永遠の歌姫、映画『ホイットニー・ヒューストン』公開に米紙が酷評 ボヘミアン・ラプソディの再来なるか?

永遠の歌姫、ホイットニー・ヒューストンが、映画で蘇った。 没後10年となる今年、ホイットニーの生涯を描いた伝記映画、I Wanna Dance with Somebody(邦題『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』)が本国アメリカ、そして日本全国の映画館で、23日から一斉公開される。 が行われた。会場には、歴史に語り継がれるほどの感動を与えた1991年のスーパーボウルでの国歌斉唱シーン(ABCニュースでの映像)を再現したパネルが設置され、参加者は記念撮影などを楽しんだ。 また13日にはワールドプレミアムも開かれ、ホイットニーを演じた主演のナオミ・アッキーやホイットニーをスターダムにのし上げた音楽プロデューサー、クライヴ・デイヴィス役のスタンリー・トゥッチなどが姿を見せた。 48歳で突然散ったホイットニーの栄光と複雑な生涯 6回のグラミー賞受賞経歴を持ち、映画『ボディガード』(1992年)に主演、数々のヒット曲を放った人気歌手、ホイットニー。そんな栄光の影で、彼女は2012年2月、グラミー賞の授賞式の前日に48歳の若さで生涯を閉じ、世界は唯一無二の才能を突然失った。 その死後も、元夫ボビー・ブラウンとの一人娘、ボビー・クリスティーナ・ブラウンさんが2015年に22歳の若さで、また12歳で孤児院から引き取り育て上げたニック・ゴードンさんも2020年、30歳で亡くなるなど、家族に不幸が続いた。 映画の脚本家は、過去にイギリスの伝説のバンド、クイーンとフレディ・マーキュリー(vo.)の生涯を描いた大ヒット作『ボヘミアン・ラプソディ』の脚本を手がけたアンソニー・マッカーテンだ。『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』への期待は否応なしに高まる。 しかし米主要紙のレビューは手厳しい。 ワシントンポストは、「当たり障りのない伝記映画。ベスト盤を聴いているようで、物語にはほとんど一貫性がない」とした。 ニューヨークポストは「マッカーテン氏の脚本には芸術性がない」「いつの日かヒューストンの超越した才能と複雑な人生を蘇らせる映画が作られるだろうが、残念ながら本作ではない」という評価だ。『Whitney』というドキュメンタリーが2018年に発表済みだが、この記事は別の作品を期待しているようだ。 低評価がある中でも観たい、ホイットニーの世界観に没入し刺激を受けたいと思うのがファン心理だろう。ボヘミアン・ラプソディ公開時のような、音楽界のレジェンドブームが再びやって来るだろうか。 関連動画1 『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY』 関連動画2 関連動画3 ホイットニーがどれほどの歌唱力を持っていたか。彼女の歌声を聴いて、鳥肌が出たという経験は一度や二度はあるだろう。アメリカでも話題になり拡散された、ホイットニーの歌声に感動する赤ちゃんの動画。 Text and some photos by Kasumi Abe 安部かすみ(Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

