NYで銃の携帯が禁止…観光は安全?なぜ人は銃を持ちたいのか、ニューヨーカーの証言

銃撃事件が多発しているアメリカ。ニューヨーク州では9月1日より、銃規制を厳格化する改正法が施行される。 新たな改正法には、コンシールウェポン(外から見えないように隠して持ち運ぶ武器)所持申請の厳格化や、タイムズスクエアなどの銃所持禁止区域の指定も含む。 ニューヨーク市のエリック・アダムス市長は記者会見で「市内で発砲事件は、今年はすでに900件(924件)近く起こり、犠牲者は1000人以上(1115人)にも上る」と現状を悲観し「880万人の市民の安全を守っていく」と決意を新たにした。 関連記事 コロナ禍以降、市内の中心地や観光地でも銃撃事件が度々発生するように…。 【NY治安悪化】タイムズスクエア、ピーター・ルーガー … 人気観光地で連続の発砲事件 銃所持に関してアメリカでは、合衆国修正第2条(Second Amendment:1791年成立)で、自由な国家と安全のために国民が自衛のための武器を保有し携行する権利を侵してはならない、と定められている。 ただし人口密度が高い都市を擁する州(ニューヨーク、ニュージャージー、カリフォルニア、ハワイ、メリーランド、マサチューセッツなど)では、比較的銃規制が厳しく、これまでも独自路線を進んで来た。 例えばニューヨーク州の銃規制法では1世紀も前から、銃保持や携帯に厳しい資格要件が課されていた。しかし今年6月23日、連邦最高裁がこの州法について6対3で違憲であり無効との判決を下したのだった*。 関連記事 最高裁の保守派6人の判事により、自衛のために公共の場で拳銃を携帯する権利は、憲法で保障されているとの判断(NY州法の覆し)が示された。「ロー対ウェイド判決の覆し」と同じ時期だ。 米最高裁「中絶禁止:ロー対ウェイド判決の覆し」なぜこれほど論争になっているか。米国人視点で考える この決定により、自衛のための銃を自宅で所有する権利が自宅外(公共の場)にも拡張されたのだが、9月1日に施行されるニューヨーク州の改正法では、人々の安全を守るために、その一部が覆されることになる。 この改正法では、申請者は銃の16時間の実地訓練を受け、3年分のソーシャル・メディアの情報を提出するなどし「自衛のための銃を所持するに値する善良な人物か」の審査を受けることになる。 また9月4日に施行する別の法律では、半自動小銃の購入年齢がこれまでの18歳から21歳に引き上げられる。 関連記事 アメリカの多くの州では、10代の人々も銃を手にすることができる。 改正法施行前の駆け込みとして、多くのニューヨーカーがコンシールウェポンの許可申請を急いだようだ。 CBSニュースによると、8月だけで9187人が銃所持許可証のバックグラウンド・チェックのため、州に指紋採取を申請。同様の申請数は昨年同月の3187人を大きく上回った。また6月の最高裁の判決以降、銃の許可申請はニューヨークポストによると54%も急増し、CBSによると新規で1100件の銃(ライフルなどではないハンドガン)の申請が受理された。 NY観光は安全か? 改正法により、銃の携帯の禁止エリアとして、タイムズスクエアのほかにも、地下鉄、公園、教会や礼拝所、学校、バーや娯楽施設など人が集まる場所が定められた。 とは言え、法律でいくら禁止されたところで、法律を破って罪を犯す者は後を絶たない。よって安全か否かは何とも言えないが、筆者は当地に20年住み、1度たりとも自分の耳で本物の銃声を聞いたことがないというのもまた事実(一度、銃声っぽい音がした際、友人に「銃声?」と聞くと「花火だよ。銃声はもっと乾いた音がする」と教えてもらったことがある)。 ニューヨークでは銃がらみの事件のみならず、殺傷事件や窃盗、レイプなどさまざまな事件が起こりうる。観光の際には周りに注意を払いながら、恐れ過ぎず、自分の身は自分で守るべし。 関連記事 今年、銃を初めて手に入れたニューヨーカーの証言 最後に、銃が飛ぶように売れている昨今のニューヨークの情勢を反映するかのように、筆者の周りでも、新たに銃を手にした人が1人いるので、そのエピソードを添えておく。 筆者は夏の間、友人が自宅の裏庭を使って開催するバーベキューパーティーに、たびたび呼ばれることがある。そのようなパーティーに何度か顔を出すようになって、顔見知りになった60代くらいの夫婦と先日話をしていたときのこと。 妻にあたるHさんが、今年、人生で初めて銃を手にし、自宅に所持するようになったと話しだし、筆者は少し驚いた。治安悪化の一途を辿る市内、特に筆者の住居ビルの治安を心配し、Hさんが筆者に「銃を持つことは考えないの?」と聞いてきたのがきっかけだ。「え?銃所持なんて考えたことがなかった…」と筆者は答えた。実際に筆者の自宅は警察署から目と鼻の先なので、緊急事態が発生しても5分以内に出動してもらえたことが実際にある。Hさんは続けた。「私だってこれまで銃を持つなんて考えもしなかった…」。 Hさん夫婦がその年齢にしてなぜ初めて銃を持とうと思ったかというと、2020年のジョージ・フロイドさんの事件がきっかけだという。BLM運動は全米中に瞬く間に広がり、抗議デモ、店舗の略奪、破壊行為が相次いだ。「警察の注力がその騒ぎに行き手一杯になっているのを見て、いざ自分の自宅や敷地内で何か起こったとしても警察はすぐに来てくれないだろう、と怖くなった」と話した。確かに夫妻は、警察署が近くにない郊外の静かな住宅地に住んでいる。 興味本位で質問を投げかけると、Hさんは臆することなく気軽に情報を教えてくれた。値段は、プロセスフィー(銃取得のための申請費用)も銃のセット(弾倉や弾丸など一式が、ケースに収納されているらしい)も、それぞれ500ドル、700ドルほどと誰もが手が届く料金帯だと言う。銃の取り扱い方を学ぶ講習を課されたため1度受け、もう1度受ける必要があるらしい。また申請から銃の所持まで1年半ほどかかり、やっと今年手にしたということだ。 ブルックリンの筆者が住む地域は、徒歩圏内に警察署があるだけでなく、警察管区(precinct)の犯罪率は市内でも低い方、つまり治安は割と良いとされるエリアだ。一方、犯罪率が高いエリア程、警察の手が回らず、騒音問題などちょっとしたいざこざ程度では警察が動いてくれないという話も、友人から聞くことがある。そしてHさん夫妻のように、治安は悪くなくとも近くに警察署がない地域に住めば、銃を持って安心を得たいと思うのは、至極自然なのかもしれない。むしろ筆者のようなケースはアメリカでは稀であり、内陸部や田舎の方に行けば、警察署なんてまったく存在しないなんてよくある話だ。Hさんから話を聞き、この2年で拳銃が飛ぶように売れている現状、銃を手に入れたいと思う人々の気持ちに合点がいく気がした。 関連記事 アメリカ人は、日本人のように「銃があるから危険」とは考えず、「銃を多く所持するほど、より安全が守られている」と考えるから、社会不安が人々の中で広がれば、自分や家族を守るために銃を購入する動機に繋がり、銃の売れ行きがよくなる。 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

