騙された感が半端ない!米インフレで企業の苦肉の策「スキンプフレーション」 ── 日本も他人事ではない

筆者がたまにランチなどで購入する、お気に入りのインドカレーがある。 トロッとしたバターチキンカレーと独特の風味があるバスマティライスがセットになったパッケージ商品だ。物価高が続く中、だいたいどこのスーパーマーケットでも9ドル(約1260円)以下と当地ではお手頃価格で売られていて、味も良い。 しかし最近それを食べようとして「あれ?」と思ったことがあった。これまでカレーの具は柔らかいチキンの胸肉だったが、いつものチキンは入っておらず「チキンのすり身団子」にすり替わっていた。 パッケージを確認するとやっぱり「チキン」と書かれてあるが、改行後に「ミートボール」という文字があるのに初めて気づいた。パッと見のデザインが同じなので、これまで同様、カットされた肉塊の具だと思って購入する消費者も多いことだろう。 また別の日、ミッドタウンの中華料理店に食事に行った時のこと。 我々がオーダーしたクルーシャン(フナ)の煮付け料理(21.95ドル=約3000円)はメニュー表によると、付け合わせにネギが入っているということだった。しかし運ばれてきた魚料理には、約3cmにカットされたネギが気持ち程度に数切れ入っているだけで、代わりに砂糖で味付けされた甘いタレがたっぷりとかかっていた。 飲み物のジャスミン茶も、明らかにジャスミン茶とは言えるものではなかった。間違ってオーダーが通ったのではないかと店員に確認したが、やはりジャスミン茶で間違いないという。食事の雰囲気が台無しになるためそれ以上は追及しなかったが、明らかに質の悪い烏龍茶のような味がした。 これらは、典型的なスキンプフレーション(Skimpflation)の一例だろう。 「ケチる」からきた新たな造語、スキンプフレーション インフレになって、「ポテトチップスの大袋を開けると中身が少なくなっていた」「1枚の大きさが以前より小さい」「歯磨き粉を買ったら、箱の大きさは同じだがチューブが明らかに小さくなっている」などの声がよく聞こえる。商品価格をほぼ変えずに内容量を減らすこれらの動きが、Shrink(縮める)をもじったシュリンクフレーション(Shrinkflation)と呼ばれて久しい。 同様にスキンプフレーション(Skimpflation)も、記録的なインフレが進むアメリカで最近、頻繁に聞こえるようになってきた。 スキンプフレーションのSkimp(スキンプ)は、時間やお金、材料を必要以上に費やさない(つまりケチる)という意味。Flation(フレーション)は文字通りインフレのことで、この2つをもじった新たな造語がスキンプフレーションだ。 具体的には、企業がこれまでとほぼ同じ価格帯を保ちながら、商品の製造コストを削減するために、より安価な原材料を使用し製品化することを指す。例えば、ある食品企業は食品の原材料としてこれまで本物のアーモンドを使っていたのにいつの間にか「アーモンド風味」に置き換えたり、バターの代替商品の原材料である植物油の含有率が以前は60%超えだったのが40%以下に減少したりしているのが報告されている。 チキンが「チキンのすり身」にいつの間にか置き換わっている件のチキンカレーも、飲食店でオーダーしたものがメニュー表の説明と「微妙に」異なったり、客の期待に応えるほどの質を満たしていないものだったりするのも、スキンプフレーションと言えるだろう。消費者からすると一抹の「騙された」感がよぎるものである。 日本経済新聞の14日付の記事には、「インフレならぬ『ケチフレ』である」と書かれている。記事によると、スキンプフレーションにはサービスの削減も含まれるといい、「小売りなら販売時の説明を省く、ホテルなら送迎や清掃の頻度を減らす」も、スキンプフレーションの1つという。