【NY治安悪化】タイムズスクエア、ピーター・ルーガー … 人気観光地で連続の発砲事件

ニューヨークの観光地としても知られる中心地、タイムズスクエアで5月8日、男が銃を発砲し、近くにいた幼児と女性2人を含む3人を負傷させた。 事件が起こったのは、マンハッタン区の44丁目と7番街。同日午後5時前、家族とされる2〜4人が路上で言い争いとなり、男が兄弟に向け発砲した。その流れ弾により、家族とともに訪れていたブルックリン在住の4歳の女児、ニュージャージー在住の43歳の女性、ロードアイランド州から家族と観光中だった23歳の女性の計3人が、脚などを負傷した。 ニューヨーク市警察(NYPD)のダーモット・シェイ署長によると、巻き添えになった3人は容疑者とは無関係だった。いずれも命に別状はなく、すでに退院し療養しているという。 NBCニュースによると、銃弾が最初に当たったのは4歳の女児だった。太ももを撃たれた23歳の女性は、発生当時についてこう語った。 「突然誰かが怒鳴りだし諍いが始まったので、2歳になる子どもを抱っこしていた夫とその場から離れようと話していたら、同時に発砲音がした。その1発が自分の太ももに当たったとわかり『私は死にたくない!』と助けを求めた」 この女性の傷口は複雑なため、太ももから弾丸を取り除く手術は行われない可能性が高く、後遺症が残るだろうと見られている。 ニューヨークの観光地はいずれも、新型コロナウイルスのパンデミックにより大打撃を受けていたが、ワクチンの普及に伴い活気が戻りつつあった。事件発生時は、母の日前日の土曜日の夕方という時間帯だったため、特に地元の人々や観光客で賑わっていた。 タイムズスクエア近くで働く女性は、「2年前に銃撃騒動があったけど、あれは実際には発砲音ではなかった。ニューヨークに長いこと住んでいるけど、こんなど真ん中で発砲事件なんて滅多になかった。物騒になったと感じる」と語った。また別の男性は「無関係の子どもまで巻き込まれるなんて許せない。違法な銃の流入を止めるよう、今すぐ銃規制の改革が必要」と怒りを露わにした。 NYPDが公開している容疑者と見られる男の監視カメラ映像。 ブルックリン在住の31歳の男で数々の犯罪歴がある、ファラカン・ムハマド(Farrakhan Muhammad)が容疑者として指名手配されている。警察は行方を追っているが、現地時間10日の時点で、まだ逮捕には至っていない。 NYではつい1週間前も信じられない事件が ニューヨークではつい1週間前も、近年稀に見るような信じられない場所で、発砲事件が起こっていた。 ブルックリン区の人気ステーキハウス「ピーター・ルーガー」で先月29日、事件は起こった。この店は有名店で、ニューヨークを訪れたことがある人なら一度は食事をしたことがあるだろう。 午後9時45分ごろ、同店内で誕生日祝いをしていた11人のうち2人が、女性関係で言い争いとなった。24歳のアーキーズ・ソマーヴィル(Arkies Sommerville)が銃を取り出し、いとこに向け発砲した。 この事件でも流れ弾により、店外で食事をするなどしていた無関係の2人の男性(30歳、57歳)が巻き添えとなった。銃弾はそれぞれの上腕部と腹部に当たり、2人は重傷を負ったが、命に別状はないとされている。 発生場所が地元の人々はもとより、観光客もよく訪れる老舗のステーキ店ということで、人々を震撼させた。 犯人の男はその後捕まっている。前科者で「注意人物」として警察にマークされていた。 ニューヨーク市は、全米の中でも銃規制が厳しい街だ。銃購入の際の身元チェックや銃器登録が必須であることはもちろん、一般市民の銃の持ち歩きは禁止されている。自由の女神など主要観光地では、空港並みのセキュリティチェックが敷かれ、銃器の携帯に目を光らせている(テロ対策でもある)。 NYPDが発表した最新の統計によると、今年の市内で起こった銃撃事件は昨年の同時期と比べて約83.3%アップ、2019年と比べると93.5%アップしている(4月の最終週は特に多く、42件の銃撃事件が起こり、昨年同時期の14件に比べ200%増)。それでも銃撃事件数がピークだった1980年代〜90年代に比べると件数は低いという。 通常、銃撃事件は治安が悪い地区で発生するものだが、上記の人気観光地やレストラン、マンハッタン中心部の地下鉄駅構内など、これまで銃撃事件が起こらなかったような場所でも発生しているのが、パンデミック以降の銃撃事件の特徴と言えよう。 市は経済再開に向け観光業の立て直しも図っている。地下鉄をパンデミック前の24時間稼働に戻し、今週末より市外からの観光客に向けワクチン接種を提供するなど、あの手この手で観光業を再建させようとしている。一方でメモリアルウィークエンドの今月末から国内で再び銃撃などの事件数が増加するだろうと予想する犯罪専門家もいる。以前のような安心して歩ける都市に戻らない限り、観光客は戻って来てはくれぬだろう。 関連記事 パンデミック以降、銃購入者が増加。「銃社会は危険」と考えないアメリカ独特の価値観のワケ NY治安悪化でまさかの警察予算削減、その思惑とは(士気低下の最たる例とはこのこと) 刑務所も新型コロナの温床に NYで6ix9ineら受刑者650人を釈放、懸念される治安悪化 Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

「男女別標識が時代遅れになりつつあるNYオールジェンダー「最新トイレ事情」その後

LGBTQやジェンダー関連の潮流として、2019年暮れに以下のような記事を書いたところ、多くの人に関心を持ってもらい、いまだにアクセスは多い。 関連記事 NYで進む男女兼用「オールジェンダー・トイレ」 密室に見知らぬ異性がいるのは危険? (* オールジェンダー・トイレは、ジェンダーニュートラル・トイレとも呼ばれ、近年設置数が増えている) その後もニューヨークでは行政が主導で、「オールジェンダー・トイレ」へ転換する改革が進められている。 昨年12月23日には、クオモ州知事によって、トイレにまつわる人権法に新たに一歩進んだ内容が追加された。それは、以下の施設にあるすべての「個室トイレ」を、オールジェンダー(すべての性別)トイレ、もしくはジェンダーニュートラル(性別中立)トイレに転換するというものだ。 対象施設: 学校、幼稚園、チャータースクール、コミュニティカレッジ ニューヨーク州立大学、ニューヨーク市立大学 レストラン バー 商業施設 工場 州が所有もしくは運営に関わる建物 この法令は、2016年に可決された市の関連法に反映しており、州全体のトランスジェンダーおよびジェンダーノンコンフォーミングの人々が公共施設に平等にアクセスできるようにしたものだ。 「男女別」標識は時代遅れになりつつある 法令は、新たにオールジェンダー・トイレの建設を強いるものではない。これまでつけられていた「男性用」「女性用」という性差の標識を「オールジェンダー」か「ジェンダーニュートラル」用の標識に変えよ、というものだ。 加えて慣習的に使われてきたピクトグラム(ズボン/スカート姿)や色分け(青/赤)なども考慮しなければならない。 法令の発効日は先月23日だった。これは厳密な締め切り日ではなく、1つの基準(だいたいこの日をメドに転換せよという州からの通達)だ。それから1ヵ月が経ち、街がどのように変わったか見に行ってみた。すると、さまざまな施設内で、新時代の「トイレ改革」がさらに進み、可視化されていた。 法令では事細かに、内容が定められている。州は将来的に「オールジェンダー」で統一したい意向のようで、「ジェンダーニュートラル」という文字も許容しているが「オールジェンダー」という文字がより良いとしている。 また、読字障害や視覚障害を持つ人にも配慮し、文字だけではなく、ピクトグラム(絵文字)と点字をつける、ことも推奨している。 また一口にピクトグラムと言っても「利用者の性にフォーカスするのではなく、利用する目的にフォーカスすることが望ましい」とある。慣習的に使われてきた「ズボン/スカート姿」や「青/赤」というような固定イメージも、これから少しずつ排除されていくだろう。 ポイント 標識文字:「オールジェンダー」がより良い ピクトグラム:利用する目的にフォーカスし、性を色分けしない 点字:入れる 標識を取り付ける位置についても細かく決まりがあり、迷った場合は「設計の専門家に相談のこと」とある。 このように州内では、新時代と共に、さまざまな改革が日進月歩でなされている。 ただし、すべてのトイレで変換が行われているかというとそうでもない。個室以外の公衆トイレや、公営の公園やビーチにある公衆トイレは今回の法令の対象外となっているため、未だ「男女別」となっているものも多い。特に後者(密室空間)は犯罪の温床となりやすい。そもそも夜間は公園自体が閉鎖されてはいるが、犯罪は日中でも起こりうる。 オールジェンダー・トイレへ転換することで発生する可能性のある問題もあるため、これらの場所の改革は慎重に協議されているのだろう。 すべての人が平等に気持ちよく利用できる社会の実現と、そこから発生するさまざまな問題の解決。州がこれらの課題を前に、今後どのように改革を進めていくか、注目していきたい。 Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

