NY1億円超高級コンド内見。「眞子さんをよく見かける」ヘルズキッチン住民の目撃情報も

筆者がこのたび訪れたのはニューヨークにある高級ホテル…ではなく、完成したばかりの新築コンドミニアムだ。マンハッタン区ミッドタウンの西端、ハドソン川にほど近いヘルズキッチン地区の一風変わった高級住居用ビル、The West(ザ・ウェスト)。 12階建てのこのビルは、低層階が昔ながらのインダストリアルなこの界隈の空気を受け継ぐウェアハウス風。高層階は一転、近未来的な凹凸が無造作に配置されたファサードが特徴だ。これら相反する2つのエレメントが見事に合体し、唯一無二の造形物として仕上がった。 市内にあるCitizenM HotelsやUrbyなどで実績があるオランダの建築家集団、Concrete(コンクリート)による最新作だ。低層階の外壁に使われているのは普通のレンガではなく、StoneCycling(ストーンサイクリング)による「アップサイクル・レンガ」を使うなど、サステイナビリティ(持続可能性)への配慮が細部に見え隠れする。 緑が眩いスペーシャスなエントランスに足を踏み入れると、フレンドリーなコンシェルジェが笑顔で出迎えてくれた。外観から予想しなかったヒューマンタッチなおもてなしが、訪問者にひとときの安堵感を与えてくれる。奥のスペースは、リモートワークをしたりゲストを出迎えたりなどさまざまな目的に活用できそうな温室風の明るいライブラリーが広がっている。仕事がサクサクと捗りゲストとの会話も弾みそうだ。そんな生活の1シーンを想像しながら、エレベーターでスタジオタイプ(日本のワンルーム)と1ベッドルームの部屋へ。 ドアを開けると、奥の窓から部屋いっぱいに柔らかい光が射し込んでいる。モデルルームのようにすでに家具や小物が配置されていて、自分がもし住んだら「ここで仕事をして」「休憩はここで外を見ながらコーヒーを飲んで…」などイメージがつきやすい。 The West インテリアごとお買い上げ? 「ここにあるものを“丸ごと”購入も可能ですよ」と説明するのは、米不動産会社コーコラン・サンシャインのシニア・セールスディレクター、アンジェリ・ディチキス(Angeli DeCecchis)さん。コンドの購入となると、日本と同様に家具が何もないまっさらな状態が主流だが、The Westでは家具はもちろん壁に掛かった絵画、テーブルに置かれた写真集や照明器具、キッチンツールやカトラリー、ベッドリネンに至るまで、室内にあるものすべて「込み」でユニットをお買い上げすることもできる。 このようなスタイルは、鍵を回せばすぐに住むことができるという意の「ターンキー」物件と呼ばれるもの。 インテリアコーディネートは、プロ集団のASH Staging(ASH NYC)によるもの。 通常、新居に引っ越す場合「壁やカーペットは何色にしようか」「どんな絵を飾ろうか」と迷いながら自分たちの城をクリエートしていく。それも一興だが、ターンキー物件の場合、プロのインテリアコーディネーターが世界中からハイセンスの家具や小物を厳選し配置しているので、あれこれ考え、買い物に出かけてどれにするか迷い、支払って運送を待ち…といった一連の手間暇がいっさいかからない。 「購入の手続きさえ済めば、明日からでもここで生活が始められるんです」(アンジェリさん)。この便利さから、ターンキー物件は州外や国外に住む人がニューヨークを訪問する際の一時滞在としての場所、セカンドハウスとしても人気だという。 建物内にはライブラリーのほかに、スポーツジム、キッズルーム、コミュニティダイニングルーム(パーティーやイベント用)、犬のグルーミングルーム、倉庫なども完備。また屋上プール、カバナ、バーベキュー設備、ドッグパーク、外ヨガスペースまであり、あらゆるものが敷地内で完結する。 周りに景色を遮る高層ビルがないので、開放感ある見晴らしだ。当地ではパンデミック以降、バックヤードやテラスなど屋外スペースを人々が渇望するようになったが、そのような需要を満たしたアパートメント・コンプレックスだ。 ◎ビル内アメニティを見る いくらあれば住める? Studio #718(484ft²、約45平米) 95万ドル(約1億2900万円) 1BR #723(672ft²、約62平米) 135万5000ドル(約1億8500万円) * ターンキーパッケージ価格 * 当地では購入価格に加え、毎月の共益費と税金が別に必要。例えばStudioの場合22万円ほど毎月かかる(共益費670ドル(約9万2000円)、税金919ドル(約12万5000円)) 新築でこれだけアメニティ設備が完備しているThe Westの価格が高いかお得か? 当地のアパートの不動産価格は、立地はどのストリートか、ユニットは何階で方角はどちらか、ベランダの有無など細かい条件によって異なってくるため一概に比較はできないものの、参考程度にマンハッタンの1ベッドルームの販売価格と賃貸の「中央値」も添えておく。 不動産会社のトリプルミントによると、昨年9月の時点で以下の通り。「マンハッタン内」でもっとも高いエリアと低めのエリアも調べた。ヘルズキッチンは、あくまでも「地区」としてはちょうど中間あたりに位置する。 販売価格の中央値 ヘルズキッチン 104万5000ドル(約1億4000万円) ノーホー 219万7500ドル(約3億円) フォートジョージ 34万4000ドル(約4600万円) 賃貸(家賃)の中央値 ヘルズキッチン 3903ドル(約53万円) ハドソンスクエア 7250ドル(約98万円) フォートジョージ 1750ドル(約23万円) NYの「中央値」と「平均」の家賃について 関連記事 小室夫妻も想定外のインフレに悲鳴? 日本人は知らない「ニューヨーク家賃事情」のリアル 年間30万円以上アップもあり得る(マネー現代) * 記事内はすべて1ドル136円計算 眞子さんを「よく見かけます」とヘルズキッチンの近隣住民 最後にヘルズキッチン地区と言えば、小室眞子さんと圭さん夫妻が昨年新居を構えたことで、日本での知名度が一気に上がった。 この地区は、中心地タイムズスクエアから徒歩圏内にあり便利な立地。文化施設や観光地がない替わりに、低層の住居ビルと多国籍レストランが連なり、地元の人が普段使いするアーミッシュマーケットやこぢんまりとしたカフェも。昔ながらの車のリペアショップが今でも残っていたりとインダストリアルな雰囲気も漂うリラックスした下町の雰囲気だ。 「ヘルズキッチンの不動産は今、活況を見せています」とアンジェリさんも太鼓判を押すように、ハドソン川近くの西端エリアがディベロッパーにより再開発され、新築アパートメントが次々に建てられている。この地区に目をつけているのは、投資家というよりどちらかというとミレニアル世代を中心とした若いローカルバイヤーやファミリー層が住居用として購入するケースが多いようだ。 土地柄もあり、内見中は関係者らと自然に小室眞子さんの話にも及んだ。筆者が「ヘルズキッチン地区は日本でも結構知られるようになったんです」と言うと、「(英語の)記事を読みました」と、筆者が説明するまでもなく眞子さんはこの地区の人々にすでに認知されていた。筆者の周りではほとんどの人が知らないため「私にとって、あなたは彼女を知る最初の人です」と伝えると、眞子さんを目撃したのは1、2度ではないと言い「この界隈を歩いているのをよく見るわ。(元プリンセンスとわからないほど)服装は控えめで目立たない感じです」と、その慎ましさに好感を持っている様子だ。「いつもマスクを着けて、1人で歩いているわね。サリヴァンベーカリーでフレンドリーに店員に挨拶しているのを見かけたことも。新天地での生活を楽しんでほしいです」。アメリカ移住から8ヵ月になる眞子さん。筆者の経験からも移住から半年は新生活に慣れるのに必死だが、それ以降は徐々に環境や生活習慣に馴染んでくるもの。眞子さんが近隣住民に迎え入れられこの地に解け込んでいるのが、地元の人の話から伝わってきた。…