さらに「米国が震源のスキンプフレーションだが、実はコロナ後の日本でこそ大きく広がる余地がある」ということだ。 最近、日本の大手コンビニのサンドイッチの具が少ないとネット上で話題になっていたが、以前からも言われているような弁当の底上げも含め「見た目はボリュームがあるのに実際の中身が少ない問題」も、シュリンクフレーションやスキンプフレーションの一端と言えるだろう。 スキンプフレーションが我々の食生活に与える影響 前述の中華料理店の3000円の魚の話に戻ると、甘いソースがたっぷりかかっていることで、どのような質の食材でも「美味しく感じさせ満足させる」のは明らかだ。しかし砂糖たっぷりの味付けが、健康に良いはずはない。 医療系の米非営利団体、ヘンリー・フォード・ヘルスは9日、スキンプフレーションが我々の食生活に与える影響について発表している。 この記事でも、「風味を加えるためのもっとも簡単で安価な方法は、塩分と糖分を加えること」とある。よって「食品企業が高騰した原材料を使用する代わりに塩や砂糖を追加投入して味を調整するのは、驚くことではない」と同団体の登録栄養士、アレグラ・ピカノ氏は述べている。 「消費者は原材料の配合の変化に気づかず、これまでと同じ食品を買い続けるかもしれないが、栄養価や健康面では良いとは言えない」。 その上で「質の良い製品に辿り着く方法」として、記事はこのように紹介している。 1. 栄養成分表示を確認する(日常的に購入してきた商品でも) 成分表のトップに書かれているものはメインの原材料なので、「ポテトスープ」の場合は最初に「水」と書かれているが、その後に書かれている素材、ポテトの「質」なども確認すること。パッケージに大きく「マルチグレインのパン」と書かれている商品でも、成分表の最初に書かれているのが「無漂白の強化小麦粉」だとしたら、穀物から栄養素を取り除いて再び加えたものなので、栄養素の含有量が減ったことを意味する。 2. ナチュラルフレーバーは必ずしも「自然」とは限らない ナチュラルフレーバーとは、本物の原材料を使う代わりにそのような香りを使用したものを指す。例えばタンパク質が豊富なアーモンドの代わりに、アーモンドから抽出されたアーモンドフレーバーなど。ストロベリーキャンディーと呼ばれる商品にストロベリーフレーバーが含まれていても、本物の苺が原材料に含まれているとは限らない。ナチュラルフレーバーには栄養価はない。栄養成分表示を確認すること。 3. 低ナトリウムの商品を選ぶ スープなど多くの包装済み食品はナトリウムが多く含まれるので、無塩または低ナトリウムの商品を選ぶ。手作りが良いのは論を俟たない。低ナトリウムのブロス(出汁)にたっぷりの野菜、肉、ハーブなどを入れて作るのが良い。 4. 小腹が空いたらホールフードスナックを選ぶ シリアル、クラッカー、ポテトチップス、クッキーの代わりに、アーモンド、クルミ、ヒマワリの種、リンゴ、アボカド、セロリ、ニンジンなどのホールフードスナックを選ぶ。. 5. 栄養成分表示で、砂糖(糖分)の量を確認 自然由来の糖質はヨーグルトや牛乳にすでに含まれているものだが、多くのケースで我々の健康に害を及ぼすのは追加された砂糖(糖分)であるため、栄養成分表示を確認する。 また記事では、「冷凍や缶詰の野菜や、冷凍の果物は生鮮食品より長持ちし、価格も低い」「キノア、玄米、豆、レンズ豆は良質のタンパク質であり、価格も(アメリカでは)比較的安価の傾向がある」などとし、これらの食材をうまく使い分けることもインフレを乗り切る方法の1つとして紹介した。 物価高騰の折、不健康な食習慣にならぬよう、また騙されたという気にならぬよう、消費者側も知識を持ってより賢く商品や店を選んでいく必要があるだろう。 関連記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