日本人に間違われ「動物以下の扱いで」殺されたヴィンセント・チン事件(’82)── 全米アジア人差別

80年代版「ストップ・アジアン・ヘイト」「アジアン・ライブズ・マター」 この機会に思い出してほしい、中国系青年の悲劇 「日本人だから関係ない」ではない アメリカでは、アジア系の人々をターゲットにした嫌がらせ、偏見、中傷、暴行、差別が毎日のように起きている。日系、中国系、韓国系、フィリピン系など民族に拘らず、アジア系というだけでストレスのはけ口となったり事件に巻き込まれるケースが多い。 報道を見て「中国人のことか」と思うかもしれないが、日本人とて他人事ではない。そもそも地球規模で見れば、日本人も中国人も大差はない(私たちがプエルトリコ人とドミニカ共和国人を見分けられないのと同じ)。多くの国々では、差別のニュアンスを含まずにアジア系を十把一絡げで「チャイニーズ」と呼ぶ傾向がある。日本の古い世代の人が「白人=アメリカ人、黒人=アフリカ人」と見なすのと同じ感覚だ。 アジア系の人々へのヘイトが急増する今、多くの人が知らない悲劇をここで改めて振り返る。 「ヴィンセント・チン殺人事件」 39年前ミシガン州で、日本人に間違えられた中国系アメリカ人の青年が、冷酷に殺害された。事件当時を知る、日系アメリカ人三世にも話を聞いた。 アジア系差別の関連記事 NYで多発するアジア人差別(1)在住者の私の経験談 アジア系へのヘイトクライム急増、女性誌編集長のアジア人侮辱ツイートが大問題に 事件のあらすじ 中国生まれのヴィンセント・チン(Vincent Chin)さん(享年27歳)は、幼いころ養子としてアメリカに渡り、養父母の下ミシガン州で育った。自身の結婚式が数日後に迫った1982年6月19日、デトロイトにほど近いハイランドパークのストリップクラブで、独身最後となるバチェラーパーティーを友人らと楽しんでいた。 編注:アメリカでは結婚式前、ストリップクラブで独身最後の夜を男同士で楽しむ慣習がある。 そこには、クライスラーの工場で働いていたロナルド・エベンスと、自動車工場の仕事をレイオフされた義理の息子、マイケル・ニッツという、2人の白人男性も遊びに来ていた。その夜、チンさんと見知らぬこの2人はひょんなことから言い争いとなり、喧嘩はエスカレートしていった。 その場ではいったん収拾がついたものの、2人はチンさんの行方を追って街中を執拗に探し回った。そしてファストフード店の駐車場でチンさんを見つけ、ニッツがチンさんを羽交い締めにし、エベンスが野球バットを取り出し、チンさんの頭部を繰り返し殴打した。 脳死状態となったチンさんは搬送先の病院で幼馴染の看護師に治療を受けたが、頭部は「これほどの負傷を見たことがないほど酷い」状態だったという。その4日後の23日、チンさんは亡くなった。 80年代、反日感情が高まっていた 80年代、アメリカは不況の真っ只中だった。日米自動車摩擦が激化し、日本の安価で性能の良い車がアメリカ市場へ流入したことでビッグスリーの衰退を加速させた。オイルショックもあり失業者が増加。自動車産業で繁栄したデトロイトではジャパンバッシング(反日感情)が起こり、日本のみならずアジア系全体に対して苛立ちや恨みなど反アジア感情が高まっていた。 自動車産業の仕事に従事していた2人にとっても、アジア系は目障りだったのだろう。チンさんを日本人だと思い込んだ2人は「お前のような小さな●●(罵り言葉)のせいで、多くのアメリカ人が仕事を失ったんだ」という言葉を吐き捨て、それにより喧嘩がエスカレートしたと伝えられている。 バチェラーパーティーにいたチンさんの友人、ゲイリー・コイブさんの証言。「ヴィンセントは日本人ではなく中国人だが、犯人にとってその違いはどうでも良かったようだ。アジア系には変わりないので」と当時を振り返った。 いつの時代も、同じことが起こっている 「いつの時代も、同じことが起こっている。なぜか?それはこの国で生まれ育っても見た目が違うからです」と言うのは、ミシガン州の弁護士で日系アメリカ人3世のジェームズ・シモウラ(James Shimoura)さん。シモウラさんは地元で起こったチンさんの事件にいてもたってもおられず、事件当時アジア系コミュニティをアシストした1人だ。 シモウラ家は祖父が仕事の関係で、1914年に徳島からミシガンへ渡米。母方はサンフランシスコ・ベイエリアで農業に従事していた。その後第二次世界大戦が始まり、家族や親族は日系人強制収容所に入れられるなど、辛い時代を生き抜いて来た。 「日本人というだけで突然ある日、農地、自宅、財産をすべて奪われ強制的に収容所に入れられたのです」とシモウラさん。 「この日系人強制収容のほかに、過去には中国系移民排斥法もありました。日米貿易摩擦下でのチンさんの事件、パンデミックによる反アジア感情、さらについ最近アトランタのマッサージ店で発生した乱射事件など、背景にあるものはすべて繋がっています。ウィットマー知事(民主党)誘拐未遂事件もあったように、今でもネオナチや白人至上主義は存在し、全米どこでも起こりうることです」 チンさん事件が起こった80年代は、アジア系にとってとりわけ難しい時代だったという。その凄惨な殺害方法はもとより、司法組織によりアジア系の命が軽んじられた。 犯人は逮捕、拘留されたが・・・ 証言者もいたため、犯人2人は現場で逮捕され拘留された。郡裁判所での第一審の判決で、エベンス被告は第二級殺人罪で起訴(ニッツは無罪)となった。しかし後に、有罪判決は過失致死罪となった。懲役刑ではなく3年間の保護観察処分、そしてわずか3780ドル(当時の価値で約70万円程度)の支払いが命じられただけだった。チャールズ・カウフマン巡回裁判官が放った言葉は、こうだった。「2人は前科もないし、刑務所に入るような類の人たちではない…」。 人を残虐に殺しておいて、下された刑罰はこの程度だった。この理不尽な処遇に対して、全米のアジア系の人々は憤慨し、立ち上がった。 アジア人の命はそんなに軽いのか? 「チンさん事件の判決は、司法組織による動物以下の扱われ方です」とシモウラさん。 命を軽んじられたことで、ミシガンのみならず全米のアジア系の人々による大きな抗議運動に発展した。 「モダンヒストリーにおいて初めて、全米のアジア系が一体となる公民権運動となりました」(シモウラさん) 当時アジア系の弁護士や政治家は少なかったが、コミュニティの中では皆、互いを知っていた。共に団結し、事件の背景に「被害者の人種、肌の色、出身国に絡んだ動機」があったこと、いわゆるヘイトクライムであると訴えた。この動きにより、デトロイトでは非営利公民権団体、アメリカ正義市民団体(American Citizens for Justice)が結成され、正義のために闘った。 84年には連邦公民権訴訟に発展させることができ、エベンス被告は第二級殺人罪の有罪判決となり25年の懲役刑が下され、ニッツ被告も有罪になった。しかし3年後、有罪判決は覆された。 「2回目の裁判は残念ながら、より保守的なオハイオ州シンシナティに移された。同地ではこの事件に対する温度差があり、事情をよくわかっていない陪審員によって公正な審理が行われるはずもない。すべての容疑は取り下げられ、無罪となったのです」 民事訴訟は法廷外で和解し、エベンスは150万ドル、ニッツは5万ドルの支払いを命じられたが、弁護士を利用して財産を隠すなどし、今もその支払いは済んでいない。NBCニュースも「2人は刑務所に入っていない。エベンスはチン・エステートに対して800万ドル以上の債務を負っている」と報じている。 これらの事件をきっかけに、ヘイトクライムが社会問題化された。今でこそ犯罪の等級を上げたり刑期を延長できるなどの厳罰を科すことができるヘイトクライム法(Hate Crime Laws)は存在する。しかしチンさんの事件が起こったのはその法律ができる前だったため、公民権侵害で起訴するしかなく、判決がここまで不条理なものとなったのだ。 事件から39年。アジア系アメリカ人の若い世代には、ヴィンセント・チン事件を知らない人も多い。 日系アメリカ人としての経験談 シモウラさんが生まれたのは、終戦から8年後の1953年。反日の雰囲気は根強く残っており、60年代後半まで渦巻いていたという。 「幼いころは(日本人として)からかわれたり喧嘩やトラブルに巻き込まれたりすることも多かったです。高校でやっと学友に恵まれました」。学校はユダヤ系の人々が80%近くを占めていた。彼らの中には何人も親戚をホロコーストで亡くしており(同じような辛い体験を)共感し合うことができた。 大学を卒業したのは78年。有色人種には就職の面で大きな障壁があり、自由に仕事を選べる状態ではなかったという。ことさら弁護士ともなると狭き門だった。「今でこそ、アジア諸国はアメリカと貿易面で強固に結ばれているので、大手弁護士事務所はバイリンガルのアジア系弁護士をたくさん抱えています。しかし当時の大手はアジア系を雇わなかったし、州全体でもアジア系弁護士はたった20人程度でした」。 もしもチンさんが白人だったら・・・? もしもチンさんが白人であれば、という質問に対して「違う結果になったと思います」とシモウラさんは断言する。「そして、もしチンさんが白人を殺した逆の立場であれば、必ずや刑務所に送られたことでしょう。またもし容疑者や被害者が黒人の場合も、司法制度で(白人とは)異なる扱いを受けます」。 前述の通り、有色人種が直面している問題はすべて繋がっている。アトランタで起きた乱射事件もBLMムーブメントのきっかけとなった数々の事件や背景も、大きな相違はない。 アメリカでは29日、ジョージ・フロイドさんを殺害した白人の元警官、デレク・ショーヴィン被告(保釈金約1億600万円程度で保釈中)の裁判が始まった。21世紀のアメリカの司法が、この事件に対してどのような判決を下すことになるだろうか。…

