え、許しがたい」との声明を発表した。この日警備にあたっていた警官1200人に、事前に正しい情報伝達がされていなかっただけでなく、ヘルメットを配られずに頭部に外傷を負った警官もいたとある。 警官3人が死亡(1人は殉職、2人は自殺か) 事件後の悲劇は続いている。あの場で対応していた議事堂警察の中で、身体的もしくは精神的なトラウマなどの損傷を受けたのは140人近くいることがわかっており、その後の相次ぐ死亡も伝えられているのだ。 警官として15年以上のキャリアを持つハワード・リーベングッド(Howard Liebengood)警官(享年51歳)は、乱入事件のあった6日から3日後の9日に死亡したと、翌10日議事堂警察が発表した。 リーベングッド警官は2005年より議事堂警察に勤務し、上院の守衛部門に配属されていた。死因など詳細は明らかにされていないが、情報筋による証言をもとにした主要メディアの報道では「明らかに自殺」とされている。死亡した9日は、自身の非番の日だった。AP通信は、乱入事件が自殺の直接の原因かどうかは不明とした。 27日になり、別の警官の自殺も伝えられた。12年のキャリアのあるジェフリー・スミス(Jeffrey Smith)警官は、15日に死亡した。コロンビア特別区首都警察(MPD、通称DC警察)のロバート・コンティー(Robert Contee)署長代理は、「事件の余波」が自殺に繋がったとする見方を示した。 自殺ではなく、群衆によって「殺された」警官もいる。事件の翌日、議事堂警察のブライアン・シックニック(Brian D. Sicknick)警官(享年42歳)は、襲撃によって亡くなった5人のうちの1人として、報じられた。 2008年から議事堂警察に所属していたシックニック警官は、同署の緊急出動部署に配属されていた。事件日は暴徒化した人々との衝突時に消火器で殴打されるなどで負傷し、いったん自身の部署がある部屋に戻ったものの、そこで倒れて病院に搬送され、翌日夜に死亡が確認された。シックニック警官の死に関しては、誰も逮捕、起訴されていない。 関連記事 トランプ支持者は、厳重なハズの議事堂を「なぜこれほど簡単に」襲撃できたのか? ── 現地で深まる謎 今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NY市が決別するトランプ・オーガニゼーションって?… 意外なスポットも「トランプ帝国下」だった

アメリカ下院本会議は13日、トランプ大統領に対して弾劾訴追決議案を賛成多数で可決した。 トランプ氏は「大がかりな魔女狩りの続きだ。すさまじい怒りを引き起こすことになるだろう」と同決議案に強く反発していたが、2019年のウクライナ疑惑に続いて2回弾劾訴追された、全米史上初の大統領となった。 同日ニューヨーク市では、ビル・デブラシオ市長がMSNBC局の朝のニュース番組に出演し、トランプ・オーガニゼーションが市内で運営する4つの人気アトラクションとの契約を打ち切る予定であることも発表されていた。 契約は数百万ドル(約1億円)規模とされているが、同市長は「政府組織に対する反乱の扇動は、明らかに犯罪行為だ。企業とそのトップがそのような違法行為を働いている場合、契約破棄の権利は我々にある」と述べた。さらに「ニューヨーク市はトランプ・オーガニゼーションとは今後何の関係もなくなる」と、トランプブランドや関連事業との断交を強調した。 トランプ・オーガニゼーションとは? トランプ・オーガニゼーションとは、世界中に広がる500ものビジネスを擁する一大グループ企業のことだ。 不動産事業が核となっており、それに付随する商業および住居用ビル、ホテル、リゾート、ゴルフ場、ワイナリー、カジノ、航空、メディア、小売、飲食、ホスピタリティーなど数えきれない。関連事業全体で働く従業員は2万人を越えるとされている。 その中には、五番街のトランプタワーといったわりと有名なスポットから、セントラルパークのアイススケート場やメリーゴーランド、高級フレンチレストラン「ジャン・ジョルジュ」など意外なスポットまで含まれており、ニューヨーク観光の際に何の気なしに訪れたことがある人も多いだろう。 ニューヨーク市が運営面で何らかの契約を締結しているのは、うち4事業だ。セントラルパークのアイススケート場「ウォルマンリンク」と「ラスカーリンク」、そしてメリーゴーランド「カルーセル」、そしてブロンクス区のゴルフ場「トランプ・ゴルフ・リンクス」の4スポット。 特に2つのスケート場とメリーゴーランドは映画でもおなじみの人気の観光名所であり、一般市民(特に子連れの家族)にも親しまれているものだ。だから、筆者も(おそらく大多数の市民も)、これらがトランプ組織の傘下だとは、このニュースを聞くまで知らなかった。 市の突然の決定に対して、トランプ氏に代わり2017年から運営に携わっている次男のエリック・トランプ氏はABCニュースで、「デブラシオ市長の無能さを露骨に表した最たる例であり、政治的差別以外の何ものでもない」と反撃。「ニューヨーク市に我々との契約を強制終了する法的権利はない。市がそれでもプロセスを進めるとなれば、我が社に3000万ドル(約30億円)以上の債務を負うことになる」と威嚇し、市に対して宣戦布告した。 トランプ・オーガニゼーションと言えば10日にも、全米プロゴルフ協会(PGA of America)が、2022年の全米プロ選手権を同オーガニゼーション所有のゴルフ場「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ」(ニュージャージー州)で開催しないと発表したばかりだった。 トランプ氏が訴える「現代の魔女狩り」は、トランプブランドの失速まで及ぶか。 関連記事 今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に トランプ支持者は、厳重なハズの議事堂を「なぜこれほど簡単に」襲撃できたのか? ── 現地で深まる謎 跡形もなくなったトランプ氏ツイッター。世界のリーダー7人はビッグテックの制裁をどう見たか? 次期駐日大使にトランプの長女、イヴァンカ・トランプが浮上。その噂について現地の声を聞いた(’06) (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