なぜ走る?「それができるから」… 5万人が5万通りの走る理由を掲げ市内を走り抜いたNYCマラソン

6日に行われたニューヨークシティマラソン。 1970年に始まった歴史ある国際マラソン大会だ。初年度は男子55人(女子0人)からスタートし、2019年には過去最高の5万4118人(男子3万1182人、女子2万2936人)が出場した。 今年も世界125ヵ国と地域から5万人のランナーが出場した。 完走者はこれまで通算120万人を超え、2019年の出場者5万4118人のうち、完走したのは5万3639人と、どの国際マラソンよりも多かった(今年の正式な数字はこれから*)。 5万人いれば、5万通りのストーリーがある。 この日完走した一般ランナーに、出場した感想や走る理由を聞いた。 「走ることができるから走る」 「人々とハイファイブしたり、沿道からの声援を受けたりして、楽しいレースだった」と、バージニア州から参加したカサンドラ・オールダムさん。ニューヨーク大会は初めてだが、フルマラソン出場はなんと40回目! 今日のタイムは4時間20分で、自己ベストは3時間42分を出した今年9月のベルリン大会だ。 なぜ走るのか?との問いに「走ることができるから走るのです」とカサンドラさん。20歳の時に大事故に遭い左足首の関節を失い「もう2度と走ることができない」と診断された。10年間車椅子生活を送り、そこから復活して今ここにいる。「走ることは、2度とできないと言われたことでも可能であるということを私に教えてくれるものです」。2024年の東京マラソン参加も目指すそうだ。 この2週間で2マラソンを完走 メキシコ出身のアントニオ・メディーナさん。この日のタイムは3時間58分。自己ベストは2015年の3時間21分。「今日ももっと早くゴールできたけど、暖かかったのでペース配分に気をつけました」。マラソンが大好きで、現在の居住地ニューヨークの大会だけでも12回出場。つい2週間前にもアトランティックシティマラソンに出場したばかりだと言う。「自分でもクレイジーな挑戦というのはわかっているよ」と苦笑い。よって今日のレースはあまり期待していなかったらしいが「最後の2、3マイルが大変だったけど楽しく走ることができた。今とても幸せな気持ちです」。 走る理由について「自分自身への挑戦のため。生きているって感じるし、健康になれるし、周りの人に良い刺激を与えられるものでもある」。 東京から参戦!「また走りたい」 「蒸し暑かったです。3日前に到着し、時差ボケが抜けなくてコンディションも最悪でした」と苦笑いするのは、東京から出場した岡本晃一さん。フルマラソンの挑戦は4回目で、この日は3時間50分弱で走り抜いた。 「沿道の皆さんの温かい声援がずっと途切れなくて、走りながら途中手を振り返したりしていたら、立ち止まることができなくなり、休むことなく完走できました」。楽しすぎて、もう一度走りたいと早速意欲を見せる。「身体は走りたくないけど心が走りたいと言っています!」と最高の笑顔を見せた。 5週間前にロンドンマラソン アイルランド出身でロンドン在住のルース・ダーヴァンさんもなんと、5週間前にロンドンマラソンに出場したばかり。「とても蒸し暑かった」今日のタイムは、3時間39分。自身の中で悪い成績と分析したが、前の大会から十分な時間が空いておらず、楽しかったのでそれで良しと笑う。 なぜそこまでマラソンが好きなのか?「私は挑戦が好きだから」と即答。「今はもうクタクタな状態だけど、おそらく明日になるとまた別のマラソン大会に申し込むでしょう!」。 関連記事 筆者が撮影した2021年の動画 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

大迫傑 復帰そして世界の強豪コメント NYCマラソンいよいよ明日(現地時間5日配信)