パンデミック以降、銃購入者が増加。「銃社会は危険と考えないアメリカ独特の価値観のワケ

2容疑者(共に21歳)、乱射事件直前に銃を購入 アメリカでは今月、大きな銃乱射事件が立て続けに発生した。16日、ジョージア州アトランタ市近郊のマッサージ・スパ施設3ヵ所で計8人が死亡(アジア系6人含む)、1人が負傷。それから6日後の22日には、コロラド州ボルダー市のスーパーマーケットで10人(警官1人含む)が死亡した。 偶然だがこの事件の容疑者は共に21歳の男だ。いずれも身柄は拘束され、動機など取り調べが進められている。 アトランタの事件のロバート・アーロン・ロング(Robert Aaron Long)容疑者は、殺害当日にディーラーから半自動拳銃を購入したと伝えられている。ボルダーの事件のアフマド・アル・アリウィ・アリッサ(Ahmad Al Aliwi Alissa)容疑者は、事件の6日前にルガーAR-556を購入したとされる。 こんな若者が、事件直前に銃を購入でき、乱射事件を起こしたというわけだ。 アメリカでは近年だけでも、大量の死者を出す銃乱射事件が頻繁に起きている。サンディフック小学校(2012年)、フロリダのゲイナイトクラブ(2016年)、ラスベガス(2017年)、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校(2018年)・・・。 ニューヨークポスト紙は、「次はあなたの街で起こるかもしれない。通りで起きている戦争について、国は何か対策を講じてくれるのか?」と報じた。ニューヨークは全米でも銃規制が厳しい街の1つで、銃の持ち歩きなどは一切禁止されている。よって30年間にわたって銃による殺人事件は減少傾向にあったが、パンデミック以降の治安悪化により、再び銃がらみの事件が多発している。 バイデン大統領はボルダーの乱射事件後、連邦議会に対し銃規制の厳格化を求める働きかけを行った。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官によると、実現の可能性がある銃規制の大統領令には、シリアル番号なしで自宅で製造できるゴーストガンの身元調査の要求や、ディーラーから銃を購入するためのFBIの身元調査で通らなかった場合に地元の警察に通知されるシステムが含まれるという。また今月、民主党の上院議員35人が、AR-15スタイルのライフルなど人気の半自動銃を含む「攻撃用武器」を禁止する法案を提出したばかり。しかしこれらは小手先だけの規制に見え、抜本的な改革にはほど遠い。今後どれほどの事件を防ぐことができるかは疑問だ。 NRA(全米ライフル協会)は政治と強い癒着があると言われており、共和党員と同じように一部の民主党員も銃規制に反対しているため、銃制度の廃止など抜本的な改革を期待できる状態ではない。 パンデミック以降、銃の売り上げUP さらに気になるニュースもある。米主要メディアは、アメリカでパンデミック以降、銃の売り上げがさらに伸びていると報じた。 USAトゥデイ紙によると、2020年の合法的な銃の売り上げは、前年比40%増の約3969万5315丁に上った。さらに今年1月だけでも、前年同月と比べ60%増え、413万7480丁だった。 この1月の数字は「記録が開始した1998年以来、1ヵ月間の銃の売り上げとして最多」という。 1月の売上がもっとも多かったのは、中西部イリノイ州だ。同州の人口は全米の4%足らずだが、銃の販売数は全米の4分の1にあたる100万2118丁。2番目は中東部ケンタッキー州。人口は全米の1.3%だが、販売数は42万1790丁にもなる。ちなみにニューヨーク州での販売数は全米の中で少ない方だが、それでも4万9184丁が売れた。 もちろんこれらは、闇雲に販売されているわけではない。連邦捜査局は、National Instant Criminal Background Check System(全米即時犯罪歴身元調査システム)のリストを使い、銃の販売を追跡、管理、公開している。犯罪歴があったり精神疾患があったりする人は購入できないシステムになっているが、 98年以降行われたバックグラウンドチェック(身元調査)約3億1000万件のうち、購入を拒否された数はたった150万件に過ぎない。身元調査が緩いという指摘があり、調査基準の強化も求められている。 なぜパンデミック中に銃の販売が伸びたのか? 銃の販売数が増加したのは1999年以降だ。1999年は年間で約913万丁、2006年に1000万丁、2011年に1500万丁、2013年に2000万丁、2016年は2500万丁と増えていった。 昨年は4000万丁近く、現在のペースで今年の売り上げを予測すると、5000万丁に達するのではないかとUSAトゥデイ紙は見ている。 銃の販売が昨年以降に急に伸びた背景として、さまざまな要因が考えられるが、その1つとして、新型コロナウイルスのパンデミックによって人々の不安感が高まったからではないかと、多くの社会科学者が指摘している。 CBSニュースやCNNが伝える情報によると、昨年初めて銃を購入した人は500万人以上で、中でもアフリカ系アメリカ人と女性の売り上げが急増した。特に、昨年9月までの女性への売り上げは、前年比の40%増という。 多くのアメリカ人は、日本人のように「銃があるから危険」とは考えない。合衆国憲法修正第2条により「銃を所有する個人の権利」が保護されていることは、自由を求めて闘ってきたアメリカ人にとって非常に重要だ。そして「銃を多く所持するほど、より安全が守られている」と考える。だから社会不安が人々の中で広がれば、自分や家族を守るために銃を購入する動機に繋がり、銃の売れ行きがよくなるというわけだ。 ちなみにこの憲法の考えについて、前述のニューヨークポスト紙にはこのようにある。 「合衆国憲法は、身を守るための武器として人々に銃の所持を許したのであって、戦争兵器として使用するために許したのではない。銃の所持を我々の祖先はどう考えるか。人々が銃を使って大量殺戮することなんて望んでいなかっただろうに」 関連記事 【加速する銃乱射】今年に入って255件、死者62人 数字で見るアメリカの現実と憂い 「問題は“銃”ではない」トランプ大統領の声明(概要)と銃社会を救う?レッドフラッグ法とは 毎日100人、年間4万人が銃で命を落とす国 3億丁ある銃器との共存やいかに? 容疑者は性依存症との報道も 8人死亡の米アジア系マッサージ・スパ連続銃撃事件 Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NYで多発するアジア人差別(2)暴行受けた日本人ミュージシャン、その後