ビッグテックの制裁、世界のリーダー7人はをどう見たか?

米ビッグテックによるトランプ氏への制裁について、世界のリーダーたちの反響はどうだろう? ツイッターアカウント停止の判断について「民間のテック企業ではなく、市民や国に任せるべき」という声が多く上がっている。ニューヨークポスト紙で紹介されている、世界のリーダーや有力者らの意見はこちら。 ●アカウント削除の判断が、民間の企業の手の内にあることにショックを受けた。 これらの措置の決定は、会社のトップではなく、市民によりなされるべき。 (ソーシャルメディア上の発言内容が法律に違反している場合)違反を主張できる「規制の公的枠組み」が必要。削除か罰金を課すかなどの判断は、市民と立法府によって決定されるべき。 (欧州連合のフランス担当次官、クレマン・ボーヌ氏) ●コンテンツを規制する責任は国や政府にあるべき。 デジタル・ジャイアントの規制は、デジタル・オリガーキー(君主制や民主制に対して、少数の人間が支配する政治形態のこと)によってできるものではない。 ビッグテックは民主主義にとって「脅威の1つ」だ。 (フランスのブルーノ・ルメール経済・財務相) ●ソーシャルメディアがトランプ氏の検閲力を持っているのは「悪い兆候」だ。 誰であろうとも、ツイッターやフェイスブックに投稿する権利を奪われたり、検閲されたりすることは、受け入れられない。 世論を管理する検閲裁判所のような存在は、本当に厄介だ。 (メキシコのオブラドール大統領) ●(ツイッターによるアカウント禁止について)この基本的権利に介入できるのは法と立法府であり、ソーシャルメディアの管理者による決定であってはならない。これらの観点からメルケル首相は、トランプ氏のアカウントが永久凍結されたことは問題だと考えている。トランプ氏は自身の意見を表明できる場を持って然るべき。 (ドイツ・メルケル首相のスポークスパーソン、 ステフェン・セイバート氏) ●トランプ氏の阻止は、検閲に値する。 ツイッター社はなぜ、オーストラリアの兵士がアフガニスタンの子どもを殺しているように合成されたフェイク写真を中国政府が投稿したことを許し、削除しなかったのか。まだアメリカの大統領である人物の投稿を削除する場合、それらの兵士の写真についても考える必要があると、ツイッター社のオーナーに言いたい。(その偽りの写真は)まだ削除されておらず、誤りである。 (オーストラリアのマイケル・マコーマック副首相) ●(ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対するツイッターの扱いについて同様の懸念を表明。自身のアカウントをトランプ氏の写真に差し替え)マドゥロ氏のアカウントがありながら、トランプ氏のアカウントが停止される世界は正常ではない。 (ブラジル、ボルソナロ大統領の子息、エドゥアルド氏) またワシントンポスト紙によると、一般的に欧州の社会は、アメリカより政府による規制を受け入れており、近年はよりアグレッシブにハイテク・ジャイアントの行動を取り締まるなど、対応が進んでいるという。 そんな中で欧州委員会副委員長で欧州連合のデジタル・エンフォーサーのトップ、マルグレーテ・ベスタガー氏は「(フェイクや問題投稿とそのアカウントをどうするかの)課題にどう対処するべきかの決定は、責任の伴わない企業のリーダーではなく、社会の手に委ねられるべき」とした。一方でツイッター社の今回の措置については、「大統領が人々に議会に向かうように促すなど『極端なケースの中でもさらに極端な状況』への対応だった」と理解を示した。 米ツイッター社の関連記事 バイデン暴露記事の拡散ブロックするツイッターに非難殺到 CEOは誤り認めたが・・・ (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

