素敵なコンドが完成したとの一報があり、筆者がこのたび内覧で訪れたのはニューヨーク・マンハッタン区ダウンタウンの閑静な高級住宅地、グラマシーパーク地区。 その一角に、昨年完成した高級コンドミニアム(分譲用の集合住宅)、250 EAST 21ST STREETがある。 Gramercy Park マンハッタンの中心地、タイムズスクエアから地下鉄で10分ほどの距離で、人の往来が激しいミッドタウンとは異なり、どことなくヨーロピアンな雰囲気が漂う落ち着いた住宅街だ。 「徒歩圏内に交通の要衝であるユニオンスクエア駅があり、ABCキッチン、グラマシータバーン、アップランドなど市内有数の人気レストランも点在するエリアなんです」。そのように太鼓判を押すのは、米大手不動産会社、ダグラス・エリマンのエクルンド・ゴメス・チーム(Eklund Gomes Team at Douglas Elliman)公認不動産ブローカー、エリス・バークマンさん。 「市民の憩いの場所、ユニオンスクエアパークやグラマシーパークなど公園も充実し、生活にとても便利です」 ここから徒歩数分の場所にある完成したばかりのコンド、250 EAST 21ST STREETを訪れた。 近隣のヨーロピアンな雰囲気に同化するような外観は、屋根面が2段で天井高のフランス風「マンサード屋根」、装飾が手すりに施された「ジュリエットバルコニー」など、当地では珍しいヨーロッパ風のデザインが各所に採用され、最先端の中に歴史や伝統が織り込まれている。建築界で名を馳せる、当地のIssac & Stern Architectsが手がけたもの。 1階のロビーに到着。ここでドアマンが出迎えてくれる。 エレベーターで、10階にある4ベッドルームの「10B」へ。 ドアを開けるとフォイヤー(ゲストを迎えるためのスペース)が広がり、住居とは思えないほど長い廊下が奥へ奥へと繋がっている。 壁には、装飾としてヨーロッパ風のモールディングが施されている。このようにお気に入りの絵画を飾ればデッドスペースにならず、ゲストのウェルカムスペースとして活かせる。 帰ってきたら、コンソールテーブルに鍵を置く。室内のインテリアデザインはすべて、ハイセンスな技法で知られるParis Forinoによるもの。 フォイヤーの奥、長い廊下を突き抜けると奥にはグレートルームが広がる。グレートルームとは、リビング、キッチン、ダイニングがひと続きになった開放感あるスペースのこと。 ゆったりと座れる8人用ダイニングテーブルと5人用カウンター付きアイランドキッチンを配しても、このようにまだ余りある広さ。アメリカではホームパーティーが文化の一部。このくらい広さに余裕があれば相当な数のゲストを招くことができる。 さらにその奥は、リビングスペースになっている。天井まである高さ10フィート(約3メートル)の大きな窓から、自然光が室内に柔らかく差し込む。 屋外スペースにはテラスがある。 このテラスは隣の2つのベッドルームとも繋がっていて、短距離走ができるくらい長くて広い。子ども用簡易プールやバーベキューグリルも十分に置くことができる。 天気が良い日はテラスで席で食事をすると、さらに食欲が増しそう。 日が暮れたら、ここから星空を眺めながらワインやウイスキーを嗜むのも一興。 次にプライマリーベッドルーム。このようにUS版のキングサイズを置いても十分な広さ。朝は目覚めてすぐにテラスに出て外の空気やお日様の光を体全体で浴びれば、活力ある1日のスタートを切れるだろう。 バスルームは住民用とゲスト用とに分かれ、全部で3.5箇所が各部屋に配置されている。洗面台は2人が同時に使える大きさなので、忙しい朝も混雑せずゆっくり使うことができる。 全米の中で不動産価格が格段に高いニューヨーク。今年の住宅価格は昨年に比べると下落傾向にあると報道されているが、インフレを抑えるための大幅な利上げを背景に、住宅ローンの金利は上昇している。 そんな中でも、250 EAST 21ST STREETのような高級物件には買い手がつき、バークマンさんによるとすでに90%が契約済みだという。 内見した10Bの購入価格は日本円で約9億2000万円ほどになるが、低層階やスペースがより限られた部屋は、少し価格が落ちる。それでも、399万5000ドル(約5億2500万円)からということだ。 「10B」のフロアプラン 250 EAST 21ST STREET「10B」 価格:699万5000ドル(現在の為替で約9億2000万円) 4ベッドルーム、3.5バスルーム、グレートルーム、キッチン 室内面積:2,468平方フィート(約229平方メートル) テラス面積:316平方フィート(約29平方メートル) NYの住まい関連記事 Text and photos…