(前回「NYで多発するアジア人差別(1) 在住者の私の経験談」の続き) ヘイトクライムか、暴力事件か アメリカそしてニューヨークでも、アジア系の人々をターゲットにしたヘイトクライムの事件が急増している。 在ニューヨーク日本国総領事館は、在留邦人に対して注意喚起をしている。大橋建男(たてお)領事部長によると、同領事館に寄せられたヘイトクライムの相談は2019年はゼロ、20年は1件、21年は今のところゼロと、急増はしていない。ただし、すべての被害が届けられているとも限らず、実際にはほかにもあるかもしれない。 邦人が被害に遭った最近のケースと言えば、同領事館の発表では、2月7日メトロノース鉄道で邦人女性が受けた暴行事件がある。女性が車両で、20代くらいの身綺麗な男女2人に物乞いで絡まれたため、IDの提示を求めたり携帯電話で撮影をしたりしたところ、2人が女性を罵倒し始め、髪を掴まれ頭を窓に打ち付けられるなどした。ほかの乗客が車掌を呼ぶと2人は逃げて行ったという。 同領事館では、この事件をヘイトクライムには含んでいない。「人種差別の要素があったかどうか」が判断の基準になるからだ。 ヘイトクライムにせよ暴行にせよ、被害に遭った時の対処として、大橋さんは「相手に反応せず、その場から離れることが大切です。また被害に遭ったら、警察と共に領事館にも届け出てください。事案を把握した上で状況によっては警察に申し入れをすることも可能になる」とアドバイスする。 「ヘイトクライムに遭った」日本人ミュージシャン 「差別のない社会のために声を上げることが大切」 ジャズピアニスト、海野雅威(うんのただたか)さんは、コロナ禍のニューヨークで、突然若者グループに暴力を振るわれた一人だ。 昨年9月27日午後7時20分ごろ、海野さんはハーレムの駅で地下鉄を降り、地上に出ようとしていた。改札口では男5人と女3人がマスクもせず大声を上げながらたむろし、通行を邪魔するように出口を塞いでいた。そこから出ようとしていたのは海野さん1人だけで、8人組は海野さんに突然言いがかりをつけてきた。 「直前に彼らと目があったとか何かがあったわけではなく、すべてが一瞬のうちに起こりました」と海野さん。殴られているときに「アジア人」「中国人」という言葉が聞こえてきたと言う。盗まれた物は何もない。犯人はいまだ逮捕されていないので仮定であると前置きしながら、「鬱憤が溜まっているところに目障りなアジア人が来たので、ストレス解消に殴ってしまえという通り魔的な犯行だったとしか思えないです」。 殴る蹴るの暴行を受けた海野さんは、右側の鎖骨骨折と全身を打撲する重傷を負い、病院に運ばれた。後日手術し、数ヵ月のリハビリの甲斐もあり箸を持てるようになったが、ピアノを以前のように長時間弾けなくなった。傷ついたのは心もそうだ。現在は療養も兼ねて一時帰国し心療内科に通っているが、テレビで暴力的なシーンが少しでも目に入ると突然フラッシュバックしたり、夜中うなされたりすることもある。 「通りすがりの人の人生を台無しにするなんて、許されることではありません。警察も犯人を捕まえるべきです」 海野さんは当初から警察にヘイトクライムだと訴えていたが、断定するためには動画など確固たる証拠が必要ということで「その可能性あり」と曖昧に処理された。「被害者の気持ちを思って捜査しているとは思えなかった。パトカーにはねられて亡くなった日本人の事件もそうですが、アジア人を軽視していると感じます」。 事件翌日に妻を通して日本領事館に報告したが、あっさりした対応だったという。「大使から後日手紙をいただきそれ自体は非常にありがたく、日本政府として声を上げて動いてくれるかと期待していたのですが」。 自分が被害者となって感じることは、アジア人への暴力に対しての抗議は当地の中国系や韓国系コミュニティの方が精力的で、日本人はアジア人としての共同体の意識をあまり持っていないのが残念だと、海野さんは振り返る。 「自分は関係ない、間違っていないという意識が、差別を生むことに繋がっています。ダメなものはダメと声を上げることが人種、性別、年齢に関係なく大切です。差別のない方向に向かっていくために声を上げることが求められているのですが、日本は発言力、発信力、抗議する力が歴史的に見ても残念ながら弱い。ヘイトクライムに対して日本人として、日本政府として、日本のメディアとして、一人ひとりが当事者意識を持って関われるか、どのような対応をしていけば安心して暮らせる社会に変えていけるか、考え行動することがまさに問われていると思います」 過去記事 ユナイテッド航空の乗客引きずり降ろし。アメリカで生きているアジア人として思うこと 「日本には差別がある」ナイキ広告が炎上し世界に波及 本国アメリカではどう映った? ニューヨークで犯罪やトラブルに巻き込まれたら。実体験を通して「冷静さ」を保つことの重要性を知る (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NYで多発するアジア人差別(1) 在住者の私の経験談