家賃“月”940万円超えの自宅とは? ロバート・デ・ニーロ宅に泥棒、現行犯で御用

俳優のロバート・デ・ニーロ(79歳)が住むニューヨークの自宅に19日未明、泥棒が押し入り、現行犯逮捕されたと各主要紙が報じた。 同日午前2時30分過ぎ、市内でも有数の高級住宅地、マンハッタン区アッパーイーストサイド地区にあるデ・ニーロ氏のアパートメントに女が押し入り、クリスマスのためにツリー下に準備されていたいくつものプレゼントや、デ・ニーロ氏が所有するアイパッドを大袋に詰め込み持ち去ろうとしているところを、警察に現行犯逮捕された。 デ・ニーロ氏の自宅は当地でタウンハウスと呼ばれる、室内がいくつもある低層のアパートメントビルで、犯人が押し入った際、同氏は上階にある7ベッドルームの1室で就寝中で、騒ぎで目が覚めたという。 地元のニューヨークポストによれば、このアパートメントは賃貸住宅物件で、家賃は月6万9000ドル(1ドル136円計算で約945万円)という情報だ。英デイリーメールには、このタウンハウスの外観や室内の写真も掲載されている。写真を確認する限り、当地ではよく見る瀟洒なタウンハウス、つまり外観が一部煉瓦造りで、室内はクラシックで上質そうなモールディングが施された白が基調の壁と独特の味わいがある木目のフローリングを擁し、大きな窓から差し込む自然光で室内は明るく、キングサイズのベッドを真ん中に配置してもスペースがあり余るほど広々とした、快適そうな住居空間のようだ。 NYの家賃事情 関連記事 犯人はショーニス・アビレス(30歳)で、前述のデイリーメールの写真の中には、警察官に連行されながら意味深な笑みを浮かべる容疑者の姿を確認できる。「少なくとも私は誰も刺していない」と叫び、その表情に悪びれた様子は見られない。 15年以上前になるが、筆者自身もニューヨークの自宅に空き巣が入り、室内が荒らされコンピュータとデジカメを盗まれた経験がある。犯人は大胆にもビル正面入り口の鍵をこじ開けて侵入したことが、その後の調べで分かった。ただ、犯罪の多い当地では「泥棒が入ったくらい」の事件は軽犯罪として処理され、まず犯人が捕まることはない。殺人事件や傷害事件など重罪の解決が優先されるためだ。盗まれたものを探すため、当時は「質屋が並ぶ骨董通りをくまなくチェックせよ」と言われたものだ(今ならネット上にアップされるかもしれない)。 コロナ禍になり治安は悪化の一途を辿る中、デ・ニーロ氏宅の忍び込み犯が現行犯逮捕に至ったのは、不幸中の幸いと言えるだろう。ではなぜ現行犯逮捕できたのか。 それは、女はこれまで住居侵入や窃盗、強盗などで前歴があり、警察に目をつけられ追跡されていたからだった。複数のメディアによると、女はこれまで少なくとも25回(今年だけで16回)の逮捕歴があった。そのほとんどはデ・ニーロ氏の自宅がある高級住宅地区を管轄する第19警察管区での強盗や窃盗などの罪で、同管轄区で逮捕歴がトップ5に入る常習犯だという。だが女はこれまでも、州の刑事司法改革の下、保釈金なしで釈放の対象となってきた。これではいくら逮捕しても犯罪者を路上に野放しにすることになる。近年市民からは強い反発が生まれているが、一向に改善しない。 この日も女は近所の商業ビルに不法侵入を試みたがうまくいかず、デ・ニーロ氏の住宅にたどり着いたようだ。同氏の住宅の地下室ドアに、無理やりこじ開けられた跡があったという。女は現在、起訴されて拘留されているが、今回も娑婆に出て再び悪事を働くのも時間の問題なのかもしれない。よって当地ではいかに「自衛」をするかが肝となる。筆者が昔、空き巣に入られた住宅は事件後、入り口の庭の茂みを伐採し、ドアには頑丈な鉄格子のセキュリティドアをつけてもらった(イメージ写真)。デ・ニーロ氏も今後、何らかの対策を講じることだろう。 関連記事 (写真)今年9月18日、NYでイベントに出席したロバート・デ・ニーロ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