有名アパレルのSNSが炎上!「多様化」目指す米でも批判を免れなかった体型イメージ

米アパレル、Abercrombie & Fitch(アバクロンビー・アンド・フィッチ)がソーシャルメディアに投稿したあるイメージが、大炎上した。 ニューヨークで1892年に創業した同ブランドは、主に白人の大学生を中心に人気がある。歴史が長く若年層に大きな影響力を持つ有名ブランドが、あるモデルを採用してイメージ広告を作成し、先週公式インスタグラムに投稿したところ、週末にかけて一気に拡散されたが炎上する騒ぎとなり、同社が投稿を削除した。 火種となったイメージ広告は、プラスサイズの女性にフィーチャーしたものだった。近年、プラスサイズのモデルを積極的に採用するアパレル企業は増えている。しかしこのイメージ広告に対しては、否定的な反応が大多数を占めた。 物議を醸した主な理由は「体型の多様性とインクルージョン(互いの個性を認め合うこと)を口実に、肥満と不健康な食習慣を正当化しようとしていないか?」というものだった。 あるSNSユーザーは「今シーズンの彼ら(アバクロ)は、糖尿病と心臓発作(の原因)にフィーチャーしている」と書き込んだ。また別のユーザーからは「あの写真を見て『あんな姿になりたい、あのショートパンツを注文しよう』と誰が思うのだろうか?」「​​肥満のイメージをセクシーで魅力的なものとしてアピールすることは、不健康そのものではないか」という書き込みもあった。 インスタのイメージ広告の炎上はほかのSNSにも波及した。ある投稿者の「削除したのか?」との質問に、「質問やお問い合わせがある場合はDMを送ってください」と同社。 イメージに対して、擁護派の意見ももちろんあった。ある人は「肥満の人のために服を作ることは、今やそんなに悪いことなのか?」と反対意見を挙げた。 同ブランドはイメージ戦略としてこれまで、鍛え上げられたモデルのような上半身裸の男性スタッフを店頭に立たせるなどし、ルッキズム重視の傾向があった。女性もののXLサイズ以上を販売しなかったことに対して2013年、当時のCEO、マイク・ジェフライズ氏が「自分の店には大柄の人ではなく、細身の美しい人に来てほしい」と発言し、批判の的になったこともある。 これまでアメリカのファッション業界全体でも、伝統的に痩せたモデルが持て囃される傾向が強かった。しかしそのようなカッコ良いとされるイメージが、若者の痩せ願望や非現実的なボディスタイルへの憧れを助長させ、間違ったダイエットや不健康な食生活に誘導しかねないとして、近年、同ブランドやヴィクトリアズ・シークレットなど若年層に人気のブランドは、痩せ過ぎたモデルの採用を避ける傾向にあった。加えて、時代の流れと共にプラスサイズのモデルを積極採用するアパレルも少しずつ増え、体型の多様性がフォーカスされるなどし「価値観」の軌道修正がなされてきた。 ただし同時に、アメリカという国は先進国の中でもっとも肥満率が高いことでも知られる。CDCのデータによると、2017年から2020年3月まで、アメリカの成人の41.9%が肥満とされており、肥満率は年々増加傾向にある。肥満は心臓病、脳卒中、高血圧、糖尿病など生活習慣病の原因にもなり、高い肥満率は社会問題の1つである。よって、ダイバーシティが重視される近年のアメリカにおいても、今回のイメージ広告について「やや行き過ぎ」と見た人が多かったようだ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

増えるテレワークと厳しい「従業員の監視」… 米国では?