チャイナタウンの近くで男性が見知らぬ者から突然刃物で刺されたり、歩道で女性が突き飛ばされて大怪我をしたりするなど、ニューヨークでは今年に入り特に旧正月あたりから、再びアジア系の人々をターゲットにしたショッキングな事件が多発している。 新型コロナウイルスのパンデミックの影響で、当地で増加するヘイトクライム(憎悪犯罪)に対処するため、ニューヨーク市は「Stop Asian Hate」を呼びかけ、差別撲滅のための啓蒙キャンペーン”I Still Believe in Our City” (それでも私たちの街を信じている)をスタートさせた。 市は「誰でも差別なく生きる権利がある」と呼びかけ、嫌がらせがあった際にどうするべきか、日本語を含む各言語で情報を発信している。 市やメディアの報道によると、市内で起こったアジア系に対するヘイトクライム事件は、2019年は1件だったが、20年は30件に増加した。うち16件は暴力がらみの犯罪だった。また嫌がらせや偏見なども含む報告は、19年2月から12月の間は30件だったのに対し、20年の同時期は205件に急増。アジア系の女性の方が男性より3倍多く、言葉による嫌がらせを受けている。 これらは報告されているものだけなので、実際の数はもっと多いのではないかと見られている。 「アジア人差別は実際あるの?」筆者の経験談 経験談を語る前に、筆者の見解をまず伝えておく。 国がどこであろうと、一般の人は基本的にある程度の常識や良心があると信じている。見知らぬ人に汚い言葉や態度で絡んでくるのは、ごく一部の無知で「ちょっとおかしな人」なのだと思う。 それを前提に、在住者としての経験談をシェアしたい。 ニューヨーカーは一般的にフレンドリーな性格で、筆者にとってここに住む大半の人は、コロナ禍になっても特に変化は見られない。 ただ思うこともある。以前は道で目が合うとニコッとする人が多かったが、最近は減った気がしている。近年、外国人が多くなり当地の良き習慣がなくなりつつあるのか、コロナになって人々に心の余裕がなくなってしまったからなのか、理由は不明だ(マスクをしているというのもあるかもしれない)。 次に、アジア人へのヘイトのようなものは、コロナに関係なくアメリカには以前からあった。例えば筆者が2000年代初頭、アジア人のほとんどいないペンシルベニア州の田舎を訪ねた時のこと。レストランで食事をしていたら、隣に座った女性2人のうちの1人が私をチラリと見て、このように言った。「私最近、中国人に仕事を取られたのよね」。明らかにアジア人である私に向けられた言葉だと直感でわかった。 トランプ元大統領は、選挙期間中に何度「中国ウイルス」という言葉を発したか。最近では2月28日のCPACで、久しぶりに公の場で演説し世界中に注目されたが、何度もこの中国ウイルスという言葉を繰り返した。世界で最も影響力がある人物の1人により、世界中の人々に「コロナ=アジア」が刷り込まれてしまった。アジア系の人を見て「仕事を取られた」「ウイルスを持ってきた」などと言ってしまうような無知な人々は近年、増加したことだろう。 さて前置きが長くなったが、この1年間のニューヨークでの筆者の経験として、結論から言うと、筆者自身がアジア人を標的とした暴言や暴力など「あからさまな差別」を受けたことは今日まで一度もない。 ただ、気になることがまったくないわけでもない。 一つは昨年、客のいない早朝のモール内の某有名カフェチェーンで、クロワッサンとコーヒーをオーダーした時にこんなこともあった。まず女性スタッフがとても無愛想だった。感染防止対策で店内飲食が不可のため、まずモールから屋外に出てレシートを見ると1ドル(100円程度)が上乗せされていた。そしてコーヒーカップの蓋が洗剤臭かった。私がアジア人だからそのようなことが起こったのか、それともスタッフ側の問題なのか、いまだに真相はわからない。(戻るのが面倒なのでクレームは入れず、その店には2度と行かないと決めた) アパートの住民にも気になる人がいる。2年前に引っ越してきた40歳くらいの男性は、私と道で会っても目を合わせないし挨拶もしない。ある日、筆者が隣人と表で立ち話をしていたら、その男性が通り過ぎて行き、彼の笑顔を初めて見た。私は彼に対して失礼なことを一度もしていないので、彼が無愛想なのは私がアジア人だからか、それとも彼の心の問題なのか、この辺の判断もつかない。そもそも感じの悪い隣人というのは、どの国にも存在するものでもある。 当地に住む日本人の知人にもヒアリングしてみたら、「通りがかりに暴言を吐かれたことがある」という人が何人かいた。ただし「アジアや特定の国を指す言葉を吐き捨てられたわけではないので、アジア人である自分に向けられたものなのか周囲の人に対して言ったものなのかは不明」とのこと。 結局のところ、アジア系へのヘイトクライム急増の真相は、住んでいても実感としてよくわからない。私も周りの人々も「あからさまなアジア人差別」を受けたわけではなく、トラブルがあってもその背景に人種差別的な動機があったのかどうかは不明だ。 ただし「ウイルスを持ってくるな」と言われたり、唾を吐きかけられたり、駅や電車で暴行を受けたりしたなどの話は報道され、いくつか人づてにも聞くので、もう少し多くの人にヒアリングすれば、さまざまなケースが出てくるかもしれない。 また遅い時間帯や治安の悪い場所には不審者や精神障害者が増えるため、アジア系の人々が標的となる事件が起きやすいのかもしれない。 (次回は、実際に暴行を受けた日本人に話をお聞きします) 過去記事 ユナイテッド航空の乗客引きずり降ろし。アメリカで生きているアジア人として思うこと 「日本には差別がある」ナイキ広告が炎上し世界に波及 本国アメリカではどう映った? (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