【移民遺産月間】先祖を辿れば誰もが「移民」米国の取り組み 英語教育を無償提供

ウクライナ避難民の増加に伴い、移民や難民の受け入れについて、以前にも増して活発に議論されるようになった。日本でも生活や就労、就学のサポートに加え、日本語教育の無償提供などが支援の一環として提供されているようだ。 移民国家、アメリカの現状はどうだろうか? 現在のアメリカは移民が作った国であるから、手厚い支援の土壌がすでにあり、熟している。そして毎年6月を、2014年以来「移民遺産月間(Immigrant Heritage Month=IHM)」と制定。ちょうど今の時期は随所で啓蒙イベントが行われている。 先祖を辿れば他国からの移住者(強制移住者含む)である大多数のアメリカ人にとってこの1ヵ月は、移民支援はもちろんのこと、改めて自分のルーツについて考えたり、多様性(ダイバーシティ)を見直すきっかけ作りとなっている。 (エリス島写真:自由の女神のすぐ側に浮かぶエリス島には、1892年〜1954年に移民局が置かれていた。) 国立公園局によると、アメリカの人口の約40%の人々がニューヨークのエリス島を通じて祖先をたどることができるという。 エリス島に代表されるように、人種の坩堝ニューヨークは、世界でも移民へのトレランス(免疫、寛容さ)が最もある都市の1つだ。 州の人口1950万人(2020年、センサス国勢調査発表)に占める移民数は、22%に当たる約435万人(2019年、移民のロビー活動団体FWD.us発表)。つまり4.5人に1人が移民という計算になる。 ニューヨーク市内はさらに割合が上がり、人口838万人のうち移民数は310〜580万人前後とされている。 移民支援のハブ=まちの図書館 教育と有益な情報を市民に無償で提供し、移民支援の中核を成す代表格と言えば、まちの図書館だ。 マンハッタンを含む市内3区に点在するニューヨーク公共図書館(以下NYPL)は、日本語を含む60ヵ国以上の書籍を貸し出し、移民に対してはアメリカ生活で必須となる英語教育にも力を入れる。 98ヵ国の移民受け入れ。英語教育を無償提供 NYPLが無償で提供している成人対象の英語授業(ESOL)では、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングを教えている。1セメスターは10週間(夏は4週間)のサイクルで行われ、生徒は週2回(1クラスは2時間もしくは3時間)の頻度で受講する。無償ということで、当地でありがちな、安かろう悪かろう…ではない。それどころか、講義レベルはかなり高い。出席率のポリシーや授業態度の管理も厳しい。筆者も以前受講したことがあるが、教わる内容は文法、イディオム、生活習慣と多角的で、無償と信じがたいほど本格的な授業だ。 アソシエイト・ディレクターのスティーブ・マホニさんによると、生徒はセメスターが始まる前に、米教育省およびナショナル・レポーテイング・システム(NRS)に準じたテストを受け、初級~上級の6段階にレベル分けされる。セメスターの終盤で再びテストを受け、英語の上達具合を精査される。 コロナ禍でしばらく休講となっていたが、市の経済活動再開後は市内3区41箇所(コロナ前は88箇所)のうち11箇所で、対面授業が再び行われている。 この日は多国籍の生徒22人がアパレル業界やサステイナブルについて学んでいた。みんな熱心に教師の話を聞き、積極的に発言している。マホニさんによると、今セメスターはなんと53言語を話す98ヵ国出身の生徒が参加しているという。 またコロナ禍で初めて試みたオンライン授業も、子どものいる親が自宅から参加できるとあって好評だ。現在28クラスが行われている。 「対面でもオンラインでも、生徒にはヒアリングし、英語を学ぶ理由やゴールを明確にしてもらっています」とマホニさん。それらを明確化することで、大学進学や就職など希望に応じた次のステップを紹介するなどし、生徒にとっては異国の地、ニューヨークでの新生活を後押ししているという。 受講して5ヵ月になるスペイン出身のヴァネッサ・ヴィラスさんは「素晴らしいプログラム」と、授業内容をすっかり気に入っている様子。コートジボワール出身のダニエル・ラトードさんは通い始めてまだ数週間だが、効果を実感中。「先生が経験を交えて英語を教えてくれるので面白く学べる。習った表現や知識を即生活に役立てられるのがいい」。 このクラスには2人の日本人生徒もいた。文化庁の新進芸術家海外研修制度で当地に滞在中の遠藤麻衣さんは、今年2月からここに通っている。「以前は人と話す気恥ずかしさがあったが、ここで実践的なコミュニケーションの仕方を教えてもらっている。さまざまな国からやって来た同じ境遇の人がこれだけいるのかと勇気付けられている」と語った。滞在歴が10年以上という日本人女性は、普段の生活で会話に不自由はないが、ニュースを観て情報弱者になっていると気づき、通い始めた。「これまで市内の公的サービス、例えば無料の食料配布があると聞いても細かい条件がわからなかったが、授業で生活に必要な知識を教えてもらえ助かっている」。 「来年1月をめどに、再び拡大予定です」とマホニさん。1セメスターごとに15クラスずつ増やすなど、今後もさらに英語教育の場を充実させ、移民の新生活をサポートしていく予定だ。 NYPLはこの授業のほかに、カジュアルな雰囲気で英会話を学べる「We Speak NYC」や、市民権のテスト対策講座も開講している。また館内には、移民への法的な支援を無償提供する「ActionNYC」も。教育のみならず、法律の分野でも移民を手厚く支援している。 以上が、ニューヨークの移民支援の一例だ。当地ではほかにも医療、健康保険、メンタルヘルス、食料、住居、雇用、教育、差別や嫌がらせからの保護など多岐にわたって、移民も恩恵を受けられる無料(もしくは低料金)支援がある。 参考資料 NY市の移民への取り組み(日本語資料) また、移民の多いニューヨークはサンクチュアリ・シティ(聖域都市)でもあり、例えば警察や救急隊に助けを求める人が、合法滞在か否かといった在留資格を質問されることはない。本稿で紹介した英語の授業でも、そのような質問はない。このまちでは、アメリカ市民と同様に誰もが1人の人間として、必要な支援や公的サービスを得られる仕組みになっているのだ。日本から聞くと信じがたいことかもしれないが、犯罪を抑止し治安や秩序を安定化するための効果があるため、移民の比重が多い大都市ではそのような政策が取られている。 国家の成り立ちがまったく異なる日本とアメリカでは、移民への対応も異なってくるのは当然だ。しかし日本でも、移民問題や対応の議論の場が、今後さらに増えていくことは確かだろう。移民都市ニューヨークの取り組みで、日本でも何か参考にできそうなことはあるだろうか。 サンクチュアリ・シティ(聖域都市) 関連記事 NYで不法移民に運転免許証発行へ 試験場は長・長・長蛇の列 #CelebrateImmigrants Text and some photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

