眞子さまNY移住で噂される3つの「就職先候補」ってどんなところ? 現地在住目線でその「魅力」を紹介

眞子さまの結婚後の移住先として注目されるニューヨーク。日本のメディアによれば、早くもいくつかの就職先候補が浮上している。 その就職先候補はどんなところか気になるだろうが、まず始めに、日本人を含む外国人が「アメリカで働くこと」について説明したい。 アメリカで外国人が就労するには、就労ビザやOPT(実践的経験を積むことを目的に与えられる就労許可)、就労許可証、またはグリーンカード(永住権)の中からいずれかが必要だ。また外国人が就労するということは現地の雇用を奪うことにもなりかねないため、その人の専門性や、その人でなければ業務が成り立たないというような雇用主からの証明書などが求められる。 また、一口に就労ビザと言っても職種や役職によってさまざまな種類が存在する。ニューヨークの一部の報道では、ロースクールを卒業した小室圭さんが今後取得するだろうとされているビザは、OPT(もしくは就労許可証)の後にH1-Bと呼ばれるタイプのもので、来春以降にH1-Bを申請するのではないかと言われている。 就労ビザやグリーンカードは通常、移民法専門の弁護士に依頼し申請する(移民法の専門知識があれば自分で行うことも可)。申請と取得には、時間とお金がかかる。筆者も以前ニューヨークの出版社に勤務していた際、H1-Bビザ保持者だったので、外国人がアメリカで就労するための苦労や労力を身を以て実感してきた。しかもH1-Bビザの新規年間発行数は6万5000件と決まっている。その枠内に入らなければアメリカでの就労は認められない。仕事があるにも拘らずこの枠内から洩れたため、泣く泣く帰国して行った人を筆者は何人も見てきた。この国で、自分が希望する職種や会社で合法的に就労することは、決して狭き門とも思わないが、限られた門であることは間違いないだろう。そしてビザ保持者の配偶者にとっても同様だ。 参照 オーサーコメント 一方でアメリカというところは、秀でた才能の持ち主や高額納税者を喜んで迎え入れ、グリーンカードや市民権を寛容的に与える国でもある。それがひいては国力に繋がることを考えれば納得だ。そして眞子さまは小室圭さんと結婚して小室眞子さんになっても、いわゆる一般の人ではない。アメリカ人は王族や皇室のロイヤルの称号を崇める傾向があり、「元プリンセス」「元ロイヤルファミリーの一員」「天皇陛下の親戚」という言葉の響きに弱い。よってそのような肩書きのある人を仕事仲間やコミュニティの一員として迎え入れたい気持ちになるのは、わからなくはない。一般人にとって容易くはない就労ビザやグリーンカード、市民権の取得でも、ロイヤルブランドで難無く可能になってしまうかもしれない。 そんな前知識を踏まえ、(あくまでも噂の段階ではあるが)眞子さまの就職が囁かれているニューヨークの3つの候補地がどんなところか紹介していきたい。 メトロポリタン美術館(MET) 現時点で米メディアにはそれらしき情報は出ていないが、日本の女性週刊誌により「就職先として急浮上」と紹介されたのが、マンハッタンの高級住宅地、アッパーイーストサイドに位置するメトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art)、通称メットだ。 ここは世界三大美術館の1つと呼ばれ、アメリカの美術館としては最高峰だ。世界各地からコレクションされた5000年以上にわたる文化・芸術遺産200万点以上を収蔵、展示している。アート業界に身を置けば、一度は働いてみたい職場かもしれない。 筆者は10年以上前、この美術館のペーパーコンサベーション(紙の修復・保存)部でコンサバター(修復・保存家)として勤務する日本人女性を取材したことがある。現在全部で何人の日本人や日系人が勤務しているかは不明だが、ウェブサイトを見る限り日本画のコンサバターとして日本人男性が勤務していることを確認できる。競争が激しいニューヨークのアート業界ではあるが、同館で眞子さまの「専門性」が求められれば、日本人であっても雇用される可能性は充分にある。 訪問するなら…筆者のおすすめ ゴッホやピカソ、フェルメールなどの中世ヨーロッパの名画、そしてエジプトからそのまま移転させた巨大な古代芸術は特に見応えあり。また館内には(日本から訪れた人にはあまり関心を持たれないが)葛飾北斎など日本の芸術展示コーナーもあり、地元の人々に高く評価されている。 館内は1日では周り切れないほど、とにかく広い。名作ぞろいと言えども1作1作見きれない。訪れる際は事前にどんなジャンルの美術を中心に鑑賞したいのか的を絞って臨むといい。 屋上にはルーフトップカフェ&バーもある。アートの鑑賞後、そこでの休憩は最高に気持ちが良いはず。 アメリカ自然史博物館 マンハッタンの高級住宅地、アッパーウェストサイドに位置するアメリカ自然史博物館(American Museum of Natural History)も話題の1つになっている。こちらも現時点で米メディアにはそれらしき情報は出ていないが、別の日本の女性週刊誌で「眞子さまが数年前にお忍びで視察したことがある」として、就職先の候補の1つではないかと紹介された。 場所は真ん中のセントラルパークを軸に、前述のメットからはちょうど真反対側の西側に位置。館内では動植物、鉱物など自然科学・博物学にかかわる標本や資料を所蔵・展示している。創立は1869年と、こちらも長い歴史を持つ。 以前は大人向けにお泊まり会を開催したり、パンデミック以降は同館の一部を予約不要の新型コロナワクチン接種会場とするなど、斬新なアイデアも地元で評価を得ている。 過去記事 アメリカ自然史博物館で行われたイベント アポロ11号月面着陸から50年 記念展で「次に月に行く人は?」との問いに・・・ 訪問するなら…筆者のおすすめ 恐竜の標本や化石、プラネタリウム、動物や海洋生物のコーナーなどが見応えがあり、大人から子どもまで楽しめる。 海洋生物コーナーに展示されている、長さ29m近くの等身大の巨大クジラの模型は圧巻。1925年に南米の最南端沖で死骸として発見された雌のシロナガスクジラをモデルにしたもので、これまで存在した動物の中で最大のものとして知られる。クジラの模型の下は昼間でも薄暗くて静かなので、地元では密かに昼寝や休憩の名所として親しまれている。 ギャラリー 米ウェブニュースのPageSixは9月、眞子さまについて「留学先の英国レスター大大学院の博物館学で修士号を取得し、東大博物館で働いてきた実績やコネクションを買われ、ニューヨークのトップギャラリーは(眞子さまを)雇用しようと動いている」とする、アート業界の関係者の声を紹介した。 同サイトによると、イギリス王室のユージェニー王女もニューヨークのギャラリー関係の仕事に就いたことがあるという。同王女は2013年ニューヨークに移り、オンラインオークションハウスのPaddle8で働き、15年にロンドンに戻って、アートギャラリーHauser & Wirthに勤務したそうだ。 タイムアウトニューヨークによると、この街にはブロードウェイ劇場が40箇所、書店が100店あるのに比べ、ギャラリーの数はなんと1500にも上るという。働き口はいくらでもあるということだ。 その多くは以前は、ソーホー地区やローワーイーストサイド地区、ブルックリンのダンボ地区に、現在はチェルシー地区に集まっているが、近年はブルックリンのほかの地区やマンハッタンのハーレム地区、クイーンズなどニューヨーク中に広がっている。 毎日どこかでオープニングイベントが行われ、シャンパン片手にアート好きが集まって談笑をしている。 ニューヨークにはこのほかにも素晴らしい美術館や博物館、個性的なギャラリーが点在しており、アート好きにはたまらなく魅力的な街だ。眞子さまが移住されたら、公私共にきっと気に入られるに違いない。 ギャラリー関連 過去記事 ハーレムのギャラリーで行われたイベント NYのアート発信地をチェルシー→ハーレムに企てる男 ある茶会での出会いと学び(武漢アートも) Text and photo by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

脱プラになって万引きが急増。スーパーで万引き犯と目が合った日の話、つづき

この記事を出すタイミングを伺っているうちに下書きフォルダーにずっと入っていたのですが、昨日ヤフーニュース個人にアップした記事に関連しているので、この機会にアップしようと思います。 2020年秋、スーパーで万引き犯と目が合った日の話。↓ プラスチックの買い物袋が有料化になって、万引きが増えたのでは?について、以前このようなオーサーコメントをYahooニュースでしました。 このコメントでも触れましたが、実際にスーパーでビール瓶をポケットに入れて、出口で見つかっている人を見ました。また最近、いろんな大型リテール店に行くと、出口に2人くらいスタッフが立っていて「なに?ご丁寧にお見送り?」と思っていたけど、あれ違ったんですよね。 このトピックが久しぶりに気になったのは、週末ちょっと興味深いことが起こったからです。 週末のまとめの食料品買い出しに、近所のスーパーに行きました。買い物をしていたら、フワ〜と視界に見えたのです。盗んでいる人が!少し離れたビールコーナーで、ビール瓶を自分の袋(エコバッグと言うにはとても汚い、使い古された袋)に入れているおじさんを。70代ぐらいの方でした。 あぁいうのは、見なくても目に入ってくるもんなんですね。 私、自然とそのおじさんをジーと見てしまった。しばらく。そしたらおじさんがギョロッとした目で私を見て、こう言いました。「あなたは息子か誰かを探してるの?」私は「いいえ」と返したら、おじさんが「そうなのですね、さっきスケートボードで走ってる小さい男の子がいたんだよね。だから探しているのかと思った」とのこと。 でも、この会話とてもおかしいです。 そもそも、小さい男の子はその辺にはどこにもいなかった。もし私がその男の子を探していても、おじさんをジッと見る理由には繋がりません。 「このおじさんは常習だ」と直感で思いました。 私は顔を覚えられたら面倒なので、そのおじさんとの会話はそれで終え、もうこれは考えなしで、すぐさま近くの店員さんのところに行き、見たものをそのまま伝えました。 「誰かがビールを盗みました。そこのコーナーにいる人です」と。そして「私、あまりこういう(チクルような)ことしたくないんです。私が見たと伝えないでほしい」と伝えました。 店員さんははもちろんわかった、と言ってそのおじさんの顔を確認しに行き、「あぁ(またいつものあの人だ)」という顔をして、私にお礼を告げ、同僚?上司?に報告に行きました。 私はそもそもこういう非生産的なゴタゴタに時間を取られたくないし、おじさんに顔を覚えられて恨まれるのは嫌なので、私にとってまったくいい経験ではありませんでした。 でもその後この経験を思い返してみて、あのおじさんて、いつもそういうことしている人生なんだなと思ったら、少しかわいそうになりました。だって、どこか後ろめたい気持ちで店に行ったり(窃盗は慣れているのであれば後ろめたい気持ちもないかもだけど)、「あ、またあいつがきたから見張ろう」と思われる生活や人生なんて全然ハッピーじゃない。 補足すると、ニューヨークは税金が高い分、低所得者はフードスタンプというスーパーで使えるチケットを配給してもらっているんです。また定期的にフードの配給もあります。コロナ禍になって長蛇の列ができています。無料のフードをもらうのはIDとか必要なくて、『誰でも』(外国人の私でも)もらおうと思ったら食料をタダでもらえます。つまりNYでは餓死が起こりにくいシステムだし、お金がなくても指定の店で「買える」システムになっています。 詳細 コロナ禍のNY 救済活動で浮き彫りになった貧困と食料問題(思いが込められたランチはおいしかった) でも、、、配給品に、流石に嗜好品は含まれないんですよね。だから吸い殻のタバコを拾って吸っている人をよく見るしあのおじさんみたいに、ビールを飲みたかったら盗むしかないのでしょう。(そもそもそんな高くないんですけどね) ま、とにかくあのおじさんの行動を思い返しながら、学んだわけです。外国人の私でも、コロナ禍で配給所に並ぶことなく生活できてるって、なんてラッキーだろう。普段、贅沢はしていないけど、外食したかったら外食できて、スーパーで好きなものを買えるし、なんて自分は恵まれているんだろう、と教えてもらえたわけです。 あのおじさんがもう一つ教えてくれたのは、やはり犯罪には注意しようと。あのような方は、普通の人に比べると、犯罪をするしないの判断ネジが、普通の人と比べて1つも2つもゆるい。例えば、盗む生活が当然になると、お金払って物を買うのは馬鹿らしくなります。そうしたらエスカレートして、別の犯罪も普通になってしまう。私は普段あまり考えもしなかったけど、窃盗とかスリとか、ニューヨークは2000年代以降、ヨーロッパなどに比べて少なかったわけですが、今後は気をつけなければと改めて思いました。あのようなおじさんが、次はいつ強盗犯になるかもわからないし(私は一度、以前の自宅に強盗に入られた経験あり)、治安悪化のニューヨークで、さらに身を引き締めて気をつけようと思ったのでした。 あと最後に、、、 たまに子連れの若いお母さんも、バッグに商品を入れている人を見かけます。支払っているのかいないのか不明だが。子連れの若い白人の母親なんて、店側からすると「ノーマーク」です。 日本でも外国人というだけで、警察に突然路上で事情聴取を受けたりと同様のことが起こっているが、アメリカでも同様のことが起こっています。つまり人種、性別、格好など「見た目」により「そのように(犯罪しそうな人)」という烙印を押されマークされ取り調べが起こることがあるのです(Stop-and-frisk=ストップ・アンド・フリスクと言われるものです。レイシャルプロファイリングは許されることではありません)。 これも悲しきかな、アメリカの現実。 Text by Kasumi Abe 安部かすみ  無断転載禁止

NYドラッグストアの棚が“再び”「空っぽ」に… その意外な理由とは

筆者は数週間前、ニューヨーク市内のドラッグストアに歯磨き粉を買いに行った際、ちょっとした「異変」を感じたことがあった。 異変その1 歯磨き粉の売り場が「空っぽ」だったこと。商品は見事に売り切れ状態だった(写真上)。 ニューヨークで新型コロナウイルスが感染爆発する直前の昨年3月、同様にどこの店も陳列棚がすっからかんになったことがある。その時以来の光景だ。 未曾有のパンデミックに備え不安になった人々がスーパーやドラッグストアに押し寄せ買いだめをしたため品切れ状態になり、棚という棚が空っぽになった。 過去記事 「必要な物がスーパーにない」買いだめに殺到するNYの人々(2週間前と今) しかしそれ以来、全米で物資は有り余るほど供給されており、この日ドラッグストアで見た光景の方が今や珍しいため、筆者は不思議に思った。 まぁでも「抜け」の多いニューヨーク。スタッフの陳列作業がこの日は滞っているのかもしれない(?)とも思った。 異変その2 歯磨き粉の棚に鍵がかけられていた。 アメリカの小売店の商品棚の施錠と言えば、粉ミルク、一部のやや高額な薬やスキンケア売り場ではこれまでもよく目にしてきた光景だ。 それらがなぜ施錠されているか。そのような商品は万引きが比較的多いからだ。 商品を手に取って見たり購入したりする場合はスタッフに知らせて鍵を開けてもらわねばならない。 しかし筆者が数週間前に目撃した、新たな施錠の商品は「歯磨き粉」である。歯磨き粉と言えば、どんなに物価の高いニューヨークでもせいぜい1チューブ4~6ドル(500円前後)で買うことができる。 筆者は長年この地に住み、こんな物にも施錠をして管理しているのを初めて見たので、流石に疑心を抱いた。 そして最近、ある報道を見て合点したのだった。 今や“金鉱”となったドラッグストア 9日付のニューヨークポストは「Third World’ NYC drug store shelves empty amid shoplifting surge」(万引きの急増につき、まるで第三世界と化したニューヨークのドラッグストアの棚は空っぽに)という見出しで、市内の小売店で盗難事件が増えていることを報じた。 盗難件数は、9月12日の時点で2万6385件に上り、1995年以来の多さだという。昨年の2万24件から32%増加、2014年の1万9166件から38%増加した。 つまり、通常であれば潤沢に揃っている日用品が売り切れ状態にあるのは、万引き犯により「ごっそりと持って行かれた」ためのようだ。どうりで筆者が立ち寄ったドラッグストアがあのような「もぬけの殻」状態になっていたわけだ。 スーパーやドラッグストアなど小売店での万引きはこれまでも市内で頻繁に発生していた。近年、店の出入り口に盗難防止用の防犯ゲートが取り付けられていることが多いが、そのようなものがない時代は、入り口に棚が設置され、バッグ類はそこで預かるシステムだった。 そして防犯ゲートが浸透している昨今でも、筆者は普段の生活を通して、出口で警備員に見つかっている(もしくはゲートで引っかかるも大胆にそのまま逃げ切る)万引き犯をたまに見かけることがある。そのような光景は昨年から増えた気がする。 理由はいくつかあるのだろうが、一つはプラ製レジ袋の削減のために昨年より買い物袋の有料化がスタートし、客がエコバッグを持参するようになったことも関連しているかもしれない。 筆者は昨年以降、スーパーで堂々とエコバッグや中身が見えないカートに商品を入れている人を何人も見かけたことがある。多くはレジで支払っているようだが、無人のセルフレジも多い中、彼らが全部正直に申告しているかは謎だ。 そしてある時、慣れた手つきでビールを小汚いバッグに押し込んでいる人物を目撃した時には、流石に筆者の目も点になっていたようでその人物と目が合ってしまった。老齢のその男はまったく怯むことなくギョロッと目を光らせ「あなたは息子か誰かを探してるの?」と不思議な質問を投げかけてきた。「さっきスケボーで走ってる小さい子がいたから探しているのかと思った」とのこと(当然男の子なんて周辺にはいない)。筆者はその後、店のスタッフにこっそり伝えたところ、スタッフは「あぁ、またあの人か」という顔をし「我々はレジで待ち構えるから大丈夫。知らせてくれてありがとう」と言ってほかのスタッフの所に向かって行った。 過去記事 NYでプラ製レジ袋有料化スタート 施行初日、本当にレジ袋は消えたのか? オーサーコメント  (1)   (2) 万引きを目撃しても店員は犯人を捕まえない。その理由は? 現在市内で急増している窃盗犯は単独犯というより、プロによる専門の組織グループによる犯行だという。確認されているだけでも市内には77人の実行犯が活動しており、犯人は歯磨き粉、洗顔料、ボディソープ、サニタイザーなど日用品をごっそりとバッグに入れて盗み出し、それをアマゾンなどオンラインサイトで転売しているケースが多く報告されている。 例えば常習犯の1人、アイザック・ロドリゲス容疑者(22歳)は万引きで今年だけで46回逮捕されている。FOXニュースによると、ある店の店長の証言として、「(同容疑者は)毎日ここに来ては物を盗む。その度に我々ができることは警察に通報することくらいだ」。 なんでも「安全上の理由」により、スタッフは万引きを目撃しても「通報以外に何もしない」がこの店のポリシーという。そして万引きの常習犯で逮捕されたとしても起訴されず同日釈放になることが多い。州の保釈改革法により釈放され自由の身となった犯罪歴のある者にとって万引きは「好んで選択するキャリア」になっているようだ。 常習犯である同容疑者は暴行容疑でも逮捕され「ついに」刑務所に入れられたようだが、犯行を目撃しても犯人と対峙せず、犯人は犯人で御用となってもすぐに釈放されるというのは、なんとも重犯罪が多いアメリカらしいエピソードだ。 そして窃盗犯罪の急増はニューヨークだけの事象ではないようだ。ウォールストリートジャーナルは、全米の小売店が組織犯罪の標的になっており、被害総額は450億ドル(約5兆500億円)にも上ることを報じた。 サンフランシスコのある犯人は、総額1000ドル(約11万円)分のアレルギー薬を盗み出し、車に詰め込んだ後再び別の店で同様の犯行に及んだとある。このような犯人は「ブースター」として知られる、組織化されたプロの犯行グループの一味によるもの。 つまり筆者が見た、鍵のかけられた歯磨き粉やボディソープなどは「ごっそり持って行かれない」ために店側が取り組み始めた、最大限の自衛手段ということだ。 市内の小売店ではあの手この手で自衛され、警察官が店内をパトロールしている報道も見るが、警官が各店内に留まって四六時中目を光らせる、なんてことはこの犯罪の多い都市で実現不可能だろう。 消費者側の視点としては、商品を購入するのに(または購入せずとも商品を手に取って見たい時に)わざわざ店員を呼ばなければならないとなると面倒なハードルが1つできてしまい、であれば気軽に手が届く店舗に行こうという気になる。鍵がかけられている店から客の足が遠のくのは確かで、店側にとっては商品を盗まれることと同様に死活問題であろう。 恐れ知らずの大胆な窃盗集団と、それを阻止しようと取り組む小売店。イタチごっこのような攻防戦は、犯罪都市ニューヨークが抱えた新たな頭痛の種となっている。 過去記事 刑務所も新型コロナの温床に NYで6ix9ineら受刑者650人を釈放、懸念される治安悪化 Text and…

人種差別、リンチのトラウマをアートに。ウィンフレッド・レンバート展 Winfred Rembert: 1945-2021

ニューヨーク、ミートパッキングにある3階建のギャラリー「フォート・ギャンズヴート」では、10/8から12/18まで「Winfred Rembert: 1945-2021 」(ウィンフレッド・レンバート展)が開催される。 ウィンフレッド・レンバートさんの作品は、革をキャンバスに、レザーカーヴィングと靴の染料を使って仕上げられている。 革に描かれているものは、鎖で繋がれた囚人たち(チェーンギャング)、首を吊られている姿、殴られて血が噴き出しているイメージ、警官から追われているイメージ…。 彼がなぜそのような作品を作るようになったか。 人種差別が色濃く残っていた南部ジョージア州で1960年代、公民権運動の最中に逮捕状もなく拘束され、7年間も投獄させられた。刑務所内では監守からのリンチ、拷問は日常茶飯事に行われ、出所後もトラウマになる程だった。奥様のパッツィーさん曰く、彼は亡くなるまで悪夢にうなされた。 つまり、彼の記憶から抜け切れなかった悲惨な記憶が、時に色鮮やかにアートとして表現されている。その原動力は、奥様のパッツィーさんが「あなたならできる」と励ましたことによる。刑務所内で覚えた皮製品やデザインなどを生かし、ウィンフレッドさんは作品を次々に生み出した。 彼の作品は目を覆いたくなるほど悲惨記憶の中に生活があり、時にカラフルである。 そんなウィンフレッドさんだが、今年の3月に75歳で亡くなった。この日のプレスプレビューにはパッツィーさんだけが出席して、彼の替わりにそれぞれの作品を解説してくれた。 3階スペースの奥には、首を吊られた黒人男性の絵があり、このようなメッセージが添えられている。 「あぁ神様、私はまだ生きている。生き残った。そして私はリンチを受けてサバイブした生き証人として、絵や本に残し、後世に何が起こったかを伝えることができる。もし死ぬことがあっても老衰であり、ロープで(吊られて)死ぬことはない」 Winfred Rembert: 1945-2021 (ウィンフレッド・レンバート展) 10/8~12/18, 2021 Fort Gansevoort New York5 Ninth AvenueNew York, NY, 10014 Text and photos by Kasumi Abe 安部かすみ(ノアドットより一部転載)無断転載禁止

小室圭さん報道で考える「人の見た目問題」。日本は真の多様性に向け何が必要か

眞子さまと小室圭さんの結婚問題に注目が集まっている。最新の報道では、ニューヨークに暮らす小室さんがミッドタウンで一時帰国に必要なPCR検査後、日本のテレビ局にスクープされたという話題で持ちきりだ。 小室さんと母親のさまざまな疑惑について多くの国民が納得していない状態では、何をしても火に油が注がれる状態のようで、一挙手一投足がマスコミの格好の餌食となってしまっているようだ。 さてニューヨークでの路上スクープについて、筆者は当地に長く住んでいる身として、どうしてもニュースフィードに並ぶ「長髪」「ロン毛」「コムロン毛」「ポニーテール」などという言葉が気になってしまう。 近影の長髪姿を見たが、後ろで縛って不潔な印象は特になかったし、普段はほとんど寮から出ていない生活のようだから、(結婚、就職、労働ビザ取得などの準備で)忙しすぎて髪を切りに行く時間がなく自然と伸びてしまったのかな、くらいの印象しか持たなかった。しかし、これほど長髪についての見出しが並ぶと、否が応にも気になってしまう。 日本はそもそも、髪型(ヘアスタイル)について厳しい国だ。学校では生徒の髪型や服装を校則で厳しく取り締まっているし、令和の時代においても生まれながらの自然な茶髪を黒髪に染めるように言われた、本人の意向を無視し教師が勝手に手を加えた、天然パーマを縮毛矯正するよう指導された、三つ編み禁止を通達されたなど、意味不明な校則がいまだに存在するようだから、小室さんの「長髪報道」もなるほど日本らしいと思った。 小室さんが今いるのはニューヨークであるから、ニューヨーク事情を説明すると、多民族が暮らすこの街では、人の見た目や身体的特徴について、例えば障害はもちろんのこと、肌の色、髪型、体型などについて、他人があれこれ物申すのはハラスメントにあたり、タブーとされている。 髪型に関することは特に近年、規制が強まっており、2019年より州内の職場において、従業員の髪型について言及したり、髪型を理由に不採用にしたり解雇したりすることを法律(人権法=NYSHRL)で禁じた全米初の都市になった。 このような法律がなぜできたかと言うと、裏を返せばそれだけ髪の毛を含む見た目にまつわる嫌な思い(ハラスメント)を多くの人が受けているからにほかならない。被害を受けやすいのは主に黒人、ヒスパニック系、ユダヤ系などで、近年でも職場や学校で、そのようなハラスメントが皆無とは言えない。たびたびニュースにもなっており、例えば18年、ニュージャージー州の白人が多く通う高校のレスリングの試合において、審判がドレッドヘアの黒人選手に対して、髪を切るか試合を棄権するかの選択を迫り、一時試合に出場できない事態になったこともある。 ちなみにアジア系が髪型で被害に遭うケースはほとんど聞かないが、それでも身体的特徴について言及されたというようなケースは存在するようだ。 多民族が共存するNYで求められること 誰の髪が長かろうと、ドレッドロックスだろうと、スキンヘッドだろうと、この街では我関せずが求められる。その人のそのままの姿を受け入れるというのが、真の多様化に向けた1歩になるのではないだろうか。 人の見た目について他人があれこれ言及することがタブーと言えど例外はあり、「褒める」ことは歓迎されている。もちろん異性を過度に褒めちぎることやリップサービスは注意が必要だが、例えばYou look great.(元気そうだね)やYou changed your hair. It looks nice.(髪型変えたんだね。いいじゃん)などは普段の会話でもよくされる。 またそれほど多くはないものの、自虐に他人が多少乗ったり笑い合ったりするのは問題ないとされている。アメリカ人特有のユーモアセンスで、自虐ネタで会話を和やかにするのはよくあることで、コメディの技法でも使われる。 ただ日本人にとってトリッキーなのは、褒め言葉だと思ってかけた言葉が、外国人にとっては実は褒め言葉になっていないものがあることだ。 例えば、日本人が外国人を見て言ってしまいがちな「顔が小さい」「鼻が高い」「(女性の)背が高い、大きい」「髪が多い、少ない」などはNGワードだ。「痩せた」も褒め言葉のようで実はアメリカでは褒め言葉ではない。アメリカでは痩せていることが必ずしもよしとされておらず、太った・痩せたは健康に関わるデリケートな話題のため、よっぽど親密な関係でない限り避けた方が無難だ。 褒め言葉か否かの判断がつきにくい場合、他人の見た目について「何も言及しない」のが賢明だろう。 話が少し脱線してしまったが、今回小室さんの長髪にまつわるヘッドラインがなぜこれほど多いのかというと、「眞子さまの婚約者らしからぬ」ということがあるのだろう。筆者は個人的に、だらしない格好ではなく清潔感がなくされていなければ、どんな髪型でも格好でも気にならないのだが、そのような価値観は日本で許されないのだろうか。「こういう人はこうあるべき」「このような職業の人はこういう格好をするべき」などという固執したイメージを強く持ち続ける限り、なくなっていかない価値観だろう。これは日本だけではなく、イギリスでもヘンリー王子と結婚したアメリカ人のメーガン妃がイギリス国民にだいぶん叩かれてきた。(そんな彼らもカナダを経て現在アメリカ在住) そもそも、小室さんは多民族が共存するニューヨークに移り住んで3年も経つから、日本独特の「〜らしさ」「〜であるべき」という価値観の中でもはや生きていないかもしれない。 反対意見ももちろん多いだろうし、どれが正解かは見えづらい話題ではあるが、今回の「長髪報道」でふとニューヨーク現地から考えさせられたことだった。 関連記事 オーサーコメント 子どものヘアスタイルと多様性、アメリカでは訴訟問題。(フィガロジャポン) 悪気ない行動に差別のDNAが宿っている?有名人ブログの「あえて白人」発言の違和感 近藤サトさんに学ぶ「ありのまま」の美しさと、アメリカ人のグレイヘア観 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

アメリカ同時多発テロから20年「まだ終わっていない」… NY倒壊跡地はいま

2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロ事件から、もうすぐ20周年を迎えようとしている。 我々の多くが戦時中のことを歴史の教科書で学んできたように、これからの若い世代もこの同時多発テロについて教科書で学ぶ時代となった。あの年に生まれた人が今年ハタチとなり成人した姿を見ると、長い年月の経過を感じずにはいられない。 20年企画シリーズの第一話として、本稿では倒壊跡地の現在の様子をお届けする。 ニューヨークはテロが起こったあの日、秋晴れの美しい朝だった。しかし突然、世界貿易センター(ツインタワー)に2機の旅客機が激突してビルが倒壊し、ビルで働いていた人、救助に向かった消防士や警官など多くの人々が命を落とした。 これをきっかけにアメリカは「テロとの戦い」を宣言し、実行犯とされる国際テロ組織アルカイダを倒すため、その指導者ウサマ・ビンラディン容疑者をかくまったなどとしてアフガニスタンに侵攻した。アフガニスタン紛争の始まりである。そして20年間にわたる米軍駐留後、「成果が見られない」として今年8月末をもって米軍が撤収し、米史上最長となった戦争に終止符が打たれた。 これで911は本当に終わったのだろうか? この20年で世界は少しでもより良い方向に進んだだろうか? ツインタワーの倒壊跡地は現在、亡くなった犠牲者を悼み、悲劇を後世に語り継ぐための場所「グラウンドゼロ」となっている。 犠牲者一人一人の名前が刻まれた慰霊碑の9/11メモリアルと博物館も作られた。 1993年に発生した世界貿易センター爆破事件の犠牲者6人を含む合計2983人をここで追悼し、ビルの残骸や写真の展示で2001年のテロや93年の爆破事件を伝えている。 博物館を案内してくれた女性スタッフによると、コロナ禍前はこの博物館だけで1日8000人が訪れていたそうだが、パンデミックでサイト自体が閉鎖となり、昨年9月11日(一般向けには12日)に再開した。客足は以前の半数になったが、最近は徐々に戻りつつあるという。 また毎年9月11日の午前中、遺族を対象にした追悼イベントが行われており、今年も予定されている。 女性スタッフによると、北棟と南棟があった場所をつなぐ青の壁のインスタレーション、Trying to Remember the Color of the Sky on That September Morning(9月の朝の空の色を思い出そう)は犠牲者一人一人を表し、2983個の青みがすべて異なる。 また、このインスタレーションの向こう側は一般の人は入れないが、実は犠牲者のDNA鑑定をしている市検死官オフィスだという。倒壊跡地で行方不明になったままの人はいまだに多く、倒壊跡地から発見された2万2000もの遺体の一部がDNA鑑定されているが、それらのDNAが倒壊跡地の死者の40%にあたる1106人とまだ照合できていないとされている。あくまでも遺族の意向を尊重しながら、20年経った今でもDNA鑑定作業は地道に続けられている。 「つい2週間前も新たに2人分の身元が判明したばかりです」(女性スタッフ) 2001年の同時多発テロは過去の出来事でも何でもない。こうやって、20年経った今でも終わっていないのだ。 アメリカ同時多発テロから20年。【20周年企画シリーズ】の第2回目は、グランドゼロだけではない、ニューヨーク市内の911慰霊碑を訪れます。 9月11日の記念式典 グラウンドゼロでは遺族を対象に20周年記念式典が行われる。 2021年9月11日 8:30am – 1pmごろ (この日は一般の人の博物館入館不可。式典はライブストリーミングされる) 日没後から翌日まで、北・南棟に見立てた2本の光のタワー、Tribute In Light(トリビュート・イン・ライト)も照らされる。 そのほか、全米各地では追悼式典が行われる。 911 過去記事 米同時多発テロから19年。ニューヨークに住む人々にとって911はどんな日だったのか(前編)(後編) 「またね」が息子・父・夫との最後の言葉に ── 3家族の9月11日【米同時多発テロから19年】 (Text and photos by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース 個人より一部転載) 無断転載禁止

1年3ヵ月ぶり「非常事態」が解除 NYはいま【昨年との比較写真】

「緊急事態は終わった。新しい章の始まりだ」 ニューヨーク州のクオモ知事は23日の定例記者会見でこのように述べた。 州では昨年3月7日にコロナ禍における非常事態が宣言されたが、今月24日をもって終了の期限を迎え、非常事態が解除された。 そもそもこの非常事態宣言とは当時、世界最悪の状況に陥った同州の新型コロナ感染拡大を受け、必要な予算、物資、州兵などの確保を目的に出されたものだったが、ワクチンの浸透と共に感染状況は落ち着いている。 1年3ヵ月前といま(比較写真) 過去記事 (2020年3月) 米海軍の病院船コンフォート到着 死者千人超えでも希望を捨てない人々(ニューヨーク、今日の風景) NY州最新の感染&ワクチン接種状況 ニューヨーク州の感染者数は、先月よりさらに減少している。 25日に実施された新型コロナ検査は9万7020回。うち、385件が陽性(全体の0.40%) 新型コロナウイルスによる入院患者(重症患者)数はこの日の時点で、371人 死者5人 州のワクチン投与実績…少なくとも1回接種は71.6% これまでに州内で投与されたワクチン接種数:2094万5467回 24時間以内に投与されたワクチン回数:11万7760回 少なくとも1回のワクチン接種を受けたのは、18歳以上の71.6%(すべての年齢層の59.4%) 必要回数分(1回もしくは2回)のワクチン接種を完了したのは、18歳以上の64.1%(すべての年齢層の52.8%) 非常事態解除後のNYのいま マスクの着用率は?(タイムズスクエア) 筆者は宣言解除の翌25日から週末にかけて、ニューヨークの中心地タイムズスクエアやセントラルパークなどに様子を見に行った。 まず、国内からの観光客だと思われる人出は先月よりさらに増えており、パンデミック前の活気が戻っていた。 州では先月半ば以降、ビジネスの入店・入場制限の規制のほとんどが解除され、地下鉄も本来の24時間営業に戻るなど、大規模に経済活動が再開している。ワクチン接種完了者は、公共交通機関や一部の商業施設を除いて、マスクの着用義務がない。 多くの人々はワクチンを打ったからこその「自由」を満喫しているようだった。大切な家族や友人とハグをし、さまざまな場所にマスクなしで躊躇なく行ける自由。パンデミックによりそれまでの当たり前が当たり前ではないと誰もが気づいたからこそ、なんてことのない日常がありがたく感じる。気候も良く、緊急事態が解除された軽やかな気持ちは皆、同じだろう。 同じだろう。 マスクの着用率は先月、ワクチン接種を完了した人でもまだ高いとレポートしたが、6月も後半になると、全員とはいかないまでも、マスクを外している人は大分増えていた。 マスクの着用率は先月、ワクチン接種を完了した人でもまだ高いとレポートしたが、6月も後半になると、全員とはいかないまでも、マスクを外している人は大分増えていた。 ニューヨークは毎年この時期、大規模なプライドパレードが開催されるが、昨年は中止、51回目の今年は「Pride March」と題してパレードが縮小し、ブロックパーティーやイベントが各所で行われている。 セントラルパーク 広大なセントラルパークでのマスク率はさらに少なかった(全体の1%ほど)。大多数の人はマスクなしで、ピクニックや読書、ジョギングなど思い思いの週末を楽しんでいた。 飲食店やバー 「QRコード・メニュー」がニューノーマル パンデミック以降、レストランやバーは歩道や車道だったスペースにテーブルを置き、感染防止対策をしているが、外は蒸し暑いからと屋内飲食する客も最近は増えている。 飲食店の中にはワクチン接種完了者のみを受け付ける店もあるようだが、筆者はこれまで一度もワクチン接種完了証明書の提示を求められたことはない。この店にはついうっかりしてマスクをせずに入店したが、通常通りに対応された。 飲食店の大きなニューノーマルの1つが、メニューブック/表の廃止だ。QRコードでメニューを見て注文するのが、飲食店での新たな常識となった(昨年の夏以降増えた気がする)。ミッドタウンにあるハンバーガーの美味しいこの店の女性サーバーに理由を聞くと、「衛生上の問題です。メニューは不特定多数の人がベタベタ触って不衛生だし、店側も客ごとに各ページを除菌するのは手間がかかるから」。そこで登場したのがQRコード・メニューというわけだ。 「もはや店内には紙のメニューはいっさい置いてないんですよ」との徹底ぶり。今後メニューブック自体が過去の産物として、新世代に「何それ?」と言われるようになるかもしれない。 またニューノーマルの1つだった、カクテルなど「アルコール類の持ち帰り」は25日以降はできなくなった。 州では、昨年3月の非常事態宣言と共に、バーやレストランの通常営業を禁止し、アルコール類も含むデリバリーもしくは持ち帰りに限り許可していた。 アメリカはもともとアルコールに関して日本より規制が厳しい。州によって多少異なるが基本的に路上飲みは一切禁止だし、ハードリカー類は酒屋でしか販売されておらず、当然夜間は閉まる。すべての酒類を購入するには写真付きIDを見せる必要も。そのような厳しい規制の中「お持ち帰りカクテル」は、市民にとって画期的なサービスだった。本来は禁止されているが、店の前の路上でこっそり飲む人も見かけた。 しかし今回、パンデミック前のガイドラインに戻るとして、本来のルール(持ち帰り禁止)となった。 関連記事 昨年10月の飲食店の様子 半数以上が廃業? この半年「生き残った」飲食店が行った新たな試みとは【NYで屋内飲食再開】 そのほか    地下鉄 スーパーマーケット オフィス 植物園、博物館 筆者はこの週末、ブロンクス植物園の草間彌生展「KUSAMA: Cosmic Nature」を訪れたが、世界の草間彌生人気を反映して、ここもものすごい人出だった。 温室や館内、土産店の入り口には「ワクチン接種済みであればマスク不要」とする注意書きがあり、接種完了済みの筆者はマスクを着けずに入ったが、接種証明書の提示は求められなかった。…

全米の4人に1人が「ワクチン打たない」反ワクチン運動や職場訴訟も(動画あり)

摂氏34度の夏日となった6日午後4時過ぎ、ニューヨークのハーレム地区にある教会の前は多くの人が集まり騒然となった。 米国立アレルギー・​感染症研究所の所長、アンソニー・ファウチ医師とバイデン大統領夫人のジル・バイデン博士が共にAbyssinian Baptist Churchを訪れ、教会関係者、医療従事者、接種を受けに来た人々をねぎらった。この教会は今年1月以来、新型コロナウイルスのワクチン接種会場として使用されており、これまで1万2000人以上がここで接種を受けてきた。 ニューヨークではワクチン接種数の浸透と共に感染者数も減っており、先月19日より大規模な経済活動が再開した。 ニューヨーク州では少なくとも1回の接種を受けた18歳以上は68.6%。 この国で教会とは、人々の心の拠り所として、地域住民にとって欠かせない要の場所だ。社会的に弱い立場の人々にとっては尚更である。そのような神聖な場所が今、感染防止の最前線として大活用されている。 「特にブラック&ブラウン・コミュニティー(新型コロナで打撃を受けた黒人層やヒスパニック層が多く住む地域)であるハーレム地区の教会が接種会場になり、2人が視察してくれたことは意義深い」と、同教会のカルヴィン・バッツ牧師は地元メディアを通して語った。 ファウチ医師とバイデン博士が訪れ、現場を激励した時の映像 一方で会場外では、ワクチン接種反対派の人々による抗議活動も同時に行われていた。 ホワイトハウスの発表では、米国内で新型コロナワクチンを少なくとも1回接種を受けた成人は63%に、1回もしくは2回の接種を「完了」したのは52%に達している。 バイデン政権は来月の独立記念日(7月4日)までに「成人の70%が少なくとも1回の接種を受ける」という目標を掲げており、すでに70%を達成したのは12州となっている。全米で見てもあともう少しといったところだ。しかしワクチン反対派による抗議活動を見る限り、簡単な道のりとも決して言えないようだ。 なぜなら、これまでの数々の調査で、アメリカ国内のおよそ25%の成人が、ワクチン接種を受けるつもりはない、もしくは未定とされている。 その25%にあたる人々の一部がこの日抗議活動を行い、「私たち国民に選択の自由がある」「ワクチン必須な世の中なんて御免だ」「我々は実験用ネズミではない」などと、ファウチ博士やバイデン博士の方針を強く批判した。 市内ではすでに『レイトショー』などテレビの人気公開放送番組や、新たな観光スポット「リトルアイランド」の有料イベントなどさまざまな場所で、「入場するにはワクチン接種済み証明書が必要」という動きが出ている。 クオモ州知事も「今後ワクチンが完全に承認されれば、州立大学や市立大学の秋学期以降の対面授業には、接種完了の義務付けを予定」と発表した。 「スポーツ会場や大学などさまざまな場所でワクチンパスポートが必須なんてことになってはならない」と懸念するのは、「マスク、ワクチン、(歯磨き粉の)フッ素反対」という看板を掲げたショーンさん。 ただし現時点で成人の60%以上が少なくとも1回の接種を受けている現実を見れば、これらの反対派はごく一部の人々ということだろう。抗議の様子を離れた場所から冷ややかに見ていた近隣住民の男性は、ちょうど博士の視察中に息子がワクチン接種を受けに行ったため、外で待機中とのこと。CDC発行のワクチン接種完了カードを誇らしげに筆者に見せながら、デモについて「この人たちはクレイジーだと思う。やれやれ」と呆れ顔だった。 進む分断 ワクチン反対の動きは今や、訴訟問題にまで発展している。 米南部テキサス州のヒューストン・メソジスト病院(Houston Methodist Hospital)では、医師や看護師などこの病院に勤務するすべての医療従事者が現地時間の今日7日までにワクチン接種を受けるよう通達されている。接種を受けなければ2週間の無給待遇の処分を受け解雇もあるとし、「従業員にワクチンの臨床試験への参加を強制することは違法」と、117人が勤務先の病院を相手に訴える騒ぎになっている。 ファウチ博士とバイデン博士はハーレムの教会視察の翌7日朝、ABC局のトーク生番組『ライヴ・ウィズ・ケリー・アンド・​ライアン』に軽やかな表情で出演した。司会者にワクチン反対派についてどう思うかと聞かれ、バイデン博士は「接種はあなたのためだけではなく、あなたの周りの人のためでもあります」と答えた。 ホワイトハウスは出会い系アプリ9社とコラボするなどし、主に若い世代を対象にワクチン接種啓蒙活動に力を入れている。先月24日、ファウチ医師や人気ユーチューバーらと共に記者の前に現れたバイデン大統領は、このように訴えかけた。 (緊急事態下において)「ワクチン接種はあなただけの話ではない。これはオブリゲーション(人としての義務、責任)なのだ」 当日会場外のワクチン反対派のデモの映像 関連記事 米国で見え隠れする「ワクチン差別」…「ところでワクチン打った?」という会話に潜む危険性(現代ビジネス) アメリカで「ワクチン接種数」が“頭打ち”…? これは数ヵ月後の日本の姿かもしれない(現代ビジネス) 新型コロナに「打ち勝った」“先行事例”となるか?NYが復興へ前進、大規模再開へ NY主要駅で新型コロナワクチン接種。ワクチンツアーの観光客にも好評【筆者の接種体験】 米「ワクチン接種でマスク不要」 NY中心地のマスク率は? 街の人の声は? Text and photo by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

3ヵ月で4店舗が次々にオープン。ニューヨークでも「いきなり!ステーキ」の勢いが止まらない

私が日本で子どものころ慣れ親しんだステーキは、大きさはあれど薄い肉だった。だからアメリカに来て、ステーキハウスで初めて熟成肉のTボーンステーキをオーダーしたときに、その大きさ、厚さ、噛み応え、舌触り、香りに驚いたものだ。 アメリカ人はステーキハウスを接待やイベントでよく使うが、普段使いも比較的多く、肉の消費量は日本の比ではない。そんなステーキ王国ともいえるアメリカ、ニューヨークで、「安くて、スピーディーで、おいしい」の三拍子で勝負をかけている日本の飲食チェーンがある。「いきなり!ステーキ」だ。 いきなり!ステーキが、海外初出店のニューヨークに第1号店を出店したのは、ちょうど昨年の今ごろだった。 (1号店オープン時の記事) 1号店オープン時の2017年2月、創業者であり代表取締役社長の一瀬邦夫氏は「年内に10店舗オープンする」と明言していた。しかし同年11月までに新規オープニング情報は入ってこなかった。 ところが、12月に入って堰を切ったように2号店がマンハッタンのチェルシー地区にオープン。続いて2018年1月に3号店がタイムズスクエアに、2月に入ってからもその勢いは続き、4号店、5号店が同じくチェルシーとタイムズスクエアの別の場所に連続オープンしている。 2月16日(金)、タイムズスクエア近くの「5th アベニュー店」がグランドオープンした。元ニューヨークヤンキースの松井秀喜氏をゲストに招き、午前10時30分より華々しくオープニングセレモニーが行われた。

ニューヨーク五番街でリアル『ティファニーで朝食を』。オードリー・へプバーン気分で「The Blue Box Cafe」へ

これまでティファニーに朝食はなかった かの名女優、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』に憧れ、ニューヨークの五番街にあるティファニーを訪れることを夢見た女子は世界中にいったいどのくらいいるだろうか? かく言う記者もあの映画に感化された一人で、初めてニューヨークを訪れたときは、もちろんティファニー前で記念写真を撮り、大満足したもの。 しかし、ティファニーでの朝食は映画(もとは小説)の中では架空の話であり、映画の中でオードリー・ヘプバーンは五番街に面した入り口横で、ショーウィンドウを眺めながらコーヒーカップ片手にペイストリーをほおばっている。店内ではこれまで、顧客サービスの一環としてドリンクを出してくれることはあっても、レストランやカフェのような飲食スペースは存在しなかった。 ティファニー初となるカフェ「ブルーボックスカフェ」が五番街にオープン ティファニー初となるカフェ「The Blue Box Cafe(ブルーボックスカフェ)」が五番街の旗艦店に昨年11月にオープンし、話題になったのは言うまでもない。文字通りティファニーで朝食を食べるという夢が叶えられることになったのだ。 カフェがある4階はティファニーのホーム用品やアクセサリーを販売するフロアで、カフェはその奥にある。カフェ内は壁、ソファ、いすなどのインテリアからお皿やカップなどの陶器にいたるまで、女子の永遠の憧れであるティファニーブルーが取り入れられている。 同店チーフ・アーティスティック・オフィサーのリード・クラッコフ氏は、「カフェを併設した実験的かつ体験型スペースで、新しいティファニーへのウィンドウ(窓、入り口という意)のような存在」だとコメントしている。 オープンから2ヵ月。「ブルーボックスカフェ」の評判やいかに? インテリアには、ティファニーのクラフトマンシップと伝統を反映したインダストリアルな ディテールが盛り込まれている。遊び心にあふれた意表を突くタッチが、ヘリンボーンマーブル(大理石)や アマゾナイトを使用したフロアと調和し、新しいホーム&アクセサリーコレクションのコンセプトである「日常のラグジュアリー」を反映。 ブルーボックスカフェの評判が気になったので調べてみた。アメリカの評価サイトYelp(イェルプ)を見ると、「量が少ない」「料金が高い」などネガティブな意見がいくつか見受けられる一方で、「食べ物がおいしい」「大満足」という意見も多い。 もっとリアルな声を聞きたいと、実際にカフェに行った人に話を聞いてみた。 UCLA大学を卒業したばかりで現在ロサンゼルスで女優をしているローレン・ヘニングさんは、「アンリアルな(夢みたい、信じられない)空間だった」と一言。 ローレンさんは、アボカドトーストや季節のフルーツつきのヌッテラのクロワッサン朝食(コーヒーか紅茶つき、29ドル)をオーダーしたそう。笑顔や丁寧さが無料の日本のような上質サービスがほぼ皆無だと言われるニューヨークのサービス業だが、「スタッフはとても親切でサービスもキビキビしていたし、言うことなし。使われている陶器はすべてティファニー製で美しく、盛り付けもお見事。カフェから見える五番街の景色も最高だった」と、体験を熱く語ってくれた。最後に「オードリー・ヘプバーンの大ファンの人は、絶対に気にいるハズ」と太鼓判を押した。(写真はローレンさんのインスタグラムで確認できる。@lauhen) また、マンハッタン在住の女性(匿名希望)も、ここで憧れの朝食を体験した一人。オーダーしたのは、トリュフ卵つきのクロワッサン朝食(コーヒーか紅茶つき、29ドル)で、感想を聞くと、「フードの量は確かに少なかったけど味はおいしかった。また私はもともと紅茶派ではないけど、紅茶もおいしかったし満足よ」とのこと。また、「インテリアが息を呑むほどすばらしく、それだけでもお金を払う価値はあると思ったわ。また朝ごはんを食べに行きたい」と絶賛した。 インスタ女子殺到で、予約が最も困難 日本同様、ここニューヨークでも「インスタ映え」するものがSNSで盛んだ。まぎれもなくブルーボックスカフェも、世界中のインスタ女子が今一番殺到している場所であろう。 予約は30日前の午前9時から、ウェブサイト上で受け付けている。オープンから2ヵ月経った今も、世界中から予約が殺到し、シートはすぐ埋まり、なかなか取りにくい状況だ。ただし、空きができるとお知らせしてくれる機能もあるので、ティファニーで朝食を体験したかったら、粘り強くチャレンジしてみて! (文:安部かすみ fromニューヨーク) ■店舗情報 The Blue Box Cafe (ブルーボックスカフェ) 世界の素敵な暮らしをお届け。「Global Lifestyle」 (All text by Kasumi Abe) ■取材国:アメリカ 安部かすみ(あべ・かすみ) 2002年に渡米し、在ニューヨークの新聞社でのシニアエディター職を経て、2014年からフリーの編集者、ライターに。ニューヨークから食やエンタメ、テック系などのトレンドを発信中。編集者歴は日米で20年。 HP Global Press Blog Twitter TSUTAYA T-SITE(2018.1.10)ニューヨーク五番街でリアル『ティファニーで朝食を』。オードリー・へプバーン気分で「The Blue Box Cafe」へより転載(無断転載禁止) ウェブサイトのコピー