「クオモ知事は特権を乱用し、セクハラ・パワハラを常習化した」被害女性が赤裸々告白

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事が窮地に立たされている。 パンデミック以降のこの1年間、クオモ知事のリーダーシップは特に目を見張るものがあった。感染状況を抑えるために、州民のために最大限に尽力してくれたとは思う。 なのに、ここに来てさまざまなスキャンダルが浮上している。 一つ目は、州政府の組織ぐるみによる、介護施設の死者数隠蔽の疑惑。 二つ目は、クオモ知事による、州議会議員への脅迫疑惑。 参照記事 理想のリーダーはどこへ? クオモ州知事の思わず耳を塞ぎたくなる「隠蔽疑惑と脅迫」 騒動はこれだけで収まらなかった。 ここにきて、なんとセクハラ疑惑まで浮上しているのだ。しかも長期にわたって、クオモ知事の周りでは「常習的」に行われてきたことのようだ。 クオモ知事のセクハラ疑惑とは? 事の発端は、マンハッタン区長に立候補しているリンジー・ボイラン(Lindsey Boylan)氏が、昨年12月に発信したツイートだ。彼女は2018年まで、クオモ知事の補佐官として州の経済開発局で働いていた。 ボイラン氏は高校時代、母親が職場で上司からセクハラを受けたことで、世の中にセクハラ問題が蔓延していることを知った。なかなか解決できない複雑な問題だが、加害者に対して屈することなく、闘うことを決めたと言う。 その上でこのようにツイートで告白した。 クオモ知事 @NYGovCuomo は私に対して、数年にわたりセクハラをしてきた。たくさんの人がそれを見た。自分の身や仕事が、一体どうなってしまうのかわからなかった。 これまで世代を超えて数え切れないほどの女性が犠牲になってきた。 ほとんどが声を上げられなかった。私は一部の @NYGovCuomo のような権力を乱用する男が嫌い。 州のトップによる人物からの性的嫌がらせが長期にわたって続いたことで、自身の職務にどう影響を及ぼすか不安だったであろう、当時の辛い胸の内を語った。 しかもセクハラを受けたのは、ボイラン氏だけではなかったようだ。このツイート後、ボイラン氏のもとに2人の女性から連絡が入り、同様にクオモ知事からパワハラ、セクハラまがいのことを受けたと告白されたという。 この時、クオモ知事は記者会見で「事実ではない」とボイラン氏の告白を一掃したため、当時メディアも大きくは取り上げなかった。 しかし今回、クオモ知事のさまざまなスキャンダルが浮上する中、再びボイラン氏が声を上げたことを、ニューヨークタイムズなど米主要メディアは見逃さなかった。ボイラン氏が24日、オンラインメディアMediumで発表した手記には、クオモ知事によるセクハラ&パワハラ疑惑の詳細が書かれている。 在職中にボイラン氏はクオモ知事から、上司を介して気持ちを告げられたり、州専用機内で膝が触れ合うほどの距離に座り「ストリップポーカーをしよう」と誘われたりと、州でもっとも権力のある異性からの「居心地の悪い言動」を受け、それはしばらく続いたという。 そして知事からの手招きだろうか、ボイラン氏は18年、経済開発副長官および知事特別顧問に昇進し、より知事と近い距離で任務にあたるようになった。 ある日、マンハッタンのオフィスでクオモ氏と2人きりで会議となり、終了後に会議室から出ようとしたところ、クオモ氏から承諾なしに突然口にキスをされたという。ボイラン氏はその場をすぐに離れたが、その日から通勤するのが苦になったという。彼女は同年9月に辞職をした。 ほかにも手記には、「知事から好意を寄せられた女性は(不快にさせぬよう)正しい対応を求められた」「無言の脅迫のようなものを知事は駆使し、女性を恐れさせて口を開かせないようにした」「知事特権を乱用し、セクハラを常習化した」「被害を受けても、多くの人は恐くて発言できない」「知事はセクハラやいじめ文化(パワハラ)を政権内に蔓延させ、それらの悪習が容認されるだけでなく期待されるような文化を生み出した」と、ショッキングな証言が書かれている。 また先日クオモ氏に脅迫をされたとするロン・キム州議会議員について、「守ってあげなければ、彼は仕事を奪われるだろう。それが(クオモ)政権のやり方だ。その中で働いていたのでわかる」と警告した。 手記を発表した理由について、「知事を尊敬してきた。仕返しをしたい訳ではない」と言う。容姿の言及を含むクオモ氏の不適切な言動や性的嫌がらせは、ほかの同僚や過去に関係のあった女性にも及んでいたようだが、ボイラン氏は現職の女性に迷惑をかけたくないとし、あくまでも「自分の体験記」であることを強調した。 「虐待的な行動をやめてほしいだけだ。怖くて声を上げられなかった人もいる。私の経験を些細なこととして受け流す人もいるだろう。でも私は、陰で悪行をする権力者をいくらでも知っているし、それについて黙っていられない」 この疑惑について、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は、再び眉をひそめている。 25日の定例会見で、記者にクオモ知事のセクハラ疑惑について問われた市長は、「到底許されるものではない」として、州政府が関わらない独立した調査団による徹底的な調査の必要性を強調した。 市長は数日前も、キム氏の脅迫疑惑について「(知事による)パワハラまがいのいじめは今に始まったことではない」「自分は訴えた側を信じる」と、キム氏を支持する姿勢を見せていた。 女優で#MeToo運動の活動家、ローズ・マッゴーワン、さらにセクハラ撲滅運動の支援基金「タイムズ・アップ」を通してアシュレイ・ジャッドやエヴァ・ロンゴリアらも、セクハラ疑惑についてクオモ知事の調査を呼びかけた。 一連の騒動により辞任を求める声が上がっているが、クオモ政権の報道官はボイラン氏の発言を事実無根と否定し、専用機内での会話を否定した4人の補佐官の共同声明も発表した。一方でニューヨークタイムズ紙の取材では、セクハラの事実があったとする証言が匿名で出ている。肝心のクオモ氏からはコメントがない。 ニューヨークは、新型コロナの感染拡大、ワクチン配布の遅れ、経済低迷、高い失業率、治安悪化など、解決せねばならない最優先課題が山積みだ。州のトップによる死者数隠蔽、脅迫疑惑に加えセクハラ&パワハラ疑惑まで浮上したことで、州民にとって頭痛の種がまた1つ増えた。 (Text by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