コロナ禍でさまざまなニューノーマルが生まれた。その1つは新たな働き方、例えば職場におけるリモートワーク(在宅勤務、テレワーク、WFH)の浸透だろう。 筆者が住むアメリカ・ニューヨークでも、昼時のオフィス街に以前のような活気が戻ってきたように見える。しかし、リモートワークがそれほど根付いていなかったコロナ前に「完全に戻った」とは言い切れないかもしれない。 実際に周りの人々に状況を聞いてみると、コロナ禍以降の働き方は実に「多様化」してきた印象を受ける。完全出勤体制(オフィス勤務)に戻った人もいれば、在宅&オフィスのハイブリッド、つまり週の半分をオフィス出勤し、ほかの日はリモートワークの人(出勤は週1の人も中にはいる)、そして完全リモートワークの人もいる。 また、「自宅では集中できない」「経理なので仕事を外に持ち出せない」「取材は市内であるので、オフィスには毎日通っている」と答えた一部の人を除き、筆者の周りの多くは「リモートワークの方が良い」(もしくはハイブリッドでも良いが、リモートワークに比重を置きたい)と考え、それが叶えられている現状に満足している人が多かった。 関連記事 NYのオフィス街に人が戻りはじめたのは2021年春ごろ。 新型コロナに「打ち勝った」“先行事例”となるか?NYが復興へ前進、大規模再開へ ある統計資料によると、労働人口が1億6460万人(2020年2月)を超えるアメリカでは、470万人以上の人が勤務時間の半分をリモートでできる職場環境にあるという。リモートワークのみの従業員を雇用している企業はわずか16%、リモートワークをまったく許可していない企業は44%と半数近くだ。 世界規模で見てみると、完全リモート化の企業は全体の16%と、まだ一部のようだ。またハイブリッドの勤務形態をとっているのは労働者の約62%。 マイクロソフトが今年初めに世界中の3万人以上の従業員を対象に行った調査では、52%の人が完全リモートワークまたはハイブリッドの勤務体制に移行したいと考えていると答えた。今後技術がさらに進歩し、特に若い世代の働き手がリモートワークを求める傾向にあることから、今後もリモートワーク化を進める(許可する)企業は増えていくかもしれない。 関連記事 「ある調査では、9割が在宅勤務を含む働き方を希望し、半数は在宅勤務メインの働き方を希望すると答えた」(2021年8月の時点) いまアメリカで「自宅勤務を認めるvs認めない」企業で大論争が起きていた!(現代ビジネス) 増えている、テレワークの遠隔監視 リモートワーク化が進めば、雇用側として気になるのは「スタッフが自宅(もしくはカフェなど遠隔地)で真面目に仕事をしているか?」ということかもしれない。 24日付のニューヨークタイムズによると、経営者や上司が従業員に対して、テレワーク中に遠隔で監視する企業が増えているという。 記事では、テキサス州のIT企業でバイスプレジデント職に就いたある女性の事例が紹介された。その女性従業員は時給200ドル(約2万7000円)で雇用契約を結び、在宅勤務を開始した。その女性従業員はMBAを取得し、金融業界で長い経歴を持つベテランだ。200ドルの時給はアメリカでも比較的高めだが、この従業員の学歴やキャリアから考えるとアメリカでは特別に破格な時給でもない。 さて、いざ給料日になると、この女性従業員に実際に支払われた金額はその時給より低かったという。なぜか。 テレワーク中、会社はあるソフトウェアを使い、従業員をモニタリング(監視)していたようだ。具体的には、従業員のコンピュータの使用状況やキーボードの操作にどれだけ時間が費やされたかを遠隔でトラッキングし、従業員の勤務状況を把握するため10分ごとに従業員の顔写真とブラウザのスクリーンショットを撮影していた。実際には勤務中、コーヒーを淹れたり宅急便に対応したりするために離席する空白の時間があった。トイレ休憩も含めてそれらのオフラインの時間は「労働」とはカウントされていなかった。従業員が活動していると確認できたオンライン時間だけが時給換算され、給料として支払われたというわけだ。 しかし、この類のソフトウェアは万能ではないと専門家は指摘する。実際には、資料を見ながらコーヒーを淹れることもある。キーボードから手を休めて、外の景色を見ながらプロジェクトについて考えごとをすることもあれば、プリントアウトされた紙の資料を読むこともある。同僚と会話したり部下に口頭で指導したりもする。 ソフトウェアを使った機械的な監視方法ですべての勤務時間を適正に測定することは不可能だと考えられている。何よりも、その女性従業員は具体的な監視方法を知り「ぞっとする」気持ちになったと言う。 またこのような苛立ちや不満は、弁護士や会計士など高学歴の人々の間で高まっていることが特徴だ。「これまで低賃金の労働者が不満に思ってきた類の問題に、今彼らも直面している」と記事は述べている。 監視の効果を認める意見も 反対意見ばかりではない。筆者が話を聞いた中には、この監視制度を100%サポートするわけではないとしながらも、このようなシステムがあるからこそ「仕事に集中できる」「効率的な業務に繋がる」「時間配分をより工夫できる」「生産性が大幅に向上する」という意見もあった。別にサボろうと思っていなくても、時間を確認するためにスマホをチェックしたら、ノーティフィケーションに気づいてSNSを開き、ついつい長時間スマホを触っていた…なんていうことはよくあることだ。監視ソフトについて「集中力を高め、効率的なツールである」「本当に一生懸命働いた日、そのようなツールによる測定は満足感を与えるだろう」と見る専門家はいる。 「監視」は大企業でより浸透 テレワークにおける監視システムの導入でもっとも有名な企業は、アマゾンだ。ニューヨークタイムズによると、同社は依然、在宅勤務の内容をカウント(測量)しているが、15分を超えるアイドルタイム(動作がない時間)を精査し、上司との会話は本当に必要か、トイレにそれだけの時間を費やす必要が本当にあるのかといったようなことをより精査していきたい考えのようだ。 またJPモルガンも、コンプライアンス上の理由から、電話やメールの内容を通し、従業員が日々どのように働いているかを追跡、記録している。同社は「これらが仕事の効率化も担っている」と考えているそうだ。 監視システム(遠隔監視、電子監視)は大企業ほど行われる傾向があり、ニューヨークタイムズは「500人以上の従業員を抱える企業であれば『監視』が行われていると想定できる」と述べている。 またニューヨークポストによれば、これらの監視には主に4つの方法があるという。 タトルウェア(Tattleware)という監視ソフトウェア 電話の盗聴とトラッキング ハイパーロケーション監視 感情分析ソフトウェア (1)従業員のキー入力やマウスの動きを記録したり、コンピュータのライブストリームを介したりして監視する。 (ただし、キーボードに取り付けるマウスジグラーを使えば、実際に作業をしていないときでも作業をしているように取り繕うことができる弱点がある) (2)金融系企業には、1日中電話に耳を傾けるコンプライアンス担当者がおり、担当上司はインサイダー取引から汚い言葉使いまであらゆることをチェックしていると専門家の弁。 (3)Bluetooth(ブルートゥース)を使い、携帯電話や社員証に取り付けることで、雇用主は従業員の居場所、その従業員の周りに誰がいるか、誰が誰と繋がっているかなどを把握することができる。 (4)表情から人の感情を読み取ることができる新技術。例えば会社がZoomを介して従業員に週5日のオフィス勤務が再開する旨を伝えた場合、バイオメトリクス技術により不満げな人の表情をソフトウェアが解析。 テレワークをする従業員の労働を可視化できる、さまざまなソフトウェアが存在する。 ニューヨークポストによれば、「職場監視ソフトウェアの売り上げは新型コロナのパンデミックが発生した2020年3月以降、数週間で3倍以上になり、売り上げは今も伸びている。スパイのような監視行為はあなたが思っているよりはるかに日常的なものとして浸透している」。 リモートワークを好む従業員が増えていることを受け、監視を「交換条件」として使う企業もある。例えば「リモートワークが希望ですか?良いですよ。その代わり当社が使っている監視システムの使用に同意してください」という具合だ。 とは言え、中には監視システムをまったく使っていない企業もある。筆者が話を聞いたIT企業やメディア企業の代表者は、口をそろえて「スタッフがタスクをきちんとやっているかがもっとも大切なことであり、勤務時間内にパソコンの前にいるかどうかはそれほど関係ない」と答えた。 あなたは、監視される側(従業員)の立場として、または監視する側(経営者、上司)の立場として、今後ますます増えていくかもしれない遠隔からの監視体制について、どう受け止めただろうか? 過去記事 テレワークやオンライン授業に移行する人々の声 NY感染拡大で「社会的距離の確保」5事例(2020年) Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

物議を醸した日本総領事の始球式。仕切り直しイベントで大投手と和解

野球がアメリカから日本に伝来したのは1872年、つまり今年は150年の節目の年にあたる。 それを記念し、ニューヨーク市で25日、日米友好イベント「日米野球ヒストリーナイト(Japan U.S. Baseball History Night)」が催された。 会場は、大リーグのニューヨーク・メッツの本拠地、シティフィールド。この日のコロラド・ロッキーズ戦との試合開始に先立ち、在ニューヨーク日本国総領事館の森美樹夫大使・総領事による始球式が「ついに」実現した。 始球式に先立ち、メッツ社長のサンディー・オルダーソン氏や始球式で捕手を務めた元メッツ選手の吉井理人氏らとグラウンドに現れた森大使は、「先ほどセントラルパークで、吉井さんに相手になってもらい、ボールを投げる練習をしてきました」と、始球式への抱負を語った。 実は同球場で今年5月、「ジャパニーズ・ヘリテージナイト(Japanese Heritage Night)」が行われ、森大使による始球式は本来、そこで予定されていたものだった。大使はこの時マウンドに向かったものの、メッツの先発投手、マックス・シャーザー選手が投球練習をはじめ、始球式が行われることはなかった。SNSでは「なぜシャーザー選手は日本の大使を無視したのか」「失礼では?」などと話題になった。 その後、始球式を巡る混乱の背景について、メッツ社長のオルダーソン氏より森氏へ説明があり「誠実な謝罪がなされた」(在ニューヨーク日本国総領事館)と伝えられていた。よってこの日は、仕切り直しの始球式という意味合いが込められていた。 森大使は5月の騒動を振り返り、「球団内部でのミスコミュニケーションがあったそうです。あのようなことが二度と起こらないように手順を見直すと球団より説明を受けている」と語った。 また森氏は、この日の始球式直前にクラブハウスでシャーザー選手と再会したという。その際、同選手より、初回の始球式で段取りの打ち合わせが球団内でうまくできていなかったことを謝罪されたとし、「気持ちよくお話しさせていただきました」と述べた。和解の印として「今日は2人で始球式をしようという気持ちでお願いした」と言い、同選手の直筆サイン入りキャップも見せてくれた。 「災い転じて福となす、英語ではBlessing in the skyとも言いますが、そのような諺通り、2度始球式に臨むことができ、経験を糧に野球を通じた日米交流イベントができてよかった」と語った。 「今日は気持ちよく投げることができたか?」との記者からの質問には、「そうですね、はい。ちょっと蒸し暑かったですが」と言って微笑んだ。 この日は始球式のほかにも、球場内で日米野球交流の歴史についての動画上映、太鼓演奏、折り紙ワークショップなどもあり、これらを通して日本の文化がメジャーリーグのファンに披露された。また試合はピート・アロンソ選手(20番)が2ランホームランを放つなどし、3対1で勝利の女神はメッツに微笑んだ。 過去記事 「日本のパレード」NYの人の目にどう映ったか?岩倉使節団と野球伝来、日米友好150周年 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

殺害に4億円相当の懸賞金。『悪魔の詩』作家サルマン・ラシュディ 襲った犯人とは?