今年もニューヨークシティマラソン(TCS New York City Marathon)の季節がやってきた。 今年は51回目を数える。新型コロナの感染拡大で大会が2020年に中止となったが、昨年規模を縮小して復活。今年は通常通り、5万人のランナーの参加が見込まれている。 日本選手は上杉真穂(女子)、大迫傑(男子)、鎧坂哲哉(男子)、渡辺勝(車椅子、男子)、さらに多数の一般ランナーが国内外から出場する予定だ。 大会を目前に、優勝候補の有力選手(一部)に抱負を聞いた。 大迫傑 20年東京大会で自己記録、マラソン復帰戦 2020年の東京マラソンで自己記録(2時間05分29秒)を出し、21年の東京五輪(6位)後に引退した大迫傑選手。今年2月に現役復帰を表明し、アリゾナでトレーニングを積んできた。5000mとハーフマラソンで復帰しているが、フルマラソンは五輪以来となる。 「復帰してから準備期間が長ければ良いと思っていた」ことから本大会の出場を決めた。「アメリカで再スタートが切れ、モチベーションが上がります」。 当日の気温予報は摂氏24度と11月にしては暖かくなる予定。「寒いより暖かい方がいいので」と条件は悪くなさそうだ。 何より、心身共に復帰後は余裕が出てきたと語る。マラソン“初戦”という意気込みはなく、リラックスできていることが伝わってきた。「しっかりと自分の力を出し走り切ることが第一目標。いつも通りスマートなレースを心がけている。後半のセントラルパークが上り坂なため、そこに向けて体力を温存して走りたい」。 アルバート・コリル  昨年同大会の勝者 昨年の同大会(男子)の勝者(タイムは2時間08分22秒)、ケニアのアルバート・コリル(Albert Korir)選手。圧倒的な強さが印象的だった。 豪快に大きくジャンプしたゴールシーン(冒頭の写真)について、「幸せな気持ちを見てくれた人々に表したかった」と振り返った。 当地の大会に強く、19年も2位に輝いている。また17年のウィーン大会、19年のオタワ大会でも優勝。今年4月のボストンマラソンは6位(2時間08分50秒)だった。 トレーニングプログラムは変えていないが「体が強くなったと感じている」と自信をにじませる。今大会に向け「準備は整った。昨年のような良い結果になることを期待している。楽しみだ」と語り、王者の貫禄を見せた。 エバンス・チェベト ボストン大会の勝者 4月のボストン大会の勝者、ケニアのエバンス・チェべト(Evans Chebet)選手(タイムは2時間06分51秒)。2020年のバレンシア大会で、自己最高の2時間03分00秒を出すなど、調子は上り坂のようだ。 本大会ではデビュー戦となる。抱負としては「ボストンと同じ調子になれば」と語った。「まず30kmで調子が良かったらそこから35km、そしてゴールに向けてメンタルをフォーカスする」。 今大会の最大のライバルを問うと、アルバート・コリルとエチオピアのシュラ・キタタ(Shura Kitata)の2選手を即答した。「とは言えこのレースに向けトレーニングを積んできたから(勝つ)自信はある。自分のベストを出し切り、最高の結果を出したい」と語った。 ゴティトム・ゲブレシラシエ オレゴン世界選手権の勝者 7月のオレゴン世界選手権マラソン(女子)の勝者、エチオピアのゴティトム・ゲブレシラシエ(Gotytom Gebreslase)選手(タイムは2時間18分11秒)。昨年のベルリンマラソンでも1位の成績を残している。 3位だった今年3月の東京マラソン(2時間18分18秒)についても「非常に良いレースだった」と振り返る。 本大会で勝つための戦略を尋ねると、余裕の笑みを見せながら、こう一言放った。「勝つだけ。ただそれだけよ」。大会で結果を出すためにトレーニングを積み、今ここにいる。そして迎える本番。「余計な戦略はなし」と自身の奥底からの自信がみなぎる。筆者の斜め後ろにいた記者が「勝つだけ。好きだわ、その答え」とうなずいた。 そのほかの強豪選手 2017年のシカゴ大会の勝者(21年は2位)のガレン・ラップ(Galen Rupp)選手は本大会ではデビュー戦となる。36歳の今「10年、15年前にやれていた厳しい練習をこなせない現実がある反面、年齢と共に心臓機能はより鍛えられている」「練習を積めば、例え40歳であろうと世界記録更新は可能」と前向きな姿勢を見せた。「タイムより順位重視」と語り、優勝を目指す。 かつての米女子記録保持者のケイラ・ダマト(Keira D’Amato)選手も本大会ではデビュー戦。「今年は調子がいい。スタート時は気分が高揚しスピードが上がりがちだが、過去のレースの敗因を糧に、周囲を窺いながらペースを上げるべきか否か冷静に判断したい」と語った。 東京五輪米代表選考会で1位でゴールしたアリフィン・トゥリアムク(Aliphine Tuliamuk)選手は、翌21年1月(五輪の半年前)に出産。新型コロナ規制が敷かれる中、授乳が必要な乳児を母親が帯同できるようルール変更を求めてIOCに働きかけ、それが叶った。五輪レースでは腰の故障で途中棄権し結果を残せなかったが、本大会で再起を賭ける。 今年のソウル大会(タイムは2時間04分51秒)で米大陸の記録保持者となった、ダニエル・ド・ナシメント(Daniel Do Nascimento)選手、今年10月のシカゴ大会(車椅子、女子)の勝者、スザンナ・スキャローニ(Susannah Scaroni)選手らの活躍も見逃せない。 5000mで東京五輪をはじめさまざまな大会でメダルを獲得しているケニアのヘレン・オビリ(Hellen Obiri)選手は、今大会で初マラソンに臨む。 市内各所でイベントも 市内各所では、ちびっ子マラソンやLGBTQランナーなどさまざまな関連イベントが開催され、本番への機運が高まっている。 4日にはセントラルパークのゴール付近で、オープニングセレモニーが開かれた。各国ランナーや応援団によるパレードがあり、日が暮れた後は花火が夜空を舞い、祭り気分を盛り上げた。 本番当日、沿道では一般市民からの声援に加え、DJやパフォーマーが出場者の気分を盛り上げる。音楽に躍動された一般ランナーの中には仮装姿でノリノリな人やリズムに合わせて踊りながら走る人の姿も見かけるほど。 2019年には出場した5万4118人のランナーのうち、5万3639人が完走。どの国際マラソンよりも完走者が多い。その理由の1つとして「声援が勇気づけに繋がっていたら嬉しい」と語るのは、沿道からの応援を始めて10年以上になるニューヨーク太鼓愛好会の代表、遠山京子さん。毎年声援を送る場所は、サウスブロンクスからと決めている。「コース後半に差し掛かり、地域柄沿道の人も少ないので、そんな場所から太鼓の音色でランナーを勇気づけられたら」と語る。 選手、応援団、受け皿となるニューヨークの街、すべての準備は整った。あとは本番を迎えるだけだ。 関連記事 Text…