理想のリーダーはどこへ? クオモ州知事の思わず耳を塞ぎたくなる「隠蔽疑惑と脅し」

ニューヨーク州はこの1週間、アンドリュー・クオモ知事を取り巻くスキャンダルで持ちきりだ。 クオモ氏率いる州政府が、新型コロナ禍における高齢者介護施設の死者数を隠蔽したとされる疑惑をめぐって、証拠収集のための弾劾委員会が結成されることが、州議会共和党員により18日に発表された。17日には、FBIと州東部地区連邦検事局による調査が開始したことも報じられている。 事の発端は先月、州司法長官のレティシア・ジェームズ(Letitia James)氏が、昨年3〜8月の高齢者介護施設での新型コロナによる死者数が、州により大幅に過少報告されていたと指摘する報告書を公表したことによる。 新型コロナによる州内の死者数は、4万5807人に上る。うち40%近くが介護施設の入居者とされる。 介護施設での死者数は今月10日の時点で1万3297人、16日の時点で1万3432人(総合的にあらゆる介護施設も含めると1万5049人以上)とされているが、先月18日の時点の公式な発表は8711人だった。 クオモ知事のトップ補佐官、メリッサ・デローザ(Melissa DeRosa)氏は今月10日、州議会の民主党議員らとのビデオ会議中に「死者数のアップデートを“凍結”していた」ことを認め、謝罪していた。大統領だったトランプ氏がツイッターを通して昨年8月、「州の対応が悪いため、介護施設入居者が殺されている」と言っていたころだ。デローザ氏が「(正しい)死者数を発表することで連邦政府による攻撃材料になりかねず、司法省による州政府の調査を回避するためだった」と釈明したことを、翌11日にニューヨークポストが報じた。 これらの疑惑に対して、15日にクオモ氏は会見を開き、釈明した。州保健局が、介護施設の入居者が病院で死亡したケースを明らかにしなかった結果であり透明性を欠いてたことを認めたが、正しい数字の追加作業は忙殺により「空き」ができ「後回し」となっただけだとし、「我々はいつも事実と科学的根拠に基づいている」と隠蔽疑惑を全否定した。 騒動はこれだけに止まらない。 クイーンズの州議会、ロン・キム(Ron Kim)議員がクオモ氏から電話があり、これらの騒動を封じ込めるような協力をするように脅されたと告発するなど、きな臭い話がボロボロと出ている。 新型コロナにより叔父が介護施設で亡くなったキム氏は、10日のビデオ会議に参加した1人で、隠蔽工作をめぐって州を激しく非難していた。クオモ知事からの電話は、翌11日夜のことだった。キム氏によると、クオモ氏は最初沈黙から始まり「あなたは立派な男か?私はあなたがどんなにあくどいか世間に伝えることができる。あなた(の政治家人生)はそこで終わりだ。破壊される」と言いながら、怒鳴り声を上げたとされる。その後も何度も執拗に電話をしテキストを送ってきたという。 これについてクオモ氏の広報官、リッチ・アッツォパルディ(Rich Azzopardi)氏は事実無根だと否定したが、犬猿の仲とされるニューヨークのビル・デブラシオ市長は、キム氏の発言を信じる旨を記者会見で表明した。クオモ氏からのコメントは発表されていない。 クオモ知事はこれまで、多くの州民にとってヒーロー的な存在だった(はずだ)。パンデミックになった昨年3月以降、毎日記者会見を開き、「事実」のみを公表するスタイルを通し、州民が過度に恐れることなく冷静に状況を判断できる道筋を開き、ここまで導いてきた。頼れるリーダーとしての手腕を発揮してきたことで、「次期大統領にもなれる素質のある真の指導者」、(離婚後独身であることから)「クオモセクシャル」などと、メディアに異常なまでに持て囃された時期もある。 一方、ロックダウンをし、飲食店への厳しいルールを設けたことで、労働者からは常に非難の的となってきた。 今回なぜこれほど、昨年の介護施設での死者数が問題になっているのか。それは3月以降、医療崩壊を避けるために、州の方針で新型コロナで入院し回復傾向にある9000人以上の患者を病院から介護施設に移し、これが介護施設死者数の増加に繋がったのではないかと、たびたび批判の的になってきたからだ。 そのたびに知事は「介護施設内での感染の多くは、入居者同士ではなく施設で働くスタッフからであり、介護施設での死者6300人(当時発表)には関係しない」「死亡したのが病院か介護施設か、誰が気にするのか?」などと発言し、批判を一掃していた。 州保健委員のハワード・ザッカー(Howard A. Zucker)博士も記者会見で、患者を移した判断は「正しかった」と説明した。知事が言うような死者数更新の「遅延」は組織ぐるみによるもののようだ。 この一連のニュースについて、あるニューヨーク市民はこのように呟いた。「あれだけ多くの感染者と死者数を出し続け、なぜメディアが持ち上げてきたのか理解できなかったけど、ようやくメッキが剥がれてきたということではないかな」。 「真実」だけを伝えてきたとされるクオモ知事。彼にとって、その真実とはどんなものなのか? 関連過去記事 コロナと闘った111日 NYクオモ知事が第1波収束宣言(ウイルスとの共存は続いていく・・・) (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

G7でワクチン承認されていないのは「日本だけ」だが、実は・・・。米紙はどう見た?

イギリスを皮切りにアメリカ、EU諸国、イスラエル、アジアでは中国、シンガポール、ネパール、ミャンマーなど、世界各国で次々と新型コロナウイルスのワクチンが承認されている。 そんな中、イギリスでの開始から2ヵ月経っても、未だに日本だけがG7の中で唯一「承認すらされていない」と、アメリカでも報じられている。 菅首相は2日、国内での接種開始を前倒しして今月中旬を目指す考えを示した。遅れにはさまざまな事情があるにせよ、世界に「大きく出遅れた」感は否めない。 1日(日本時間の2日)付の主要紙ワシントンポストは、Japan’s pharmaceutical industry is huge. But it was left behind in the race to get vaccines to Japanese citizens.(日本の製薬業界は大きいが、国民へのワクチン接種の(世界的な)競争で取り残された)と報じた。 記事にはこのようにある。 G7の中でワクチン接種プログラムの開始を待っているのは日本だけ。しかし裕福な国で、ワクチン接種が始まっていないのはオーストラリアと韓国も同様。 日本が大きく遅れを取っている理由についてまとめると、このような内容だ。 日本は、アメリカと中国に次ぎ3番目に大きな医薬品市場だが、パンデミック初期のころも厚生労働省は、精度に関する懸念から検査キットの導入に消極的で、検査開始に時間がかかった。現在も、国外からのワクチン調達に苦労しており、国内でのワクチン開発も大きく遅れている。承認されても浸透しづらいだろう。 その理由として、非常に慎重な官僚の文化、ワクチンの安全性に懐疑的な国民性、国内のワクチン業界の競争力の低さ、これまでの訴訟問題や議論、パンデミックへの準備不足、などを上げている。 以下は概要となる。 パンデミックへの準備不足: 厚生労働省は2016年の報告書の中で、すでに警告を発していた。それは『日本のワクチン業界は競争が激しくなく、ワクチンの安全性に対する国民の意識が低い。パンデミックが発生したら、日本は深刻な状況に直面するだろう』という内容だった。「この報告書は、パンデミックへの備え不足を警告していた世界中の報告書と共に棚上げされた」とある。 つまりパンデミックへの準備不足は、日本だけではないということだ。 ワクチン業界の競争力の低さ: WHOによると、世界中で臨床試験が行われている63のワクチンのうち、日本のものは1つ(アンジェス)だけ。しかし、それすら今年末までフェーズIIIの試験に入ることができない。 安全性に懐疑的な国民性と、訴訟問題: 1994年、日本政府は「ワクチンの義務化を放棄したが、同時にワクチンの安全性について国民に啓蒙することもやめてしまった」。これはどういうことかと言うと、予防接種法改正により、予防接種が社会防衛から個人防衛として大きく舵を切ったことだ。昭和時代の終盤に相次いだ予防接種禍訴訟が背景にある。2013年、比較的軽微な副作用で物議を醸した子宮頸がん予防のHPVワクチン接種の推奨も中止となった。 「これにより、数千人の命が(子宮頸がんによって)奪われた可能性がある」と記事にはある。日本人がワクチン接種による利点の方に目が向かないのは「『完璧さ』への期待、過ちへの不寛容、物事が完璧でない場合に責任の所在を明らかにする傾向など、さまざまな日本の文化に根ざしている」(在日経営コンサルタント)。 接種を様子見しているのは日本人だけ、ではない アメリカでの新型コロナウイルスのワクチン接種は、12月14日に開始した。筆者の住むニューヨークでも、フェーズごとに優先順位をつけて接種が進んでいる。フェーズ1aと1bまで(エッセンシャルワーカーや65歳以上)が接種可の対象となっており、2日よりタクシー運転手や飲食店の従業員もフェーズ1bの対象内となった。 ちなみに接種はすべて無料で行われている。「すべての人」が接種を受けられるのは当初第2四半期とされてきたが、最新の情報では「夏ごろ」になる見通しだ。ただし、最近になってワクチン不足が叫ばれ始めているので、その時期もずれ込むかもしれない。 アメリカの報道では、連日のように予防接種を受けたり接種会場に並んだりする人々の姿が映し出されている。一方、1日付のニューヨークポストでは「アメリカ人の半数が新型コロナワクチンを拒否または様子を見る」という、最新の調査結果が発表された。 カイザーファミリー財団(Kaiser Family Foundation)による世論調査では、ワクチン接種を希望する人の数は12月以降増加しているが、それでも51%の人が接種を「拒否または延期する」と答えた。約半数がワクチンの副作用や有効性に関する十分な情報がないと答えており、その内訳は31%が接種前にワクチンの有効性と副作用についてさらなる結果を見たいと述べ、13%は接種を拒否、7%は(旅行や就職などで)必要となった場合のみ接種するとした。一方で回答者の41%は、できるだけ早く予防接種を受けたいと答えており、その数は12月に比べて7%増加した。6%は世論調査が実施された時点(1月)で、すでに接種を受けていた。 また世論調査には、黒人とヒスパニック系の成人で若い世代は、情報不足に警戒しているが、これらの層の中にも先月以降、予防接種を受けたいと考え始めた人が増えているとある。 日本人の傾向としてワクチンに懐疑的と言われているが、同調査によるとアメリカの人も半数近くは接種に前向きだが、同数の人が足踏みしているということだ。ちなみにアメリカでは農村部に住んでいる共和党支持者ほど、接種にためらう傾向にあるという。 アメリカのメディアでは最近になって再び、東京オリンピックについての報道を見かけることも増えてきた。日本でのワクチンの承認や浸透について気になるのは、オリンピックの開催にも関わってくることになるからというのも一理あるだろう。 関連記事 【新型コロナワクチン】死者30万人超の米国 初接種の感想は?一般はいつから? (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース…