作家のサルマン・ラシュディ氏(75歳)が12日、ニューヨーク州西部シャトークア郡の講演会場で男に襲撃され、重傷を負った。 午前10時45分ごろ、学術センター「シャトークア研究所」で、文学系の講演の開始直前、男が突然壇上に押し入り、同氏と司会者の男性に刃物で襲いかかった。ラシュディ氏は首などを複数回刺され、救急医療用ヘリコプターで病院に緊急搬送された。人工呼吸器を装着して集中治療を受けているが、肝臓や腕の神経に損傷が見られ、片目を失う恐れがあるという。司会者も軽度の頭部外傷を負った。 ラシュディ氏はインド出身の著名作家で、イスラム教預言者ムハンマドを題材にした小説『悪魔の詩』(1988年)の著者として知られる。同作は一部のイスラム教徒から冒瀆的とみなされ、イランの最高指導者だった故ホメイニ師が89年、ラシュディ氏に対して「死刑」を宣告していた。 APによると、ラシュディ氏の殺害に300万ドル(約4億円)以上の懸賞金がかけられていた。 同氏はこれまで9年間にわたり、英政府による24時間の警備体制の下、ペンネームを使って活動するなどし、その安全が守られてきた。このような隠遁生活を経て、近年は公の場に慎重に姿を現していたが、この日のイベント会場ではなぜかセキュリティが手薄だったようだ。 日本語翻訳者も殺害 『悪魔の詩』を巡っては、暴動でこれまで少なくとも45人(ラシュディ氏の故郷、ムンバイの12人含む)が死亡していると、APなど各メディアが報じている。 日本でも90年日本語翻訳版が発表されたが、その翌年、翻訳した筑波大の五十嵐一(ひとし)助教授が何者かによって首などを切られ殺害された。容疑者は検挙されないまま、06年に時効となった。 インディアンエクスプレスによると、ほかにもイタリア語翻訳者のエットーレ・カプリオーロ氏がミラノで刺され負傷。ノルウェーの出版元、ウィリアム・ナイガード氏がオスロで銃撃され、負傷している。 ラシュディ氏にまつわる世界の動きを時系列でまとめたAFPのインフォグラフィック NBCニュースによると、ラシュディ氏はニューヨークでの2012年の講演で「テロリズムは恐怖そのものである」とし、「それを乗り越える唯一の方法は、恐れないと決心することだ」と語っていた。 誰が襲った? 州警察の発表によると、ニューヨーク州の隣、ニュージャージー州に住むハディ・マタール(24歳)容疑者が犯行後、その場で拘束された。 マタール容疑者はカリフォルニア出身とされる。レバノン南部ヤロンからアメリカに移住したレバノン人の両親の下に生まれた。ニュージャージーに引っ越してきたのは最近のことで、ニュージャージー州の偽の運転免許証を持っていたという。 事件の動機は依然不明で取り調べが進められている。容疑者のソーシャルメディアには、イスラム教シーア派の過激主義やイスラム革命防衛隊、イラン政府団体への共感が見られると警察が発表している。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

中絶を禁じられた女性の立場で「見過ごせない理由」を考えてみた ── 白熱する「中絶論争」

6月に連邦最高裁判所が、半世紀にわたって人工妊娠中絶の権利を合憲だとしてきた「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を示した。それ以降、中絶にまつわる議論が全米で日を追うごとにヒートアップしている。 中絶の規制は各州に委ねられ、州は独自の州法で中絶を禁止できるようになった。 過去記事 米最高裁「中絶禁止:ロー対ウェイド判決の覆し」なぜこれほど論争になっているか。米国人視点で考える 中絶が禁止の州はどこ? ロー対ウェイド判決を覆す最高裁の判決を受け、現在は少なくとも14州(妊娠6週以降の4州含む)で中絶が禁じられている。 今後数週間以内に、中絶を禁止する州はさらに増えると予想される。中絶を制限する法の施行を阻止するため、中絶擁護派(プロチョイス)によって多くの州で訴訟が起こっているものの、これまでの歴史を振り返ってみても、中絶反対派(プロライフ)の一部の過激派により、中絶クリニックの医師を襲って手術を阻止しようとした事件が起こった事例もあり、一部地域ではクリニックの閉鎖がすでに始まっている。 ニューヨークタイムズによる最新のインフォグラフィック そんな中、カンザス州では今月2日、大きな動きがあった(地図の真ん中のグレーの州)。州憲法から中絶権の保護を削除する是非を問う住民投票が行われたのだ。同州は歴史的に保守的で共和党支持者が多い。専門家は投票率について36%止まりになると予想し、住民投票で修正案が承認されるだろうと見ていた。 しかし蓋を開けてみれば、投票率は49%と半数近くで、中絶権を削除する法案を拒否したのは全体の59%にあたる54万票を超えた。削除を受け入れるとした41%(37万票超え)を18%も上回った結果に。つまり投票者の過半数が、中絶の権利がないとする州法修正案を拒否して合憲性を維持し、このような保守的な州でも中絶権についてさまざまな考えが存在することが明らかになった。(ニューヨークのような民主党寄りの州も然り) ニューヨークタイムズによると、例えば2020年の大統領選で81%と大多数の人がトランプ氏に投票した同州ハミルトン郡でさえ、今回の住民投票で反中絶の支持者は56%止まりということだ。 カンザスは、ロー対ウェイド判決の覆し以降、中絶の権利を巡る住民投票で擁護派が勝利した初の州となった。同様の住民投票は年内にケンタッキー州、カリフォルニア州、バーモント州でも予定されており、中絶権擁護派はカンザスでの結果が今後の指標になることを求めている。 中絶の権利がなぜこれほどの議論になっているのか、日本からはなかなか理解しづらい。2回目の今回は、中絶禁止州に住む擁護派の女性の立場から、なぜ中絶へのアクセスが禁止されると困ることになるのか考えてみる。 女性として、中絶へのアクセス権が譲れない理由 各研究機関により、以下のファクトが指摘されている。 アーバン・インスティテュートによれば 合法的な中絶へのアクセス:女性の経済的および社会的生活を改善する 中絶を拒否されること:女性と生まれてくる子に経済的困難と経済的不安をもたらす。健康と幸福に多くの悪影響を与える可能性がある コロラド大学の研究によれば 妊娠は安全な中絶よりもリスクが高く、もし全米で中絶が禁止されるようなことが起こるとなると、2年以内に妊娠関連の死亡者数が、少なくとも21%増加する可能性がある そもそも中絶手術を受ける理由として、予定外の妊娠や経済的困難、レイプ、DV、持病の悪化、子の重度の障害など、人それぞれだ。それぞれの事情により中絶が必要となった場合に、住む地域で、中絶へのアクセスが比較的しやすいかしにくいかは非常に重要だ。 住んでいる州で中絶手術へのアクセスが絶たれた場合の対策として、ディズニー、JPモルガン、メタ、アマゾン、スターバックス、テスラなど多くの大企業が、従業員が他州で中絶手術ができるよう、旅費を負担する方針を打ち出している。あなたは「それならば心配はない」と安堵するだろうか? 大企業で働いている人は、高所得者で恵まれた環境にあり、実際には皆が皆、そのような福利厚生がしっかりした大企業に勤めているわけではない。ガットマッハー研究所によると、そもそも中絶を受ける女性の75%が、貧困層か低所得者層であることがわかっている。そのような人々はきちんとした健康保険に加入しているケースは少ない。よって、中絶手術を受けるためだけに仕事を休んで、わざわざ他州に旅行ができるわけがない。 また、望まれた妊娠だとしても、突発的になにが起こるかわからない。中絶への自由なアクセスがない環境において、流産が避けられず母体の生命が危険に晒される事態になったとして、万が一中絶手術を受けられなければ「妊産婦死亡率は上昇するだろう」とメディアは警鐘を鳴らす。医師が起訴されることを恐れて「法的枠組み」を遵守し、中絶処置を拒否した結果、母体が命を落としたケースは、アメリカのみならず、伝統的にカトリック教徒が多い(人口の70%を占めるような)国々で後を絶たない。 繰り返しになるが、そのような不幸に見舞われるのは大企業で働いている女性ではない。主に影響を受けるのは、身近に中絶手術ができる医療機関のない場所に住む人、社会経済的に地位の低い人、そして思春期の若者だ。 【写真キャプ】ロー対ウェイド判決を覆す判決後、プロライフ派がクリニックの外に集まった。「生命は神の賜物。胎児を殺してはならない」がカトリックの「基本原則」とされている。 「私の体は、私が選ぶ」の本当の意味 中絶権擁護派(プロチョイス)と言っても、中絶を100%奨励しているわけではなく、そうならないように防止することが大切だとしている。その上で、中絶が必要となってしまった場合に、「誰もが自分自身のことは自分自身で選択するべき」というのが基本原則だ。 日本の母体保護法の定める「中絶は配偶者(夫やパートナー)の同意があってこそ」の概念は一切ない。まさに“My body, my choice”(自分の体は“自分”が選択)の本来の意味に則っている。 中絶にあたって配偶者の同意を法的に規定している国と地域は、日本、台湾、インドネシア、トルコ、サウジアラビア、シリア、イエメン、クウェート、モロッコ、アラブ首長国連邦、赤道ギニア共和国の11ヵ国と地域。資料 伝統的なカトリック教徒の国、アイルランドをはじめとし、ヨーロッパの国々でも中絶に対する規制が緩められているのが世界の潮流だ。一方アメリカでは(ロー対ウェイド判決が覆される前であっても)、中絶擁護派と反中絶派が政治と法律面で幾度も闘ってきた。まるで時代と逆行しているようにも見える。 ますます白熱する中絶議論は、11月の中間選挙の大きな争点となりそうだ。激しいインフレ、杜撰な移民対策、アフガニスタンからの米軍撤退などでバイデン大統領の支持率は31%とさらに低迷している。銃規制、税制改革、インフレ対策など選挙結果を大きく左右するであろう要素の中に、国民の間でヒートアップする中絶問題も選挙の争点となり、民主党は反転攻勢をしていくだろうか。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