NY秋冬、穴場エンタメ!息を呑む驚きの120分「カクテル・マジック」 10/7いよいよ開演

ブルックリンのブッシュウィックに、知る人ぞ知る穴場的な小劇場があります。 Cocktail Magique Théâtre by Company XIV。今年の秋冬一押しの新作ショーが、いよいよ10/7にスタートします。 「えーーーまさかー」「なぜ!!?!?」驚きの連続のイルージョン 過去に『シンデレラ』など数々のヒット作を披露してきたブルックリンのCompany XIV。 彼らの満を辞した新作『Cocktail Magique(カクテル・マジック)』は、簡単に言ってしまえばバーレスクとイルージョン(マジック、手品のより手の込んだもの)、なのですが、これがかなり手が込んでてハイスペック。 マジックと言ってもイルージョン的な技法が使われ、ほかにもシャンテューズ、キャバレー、サーカス、そして占い・・・さまざまな要素が入り混じる、ドラマあり笑いありの抱腹絶倒、総合エンタメです。 120分間、驚きの連続で、周りの観客から驚嘆の雄叫びが上がる、上がる! 私もずっと目が点になり、口もずっとあんぐり開いたまま・・・次から次に披露されるマジックに見とれて、楽しい時間はアッという間に過ぎました。 キャストは皆さん才能あるテクニシャンばかりですが、特にメインマジシャンのSam Urdangさんの技術は必見モノ。 来場者の1人からお札(この日は$100札)を提示してもらい、それに名前を書いて口に入れ、食べてしまった(!)はずなのに、客にカクテルシェイカーを振らせ、開けてみたら・・・!?!?(当日のお楽しみ) 別の来場者が会場中に見えるように水のグラスを頭上に持ち上げたまま、キャストがステージでレモンを絞ったら、なぜかその水の入ったグラスの味が変わっていたり!!(なぜ?) 2人の来場者がその場でカクテルに名前を付けて、ルーレットで当てた封筒を開けたら、今名付けられたばかりのカクテルの名前がそこに書かれてあったり!!!(なぜー?) ・・・と、文章で説明しても、おそらくこの驚きは伝わらないと思うので、ぜひ観てください!後悔はさせません。 次から次に出てくるカクテルテイスティング。“絶品”スイーツも食べずに帰ることなかれ! ちなみに「カクテル・マジック」というだけあって、さまざまなおしゃれカクテルやらシャンパンやらが何杯(!)も「上から、中から(?)・・・」とドンドン出てきます笑。 この手のショーって通常、客もホロ酔いだから、なおさら盛り上がるというのもあるんだけど、お酒を飲まない(もちろんシラフの)この私でさえ、手品のトリックをまったく見破ることはできませんでしたー。 ショウに加えて、もう1つ、私が感動したのは軽食の最後に出てくる、このフライドチキン! これただのフライドチキンじゃないんです。 フライドチキン・アイスクリームというものでした! 外側カリカリ、まるでフライドチキンなんだけど、食べるとアイスクリーム。 これは20年住んでいるけど初めて食べた。こちらも感動〜。 一般公開はいよいよ10/7からです。ホリデーシーズンのマストショー。 会場は62席とアットホーム。日本での上演予定をお聞きしたところ「予定なし」とのことだったので、観光でNYを訪れる際もぜひ。ラブラブシートもあるのでデートや女子会にもおすすめ。 Cocktail Magique Théâtre by Company XIV カクテル・マジック・シアター・バイ・カンパニーフォーティーン 会場 Cocktail Magique Théâtre 17 Wyckoff Avenue, Brooklyn, NY 11237 入場料 チケットは145ドルより(カクテルと軽食付き) Text and photos by Kasumi…