大坂なおみ「スポーツ選手のメンタル」再び語る 初の絵本発売、米TV番組で近況報告

テニスの大坂なおみ選手が6日、自身初の絵本「The Way Champs Play(チャンピオンのプレーの仕方という意)』を発売した。その宣伝のため5日から2日間、立て続けにアメリカの人気テレビ番組に出演し、近況を語った。 テレビスタジオがあるニューヨークは、大坂選手が幼少期に家族と共に日本から移り住んだ街。5日に出演したCBS局の夜の人気トーク番組、The Late Show with Stephen Colbert (レイトショー・ウィズ・スティーブン・コルベア)では、痛快なトークを放つ人気司会者、スティーブン・コルベア氏に「おかえり」と迎えられた。 滞在中の予定を聞かれた大坂選手は、「祖母が住んでいるので会いに行くのを楽しみにしています。この街はそういう気にさせてくれるので、いろんな所にお出かけもしたい」と答えた。 アメリカでもすっかり有名人の彼女だが、私生活では意外と面が割れないようで、春にツイートした内容をコルベア氏に突っ込まれる一幕も。それはある日、大坂選手の自宅に電気工が訪れ「親はいるか?」「いい家に住んでいるね。両親はどんな仕事をしているのか?」と尋ねられたエピソードだった。 「自分は大坂なおみと伝えたか?」と聞かれると「もちろん言っていないです。言ったらおかしいじゃないですか」と笑顔で返した。 大坂選手によると、フルネームを見て初めて彼女に気づく人も多いと言う。ある日、スエットパンツやパーカーなど適当な格好で空港に現れた彼女は「おそらく男と思われた」(本人談)ようで、保安検査場でパスポートを渡したところ、名前を確認した女性係員が「あなたが…(あの大坂なおみ)?」とショックを受けた様子だったと明かした。 また絵本のタイトルに引っ掛け、「昨年、プレッシャーの中にいるプロのアスリートとして『OKじゃなくてOK』と、自身のメンタルヘルスについての告白もチャンピオンだった(機能した)ね」とコルベア氏に話を振られた大坂選手。この考えに行き着いた過程について問われ、「(問題に対して)逃げずに対処するよう教えられてきたし、そうやって私は数々のことを乗り越えてきたから、それは非常に価値のある教えでした。ただある時(耐えようとしている自分に)『なぜ?』と疑問が湧いたのです」と答えた。 関連記事 告白後はしばらく自宅に身を寄せていたといい、その後、東京オリンピックに出場。そこでたくさんのアスリートが応援していると直接声をかけてくれたと言う。「その人たちは私がテレビで観ているような人たちでしたから、とても光栄に思いました」。 翌朝は朝の人気トーク番組、ABC局のGood Morning America (グッドモーニグ・アメリカ)とNBC局のToday with Hoda & Jenna(トゥデイ・ウィズ・ホダ&ジェナ)にも出演(後者はアリシア・キーズと共演)。 番組ではこの日が出版日となる絵本について、「自分も子どものころに絵本からたくさんのインスピレーションを受けたので、私から次の世代の子どもにスポーツを通してエンパワーし同じ体験をシェアしたい。外に出てスポーツをしたり、運動でなくても新しいアドベンチャーに出合ったりしてほしい」と語った。 これらの番組でも司会者にメンタルヘルスの問題を自分の声で公にしたことについて尋ねられた大坂選手は、「昨年テニスから離れてメンタルを休ませたことは自分にとって『必要』なことでした」と振り返った。 「まず私は正直な自分を誇りに思っています。それで時々トラブルになることもあるけれど…。実は告白は恥ずかしいことでもありました。なぜならアスリートであれば強く、それを乗り越えて然るべき存在と思われているふしがあるから。だけど自分の本当の気持ちを表明しようと思った。それによってさらに強くなれるから」 メンタルヘルスを理由に東京オリンピックの団体総合決勝を途中棄権した体操のシモーン・バイルス選手についてどう思うかと聞かれると、「告白は彼女にとっても勇気がいったことだと思います。でも彼女の決意について周りの人々はサポートしていると思う」と答えた。 大坂選手がこのように子ども向けの絵本を制作したり、子どもにスポーツの機会を与える「Play Academy(プレーアカデミー)」を共同設立したりとテニス以外の活動が多忙になる中、「来年はコートに戻ってくるのか?」と問われた彼女は、このように答えている。 「私は、好奇心の塊なので与えられたものに楽しく取り組んでいます。でも私はテニス選手ですから、テニスを長い間しないと痒くなるのです」 来年も引き続き、大坂選手のプレーを見ることができそうだ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