ロシア拘留のブリトニー・グライナー裁判のゆくえ 

【速報】米東部時間4日朝、ブリトニー・グライナー選手はロシアでドラッグ所持と密輸の罪で有罪判決となり、禁錮9年の判決が下されました。 違法薬物所持容疑でロシアで勾留されている、米WNBA(女子プロバスケットボールリーグ)のブリトニー・グライナー(Brittney Griner)選手。その裁判が、モスクワ郊外の裁判所で先月より始まっている。 出廷したグライナーさんは、被告人席として設けられた狭い檻の中に入れられるなど、初公判後もショッキングな映像が映し出されている。グライナー選手と言えば、オリンピックで2個の金メダルを獲得したアメリカの大スター選手だが、2月の拘束以来、手錠をかけられた姿がメディアに映し出され、(欧米諸国にとっては)まるで重罪人のような扱いを受けている。 グライナーさんは裁判で先月、カンナビス(大麻)の抽出オイル(Hashish oil、Hash oil、ハシシオイル)を含むベープカートリッジを、自身のカバンの中に所持していたことは認めた。しかしそれらは鎮痛剤として使用していたもので、娯楽目的でもなければ法を犯す意図もなかったと、通訳を通じて述べた。 弁護団は、グライナーさんが所持していたカンナビスについて、痛みを和らげるために医師から処方された医療用大麻だと主張した。2メートル以上の長身を武器にしている同選手は、練習や試合中に体全体でぶつかり合うことが多く、脊椎、足首、膝を怪我し、何ヵ月もの間、車椅子を使用するほど症状が悪かったという。2013年より所属しているフェニックス・マーキュリーは、本拠地アリゾナ州において同選手が医療用としてカンナビスを使用するのを許可していた。 グライナーさん自身はそれを薬としてロシアに持ち込んだわけではなく、急いで荷造りしたため無意識のままカバンに入れたという。ただしカンナビスは、ロシアでは違法薬物にあたる。 グライナーさんは法廷で、モスクワの空港で逮捕に至った経緯についても触れ、税関の関係者に呼び止められた際の通訳が「不完全」で、自分の権利が守られなかったと主張した。正しい説明なしに書類に署名をするように強制され、いったいどのような書類なのか理解できないまま署名してしまったという。 関連記事 ロシアが東京五輪金の米スター選手、ブリトニー・グライナーを拘留 裁判が想像以上に深刻な理由 「なぜスポーツ選手は薬物を痛み止めに使うのか」有力紙の見解 娯楽用のみならず医療目的のための使用について、アメリカではたびたび議論の対象となるマリファナ。グライナー選手の拘留により、再びその是非が問われている。 ニューヨークタイムズは「Why Pros Like Brittney Griner Choose Cannabis for Their Pain」(なぜブリトニー・グライナーのようなプロ選手が鎮痛のためにカンナビスを使うのか)という記事の中で、以下のように述べている。 米国務省は、グライナーさんについて「ロシアによる不当拘束」という見解を示しているが、マリファナは米連邦レベルでは違法薬物のままで、何千人もの人々がマリファナの使用または販売のために刑務所に入れられている。 その一方で、数十の州が医療用または娯楽用としてマリファナを合法化しているのもまた事実。とりわけ日頃から肉体を酷使し年中怪我をしがちなスポーツ選手にとって、体の傷や痛みを癒す「効用」も認められており、それらを医療用として合法化するようスポーツリーグや政治家への働きかけが行われている。 実際にカンナビスを治療のために使用しているプロのスポーツ選手はグライナーさんだけではなく「多くのアスリートは、医師が処方してきた中毒性のあるオピオイドや類似の薬よりマリファナの方がよっぽど健康的だと信じている。またそのようなプロスポーツ選手からは、グライナーさんの拘留について哀れみの声と、ロシアに対しての批判が多く上がっている。 メジャーリーグは? 米スポーツ界のマリファナ使用ルール 以上のような効用を鑑み、一部のプロスポーツリーグでは、その使用に関する罰則方針について、近年再検討されつつある。 NBA(プロバスケットボールリーグ) 使用に関する違反が繰り返された場合のみ、出場停止処分となる。「グライナー選手がリーグに復帰しても、WNBAから処分を受けることはない」と関係者の声。 MLB(プロ野球リーグ) 2019年、選手の禁止薬物リストからマリファナを削除した。ただし、飲酒運転などと同様に法律を犯して使用した場合や、選手として試合や練習中に使用した場合、懲戒処分を受ける可能性がある。 NFL(プロフットボールリーグ) 2020年、使用に関する方針を緩和し、制限された量の使用を許可した。一方で、制限を超える量の使用に関しては選手に罰金を科したり、出場停止処分にすることもある。 NHL(プロホッケーリーグ) 選手に対してマリファナ検査を行うが、陽性結果になったからといってペナルティを科すことはない。 (参照:ニューヨークタイムズ) 捕虜交換となるか?今後の裁判の行方 現在、グライナーさんは捕虜のような扱いでロシアに拘束されている。アメリカ政府はグライナーさんのほかにも、2018年にスパイ容疑で16年の刑期が言い渡されロシアで服役中のアメリカ国籍保持者、ポール・ウィラン(Paul Whelan)氏の釈放も正式に打診した。 ブリンケン国務長官の声明 ロシア側からの具体的な回答は得られていないものの、アメリカ側が釈放を望んでいる2人のアメリカ市民と引き換えにロシア側が求めるのは、アルカイダとタリバンに武器を売ったとされる武器販売および殺人の罪でイリノイ州の刑務所に懲役25年の刑で服役しているロシア人、ヴィクトル・ブート(Viktor Bout)受刑者の釈放と見られている。またそれが叶えられない限り、受刑者交換の交渉は決裂するだろうとも伝えられている。 トランプ氏の辛辣な意見 トランプ前大統領は先月末、出演したラジオ番組で、重罪を犯したロシア人受刑者との交換に難色を示した。 グライナー選手について「ドラッグが好きではなく、ドラッグに対して非常に警戒している敵対的な領土にドラッグを積んで行き、捕まった。その結果、武器商人との交換が交渉されようとしている」「潜在的に甘やかされた人だ」と、脇が甘いとも取れるグライナーさんの行いについて辛辣に非難した。 交渉上手で隙がなく、またアルコールやドラッグに関して人一倍自制をしていることで知られるトランプ氏らしい発言だ。 グライナーさんは有罪判決が下された場合、懲役10年の刑になる可能性もある。ウクライナ情勢に纏わり緊張がますます高まるアメリカとロシア間で、グライナーさんとウィランさんの釈放に関して、今後どのような「人質外交」が行われていくだろうか。 参照 Why Pros Like Brittney…