西洋で愛されるKimono ── メトロポリタン美術館で着物展(着物好きはボヘミアン・ラプソディのフレディだけじゃない)

2018年の大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソディ』で、主役のフレディが着物をバスローブのように羽織っているシーンがある。日本人にとっては今でも印象に残っている1コマなのではないだろうか。 筆者にとってもあのシーンは印象的だった。イギリスが舞台の映画で主役がまさか着物姿で登場するなんて予想だにしなかったことで、突然映し出された着物(筆者には古典的な柄の長襦袢のようにも見えた)に度肝を抜かれたのだった。 欧米では、着物や浴衣(のようなもの)が日常生活のちょっとしたシーンで取り入れられることがある。筆者が住むアメリカ・ニューヨークでも、T字型の薄手の上着は「キモノ・カーディガン」として人気があり、5、6年ほど前から若い女性が羽織ってヒラヒラさせながら颯爽と歩いている光景をたまに見かけることがある。丈の長さはまちまちで、短いものもあれば、膝丈ほどの長さのものも。 おうち時間でもキモノ・ガウンやキモノ・ローブは、朝や夜のリラックスタイムに愛用されている。キモノはもはやファッションの一部なのだ。 ただそれは今に始まったことではない。着物はこれまでも長い歴史の中で西洋のガーメント(衣類、衣装、服飾)に影響を与え、着物自体も西洋のガーメントから影響を受け進化してきた。 筆者が先日話を聞いたドイツ在住の衣装の歴史研究家、スプリー金魚氏によると、着物がヨーロッパに初めて到着したのは17世紀ということだ。贈り物として100枚ほどが持ち込まれ、現地の人は初めて見る神秘的な東洋の被服に魅了されたという。 関連記事 和洋混淆のフリースタイル:ドイツ人着付師が提言する着物の新たな可能性 これまでいかに和と洋の双方の服飾文化が、刺激を与えながらインスパイアし合って進化し続けてきたか、その歴史が一目でわかる展示イベント、Kimono Style(キモノスタイル)が今月7日、ニューヨークのメトロポリタン美術館(通称The MET、メット)で始まった。 キュレーションを担当したのは、日本美術のアソシエイト・キュレーター、モニカ・ビンチク(Monika Bincsik)さん。モニカさんは、日本芸術のコレクターであるThe John C. Weber Collectionから、江戸時代の1615~1868年から20世紀初頭にかけての歴史的な着物、着物に影響を受けた西洋のガーメント(被服)、Kawaii文化やコミックアートを取り入れた最新のものまで60点を選りすぐり、紹介している。 モニカさんが「東洋と西洋の初期の交流の証」と説明するのは、18世紀のイギリス版バニヤン(室内着)。着物やトルコのローブなどに影響を受けたこのT字型の衣服は「自由な発想と世界観を象徴するもの」として、当時ヨーロッパの知識人の間で注目され、リラックスするためのカジュアル着として愛用されたそうだ。 鎖国が終わり、江戸時代後期の19世紀末から20世紀初頭にかけて、日本とヨーロッパ双方の貿易は活発化していった。それに伴い、着物は西洋のファッションデザイナーによって広く研究されたという。 日本にも海外のファッションは大きな影響を与えたようだ。当時呉服店だった高島屋や、絹製品専門の椎野正兵衛商店など最先端のアパレルやテキスタイル業界は、ヨーロッパのアパレルやシルク業界と活発に交流しはじめた。ヨーロッパ市場を見据えて作られたイブニングコートやドレッシングガウンには、ラインや柄などの細部に、和と洋(一部中国)のエッセンスが入り混じっている。1873年のウィーン万国博覧会にも出品され、ヨーロッパの人々を魅了したという。 1920年代から30年代にかけてのアメリカでは、リラックス着としてビーチパジャマが大流行した。ヨーロッパのファッション誌にも掲載され、日本でも紹介された。抽象的な幾何学的モチーフは(左の夏物の着物のように)着物のデザイナーにも影響を与えたようだ。今見てもおしゃれ。 「西洋のデコルテ見せ」は、衣紋を抜いてうなじを見せる文化の日本人には、当時「最先端の魅せ方」として紹介された。さぞや大きな衝撃を与えただろう。 20世紀初頭の大正ロマンの時代、日本の知識層のみならず、庶民の間にも西洋のファッションセンスや美的感覚が大きく影響した。 会場には、和と洋がコラボした最新のファッションも展示されている。コム・デ・ギャルソン(川久保玲)が2018年に発表した、Kawaii文化やコミックアートを取り入れた着物のようなローブ/アンサンブルはインパクト大だった。 奥深い着物の歴史には知られざる西洋文化との融合があり、和と洋の双方が刺激し合ってここまで来た。アメリカでも着物は敬意を持たれていて、日本人が誇るべき民族衣装だ。そんな着物の世界は現地の人に興味深かったようで、筆者が開催日の前日に参加したプレスプレビューでは、多くの記者が熱心にモニカさんの説明に耳を傾け、質問をしていた。 イベントの帰り、マンハッタン在住のフリーランス記者の女性と会場を後にした。その女性は「素晴らしい展示会だった」と、感想を述べるために笑顔で近寄ってきて、このように言った。「父が第二次世界大戦の終戦後、日本から着物を2枚持ち帰ったのよ。子どもながらにその着物を見て、美しさに魅了されたものよ。倉庫のどこかに眠っているから、久しぶりにあの着物をまた見てみたい」。 筆者もこの春日本から持ち帰った母の昔の着物を着て、どこかにお出かけしてみたくなった。 【Information】 KIMONO STYLE(着物スタイル) 会場:メトロポリタン美術館(The Metropolitan Museum of Art) 開催期間:2022年6月7日~2023年2月20日 #MetKimonos NYで注目される着物文化 関連記事 和洋混淆のフリースタイル:ドイツ人着付師が提言する着物の新たな可能性(nippon.com) 欧米で注目される着物 NYで開催の「アフリカ風ハイブリッド着物」展、のぞいてみた キモノ好きニューヨーカーが堪能【世界から】(47NEWS) ニューヨークのメトロポリタン美術館 関連記事 眞子さまNY移住で噂される3つの「就職先候補」ってどんなところ? 現地在住目線でその「魅力」を紹介 Text and some photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