NYにもいた炎上系ユーチューバー。ドッキリ企画の度が過ぎて逮捕

レッドオーシャンのユーチューブ界。少しでも視聴回数を稼いだりライバルに差をつけようと、中堅ユーチューバーの多くは必死だ。 観ていて気分が向上したり、世のためになったりする内容であれば誰からも文句は出ない。しかし中には、シャレにならないほど度が過ぎるものを作り拡散する者もおり、たびたび問題になる。 ただの炎上商法なのか、動画アップにのめり込んでいくうちに常識・非常識を線引きするネジが緩んでくるのか、人を傷つけることを平気で行ったり、他人を巻き込んで周囲や社会に迷惑をかけたりと、その非常識たるや甚だしい。 ドッキリ企画の度が過ぎて御用 28日、お騒がせユーチューバーのPrince Zee(プリンスジー)こと、ジーシャン・サロヤ(Zeeshan Saroya)容疑者(30)が逮捕された。 Prince ZeeのYouTubeチャンネルは、15万9000人以上の登録者がいる。 サロヤ容疑者はニューヨークの中心地タイムズスクエアで1月10日午後3時ごろ、動画のドッキリ企画として、運転中に突然気を失った人物を装い、市警察や市消防局を出動させ騒ぎを起こした。 13分の動画は、容疑者らが綿密に企画を練っている段階から収録が始まる。そして「道路のど真ん中で突然運転手が気を失ったら、ニューヨーカーはどのような反応をするか、検証してみよう」と言っている。 動画の中でサロヤ容疑者は、突然車内で気を失った運転者を装い、頭をハンドルに打ち付けそのまま動かなくなった。周辺にいた警察は鳴り止まないクラクション音に気づいてすぐに集まり、車の窓ガラスを割って容疑者を救助した。 そのあと救急車も出動し、容疑者は自力で歩いて乗り込もうとしている。その後知人が迎えに来たため、容疑者は解放された。 容疑者は警察に破壊された車をチェックしながら、「この検証で最も大切なのは、警察も救急隊も行動が早かったということだ。この動画を観た視聴者は、おそらく自分のことを嫌いになっただろう」とコメントしている。 動画は25日にアップされすべてが作り話だったことが判明し、28日に行政妨害、虚偽の事故報告、迷惑行為などで逮捕、起訴となった。ただし、容疑者は出廷命令書を受け取った後、釈放となっている。 この動画は29日現在で16万回以上が再生されている。コメントには「間違いだ」「まったく面白くない」「皮肉にも再生回数が伸びている」「逮捕されるべきだ」という至極真っ当な意見が多いが、トップには「登録者100万人を目指そう」と容疑者の間違った行動を煽っているものもある。また、低評価が2300に対して、高評価が8300と多い。 元祖、お騒がせユーチューバーは今 アメリカの元祖炎上系ユーチューバーと言えば、ローガン・ポール(Logan Paul)氏もその一人。現在25歳となった彼は、俳優やシンガー、ボクサーとしての顔も持つ。ユーチューバーとしても健在で、メインチャンネル登録者は2280万人、2つのサブチャンネル登録者は515万人と9万6900人と、安定の大人気を誇っている。 ポール氏が炎上したのは、2017年12月31日にアップした動画だ。日本を訪れた際、山梨県青木ヶ原樹海で自殺した男性の遺体を録画してユーチューブに上げ、これが大炎上した。 当時チャンネル登録者数は約1500万人で、この動画はすぐに削除されたが、アップから24時間以内に630万回も再生された。 ほかにもポール氏は日本滞在中、築地市場でフォークリフトに勝手に乗りこんだり、人混みの中で服を脱いだりとお騒がせ&いたずら行為をし、大批判された。 2018年1月2日にアップした謝罪動画は、5900万人以上が視聴している。ユーチューブ社はその8日後、ポール氏のチャンネルをGoogle Preferredや優先広告プログラムなどから削除すると発表し、一時的に広告出稿も不可措置を取ったが、同社CEOのスーザン・ウォジスキー(Susan Wojcicki)氏は、ポール氏は同社の規約に違反しておらず、チャンネルを削除しない方針を発表した。 自らの行いを反省したポール氏は同年1月24日、自殺予防の啓蒙動画を発信し、これまでに3000万人が視聴している。 動画の中で、ポール氏は自殺防止団体へ寄付したことも語った。また、専門家への取材を通し、自殺を引き止めるために周りがやるべきこととして「尋ね、話をひたすら聞き、一緒にいて、繋がることを手助けし、気にかけてあげること」が大切だと話した。 アメリカのみならず、日本でもたびたび問題になっているユーチューバーやインフルエンサーの不祥事や行き過ぎた問題行動。せっかく知名度や社会的認知を手に入れることができたのなら、おふざけはほどほどに、少しでも人を救ったり社会のためになる行動を取るべきだろう。 過去のYouTube関連記事 SNS疲れとインフルエンサーの憂い 任天堂を誰よりも愛した米YouTuber死す (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止