日本の人気3ブランド、ブルックリンへ ── 「50 Norman」9/16オープン

日本の人気3店が集まった「50 Norman」(50ノーマン)が、ニューヨークのブルックリン(グリーンポイント)に9月16日オープンします。 3店はこちら CIBONE (シボネ) ハイセンスなライフスタイル雑貨 職人が1つ1つ手作りした、ハイセンスなうつわや生活雑貨など。日本のモノづくりの質の高さが感じられる品ぞろえ。(アーティストはローテーションで変わる) DASHI OKUME(出汁尾粂) 無添加のだし 1871年日本橋で創業の水産仲卸店。スープや煮物、味噌汁、パスタなどに使える乾きもの(すべて日本産)は量り売り。トマトと玉ねぎを試食させていただきましたが、噛みごたえあって良いおだしが出そうでした。だしや日本の調味料は、隠し味として高級店のシェフによく使われるようになりました。この裏技、今後一般の消費者にも浸透していきそうです。オーナーさん曰く、今後はテーブル席で定食を出す予定。「そのうち角打ちもしたい」とも仰っていました。 HOUSE(ハウス) ジャパニーズ・フレンチのレストラン 2007年西麻布にオープン以来新スタイルのフランス料理を提供する店。ブルックリン店は8席のカウンターのみで、日本のエッセンスが入ったフレンチのコース料理を160ドルで提供予定ということです。 Info 50 Norman 50 Norman Ave., Brooklyn, NY 11222 U.S.A. (写真をもっと見る) #Greenpoint Text and photos by Kasumi Abe (こちらより一部転載)無断転載禁止

NY「ワクチン接種義務化」が強化。飲食店〜公務員〜民間企業や子どもまで。市民の反応は?

新型コロナの変異ウイルス、オミクロン株の拡大により、ニューヨーク州では1日の新規感染者数がかつてないほど急増しており、27日は4万人を超えた。入院が必要なほどの重症患者数も昨春ほどではないが、それでも前日より647人増えて6173人(27日)と急増中だ。 そんな中ニューヨーク市では27日、すべての民間企業およそ18万4000社を対象に、ワクチン接種の義務化がスタートした。 市ではこれまでも公務員に対して、また屋内飲食や屋外アクティビティの利用者(今月14日以降は子どもも対象に。5〜11歳は1回以上接種し、27日以降は、12歳以上は接種「完了」していなければならない)に対しても、ワクチン接種義務化を推し進めてきたが、ここに来て民間企業の従業員に対しても義務化を設定した形だ。いわゆる(国民皆保険ならぬ)「市民皆ワクチン」のムーブメントの一環である。 この政策の通り、市内ではレストランの屋内やジム、映画館、博物館などの屋内アクティビティ、イベントの利用時において、入り口などでワクチン接種証明書の提示を「必ず」求められる。「当店は大丈夫です」なんていう店は存在しない。ここ最近は一般企業の訪問時や筆者の場合は取材時にも、企業の裁量において接種証明書の提示を求められるようにもなってきた。つまり今この街で、ワクチン接種証明書がなければ、ほとんどの屋内活動や業務が制限されるような状態だ。 市の資料によると27日以降、市内の一般企業で働く全従業員は、少なくとも1回(45日以内に2回目)のワクチン接種をしていなければ、そこで働くことは認められない。民間企業の代表者は必要な書類に署名し、職場の「誰もが見える場所」に掲示する必要がある。このような接種義務化の措置は、いずれも全米の自治体で初ということだ。 市内で会社を経営したり代表を務める人に話を聞いたが、この政策に対して「会社として、社員に対してそこまでの強制や締め付けは難しい」「ワクチンを打ってほしいのは理解できるが、このように民間企業を巻き込まないでほしい」というような驚きや戸惑いの声が聞こえてきた。また中には「在宅勤務を続けているので、詳しい情報が入ってきていない」という声もある。 これまで市内の飲食店で行われてきたようなことが、今後は一般企業でも起こる。検査官がオフィスや店舗に抜き打ちで訪問し、違反が見られる場合、初回の罰金1000ドル(11万円相当)が企業側に科されるという。 一方、デブラシオ市長は27日の会見で「企業側に違反が見られる場合、まず指導や通達から行う」と発表した。「きっぱり拒否でもされない限り、罰金をいきなり徴収することはほとんどない」と、線引きについてやや「曖昧な」説明に終始した。 また肝心のデブラシオ市長だがその任期は今年いっぱいであり、あと数日間しかないタイミングで発令された。来年1月1日に新たに就任するエリック・アダムス次期市長は、デブラシオ市長のこの政策を継続するか否かについては言及していない。これについても、民間企業の代表者や従業員からは「今後がいまいち見えてこない」「市は政策の方向性について、迷走しているのではないか」という声も聞こえてきた。 過去記事 オミクロン株、米上陸も時間の問題…心配をよそにNY次期市長が「アフリカ家族旅行」で物議 米国2例目のオミクロン株確認のアニメイベントを取材。「濃厚接触者」候補になってしまった時の話 NYワクチン接種義務に抗議。義務化初日に休職の市職員9千人が都市に及ぼす影響 米入国にワクチン接種義務化。健康上の理由で接種できない人は今後どうなる?… 専門家に聞いた 入国は「ワクチン接種者のみ」……どうなる?海外旅行。(フィガロ) NY屋内活動に「ワクチン接種証明」義務づけ 全米初の試みが始まったが・・・街の様子は 全米の4人に1人が「ワクチン打たない」反ワクチン運動や職場訴訟も(動画あり) 米「ワクチン接種でマスク不要」 NY中心地のマスク率は? 街の人の声は? Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