NY1億円超高級コンド内見。「眞子さんをよく見かける」ヘルズキッチン住民の目撃情報も

筆者がこのたび訪れたのはニューヨークにある高級ホテル…ではなく、完成したばかりの新築コンドミニアムだ。マンハッタン区ミッドタウンの西端、ハドソン川にほど近いヘルズキッチン地区の一風変わった高級住居用ビル、The West(ザ・ウェスト)。 12階建てのこのビルは、低層階が昔ながらのインダストリアルなこの界隈の空気を受け継ぐウェアハウス風。高層階は一転、近未来的な凹凸が無造作に配置されたファサードが特徴だ。これら相反する2つのエレメントが見事に合体し、唯一無二の造形物として仕上がった。 市内にあるCitizenM HotelsやUrbyなどで実績があるオランダの建築家集団、Concrete(コンクリート)による最新作だ。低層階の外壁に使われているのは普通のレンガではなく、StoneCycling(ストーンサイクリング)による「アップサイクル・レンガ」を使うなど、サステイナビリティ(持続可能性)への配慮が細部に見え隠れする。 緑が眩いスペーシャスなエントランスに足を踏み入れると、フレンドリーなコンシェルジェが笑顔で出迎えてくれた。外観から予想しなかったヒューマンタッチなおもてなしが、訪問者にひとときの安堵感を与えてくれる。奥のスペースは、リモートワークをしたりゲストを出迎えたりなどさまざまな目的に活用できそうな温室風の明るいライブラリーが広がっている。仕事がサクサクと捗りゲストとの会話も弾みそうだ。そんな生活の1シーンを想像しながら、エレベーターでスタジオタイプ(日本のワンルーム)と1ベッドルームの部屋へ。 ドアを開けると、奥の窓から部屋いっぱいに柔らかい光が射し込んでいる。モデルルームのようにすでに家具や小物が配置されていて、自分がもし住んだら「ここで仕事をして」「休憩はここで外を見ながらコーヒーを飲んで…」などイメージがつきやすい。 The West インテリアごとお買い上げ? 「ここにあるものを“丸ごと”購入も可能ですよ」と説明するのは、米不動産会社コーコラン・サンシャインのシニア・セールスディレクター、アンジェリ・ディチキス(Angeli DeCecchis)さん。コンドの購入となると、日本と同様に家具が何もないまっさらな状態が主流だが、The Westでは家具はもちろん壁に掛かった絵画、テーブルに置かれた写真集や照明器具、キッチンツールやカトラリー、ベッドリネンに至るまで、室内にあるものすべて「込み」でユニットをお買い上げすることもできる。 このようなスタイルは、鍵を回せばすぐに住むことができるという意の「ターンキー」物件と呼ばれるもの。 インテリアコーディネートは、プロ集団のASH Staging(ASH NYC)によるもの。 通常、新居に引っ越す場合「壁やカーペットは何色にしようか」「どんな絵を飾ろうか」と迷いながら自分たちの城をクリエートしていく。それも一興だが、ターンキー物件の場合、プロのインテリアコーディネーターが世界中からハイセンスの家具や小物を厳選し配置しているので、あれこれ考え、買い物に出かけてどれにするか迷い、支払って運送を待ち…といった一連の手間暇がいっさいかからない。 「購入の手続きさえ済めば、明日からでもここで生活が始められるんです」(アンジェリさん)。この便利さから、ターンキー物件は州外や国外に住む人がニューヨークを訪問する際の一時滞在としての場所、セカンドハウスとしても人気だという。 建物内にはライブラリーのほかに、スポーツジム、キッズルーム、コミュニティダイニングルーム(パーティーやイベント用)、犬のグルーミングルーム、倉庫なども完備。また屋上プール、カバナ、バーベキュー設備、ドッグパーク、外ヨガスペースまであり、あらゆるものが敷地内で完結する。 周りに景色を遮る高層ビルがないので、開放感ある見晴らしだ。当地ではパンデミック以降、バックヤードやテラスなど屋外スペースを人々が渇望するようになったが、そのような需要を満たしたアパートメント・コンプレックスだ。 ◎ビル内アメニティを見る いくらあれば住める? Studio #718(484ft²、約45平米) 95万ドル(約1億2900万円) 1BR #723(672ft²、約62平米) 135万5000ドル(約1億8500万円) * ターンキーパッケージ価格 * 当地では購入価格に加え、毎月の共益費と税金が別に必要。例えばStudioの場合22万円ほど毎月かかる(共益費670ドル(約9万2000円)、税金919ドル(約12万5000円)) 新築でこれだけアメニティ設備が完備しているThe Westの価格が高いかお得か? 当地のアパートの不動産価格は、立地はどのストリートか、ユニットは何階で方角はどちらか、ベランダの有無など細かい条件によって異なってくるため一概に比較はできないものの、参考程度にマンハッタンの1ベッドルームの販売価格と賃貸の「中央値」も添えておく。 不動産会社のトリプルミントによると、昨年9月の時点で以下の通り。「マンハッタン内」でもっとも高いエリアと低めのエリアも調べた。ヘルズキッチンは、あくまでも「地区」としてはちょうど中間あたりに位置する。 販売価格の中央値 ヘルズキッチン 104万5000ドル(約1億4000万円) ノーホー 219万7500ドル(約3億円) フォートジョージ 34万4000ドル(約4600万円) 賃貸(家賃)の中央値 ヘルズキッチン 3903ドル(約53万円) ハドソンスクエア 7250ドル(約98万円) フォートジョージ 1750ドル(約23万円) NYの「中央値」と「平均」の家賃について 関連記事 小室夫妻も想定外のインフレに悲鳴? 日本人は知らない「ニューヨーク家賃事情」のリアル 年間30万円以上アップもあり得る(マネー現代) * 記事内はすべて1ドル136円計算 眞子さんを「よく見かけます」とヘルズキッチンの近隣住民 最後にヘルズキッチン地区と言えば、小室眞子さんと圭さん夫妻が昨年新居を構えたことで、日本での知名度が一気に上がった。 この地区は、中心地タイムズスクエアから徒歩圏内にあり便利な立地。文化施設や観光地がない替わりに、低層の住居ビルと多国籍レストランが連なり、地元の人が普段使いするアーミッシュマーケットやこぢんまりとしたカフェも。昔ながらの車のリペアショップが今でも残っていたりとインダストリアルな雰囲気も漂うリラックスした下町の雰囲気だ。 「ヘルズキッチンの不動産は今、活況を見せています」とアンジェリさんも太鼓判を押すように、ハドソン川近くの西端エリアがディベロッパーにより再開発され、新築アパートメントが次々に建てられている。この地区に目をつけているのは、投資家というよりどちらかというとミレニアル世代を中心とした若いローカルバイヤーやファミリー層が住居用として購入するケースが多いようだ。 土地柄もあり、内見中は関係者らと自然に小室眞子さんの話にも及んだ。筆者が「ヘルズキッチン地区は日本でも結構知られるようになったんです」と言うと、「(英語の)記事を読みました」と、筆者が説明するまでもなく眞子さんはこの地区の人々にすでに認知されていた。筆者の周りではほとんどの人が知らないため「私にとって、あなたは彼女を知る最初の人です」と伝えると、眞子さんを目撃したのは1、2度ではないと言い「この界隈を歩いているのをよく見るわ。(元プリンセンスとわからないほど)服装は控えめで目立たない感じです」と、その慎ましさに好感を持っている様子だ。「いつもマスクを着けて、1人で歩いているわね。サリヴァンベーカリーでフレンドリーに店員に挨拶しているのを見かけたことも。新天地での生活を楽しんでほしいです」。アメリカ移住から8ヵ月になる眞子さん。筆者の経験からも移住から半年は新生活に慣れるのに必死だが、それ以降は徐々に環境や生活習慣に馴染んでくるもの。眞子さんが近隣住民に迎え入れられこの地に解け込んでいるのが、地元の人の話から伝わってきた。…