日本産ハマチ(ブリ)をNY&LA人気店がどう手がけるか?期間限定のメニュー公開

ニューヨークとロサンゼルスの人気レストラン10店で、日本産ハマチ(ブリ)のオリジナルメニューを期間限定で提供している。 アメリカの都市圏では一般的に、ハマチ料理を多くの店で食べることができる。日本食を海外でプロモーションしているJFOODO(ジェイフード)によると、日本産ハマチ(ブリ)は米国内でHamachiやYellowtailとして親しまれており、Maguro/Toro, Shake/Salmonに続く消費量だという。(ちなみにUniは4位、Unagiは5位) ブリ類(ヒラマサ、カンパチ)はアメリカやメキシコ(ヒラマサ、ヒレナガカンパチ)をはじめ世界中で獲れているが、アメリカでの消費だけに絞るとアメリカ(ハワイ)、オーストラリア、オランダ産が多く、日本産と同様に寿司やカルパッチなど生食で食べられているそうだ。 そこで今回は、改めて「日本産」のものを使ったオリジナルメニューを米現地シェフに手がけてもらうという企画だ。参加店はニューヨークの7店とロサンゼルス3店で、いずれも人気店。 ソーホーの新店「Veranda」(コンテンポラリーアメリカン)では、ハマチのリッチなフレーバーを最大限に生かし、旨味を存分に味わえる「Hamachi Confit」(27ドル)を提供中。(写真上) ほかの店は「AQUAVIT」「The Musket Room」など。 同2店はいずれもミシュランの常連店で、筆者はこれまで料理長を取材したことがある。いずれも接待や特別な日にも「絶対に外さないお店」として定評がある。 過去記事 Emma Bengtsson (Aquavit)インタビュー Matt Lambert (The Musket Room)インタビュー なお、今回のオリジナルメニューの提供は1/27から2/28までの1ヵ月間のみ。 参加店の情報はこちら https://www.instagram.com/hamachiofjapan/ Text by Kasumi Abe 無断転載禁止

小室眞子さん夫妻のNY高級アパート前で白昼に銃撃事件。動画を米紙が公開

ニューヨークのヘルズキッチン地区で10日、銃撃事件が起こったとして、テレビニュースや新聞など地元メディアがいっせいに報じた。 同日午前11時過ぎ、マンハッタン西52丁目の路上で、身内のいざこざが銃撃事件にまで発展し、衛生局の非番の清掃作業員が左太ももを撃たれた。 清掃作業員の娘の元交際相手の兄弟にあたる男が、路上で清掃作業員と口論になり、発砲したと見られている。現場の路上から、容疑者が撃ったとされる弾が見つかった。容疑者はその後、黒のメルセデス・ベンツで現場から逃走したが、車だけが27丁目で見つかった。 【閲覧注意:暴力的なシーンが含まれます】 発砲事件の一部始終を近所の人が撮影し、地元メディアが公開 アパートの室内から録画した人は「あぁなんてこと、これはよろしくない」と連呼。その後、発砲音が3発聞こえた。 NYではこの1、2年、銃撃事件が多発 関連記事 市内では先月だけで100件もの銃撃事件が発生。警官2人も殺された。 1月だけで銃犯罪100件! ── バイデン大統領が誓った「テコ入れ銃規制」と見えてきた「失望」 清掃作業員は病院に搬送された。詳しい症状は分かっていないが、命に別状はないという報道もある。警察の捜査により、現場付近は一時立ち入り禁止となった。 筆者が気になったのは、発砲事件そのものに加えて、事件現場となった「場所」である。 報道されている事件発生現場や建物の外観は、昨年11月に英デイリーメールが報じた小室眞子さんと圭さん夫妻が住む高級アパートの外観などと一致している。 事件が起こった厳密な場所は、小室夫妻の居住ビルに隣接したビストロ&カフェの前にある道路だ。眞子さん夫妻は移住後、市内での散歩姿がよく報じられており、ビル入口出てすぐのこの歩道を、夫妻は毎日通っているだろう。 ヘルズキッチン地区の事件の発生率について 関連記事 市内で飛び抜けて高いエリアでもないが、犯罪発生率が低いほかの地区に比べると繁華街に近い分、やや高めの傾向。 ヘルズキッチンを東京で例えるならば?治安は実際どうなの?犯罪発生率を徹底的に調べてみた 小室夫妻で大注目「ヘルズキッチン」てどんな街?住みやすい? また地元メディアの報道では、口論の発端となった清掃作業員の娘は「このアパートに居住」しており(小室夫妻と同じ建物かビストロ&カフェの建物かは不明)、当日容疑者らが娘を訪れ「父親に連絡するよう」促したということだ。今後もこの娘を軸に、いざこざが起こる可能性は否定できない。 小室さん夫妻はニューヨークで新婚生活を始めて3ヵ月もしないうちに、このような凶悪事件がしかも自宅前で発生し、驚いていることだろう。またこのようなニュースがご両親である秋篠宮ご夫妻の耳にでも入った日には、ご心中いかばかりか。 しかし悲しきかな、これが2人が新天地として選んだニューヨークの「今」なのである。 関連記事 殉職の22歳NY警察 NY人気観光地で連続の発砲事件 パンデミックで銃購入増。銃社会は危険と考えない価値観とは(保釈金を支払わずとも被告が公判まで自由の身になれる新保釈制度について) アンティファが再襲撃 ── 叫ばれる「割れ窓理論」 全米ライフル協会に解散要求 銃の悲劇なんて気にしない金の亡者 NY治安悪化でまさかの警察予算削減 刑務所がコロナの温床 650人を釈放、懸念される治安悪化 警察憎悪犯罪 警官に向けた連続発砲事件 毎日100人、年間4万人が銃の犠牲 3億丁ある銃器との共存やいかに? 【加速する銃乱射】数字で見るアメリカの現実と憂い 海外で近づいてはいけないエリアの判断基準 NY銃乱射地区を歩いた体験 誤射で死亡 ーー 11秒間で7人の警官が42発の発砲 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