海を越え愛され続けるNYの「リトル日本」。思わず息を呑む「ホリデー仕様の絶景」に地元民の反応は

ニューヨークのブルックリン区にあるブルックリン植物園(Brooklyn Botanic Garden)。52エーカー(約21万平方メートル)の広大な敷地には、在住者なら誰もが知る「日本庭園」(Japanese Hill-and-Pond Garden)が併設されている。 この植物園が桜の名所でもあることから毎年春になると「桜祭り」(Sakura Maturi)が開かれ、日本のポップカルチャーファンが着物やコスプレ姿で集まる。ここはいわばニューヨークの「リトル日本」であり、在住日本人にとって心のオアシスのような存在だ。 当地の長く厳しい冬季は、植物が枯れてしまい、日本庭園も注目を集めることはそれほどない。しかし今年は、同植物園で光と音楽の装飾イベント「Lightscape at Brooklyn Botanic Garden」がホリデーシーズンの11月19日から来年1月9日まで開催されている。 日暮れと共に園内の明かりが灯りはじめ、周辺の植物やオブジェが煌びやかにライトアップされ、いつもとは違った顔を見せている。春と秋には桜や紅葉で彩られる日本庭園も、期間中はホリデー仕様だ。 106歳、NYの日本庭園 Japanese Hill-and-Pond Gardenは、アメリカに現存する中でも歴史が長くもっとも人々が足を運ぶ日本庭園の1つとされている。1907年に渡米した造園家の塩田武雄氏が手がけ、1915年に開園した。同植物園によると、当時日本式の庭園が流行し、美術館やホテル、裕福な人々の住宅の庭などに、その美的センスが取り入れられたという。 これまで火事が発生したり、第二次世界大戦下で一時閉鎖されたりするなど苦難の時期もあったが、戦後は日系アメリカ人の庭師、フランク・オカムラ氏が庭園の修復や手入れをし、1世紀以上経った今も地元の人々に愛され続けている。 この日本庭園もホリデーライティング用にお色直しをされているわけだが、神社、鳥居、橋、石灯篭などに装飾が施されている訳ではない。これは植物園サイドからの日本文化に対する最大の敬意であろう。煌びやかにライトアップされているのは周囲の樹木や歩道、池などで、それらのイルミネーションが朱色の鳥居をダイナミックに魅せている。特に夕暮れ時は、夕日のバックグラウンドと相俟って思わず息を呑むほど美しい。来園者の多くがまずここで歩を止め、幻想的な景色に見入っていた。 イルミネーションを見るために訪れた近所に住む女性は、「毎年春の時期に日本の祭りを楽しみに来園するけど、今の時期にこのような神秘的な日本庭園を見たのは初めて」と、うっとりしながらケータイで写真を撮っていた。日本を訪れたことがあるという男性は「ニューヨークにいながらこんな素晴らしい光景を見られるのは嬉しい」と話した。 このホリデーイルミネーションではほかにも、全長1マイル(約1.6キロメートル)の遊歩道に続く10万個以上の電球による光のオブジェやポエムなどを楽しむことができる。 これら枯れ木に「光の花」を咲かせたデザインは国外から地元までさまざまなアーティストや詩人らがクリエートしたもので、イギリスに拠点を置くカルチャークリエイティブ社(Culture Creative)が1つのライトスケープ作品として仕上げた。 植物園の担当者によると、「ライトショーとしてはニューヨーク市内で最大のもの」で、同植物園が行うのも初めての試みだとか。まだコロナ禍の最中だが、巣篭もりしがちなこの季節に「人々に外に出るきっかけとなるような、そしてこれまで当園に足を運ぶことのなかった人々への訴求にもなるような『ワォ』と思わず声を上げる真冬の目玉アトラクションとして計画に3年の年月を費やし、満を辞して今年やっとお披露目が叶いました」。 当地にはほかにも、世界一有名と言われるロックフェラーセンターのクリスマスツリーが今月1日から点灯され、多くの観光客が足を運んでいる。アメリカ最大のイベント、クリスマスを今週に控え、ニューヨークはホリデームードが一層高まっている。 * 筆者が撮影した光と音楽の装飾イベント「Lightscape at Brooklyn Botanic Garden」の動画 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

東京五輪女王が再V 意外なセレブも参加!NYCマラソン50周年記念大会(動画あり)

美しく気持ちの良い秋空の下、第50回目となる記念すべき「2021年TCSニューヨークシティマラソン」が11月7日、ニューヨーク市内で開催された。 このマラソン大会は毎年11月の第一日曜日に行われているもので、スタテンアイランドをスタートし、ゴール地点のマンハッタンまで市内5つ、すべての区を走るルートが特徴だ。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、初の中止を余儀無くされたため、今年は2年ぶりの開催となった。 公式ウェブサイトによると、今年の参加ランナーは世界中から集まった3万3000人の選手だった。また観客は、毎年100万人規模の市民が沿道に集まる。2年ぶりとあり、多くの人が今大会を楽しみにしていたようで、選手に声援を送り鼓舞激励した。 女子勝者は、東京五輪の金メダリスト 今大会の優勝者は、プロ男子の部がAlbert Korir(アルバート・コリル)選手でタイムは2時間08分22秒、プロ女子の部はPeres Jepchirchir(ペレス・ジェプチルチル)選手でタイムは2時間22分39秒と、共にケニア勢が独占した。 ケニアと言えば、今年の東京オリンピックのマラソン競技でも男女共に金メダルを獲得しマラソン強国として知られる。特にジェプチルチル選手は、東京オリンピックで金メダルを獲得しており、今大会で再Vとなった。 車椅子プロ男子はマルセル・ハグ(Marcel Hug)選手、同プロ女子はマディソン・デ・ロザリオ(Madison de Rozario)選手が共に勝利した。 また、ほとんどの観客はその存在に気づかなかったが、ほかにも意外なセレブやプロスポーツ選手も参加した。 ニューヨークタイムズによると、クリントン元大統領の長女のチェルシー・クリントン(Chelsea Clinton)氏(写真上)を始め、プロ女子サッカー、アビー・ワムバック(Abby Wambach)元選手(写真下)、ローレン・ホリデー(Lauren Holiday)元選手、レスリー・オズボーン(Leslie Osborne)元選手、レーシングドライバーのライアン・ブリスコー(Ryan Briscoe)選手、スーパーモデルのクリスティー・ターリントン(Christy Turlington)氏、俳優のケニー・オハラ(Kelli O’Hara)氏ら、数多くの有名人も完走した。 筆者がブルックリン(スタートから15kmの地点)で撮影した動画。 50th Anniversary of NYC Marathon 第50回ニューヨークシティマラソン ランナーが多過ぎて、1人の有名人も見つけられず…。日本からも富安央選手、山口遥選手、車椅子の渡辺勝選手らが出場したが分からなかった。近くの人は友人でさえ見つけるのに苦労していた。 ほかに今大会では、ある男性ランナーも話題になった。 ラリー・トラックテンバーグ(Larry Trachtenberg)氏は16歳だった1970年9月、同大会の記念すべき初回に参加し完走した55人のうちの1人だ。67歳となった彼は50周年の記念すべき今大会で再チャレンジし、走り切った。 現在西海岸に住んでいるトラックテンバーグさんだが、住み慣れた故郷を幼少期の思い出と共に走り抜け、感慨もひとしおだったようだ。50年前と今大会を比較し、米メディアにこのように語った。「昔はこぢんまりとした静かな大会だったが、今ではすっかり一大ショーになったね」。 今大会の盛り上がりはすっかりコロナ前に元通り、「アフターコロナ」のスポーツ世界大会の様相だった。ニューヨーク州内では前日の6日時点で新規陽性者が未だ1日4600人を超えているが、屋外ということもあり観客の中にマスクをしている人はほとんどいなかった。 仮装姿の人、自国の旗を振っている人、音楽のリズムに乗って楽しそうに踊りながら走っている人、高齢で足を引きずりながら(人によっては杖をつきながら)それでも歩を進め続ける人…。2年ぶりに見たさまざまなランナーの勇姿に、再び元気とエネルギーを与えてもらった。 Text, photo and video by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止