バカラグラスと茶の湯。真夏のNY、和の隠れ家の特別茶会で涼む

気温30度近く、湿度70度越え。5分も歩くと額に汗がにじみ出る。夏真っ盛りのニューヨーク、今日は日曜日の午後。 17日、マンハッタンのフラットアイアン地区にある、知る人ぞ知る隠れ家的なリトル日本、グローバス和室で特別な茶会が開かれた。 当地で表千家流茶道講師として活動する北澤恵子さんによる「バカラ茶会」。毎月趣向を変え開催しており、今回は北澤さんのコレクションであるバカラ社の涼しげなガラス製品を茶会の「見立て」にしたもの。温かい茶に加え、冷たい茶やスパークリング酒、ちらし寿司や出汁香るソーメン、和菓子などが出た。 見立てという言葉を聞いた時、筆者はなんとなく意味のイメージができたものの、改めて北澤さんに教えてもらったところ、千利休が本来茶の湯の道具でなかった品々を茶道具として取り込んできたもの、それが「見立て」。見立てを取り入れることで、茶の湯の世界に新鮮さや趣が加わるという。バカラはフランス発なので、この茶会は日本とフランスのコラボとなる。 茶はNY発のティーブランド、Sorate(ソラテ)から提供された宇治茶。 ソラテ(イタリア語で落ち着く、クールダウンする、日本語の「空」の意も)とは、イタリア出身のSilvia Mella(シルヴィア・メラ)さんが日本でその美味しさと出合い健康にも良い抹茶をアメリカの人々にもっと広めたいと、2020年に当地で創業したスタートアップ。現在は米国内の飲食店などに、抹茶を卸している。 北澤さんによると、普段はもっと参加者は多いが、夏の時期はバカンスでゲストが少なめだと言う。それでもこの日は12人がゲストとして参加。日本人はもちろん、アメリカ、イタリア、香港、中国出身者が、茶の世界を楽しんだ。 着物を着て参加した日本人女性は、昨年駐在でニューヨークに来たばかり。海外で日本人としてのアイデンティティが芽生えたようで、「まさか自分が、ニューヨークで着物やお茶の世界に目覚めるとは思わなかった」と語る。 筆者も当地に住んで20年。最近その傾向が強いので、この気持ちは非常にわかる。 「日本文化が大好きな娘が参加しようと誘ってくれた。こんな経験、生まれて初めて。お茶も食事も美味しく、日本を旅したような気持ちになり、素晴らしい体験だった」 ニュージャージーから初参加したヴィクトリア親子は、帰り際このように感想を語った。イベントに母を誘った娘は特に緑茶と和菓子が好きだといい、着物も2枚持っているそう。「和室と聞いて1室をリノベしたのかと思ったら、ストリートからこのビルに入って、最上階のアパート全体がまさかこんな和の空間になっていたとは!細部まで抜かりがないのもすごい」と会場への驚きも隠せない。東日本大震災と新型コロナでいまだタイミングが合わない日本旅行を早く実現させたいと、まだ見ぬはるか彼方の国へ思いを馳せた。 普段は2歳児の子育て中だと言う別の日本人女性は、この日着物を着てこのような会に参加できたことに感謝の意を述べた。 外の世界や普段の生活が「動」だとしたら、この茶会はまさに「静」。この非日常空間での茶会体験は、筆者にとっても多忙な日々のスパイスとして映った。日々忙しないニューヨークをサバイヴする私たちには、時々こんな「贅沢な時間」が必要なのだ。 Text and photos by Kasumi Abe (ブログより一部転載)無断転載禁止

警官に“60発”撃たれた黒人男性ジェイランド・ウォーカーと過去の類似事件。警察は今後追いかけない?