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432パークアベニュー:57丁目の『Race to the Sky』NYイチの高層コンドミニアムがマンハッタンの摩天楼を変える
ニューヨークで一番高い住居用ビルとして、2015年春の完成へ向け着々と建設が進む「432 Park Avenue」。建物の完成予想図やペントハウスからの眺望が、先日取材陣に公開され話題となっている。 建設場所は、マンハッタンの『お金持ちの象徴』であるパークアベニュー、56丁目と57丁目の間。 全長1396ft(約426m)と、エンパイアステートビル(1250ft=約381m)やクライスラービル(1046ft =約318m)よりも高く、高層階からはそれらのアイコンビルを見下ろすことができる。 マンハッタン内はもちろ んのこと、お隣のブルックリンやクイーンズ、ニュージャー ジー州、そして天気の良い日はロングアイランドまで見渡せるとか。 同ビルのPRを手掛ける、PRCo社のジェシカ・ヘンリーさんによると、着工した2011年当初より 投資家や富裕層の間で話題になっており、住居スペース104世帯のうち、現時点で半分以上がす でに契約済みだという。 ペントハウスは10世帯分あり、うち7世帯が契約済。1世帯分がフロア全体(8400ft2、約781.2m2)を占めるため、どのペントハウスからも 360度の絶景が楽しめる。 ちなみにペントハウスのお値段は最高95億ドル(約110億2000万 円)と、気が遠くなるようなお値段! まだ入居可能なものは、82.5億ドル(約95億7000万円)と76.5億ドル(約88億7400万円)の部屋だ(ちなみに月々の共益費だけでも、毎月1万6000ドル、約180万円弱)。 ニューヨークの不動産事情は最近どうなのか、国際不動産連 盟FIABCIの次期会長で、老舗不動産会社「Brown Harris Stevens」社のダニエル・グロセンバッチャーさんに話を聞 いてみた。 ダニエルさんによると、「不動産需要に対して供 給が追いついていない状態で、それがさらに不動産市場を活 気付けている」とか。また「2016年にはこのビルを越え る高さの高層ビルが、そこから目と鼻の先(57丁目とブロードウェイの角)に建設される予定」と言う。ほかに、57丁目 の5番街と6番街の間にも同様の高層ビルが建設予定だ。 これらの現象は、「57丁目の『Race to the Sky』(空に向かった競争)」と呼ばれている。今後、摩天楼の景色が変わっていくのはもちろんのこと、ミリオネアやビリオネアという 『超』富裕層がこの周辺に移り住むため、周辺の店なども劇的に変わっていくだろうと予想される。 日本人がアメリカで不動産を持つことについて、当地で「滝 田不動産」を経営する滝田佳功(よしのり)さんに話を聞くと、「絶対にアメリカで持つべき」と力説。「日本の不動産 は購入した瞬間から目減りしていき、投資家の間では20年も 経つと価値がゼロになるとも言われている。それに対し、目 減りをしないのがアメリカの不動産」と言う。 「20年後には 2倍、3倍にまで膨れ上がるため、投資家は明らかにアメリカへと目が向いている。また両国の税法などを利用し、相続や 税金対策として考えることもできる」。この国で不動産を持 つ利点をこのように語っているように、もし不動産購入を考 えているのなら、アメリカで購入するべきだというのが専門家の見方だ。 さて、気になる「432 Park Avenue」のウェブサイトを見てみると、そこの住民になった気分でパノラマ風 景を確認でき、購入なんて夢のまた夢だとしても充分楽しい。しばしのミリオネア気分に浸るのも良いだろう。 街や風景を変える起爆剤となる同ビルだが、これらの変化を受け付けない住民も中にはいるようだ。周辺住民からは「こんな高過ぎるビルをセントラルパークの近くに建設して、公園内に影を作られるのは困る」という不安や苦情も出ている。 いい意味でも悪い意味でも、このビルがしばらく話題の中心となるのは確かだろう。 (*すべてのデータは、2014年10月現在) > 432 Park Avenue Luxury Apartments…