元ミスUSAチェスリー・クリストさんの死 最後のインスタ投稿メッセージ

ニューヨークの超高層ビルから30日朝、女性が飛び降り亡くなった。その女性は2019年のミスUSAに輝いた、チェスリー・クリスト(Cheslie Kryst)さん(30歳)だった。 クリストさんは同日午前7時15分ごろ、ミッドタウン42丁目の自身が住む60階建て住居ビル前の通りに倒れているのが発見された。 クリストさんはこのビルの9階に住んでおり、亡くなる直前に29階のテラスに1人でいるところを目撃されていた。報道によると、2002年のミセス・ノースキャロライナに輝いた母親にすべてを残したいというメモが残されていたが、自殺の動機については触れられていなかったようだ。 「美しさと聡明さを兼備し、誰もが嫉妬するような人生だった」(関係者談) 2019年のミス・ノースキャロライナ、そしてミスUSAとして選出されたクリストさんは、ミスユニバース世界大会でトップ10入りを果たしていた。その後はテレビ番組の司会やレポーター、モデルなど、パブリックフィギュアとして活躍していた。 別の報道によると、ノースキャロライナ州のロースクールを卒業後、法学博士号とMBA(経営学修士)を取得。シヴィル・アトーニー(弁護士の権限を与えられた民事の専門家)として、不当な判決を受けた可能性のある人々のために無償支援するなど、司法制度の改革にも尽力してきた人物のようだ。 関連記事 クリストさんがミスUSAに輝いた2019年は、ほかにミスユニバース、ミスワールド、ミスアメリカ、ミスティーンUSAと5大会を黒人女性が優勝したエポックの年だった。 世界一の「美」の王冠は5大会すべて黒人女性へ【2019ミスコン】 亡くなった30日のインスタには… クリストさんは死亡した30日、インスタグラムに自身の顔写真と共に「May this day bring you rest and peace (Heart)」(この日があなたに安らぎと平和をもたらしますように(ハートの絵文字))と投稿していた。 その2週間前には、「Those January workouts been workin lol」(1月のエクササイズはちゃんと機能しているわ笑)とフィットネス・ウェアを着て、心身ともに健康そうな一面も覗かせていた。 またクリストさんはこれまでもさまざまな機会に、メンタルヘルス(心の健康)の啓蒙活動を行ってきた。例えば、2019年10月には「世界メンタルヘルスデー」に寄せて、フェイスブックに以下のように発言をしていた。 「メンタルヘルスをどのように保っているか。私はたくさんのことをしています。その中でも私が行ったもっとも大切なことは、カウンセラーと話すことです。彼女は本当に話しやすく、特に私が悲しい時、ハッピーな時、忙しくなる直前に素晴らしいアドバイスをしてくれるのでおすすめです。カウンセラーを利用しない時は、ただ1人でくつろぐようにしています。携帯電話などすべての電源を切り、メッセージの返信もせず、ただお気に入りの映画を観て過ごすようにしています」 コロナ禍になった2020年5月には、自身のセルフケアとし以下の情報も発信していた。(動画の1:05から) 「1つ目は、毎日の生活をルーティーン化し、規則正しい生活を送ること。毎朝午前6時45分に起きて、活動を開始します。2つ目は外界とはメリハリをつけてちゃんと距離を取るようにしています。午後6時にはメールの返信を止め、すべてのコンタクトを断ちます。3つ目は、体を健康に保ち頭をスッキリさせるため、定期的に運動をしています」 メンタルヘルスの健康のために尽力し、自身もさまざまな努力を行ってきたであろうクリストさん。一体何があったというのか。 ニューヨークでは、自殺を防止するために、24時間年中無休の無料相談電話が設けられています。 (市内)1-888-NYC-WELL(692-9355) (市外)1-800-273-TALK (8255)、もしくは SuicidePreventionLifeline.org ▽ 市内には、日本人心理療法士による相談機関「ハミルトン- マディソン・ハウス 日米カウンセリングセンター」もあります。 引きこもりから犯罪まで、精神疾患が原因? 在米日本人の苦悩や米事情を専門家に聞いた (Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