オハイオ州で、交通違反で逃走した丸腰の黒人男性が警官に60発以上撃たれ死亡する事件が起きてもうすぐ3週間。今月13日に執り行われた葬儀には、300人もの人々が出席しその死を悼んだ。 また葬儀の2日後、検視局により男性の体内から見つかった銃弾は26発にも上ることが発表され、APなどが報じた。 男性の体内の損傷は心臓や肺、動脈などに見られ、被弾によって受けた傷は合計46箇所だった。検視官によると、1発の弾丸がいくつかの異なる傷の要因になることがあるという。どの傷が致命傷になったかは不明だ。 何が起こったか? 同州サミット郡アクロン市の車道で先月27日午前0時30分ごろ、警察が走行中の自動車に対して、交通違反と車両整備違反の容疑で停車を求めた。しかし車を運転していたジェイランド・ウォーカー(Jayland Walker、25歳)さんは従わず、カーチェイスとなった。 ウォーカーさんは追跡から40秒後、運転席側から少なくとも1発を発砲したとされる。そして7分以上の逃走劇の末(顔面を覆う)黒のスキーマスクを着用し、車を乗り捨てて逃走した。 警察はテーザー銃を使ったが制止できず、最終的に最大8人が拳銃を60発以上発砲し、ウォーカーさんを死亡させた。 左から2番目の警官がウォーカーさんに対し発砲中止の指示を出してから数秒後でさえ、依然発砲を示す閃光(警官のボディカメラ映像からの静止画)。(写真を見る) その後、ウォーカーさんの車の前部座席から、拳銃1丁と弾倉が押収されたものの、ウォーカーさんは逃走の際、武器を持っていなかった。 ウォーカーさんの車から見つかった拳銃1丁と弾倉、金の指輪。(写真を見る) (注:映像には暴力的なシーンが含まれます) 事件の一部始終は、3日に公開された警官のボディカメラの映像に残されていた。「動くな」という警官の制止を無視し逃走するウォーカーさんに対して、複数の警官がいっせいに発砲。武器を持っていない1人の人間に、果たしてこれほどの銃撃が本当に必要だったのだろうか? この事件の捜査と検証は引き続き行われ、8人の警官は休職処分となっている。 報道から見えてきたウォーカーさんの人物像が、凶悪犯とはほど遠い。これまで交通違反が1度あっただけで前科なし。レスリングファンだったという彼は高校卒業後、アマゾンを経てドアダッシュの配達員として働いていた。両親は早くに離婚し、父親を4年前、婚約者を自動車事故で2年前に失った。13日の葬儀に参加した友人からは「優しく思いやりがあり笑顔が印象的」「謙虚で静かな性格」「礼儀正しい人柄」という声が聞こえてきた。「逃走した兄(弟)は自分の知っている兄(弟)ではない」とするきょうだいの証言もある。 弁護士によると、ウォーカーさんが拳銃を手に入れたのは最近のことで「使い方に精通していなかった」「運転席側からの発砲は意図的か事故かは不明」。「彼は犯罪者ではない。死ぬに値しなかった」とし、警察を非難した。 人々は「なぜ60発以上も発砲されたか、なぜ若い黒人男性が白人の2倍増の割合で警察に殺され続けているのか、理解に苦しむ」と、警察の陰惨な行為に対して反発し、市周辺では連日数百人規模の抗議デモが起こっている。 2年前のジョージ・フロイドさんの死に起因した全米規模のデモや暴力事件に発展する可能性があり、警察は危機感を強めている。警官の顔写真や名前がソーシャルメディアに流出し拡散される可能性があり、警官やその家族の安全を最大限に保護するため、名札を制服から外すよう指示を出したことも、地元メディアで報じられた。 関連記事 白人警官への怒り全米各地に飛び火 NYでも最大規模の抗議活動「息ができない!」と叫び続ける人々 誰もが思い出す、これまでの悲劇 結婚前夜に50発、丸腰の「ショーン・ベル射殺事件」 丸腰の若い黒人男性に対する警察による無作為の銃暴力と言えば、2006年にニューヨーク市クイーンズ区で起きたショーン・ベル(Sean Bell 当時23歳)さんの銃撃死亡事件を思い出す人も多い。 自身の結婚式の前夜、友人とナイトクラブでバチェラーパーティーをしていたベルさんは、明け方、外で起こった客同士の闘争の末、危険人物と見なされ、警官に50発の銃弾を受け死亡。2人の友人も負傷した。 銃撃に関与した5人の警官のうち3人はそれぞれ31発、11発、4発を発射し、過失致死罪などで裁判にかけられたが、2年後ニューヨーク地検は3人に対して、無罪判決を下した。3人はその後退職(辞職か解雇かは不明)。退職時、うち2人には多額の年金や一時金の手当が支払われたが、最初に発砲した1人には「(その者が行なった)11発の連射で、計50発の連鎖反応を招いた」と見なされ、年金や手当が支払われなかったとされる。また、この事件で3発を発砲したほかの警官2人は在職が認められた。 自宅で乱射された無実の「ブレオナ・テイラー射殺事件」 2020å¹´3月には、ケンタッキー州ルイヴィル市で、無実のブレオナ・テイラーさんが自宅で警官に射殺される事件も起こった。 睡眠中、ボーイフレンドが警官を不法侵入者と勘違いして発砲し、それに応戦する形で警官は30発以上(16発、10発、6発)をやみくもに発砲。うち6発がテイラーさんに当たって死亡した。 関連記事 「黒人差別は“個人”でなく“構造”の問題」をあらわにしたブレオナ・テイラー射殺事件を今一度解説 武器を捨て撃たれた13歳の少年「アダム・トレード射殺事件」 昨年3月にはイリノイ州シカゴ市の路上で、拳銃を持った13歳の少年、アダム・トレードさんが警官から走って逃げ、最終的に銃を投げ捨て降参したにも拘らず、射殺される事件もあった。 関連記事 米国で警官に呼び止められ「絶対にしてはいけない」こと── 警察が13歳少年射殺 警官のボディカメラの映像より。(写真を見る) この事件で射殺した警官は今年の3月、不起訴処分となっている。 またシカゴ市警察は先月21日、新方針を発表した。今後は、逃走または駐車違反や免許失効中の運転、路上飲酒などの軽犯罪に限り、警察は足を使った追跡をしないというもの。同​​市警の署長によると、他都市に倣って制定したこの政策は、警官および一般市民の安全につながる効果があることが研究によってわかっており、今後導入する同市で同じ効果を期待しているという。NPRは「警察との接触を避けようとしている人物を、逃げているというそれだけの理由で長追いする時代は終わったことを意味する」と報じた。 ​​地元メディアの調査で、2010年から15年にかけて同市で発生した警官による発砲件数の3分の1は、(足を使った)深追い中に負傷者や死者を出していることがわかっている。米司法省は17年「不必要な追尾や、撃つ必要のなかった人を撃ってしまう件数があまりにも多い」として報告書をまとめ、裁判官がその2年後、新たな追跡方針の採用を認めるとしていた。 関連記事 殺人犯の白人は撃たれず、黒人は簡単に撃たれるという米国の矛盾 ── 自警団とは? 至近距離から7発!子連れ黒人男性に警官発砲、一命取り留めるも半身不随に ── 終わらないBLM 何人の市民が警官に殺されているか? 数字から見えてくるアメリカの現実と日米比較 「まず撃て」米テキサス警察 自宅にいた無実の女性を窓越しに射殺(動画あり) Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース…