コーヒー好きのニューヨーカーがお茶の効用に開眼し始めたという話は、以前本誌で紹介した(過去記事)。お茶の中でもずば抜けて人気があるのは抹茶だ。そしてその人気はドリンクのみにとどまらず、食や美容にまで広がっている。 ヨーグルトも抹茶と融合 おしゃれなノリータ地区に「Lighthouse Outpost」(ライトハウス・アウトポスト)がオープンしたのは昨年9月。ブルックリンの知る人ぞ知る穴場の店「Lighthouse」の姉妹店だ。地元で取れたオーガニックやバイオダイナミック農法で栽培された食材を使う「ファーム・トゥ・テーブル」の店で、サステイナブル、リサイクル、コンポストなどを実践し、環境にも配慮している。 これらのコンセプトに加え味も手抜きなしとあり、2号店のノリータ店も派手なPRをせずとも、ジワジワとその評判は口コミを中心に広がりつつある。 そして、共同オーナーの一人、ナーマ・タミアさんが新店オープンにつき目をつけたのが「抹茶」だった。 「ニューヨークでヘルシーフードの人気に火がついたのは2 、3年前から。健康によい抹茶はそれに伴い、コーヒーに替わるドリンクとして今注目されているのよ」と教えてくれた。 ただの抹茶や抹茶ラテ、抹茶カクテルではもはや目新しさがないと考えたナーマさんがシェフのジョイさんと考案したのが、「グラノーラ+抹茶ラブネ」。 ラブネは日本であまり馴染みがないものだが、地中海地方の水切りヨーグルトのこと。クリームチーズのようなポテっとした濃厚な食感が魅力で、抹茶が入ることでさらに深みのある上品な味わいになっている。 美容にも使われる抹茶 抹茶人気は、飲食のみならず美容界にも影響を及ぼしている。 「100%ボタニカル、USDAオーガニック※」を商品選びの念頭に置くナチュラルコスメ「Plant」(プラント)。ここのクレイ・フェースマスクにも成分に抹茶が使われている。炎症を抑えダメージ肌を回復させる効果があるという。(※USDA:オーガニック認証を行うアメリカの農務省) 「すべてブルックリンで手作り」が売りの「LEIF」では、オーガニックの抹茶を使用した抹茶ミルクバスが人気。アンチエイジングと抗炎症効果があるという。香料は入っておらず、抹茶そのものの香りも好評。 Bitchinskinの抹茶ボディスクラブは、マネージャーのグレース・ファズさんが日本に旅行した後にひらめき開発した商品。乾燥した肌にシルクのような滑らかさを復活させるという。 このように抹茶はドリンク、スイーツはもちろん、お風呂、フェイスマスクやスクラブ…と、さまざまな用途に使われ、味覚のみならず体全体に有効利用されている。灯台下暗しとはよく言うけれど、せっかく日本にいるんだもの。抹茶の魅力を今一度見直し、生活に取り入れてみてはいかがだろう。 (文・写真:安部かすみ fromニューヨーク) 世界の素敵な暮らしをお届け。「Global Lifestyle」 「ニューヨーク」の記事をもっと読む ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter (All text and photos by Kasumi Abe) TSUTAYA T-SITE(2017.2.12)「「Matcha(抹茶)」のNY人気が加速中。ドリンクから食や美容まで波及」より転載(無断転載禁止)ウェブサイトのコピー