銃弾に倒れ殉職の22歳NY警察。「あの日喧嘩をしたまま…」新妻のスピーチに全米が涙

ニューヨーク市のセント・パトリック大聖堂で27日より2日間、銃撃事件で命を落としたNYPD(ニューヨーク市警察)、ジェイソン・リベラ(Jason Rivera)さん(22歳)の葬儀がしめやかに執り行われた。 リベラさんと共に現場に出動し、顔面に銃弾を受けて重体となっていた別の警官、ウィルバート・モラ(Wilbert Mora)さん(27歳)も、事件から4日後の25日に死亡した。死亡前、モラさんの5つの臓器は移植を必要とする患者に移植され、5人の命を救っている。モラさんの通夜と葬儀は、来月1日と2日に執り行われる。 どんな事件? 事件は21日、マンハッタン区ハーレム西135丁目の住宅街で起きた。午後6時15分ごろ、母親から息子の家庭内暴力で911コール(緊急通報電話)があり、リベラさんとモラさんが現場に駆けつけた。2人が自宅に入り、奥のベッドルームに近づいた時、待ち伏せをしていたラショウン・マクニール(Lashawn McNeil、47歳)がベッドルームのドアを突然開け、警告をすることなく警官に向け複数回発砲した。リベラさんはその夜、死亡が確認された。マクニールは逃走しようとしたが、駆けつけた別の警官によって頭部と腕を撃たれ、3日後の24日に死亡した。 通報の段階で、母親から武器の所持などの情報はいっさいなかったが、マクニールのベッドルームからは2つ目の銃器も発見されている。 コミュニティに愛された警官 リベラさんの葬儀にあたり、母校や警察関係者などからリベラさんの優しい人となりや正義感あふれる活動の逸話が、次々と報じられている。 リベラさんは、ホームレスを見かけたら食べ物を買って与える心優しい青年だったという。高校卒業後は在校生に向け、「成功したければ、とにかく100%惜しみなく努力することが大切。高校時代、自分に発破を掛けてくれる人がいなかったから、自分はそうする」というようなビデオメッセージを積極的に発信していた。 そんなリベラさんの夢は、昔から警官になることだった。そしてその夢が叶ったのは2020年だった。NYPDの警官として新たな人生が大きくスタートする矢先の出来事だった。路上での勤務中、リラックスしてカメラに笑顔を見せる優しい警官の一面ものぞかせていた。 涙を誘う新妻の追悼スピーチ リベラさんは小学校で親友になり、高校時代から付き合っているドミニク・ルズリアガ・リベラ(Dominique Luzuriaga Rivera)さんと、昨年10月に結婚したばかりだった。 全米中に中継された葬儀の中で、新婚3ヵ月で未亡人となった妻ドミニクさんの追悼スピーチが、参列者や聴衆の涙を誘った。傷心のドミニクさんは介助されて壇上に上がり、震えながら「10月9日は私たちの人生でもっとも幸せな日でした」と回想した。 事件の日、リベラさんの勤務は午後からだったため、妻のドミニクさんはリベラさんといつものように朝食をとり、勤務開始前の時間をゆっくりと過ごしていた。しかし、いつもと少し違う日だったという。 「その日、私たちは言い争いをしました。計画していたことが流れたり、忙し過ぎて何日も互いに会えなかったりという状況にも我慢が必要で、警官の妻でいることはなかなか大変なことです。彼は『大丈夫。どうにかなるから(考え過ぎるな)』といつも慰めてくれていた。でも私は、せめて自分といるときくらい彼に仕事の電話に出て欲しくなくて、言い争いになった。彼は随分と怒っていたが、出発する際『車で送っていくよ。これが最後の申し出かもよ』と言ってくれた。しかし私は喧嘩をし続けたくなかったので、彼の申し出を断りウーバーを使った。最大の過ちを犯してしまった…」 その後、ドミニクさんはハーレムで2人の警官が撃たれた事件をCitizen(犯罪を知らせるアプリ)の通知で知り、夫にテキストをした。「あなたが怒っていることは知っている。知っているけど、無事かどうかだけ知らせて。今は忙しいと、それだけでもいいから知らせて」。返信はなかった。 アプリでリベラさんの居場所を探すと、ハーレム病院にいることがわかった。「仕事で病院に向かったのだろう」と思ったという。 しかし警察からの連絡で訃報を知り、病院へ急行した。「ねぇベイビー、起きて。私はここよ」。ドミニクさんは病院でシーツに包まれ変わり果てた夫に問いかけ続けた。 「あなたが私の元から去って行ったなんて信じられない。生き返って、私に『さよなら』を言ってくれたらと、もう一度『愛している』と言うことができたらと、淡い期待を持ったが…。私は今も、悪夢の中をさまよっています」 ドミニクさんによると「無垢な子どもの恋心を持ち合った2人が、まさか結婚するとは思いもしなかった」らしいが、インスタグラムの昨年11月の投稿では、新郎のリベラさんについて「最期まで(生涯の)ソウルメイトであり、親友であり、恋人。リベラ夫人より」と綴り、結婚記念日を振り返っている。つい3ヵ月前、2人は幸せの絶頂にいた。 「システムは我々を裏切り続けている。私たちはもはや安全ではない。警官でさえも…」。急増する銃犯罪の根源となっている欠落した刑事司法制度と、マンハッタンの新地方検事(アルヴィン・ブラッグ氏、Alvin Bragg)による、犯罪者に甘いとされている政策に疑問を投げかけ、リベラさんの悲痛な叫びを代弁する形でドミニクさんはスピーチを終えた。 銃撃事件で死傷した警官は、今回の2人の警官を入れて今年ですでに5人にも上る。2014年には駐車中のパトカーにいた2人の警官が突然、路上から射殺される事件も起こった。 「(銃器の流入経路の)河川がいくつもあって、市内で合流し犯罪の海と化している。その流れを堰き止める必要がある」と専門家は指摘する。今月就任したばかりのエリック・アダムス市長は銃犯罪の減少計画を発表しているが、いったん「濁流」となった勢いを堰き止めるのは容易なことではない。市はどう対処していくのだろうか。 参考記事 FOX 5 NBCニュース CNN CBS NEW YORK POST 関連記事 【NY治安悪化】タイムズスクエア、ピーター・ルーガー … 人気観光地で連続の発砲事件 パンデミック以降、銃購入者が増加。「銃社会は危険」と考えないアメリカ独特の価値観と NY銃撃増は半年前の囚人釈放が原因? 今年の発砲事件“1000件”突破  刑務所も新型コロナの温床に NYで6ix9ineら受刑者650人を釈放、懸念される治安悪化 NYで募る警察憎悪犯罪 署内で パトカーで 警官に向けた連続発砲事件 混沌とする治安 【加速する銃乱射】今年に入って255件、死者62人 数字で見るアメリカの現実と憂い Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NY地下鉄線路に突き落とされたアジア女性の悲劇 ホームドア設置が急務も「なかなか進まない」事情とは