トランプ支持者は、厳重なハズの議事堂を「なぜこれほど簡単に」襲撃できたのか? ── 現地で深まる謎

米首都 暴動で死者5人、逮捕者82人に (前回「トランプ支持者の『誰』が議事堂を襲撃したのか?」からの続き) なぜ、いとも簡単に侵入できたのか? この事件が起きて現地では「議事堂ってそんな簡単に侵入できるものなの?」と、メディアも人々も首を傾げている。 アメリカの建物は一般的にセキュリティが日本より厳しい。その中でも役所関係、特に連邦政府の建物ともなれば、日ごろからテロを警戒してもっとも厳重に守られている。 実際にはこの議事堂も、普段からチェックポイントでバリケードを張り巡らし、議事堂警察や警備員らが入り口で警備をしていた。 1800年に完成した歴史的な建物の一部は普段、観光客が訪れることができるよう一般公開している。しかし事前予約が必要で、入り口では空港にあるような手荷物のX線検査がある。館内でも、常に専門ガイドとの行動が求められている。とにかくセキュリティは日頃から万全なのだ。 当然6日も、トランプ氏の呼びかけに応じて、全米中から支持者が集まってくるだろうというのは予測され、厳重で十分な警備体制が敷かれていたはずだ。 なんせトランプの支持者は、銃を持っていてもおかしくない人々である。(ワシントンD.C.では銃の持ち歩きは禁止されているが) それが、である。 ヒートアップした群衆は議事堂警察と衝突してバリケードを取り去り、壁をよじ登ったりして、数カ所ある入り口を強行突破。建物内でも、窓ガラスを割るなどして奥に奥に進んでいった。 このニュースを知って筆者は当初「厳重であるはずの警備体制も、大群には降参状態だったのか」と思っていた。 しかし調べを進めていくと、驚くべき映像が出てきた。目を疑ってしまうのだが、群衆のためにバリケードを取り去ったり、建物内で侵入者らとセルフィーを撮る警官や警備員の姿などもソーシャルメディアでシェアされているのだ。 これらの映像を見る限り、特に混乱状態ではない。また前述のオクス容疑者もそうだが、一旦入り込んだ侵入者らはリラックスして、自由に建物内を行き来している。 主要メディアで映されている写真はどれも、警官が拳銃を向けていたり、容疑者らが床に倒れ込んだりと緊迫したシーンが多い。しかしソーシャルメディアで流れてくるイメージの中には、違うものもたくさんある。 ニューヨークタイムズ紙にも驚くべきコメントが掲載されていた。まず「ワシントンD.C.に今から来るように、知り合い全員に電話を」という侵入者のコメント。そして、彼らに退去するよう説得はしたものの、聞く耳を持たない群衆らに対して 「ただ彼らがやりたいようにさせてあげた」という警官のコメントだ。 ワシントンポスト紙の公開した映像には、警官が後ろに逃げて行く様子も映し出されている。 CURBEDによると、過去数ヵ月間に起こった大規模な抗議と違い、この日の議事堂警察は暴動鎮圧のための特別武装をしていなかったという。 「攻撃を阻止できなかった議事堂警察(年間予算4億6000万ドルで2300人の部隊)についての疑問が高まっている」と報じたのは、ニューヨークポスト紙。情報筋のコメントと共に「要するに、暴徒を防ぐのに十分な人員を配置していなかった」と述べ、連邦政府機関が暴動を過小評価したことが、侵入を防止できなかった要因とした。 ABCニュースも、「なぜ議事堂警察がこれほど準備ができていなかったのか、私にはわからない」という、ジョージタウン大学法科大学院の教授で元連邦検察官、メアリー・マコード氏のコメントを掲載している。 同ニュースのコントリビューター、ブラッド・ギャレット氏は「怒りに満ちた群衆が押し寄せ、大規模な事件に発展するとわかっていたのに、その準備や対策ができていなかった」とコメント。元FBI特別捜査官も 「これは驚異的な法執行の失敗だった」と述べた。 巨大化した暴動を抑えるために、待機中だった州兵やFBIの特殊部隊「SWATチーム」が現場に到着したのは、「事が起こった後」だった。 ギャレット氏は、「議事堂警察がそのための訓練をしなかったとは想像し難い」と語った。7日の記者会見で、ライアン・マッカーシー陸軍長官は「事前に議事堂警察と話し合った際に、国家警備隊への要請はなかった」と述べ、計画内容の欠如を滲ませた。 「警官の抵抗なしで議事堂のドアが破られたのをテレビで観て非常に驚いた。これらは今後すべて分析されるでしょう。本当にチェックしなければならない」(国土安全保障省の副書記代理、ケン・クッチネリ氏) 「私はいつでもこの議事堂内では安全を感じていた。しかし、どうやったらこのような暴動が建物内で起こり得るのか。徹底的な調査が必要である」(カリフォルニア州の民主党および下院司法委員会、カレン・バス議員) ワシントンポスト紙も、「あまりにも無防備なままにされていることに驚いた」とする専門家の声や、「警官配備策の失態について調べれば調べるほど憤懣やる方無い思いが増す。911テロ後の調査並みの厳密なる取り調べがなされるだろう」とするティム・ライアン下院議員などのコメントを載せた。 再発防止に向けて、今後どのような解明がなされるだろうか? 関連記事: 今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

トランプ支持者の「誰」が襲撃したのか? 米首都 暴動で死者5人、逮捕者82人に

アメリカでは6日、暴徒化した一部のトランプ支持者が連邦議会議事堂を占拠し、銃撃で1人を含む5人の死者を出すなど、前代未聞の大惨事が起こった。 夜には沈静化し、止むを得ず中断した上下両院会議は午後8時以降に再開。翌7日、バイデン次期大統領の当選が正式に確定した。 一方トランプ氏に対しては暴動を煽ったと非難が集中し、即時罷免を求める声も上がっている。事件後、ツイッターなどは一時使えなくなった。 トランプ支持者や共和党支持者の大多数は、平和的に抗議したかったはずだ(実際に筆者の知る支持者も皆、平和で良識があり友好的な人々だ)。しかし、群衆のうちいったい「誰が」、そして厳重警備体制が敷かれているはずの議事堂内に「どのようにして、いとも簡単に侵入」できたのか? ── 事件から一夜明け、現地の人々は首を傾げている。 建物に乱入した者とは? コロンビア特別区首都警察は、容疑者の写真をオンライン上で公開した。警察はFBIと協力し、ホテルや空港などでも情報提供を呼びかけている。 そこには右翼でQアノンを支持する、Qシャーマン(Q Shaman)ことジェイク・アンジェリ(Jake Angeli、32歳、写真上)容疑者などが含まれている。アンジェリ容疑者はこれまでも、地元アリゾナでトランプ氏の集会や、選挙結果への抗議デモ、経済再開を求めたデモなどで、たびたび目撃されてきた。 ハワイから参加したニック・オクス (Nick Ochs)容疑者など、極右団体「プラウドボーイズ」のメンバーも目撃された。同団体は男性メンバーのみで構成されており、白人至上主義、反移民制度主義などとして知られる。 白人至上主義者として知られる、ベイクド・アラスカ(Baked Alaska)ことインフルエンサーのティム・ジオネット(Tim Gionet)も容疑者として捜査の対象になっている。この容疑者も占拠中、動画を生配信していた。(現在アカウントが停止) 南北戦争中の「南軍の旗」を掲げている不法侵入者も確認された。この旗は奴隷制の継続を希望した南部の、いわゆる人種差別のシンボルとして、また憲法や民主主義の拒絶のシンボルとして、一般的には嫌厭されている。一方で、尊い南部の歴史そのものとしてそのまま捉える人も中にはいる。 逮捕者は現時点で少なくとも68人だが、今後増えていくだろう。 亡くなった5人 サンディエゴに夫を置いて1人で参加したアシュリ・バビット(Ashli Babbitt、35歳)さんは議事堂に不法侵入し、群衆の先頭に立って窓枠によじ登り、さらに奥の部屋に入ろうとしていたところを、議事堂警官に至近距離から胸元を撃たれ、死亡した。(注:暴力的なシーンが含まれています。警官に撃たれた映像) バビットさんは14年間の米空軍歴があり、その間に4度、アフガニスタンやイラクなどに派遣された退役軍人だった(注:アメリカでは軍人は国を守るヒーローとして尊ばれる存在)。 バビットさんのツイッターを見ると、愛国者で自由を愛し、熱心なトランプ支持者だったことが窺える。ツイッターでは、トランプ政権に関する情報をリツイートしたり、MAGAハットをかぶっているセルフィーや政治に関する意見を述べた動画を載せていた。 6日の抗議集会についても前日に、「我々をもう止められない。24時間以内に暴動が起こる。暗闇から光へ」といった趣旨の内容をツイートしていた。 ほかにも4人が議事堂内で死亡した。ペンシルバニアから参加の男性(50歳)、アラバマの男性(55歳)、ジョージアの女性(34歳)と、いずれも熱心なトランプ支持者だった。もう1人死亡が伝えられたのは、議事堂警官だ。 死因について、55歳の男性は心臓発作とされているが、ほかの人については、警察の発表では「救急措置によるもの」とされ、詳細は明かされていない。 (「厳重警備体制が敷かれているはずの議事堂内に『どのようにして、いとも簡単に侵入』できたのか?」に続く) (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

今年最初の「悪夢」… 怒りのトランプ支持者が議事堂を占拠しカオス状態に

アメリカは6日、今年最初の最悪な日となった。 首都ワシントンD.C.の連邦議会議事堂では、選挙人団で選ばれたバイデン氏を次期大統領に選出するための最終プロセスとも言える、上下両院合同会議の審議が行われていた。その途中で、全米から集まったトランプ支持者が、議事堂内に不法侵入。会議は中断、現場にいたペンス副大統領や議員らは避難した。 衝突は午後1時すぎに起こった。不正選挙の抗議のために集まった集団の一部は徐々に暴徒化し、議事堂入り口で警官ともみ合いに。議事堂内に入り込んだ暴徒集団の中には、議長席に座ったり器物を取り去ったり、好き放題に振る舞う者も。 トランプ支持者とされる女性(撃たれた直後の映像が報道されたが、それを見る限り若いようだ)が議事堂内で、警官に至近距離から胸元を撃たれた。重体とされていたが、その後死亡が確認された。そのほか3名の死亡も伝えられている。 侵入者には催涙ガスが撒かれ、銃を向けられるなど一触即発の場面も。議事堂内は法も秩序もない、カオス状態となった。 これを受けトランプ大統領は、映像やツイッターなどで「平和的な抗議行動」と「帰宅」を促し、午後6時以降は外出禁止令が発出されているが、陽が暮れても、人々の怒りは収まらない。 上下両院合同会議の前に、トランプ氏が再三「彼には権限がある」「彼なら正しいことをしてくれるだろう」と圧力をかけ続けた最後の頼みの綱、ペンス副大統領だが、実際には「選挙人票を拒否することはできない」と、トランプ氏の意向には沿えない形となった。 トランプ氏はこの日正午から、大勢の支持者(ほとんどがマスクをしていない)を前に演説を開いていた。ここでも不正選挙は許されないと訴え、「(国の恥として)歴史に残る大規模な不正を、我々は決して忘れない」「これは終わりではない。今日という日はただの始まりだ」と発言。自身が退任した後も続くであろう「トランプ帝国」の存続を、支持者らに直接アピールした。 共和党支持者の70%は今でも「票が盗まれた」と信じており、「民主主義の冒涜だ」と憤慨。一方、民主党支持者も「議会がこのような形で襲撃されるとは、憲法と民主主義を踏みにじる行為だ」と激昂している。 国の分断はさらに進んでいる。どちらが大統領に選ばれようと、この巨大な溝は今後も簡単には埋まらないということを、まざまざと見せつけられた。 (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

新型コロナウイルスに関するNY最新現地事情まとめ(3)ロックダウンまでのタイムライン篇

日本でも緊急事態宣言が出され、都市封鎖かと心配されている方が多いと思います。ニューヨークでの緊急事態宣言が発令されてからロックダウン(外出制限、ニューヨークでは – ON PAUSE – ポーズ=静止という言葉が使われています)までのタイムラインを、ここでまとめてみました。 3月1日 NY州で初の新型コロナウイルス感染者を確認 (筆者が、街中のマスク着用者を初めて見かけたのは1月末だが、3月上旬の時点でマスク着用者は全体の0.5~1%くらい) 3月7日 NY州知事が緊急事態宣言を発令 3月13日 5pm 市内の全ブロードウェイが閉鎖 収容人数500人以上の集会禁止 (この前後から、スーパーでは水やトイレットペーパーなどが売り切れ) 3月16日 8pm バー、クラブ、映画館、カジノ、スポーツジムなどが閉店 レストランは持ち帰りとデリバリーのみ許可 500人以下の場合は収容率50%以下に 職場で働く人の数を50%以下に削減 この週から、学校、図書館、博物館、美術館、デパート、ショップなども次々とクローズ。また職場で在宅勤務が増え始める。 (筆者の感覚で、マスク着用者は5%くらいに増えたことを実感) 3月19日 8pm ショッピングモール、遊園地、ボウリング場などがクローズ 職場で働く人の数を25%以下への削減を要請 3月21日 8pm 美容室、理髪店、ネイルサロン、タトゥーパーラーが閉店 (筆者の感覚で、マスク着用者は10%以上に増えたことを実感) 3月22日 8pm エッセンシャルサービス* (生活に必要なもの)以外、すべて閉鎖。人々は自宅待機、在宅勤務へ (* 医療従事者、救急隊員や警察、消防隊、スーパー、デリ、薬局、公共交通機関、郵便局、銀行、電話、電気、水道、ガス、WIFIなど) [All photos and video by Kasumi Abe] All images and text are copyrighted. 本稿はYahoo! Japan News個人からの転載。無断転載禁止

新型コロナで死者千人超えでも希望を捨てない人々(ニューヨーク今日の風景)

ニューヨーカーの希望の光 「我々が必要としていたものが今、ここに到着した。我々の仲間、海軍兵士によるこの病院船は、ただベッドや医療物資を届けるためだけにやって来たのではない。これは私たちの希望(Hope)なのだ」 現地時間3月30日午前、アメリカ海軍の病院船「USNSコンフォート」(以下コンフォート)がニューヨーク市マンハッタン区のピア90に到着し、ビル・デブラシオ市長はメディア向けのプレスカンファレンスで、力強くこのように語った。 ニューヨーク州内ではこの日、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染者が6万6497人、死者が1218人(前日965人)となった。コンフォートはこれらの事態を受け、州内にある医療施設のキャパシティを増やすために派遣された。 船内には1000床のベッド、12の手術室、80の集中治療室、医療ラボなどを備えており、ここでは新型コロナウイルス感染症以外の救急患者の治療が行われる。医療関係者1200人が任務にあたる。 Updated April 6: ニュージャージー州も含む新型コロナ患者の受け入れに転換しました(最大500床)。 コンフォートの船内の写真 バズフィードニュース コンフォートは通常、国外でのハリケーンや大地震の救済に使われているもので、ニューヨークにやって来たのは2001年の同時多発テロ以来だ。 実はこの日、ほかにジャビッツセンター(Javits Center)が仮設病棟としてオープンした。ジャビッツセンターは平常時、コミコンやNY NOWなどが行われる大型展示会場だ。ここには2500のベッドが設置され、新型コロナ感染症以外の患者が搬送される。 Updated April 3: 新型コロナ患者の受け入れに転換しました。 州内ではほかにも、大学のキャンパスやセントラルパークの屋外テントを仮設病棟とする計画が急ピッチで進められている。 コンフォートを一目見ようと多くの人々が集まったが、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の確保がされておらず、警官が出てくる一幕も。 取材帰りの非現実的な光景 in タイムズスクエア ニューヨークでは今、エッセンシャルワーカー(医療現場や交通、スーパーや薬局などで働く人々)以外、自宅待機が求められている。筆者は前夜遅く、コンフォートのプレス用カンファレンスの知らせを急遽受け取り、この日約2週間ぶりに取材に出かけた。 カンファレンス終了後、地下鉄へ向かう途中、ニューヨークの中心地、タイムズスクエアがある。 いつもは全米そして世界中からやって来た観光客でごった返し、なかなか前に進めないくらい人が多いタイムズスクエアが、新型コロナの影響でガランとしている。 どの店もシャッターが降り、店内が暗い。人もまばら。いつもならうるさいほどのクラクション音もない。 感謝祭やクリスマスなど一連のホリデーがすべて終わり、年末最後の大騒ぎをする大晦日の翌朝、つまり静まり返った元旦のようだ。 この街とは1990年代からの付き合いだが、こんなに寂しいニューヨークを初めて見た。 駅に向かって歩いていると、タイムズスクエアの顔なじみの人と遭遇した。 年中パンツ一丁でギターを弾くネイキッド・カウボーイこと、パフォーマーのロバート・バーク氏だ。筆者は15年ほど前、彼に同じ場所でインタビューをしたことがある。まさかこんな誰もいない日にも彼がここに出没しているとは思わなかった(しかも気温は10℃ちょっと。まだコートが必要) 今日だけいつもと違うのは、オリジナルマスクを着けていることだ。 久しぶりに日本語の歌を目の前で歌ってくれたので、チップを出そうとしたところ、ロバートが「いらない、いらない」と言う。「なぜ?」と聞くと「今はソーシャル・ディスタンシングが叫ばれているからいらない。それより経済が早く回復してもらうことを願っている」とクールに言い放ち、次の通行人のもとへと去って行った。 さらに駅に向かって歩を進めると、今度はさっきまでシーンとしていたのに、突然大音量の音楽が聞こえてきた。派手な三輪のスポーツカー、スリングショットが信号待ちをしている。音楽はそのスピーカーからだ。 曲は、フランク・シナトラの『ニューヨーク・ニューヨーク』。 田舎からやって来た男性がこの街で一旗揚げるぞ、と意気込む希望の曲だ。この曲はニューヨークでは、イベントやエンターテインメントが終わった後、成功を記念してかかるお決まりで、毎年大晦日のタイムズスクエアのカウントダウン後の定番曲でもある。 筆者が最後にこれを聴いたのは、ちょうど同じ場所で2019年の大晦日のカウントダウンだ。 このスリングショットを走らせるのは、ニューヨーク州ロングアイランドから運転してきたマットさん。景気付けにやって来たようだ。 人のいないタイムズスクエアで、偶然出くわした『ニューヨーク・ニューヨーク』。 たった2、3人の通行人と共に聴く。 映画みたいなことが、いいことも悪いことも、 今ここニューヨークで起こっている。 [All photos and video by Kasumi Abe] All images and text are copyrighted. 本稿はYahoo! Japan News個人からの転載。無断転載禁止

新型コロナウイルスに関するNY最新現地事情まとめ(2)ニューヨークにアジア人差別はある?篇

旅行、もしくは仕事や留学でニューヨークを訪れる方も多いと思います。いくつか関連記事を書いているので、ここでまとめたいと思います。 第2回目は、日本人として気になる「アジア人への差別はありますか?」について。 これはコロナ以前から、日本から視察や観光で来られた方にたまに受ける質問でした。 私の答えは「人の心の中までは知る由がありませんが、実際に私が直接感じたあからさまな差別はニューヨークでは特に思い出しません」ということです。 私が住むニューヨークとは違いますが、ロンドンやパリではびっくりする出来事が、たったの数日の滞在でいくつかありました。 例えば、2018年に訪れたロンドンのハイエンドなアフタヌーンティの店で、テーブル待ちをしていた時のこと。謂れ無き理由で白人の年配のカップルに待合室の椅子を強制的に譲るように、スタッフに言われてびっくりしたことがありました。ニューヨークでは感じたことがない経験でした。この時に移民の国と、王族・貴族の由緒ある国でのアジア人(観光客)の扱い方の違いを身近に感じました。 フランス、パリでもちょっとした意地悪をお店のスタッフにされたことがあります。 ただ、ロンドンでもパリでも差別をする人は「一部の心ない人」だと思うので、私はそれくらいでその国の人々を嫌いになったりはしません。ただ「この国ではそういうことが起こるんだ…」っていう程度の感想です。 またアメリカでも15年以上前のことになりますが、中西部でこんなことがありました。 その街では白人がほとんどで、アジア人は滅多に見かけません。友人(白人)とダイナーでご飯を食べていた時、隣のテーブルに2人組の女性が座りました。うち1人が私をチラッと見て「そう言えば、私最近、中国人に仕事を取られたのよねぇ〜」と話しはじめました。私を中国人と思って言った言葉であることは間違いありませんでした。 18年間、海外に住んでいますが、今思い出す差別はこれくらいです。 (細かいこと言えば〜の対応が悪かった、などはありますが、社会的立場の高い教養のある方から差別や失礼な態度を取られたことは一度もありません) 今回、新型コロナウイルスが中国から発生したということで、私もアジア人として嫌がらせを受けたりしないかと初めのころは身構えていたのですが、特に何も起こっていません。 ただ1月末に1度だけ、ちょっと嫌な気持ちになったことはあります。 電車に乗っていた時、向かいに東欧系の言葉を話す白人の女性2人が座っていました。チャイナタウンの駅で中国系の女性が乗車し2人の女性の隣に座った時、そのうち1人が笑いながらタートルネックを鼻の上まで引き上げました。私はその瞬間、眠ったふりをしました。見ていられなかったのです。しばらくするとタートルネックは降ろされていたのでほんの冗談のつもりだったとは思うのですが、同じアジア人としてまったく良い気はしませんでした。 でもこの出来事も後でよく考えてみると、差別をしたのは「ニューヨークの人ではない」というのがポイントかと思います。ニューヨーカー(ここに長く住む人々を含む)は、多様性の中で生きているので「普通の人」は差別などしないです。 それでもたまに差別や憎悪犯罪が起こるとしたら、それはもう「事故」にあったようなものでしょう。 (以下は、Tabizineに寄稿した記事の一部を抜粋します) ヨーロッパなどでは言われなき差別をアジア人が被ったというような話がよく聞こえてきます。 ニューヨークは移民の街であること、アジア人がもとから多いことなどから、私自身も、周りの友人も特に目立って大きな差別を受けていません。 クオモ知事も、このようにツイッターで発信しています。 「ニューヨークの街の強さは多様性だ。ここにはヘイトなんて起こるスペースは1mmもない」#NoHateInOurState マスクをしていることで「病気を移さないで」とからかわれたことがある人もたまにいるようなので、病気でなければニューヨークではマスクを着けない方がいいでしょう。 正気でない人が、アジア人に向かって嫌がらせをしている様子がたまにソーシャルネットワークなどに上がってきますが、そのような正気でない人はきっと全人口の一部だと思いますので、それを気にしてニューヨーク行きを諦めるのはもったいないです。 【新型コロナウイルス:速報】感染者急増のニューヨーク最新現地事情と渡航情報 3.11.2020 Coronavirus is NO excuse for racism. This assault is disgusting & I am directing the State Police Hate Crimes Task Force to assist in the investigation to make sure…