人と電車の接触事故や自殺を防いでくれる駅のホームドア(プラットフォーム・スクリーンドア)。日本の都市部の駅ではあたり前のように見るものだが、ニューヨークの地下鉄駅ではまったく見ない。よって筆者は日本から訪れた人から「これだけ地下鉄網が発達しているのに、なぜ設置されていないのか?」と聞かれることがある。 この記事にある地図でもわかるように、ホームドアの設置はアジア諸国とヨーロッパ諸国で進んでいるようだ。だがアメリカ国内では、ラスベガスのモノレールなど一部の都市以外で目にすることはない。東海岸に至っては空港のエアトレイン駅などでは近年見るようになったが、ニューヨーク市地下鉄(MTA)ではまったく見ない。 突然線路に突き落とされ殺されたアジア女性 ニューヨーク市内では今、市民から駅のホームドアの早急な設置の必要性が叫ばれている。その要望は今月、アジア系女性が線路に突き落とされ亡くなる事件が発生して以降、大きくなっている。 ミッシェル・ゴー(Michelle Go)さん(40)は15日、タイムズスクエアの駅で電車待ちをいていた際、シモン・マーティアル(Simon Martial)容疑者(61)に線路に突き落とされ、侵入してきた電車に巻き込まれ亡くなった。事件前に2人の間にトラブルはなく、突然のことだった。マーティアル容疑者は犯罪歴と精神疾患の病歴があるホームレスだった。この事件は被害者がアジア系であったことから、特にコロナ禍以降に暴力や嫌がらせの標的になりやすいアジア系コミュニティに大きなショックを与えた。 しかし容疑者はゴーさんを殺害する前、別の女性にも危害を加えようとし、この女性がアジア系でなかったことなどから、この通り魔事件はヘイトクライムとはされていない。 24日付のamnyは、MTAの理事会メンバーや専門家から駅のホームドア設置の要望が高まっているとし、他国の地下鉄駅に設置されているホームドアのイメージ写真と共に報じた。 まず試験的な設置からスタートするようだが、その設置が検討されているのは、マンハッタンとブルックリンをつなぐL線の一部(3rdアベニュー駅)になりそうだ。MTAのスポークスパーソンによると、現在は設計段階であり、試験開始の時期、ホームドアの素材、低い柵のようなタイプかそれとも天井までを全部カバーするタイプか、など詳細は明かされていない。 マンハッタンのマーク・レヴィン(Mark Levine)区長は、「突き落とし事件防止のみならず、人々が誤って転落したり物を落としたり、自殺したりすることなどの防止にもなる。長年抱えてきた設置の障壁を克服しなければならない」と、設置の実現に向け意欲を見せた。 NY駅にホームドアが設置されていない理由 MTAのホームドア設置構想は1980年代以降、浮上しては立ち消えしてきた。実現化がなかなか進まないのは、70億ドル(約8000億円)以上とされる費用的な理由もあるが、何より運営開始から117年の歴史を持つ古い地下鉄システムの構造が仇となっているよう。また路線によって走る車両のタイプが異なり*、車両やドアの間隔などが画一化していないことも理由の1つ。ホームドア設置となると、さまざまな構造的な課題を克服する必要がある。 *今月引退した60年代の地下鉄車両R32モデルを含め、15の異なった車両タイプがある(あった)。 NY1が報じた2019年のMTAの調査では、ホームドアは市内で472駅ある地下鉄駅のうち27%にあたる128駅でのみ設置が可能であると結論付けられている(しかも、これは​MTAが全車両の種類を統一した場合に限る​。また70億ドルの建設費とは、市内の全駅ではなく128駅のホームから天井までのゲートを設置した場合のみに掛かる費用)。 試験運用を経て、将来的に一部の駅でホームドアの運用が開始する可能性はありそうだ。それでも全駅にホームドアを取り付けるのが専門家によって「現状では不可能」「現実的ではない」と言われているのは、古くて脆弱なインフラ設備を抱える都市のさまざまな事情が関係している。 過去記事 日本人ピアニストも2020年、NY市内の地下鉄駅で突然暴行を受けた。 NYで多発するアジア人差別(2)暴行受けた日本人ミュージシャン、その後 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NYで開催「アフリカ風ハイブリッド着物」展 キモノ好きニューヨーカーが堪能

茶道に琴、アニメにゲームなど、伝統的なものからポップカルチャーまでさまざまな日本の文化が、海を越えここ米ニューヨークで人々に親しまれている。日本古来の着物もそうだ。このほど、一風変わった着物の展示イベントが催された。披露された着物は、カラフルなアフリカンパターン(柄)が特徴で、まさに着物の進化系とも呼べるもの。キモノ好きのニューヨーカーが集まり、国境を越えた奥深いキモノの世界を堪能した。(ニューヨーク在住ジャーナリスト、共同通信特約=安部かすみ) ▽会場はNYの茶室  ニューヨークのダウンタウン、フラットアイアン地区で2021年12月3日から6日までの4日間、着物の展示イベント「きものビジョナリーズ(Kimono Visionaries)」が開かれた。会場となったのは、ベンチャー・キャピタリストのスティーブン・グローバスさんが所有する「グローバス和室(Globus Washitsu)」だ。ここはグローバスさんの居住アパートで、元々は一般の建物だが、日本好きが高じて2012年、庭園付きの茶室に大改築した。 期間中、展示された25点の着物や帯はすべて一点物で、南アフリカ出身で現在英国で活動するデザイナー、ティア・オグリさんによって作られた。テキスタイルデザインは、アフリカのエンデベラ(Ndebele)族などに影響を受けたもので、非常に色彩豊かだ。生地にはアフリカを代表するアンカラコットンが使われ、英国およびヨーロッパ諸国でキモノとして仕立てられた。  グローバスさんは、初めてオグリさんの着物を目にしたときをこのように振り返る。「ヴィヴィッドなテキスタイルに即くぎ付けになり、すぐにコンタクトをしました」。デザイナーが日本人かどうかも分からず調べたところ、英国オックスフォードに住んでいることがわかった。英国にはグローバスさんの娘夫妻が住んでいるため家族訪問にかこつけて訪れ、オグリさんに会って直接思いを伝えた。そして「素晴らしいこのミックスカルチャーをニューヨークの茶室で紹介しよう」と、2人は意気投合した。 オグリさんは「以前行われた同様の展示イベントが素晴らしかったので、参加の依頼を受けた時は光栄な気持ちでいっぱいになった」と当時の思いを振り返った。  展示品のキュレーションは、数年前のファッションイベントでグローバスさんが出会ったドイツの着物スタイリストで着付師、衣装の歴史研究家のスプリーキンギョ(SpreeKingyo)さんに依頼した。スプリーキンギョさんのセンスにより、展示された着物はハイヒールやブーツから博多織の帯などまで、さまざまなアクセサリーと共に、先鋭的にコーディネートされた。 ▽着物好きの在英デザイナー  オグリさんは、もともとアニメ『イタズラなKiss』やNHK大河ドラマ『江~姫たちの戦国~』などを見て日本文化に魅了され、徐々に着物のミートアップにも参加するようになっていった。今ではちょっとしたお出かけの際や結婚式などで着物をまとう生活を送っている。  おそらく多くの日本人以上に着物が身近なものとして存在するオグリさん。本国日本で進む着物離れについて、「西洋化が世界中の文化と伝統を破壊している」と危惧する。また、ファストファッション人気に押されつつある現代のアパレル、ファッション界と比較しつつ、「1枚で複数のスタイリングが可能になる着物は、よりサステイナブルな衣類」だとも表現。「ただし、『着物警察』の存在や文化の盗用だと叫ぶ輩も存在する。それらの声に悩まされないためにも、何より自信を持って着る必要があると感じている」と独自の見解を語った。 ▽ニューヨーカーを魅了  期間中は、多くのニューヨーカーが着物姿で来場した。中には、着物を洋服のようにまとっておしゃれを楽しんでいる人もいた。  子どもの頃に見た黒澤明監督の映画をきっかけに空手や禅などに目覚めていったエイジャ・ウォルフさんもこの日は、アレンジした浴衣に帽子とタートルネック、革の帯とベルトを合わせたコーディネートでイベントを楽しんだ。着物や浴衣を30着所有し、普段から着物でイベントに行くことが多いという。「私にとって着物は伝統的な『衣装』としてだけではなく、着る『服』という存在です。ですからこの展示も着物自体が(着る服として)生き生きと見えました」と語った。 同イベントの展示品は当地のKaede Kimonosで販売中。一点物のため、売り切れ次第販売は終了となる。 Text and photos by Kasumi Abe (Kyodo 47 Newsより一部転載)無断転載禁止

NYオミクロン株急拡大の中、賛否分かれた「大晦日カウントダウン」決行(現地ルポ)

気温は摂氏11度。冬の寒さが厳しいニューヨークの“大晦日”としては、集まった人から「暖かいね」という声さえ聞こえてきたほど。 オミクロン株感染が急拡大する中、電光掲示板が眩いタイムズスクエアでは31日、毎年恒例の大晦日カウントダウンイベントが行われ、世界中から集まった大勢の人々が大量の紙吹雪が舞う中、新年の到来を祝った。 このイベントは、1904年(ボールドロップが始まったのは1907年)から続いている伝統的なものだ。第二次世界大戦下の1942年、43年に休止した以外は110年以上にわたって毎年行われてきたが、昨年は新型コロナウイルスの影響で、史上初の無観客(関係者のみ)&バーチャル形式で行われた。 今年は2年ぶりの「有観客」開催だった。当地ではワクチン接種が進んでいることもあり、有観客での開催は早くから発表されていた。そんな矢先、12月に入って変異ウイルスのオミクロン株が急拡大し、再び無観客開催になるのではないかとささやかれていたが、主催者は観客数を通常の4分の1の1万5000人まで減らし、ワクチン接種証明書の提示とマスク着用を条件に予定通り決行した。 通常、大晦日の早朝から来場者による陣取り合戦が始まり、年越しまでの長時間、トイレもない中じっと待機、という過酷な経験談をよく聞く。よってこのカウントダウンは「一生に一度のイベント」とも呼ばれている。しかし今年はワクチン接種証明書のチェックなどがあったため、午後以降に入れたという人も多かった。 参加している人々からは「このイベントについに参加できて嬉しい」といった声が多く聞こえてきた。高校3年になる息子に誘われ、テキサスからこのイベントに初参加したタリーさんは、午後1時からここで年越しの瞬間を待っているそうだが、「楽しみでしょうがない」と疲れがまったく見えない。ニュージャージーからやって来たシュワマリッツ一家は「このイベントで景気づけをし、来年は新たなる冒険と更なる繁栄の年にしたい」と抱負を語った。イベント中にプロポーズするメキシコからのカップルもいて、テレビ中継された。 観客同士で社会的距離が保たれているところもあったが、興奮している人々が「密」になりがちだった。またコロナ禍にしては、警官の数が「異常なほど」多かった。ニューヨークタイムズによると、私服警官やFBI、爆発物探知犬なども含めた警官配備は、テロを厳重警戒したものだという。ただ残念なことに、中にはマスクをしていなかったり警官同士が密になっている光景も見られた。 メインステージでは、過去にビートルズ、マドンナから近年ではポスト・マローン、BTSなどさまざまな大スターがパフォーマンスを行ってきた。今年はジャーニー、KTタンストール、ジャ・ルール&アシャンティ、中国の舞踊団などだった。 30日、ニューヨーク州の新規感染者数は7万6555人となり、過去最多を更新中だ。重症患者数も昨春ほどではないが、それでも前日より546人増えて7919人に急増している。 この影響で、ブロードウェイのミュージカルも次々に公演が中止に追い込まれている。ラジオシティ・ミュージックホールの毎年恒例のラインダンス・ショー「クリスマス・スペクタキュラー」も17日から1月まで公演の中止が決まったばかりだ。 小説家のドン・ウィンズロウ氏など、コロナ禍でのイベント反対を求める声も多く上がった。 関連記事 (2021) NYタイムズスクエアの年越しカウントダウン 史上初の「無観客」で (2020) NYタイムズスクエアの年越し2019-2020 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止