夜になっても「Japan」が米ツイッターのトレンド入り PK敗戦の余韻続く…。W杯日本対クロアチア

サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の決勝トーナメント1回戦。5日、クロアチアと対戦した日本代表は1―1で延長戦となり、延長戦でも決着がつかず、PK戦で1―3で敗れた。 アメリカ東部時間(EST)で午前10時からスタートしたこの試合。結果が出たのが午後1時前だった。午後2時からのブラジル対韓国戦ではブラジルが4―1で圧勝。それぞれの試合後、この日戦った4つの国がアメリカのツイッターでトレンド入りしたが、陽が暮れても2つの国がトレンド入りをしたままだった。 その2つの国は、ブラジルと日本。 ブラジルの勝利後、アメリカのトレンド1位は「Brazil」となった。 (「Neymar」「Richarlison」と共に) 試合に負けた日本だったが、「Japan」も試合中からトレンド入り。試合終了後6時間が経っても、未だ堂々のベスト10入り。(「Croatia」と共に)。 同時刻で、上位30位内にクロアチア単体と、ブラジルに負けた韓国の名前は見られず。韓国の「Korea」は午後8時ごろになって21位に入っているのを確認できた。 筆者は日本とクロアチア戦の試合中もツイッターを確認したが、試合中は「LETS GO JAPAN」がトレンド入りしており、日本戦への注目度を実感した。 日本の敗北後、アメリカでは各界のさまざまな著名人やメディアがこの試合についてツイートした。 米女子サッカーのアビー・ワンバック元選手 女子サッカーのアビー・ワンバック元選手は、作家である伴侶のグレノン・ドイル氏が、PK戦で敗れた日本の試合に衝撃を受けている動画をツイッターにアップした。「あぁなんてこと。あなたに勧められ毎日試合をチェックしているけど、これは耐えられない。悲しすぎる…。PK戦はジュネーブ会議で禁止されるべき」とドイル氏。 CNNやESPNなどで活動するフットボール・ジャーナリスト、Usher Komugisha氏 ESPN FC ラーム・エマニュエル駐日米国大使 作家のKhaled Beydoun氏 ツイッター上ではほかにも、大会中に話題に上った日本人サポーターの清掃風景を惜しむつぶやきも見られた。 最後に、アトランティック誌のアダム・シューワー記者が試合後にアップした、このPK戦の分析が興味深かったので、ここで紹介する。 シューワー記者は、この試合が長引くにつれ、2018年のファイナリスト(クロアチア)が勝つことになるだろうと確信したという。それはクロアチアの方が優れているからといった理由ではなく「試合が確実にPK戦になるように見えたから」という。 「PK戦で点を入れるには試合そのものとは異なるスキルが必要であり、それは運動能力よりも精神面でのテスト(試されること)である」 シューワー記者は、優れた選手が必ずしもPK戦で優れた結果を出すとは限らないと述べ、「中年の引退した元サッカー選手の方が、20歳のフィールドで大活躍する現役選手よりPK戦でうまく蹴ることは可能」。 PK戦で得点できる選手とは「プレッシャーに負けない(跳ね除ける力がある)こと」。だからどんなに技術があり運動能力に長けた若手の選手より、年配の選手がPK戦では成功率が高くなることはあるという。 「集中力が何より試されるため、PK戦を成功させることは多くの場合、経験の問題である」 日本のゴールキーパー、権田修一選手はクロアチアのドミニク・リヴァコヴィッチ選手よりもペナルティキックのセーブ率が高いとされているが、PK戦では日本選手のボールを次々にリヴァコヴィッチ選手が止めた。「リヴァコヴィッチ選手がボールを止めることを予測していた、とは言わない。しかしクロアチアの選手の方が、より多くのチャンスを物にするだろうという確信があった。なぜなら彼らはこれまでの試合で何度か同じ経験をしてきたからだ」。 前回のW杯でも、死闘の末にPK戦で2勝してきた経験を持つクロアチアに軍配が上がったということのようだ。 「しかしながら、サムライブルーはここまでの試合を誇りに思うべきだ。ヨーロッパのトップクラブの選手が多く在籍する2つの元世界チャンピオンを打ち負かしたのだから」と同記事は結ばれた。 筆者も、世界における日本のプレゼンスを久しぶりに高めてくれた若き日本の侍たちに、労いを込めて心から感謝の意を伝えたい。感動をありがとう。そしてお疲れ様でした! Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

破綻したFTXサム・バンクマン-フリード 弁護士に口止めされるも公の場に現れ、失笑を買う

先月、経営破綻した仮想通貨取引所のFTX。元CEOのサム・バンクマン-フリード(Sam Bankman-Fried)氏が破綻後初めて、オンライン上で公の場に姿を現した。 バハマに滞在中のバンクマン-フリード氏は先月30日、ニューヨークで開催されたニューヨークタイムズ主催「ディールブック・サミット(DealBook Summit)」に、リモートで予定通りに登壇した。イベントでは、同紙のDealBookニュース担当で金融系ジャーナリストのアンドリュー・ロス・ソーキン(Andrew Ross Sorkin)氏のインタビューに答える形で話し、その様子はニューヨークタイムズのウェブサイトとCNBC局で放送された。 いつものラフなTシャツ姿で登場したバンクマン-フリード氏は90分間のインタビューで、「誰に対しても詐欺を犯そうとしたことはない。ショックを受けている」と話し、「起こったことについて深くお詫びする」と謝罪した。 バンクマン-フリード氏が共同設立し、FTXの資産の多くを保有する暗号資産投資会社のアラメダ・リサーチ(Almadea Research)とFTXとの関係性について、「意図的に資金を混ぜ合わせたわけではない」と説明した。 「ビジネス自体、繁栄し成長していると思っていた」と振り返り、「悪い1ヵ月だった。まったく楽しいことではない。しかしそんなことは重要ではない。重要なことは何百万の顧客とFTXの利害関係者であり、それらの人々をいかに助けようとするかだ」と述べた。 自身の個人的な財政状況を尋ねられると、「おそらく使えるクレジットカードが1枚残っていると思う」と答え、現在の純資産がどこにあるかについてはわからないとした。また「思わしくない数字を言うのは許されるか?」と冗談を言った後、「最後に確認したのは、銀行口座に10万ドル(約1350万円)があったこと」とした。 この1ヵ月間、同氏は米国司法省、証券取引委員会、テキサス州証券委員会、およびバハマ当局によって着手された民事および犯罪捜査の対象となっている。弁護団から「捜査中につき話をするな」と口止めされているはずのバンクマン-フリード氏がこのような公の場に現れ口を開いたことについて、不可解とする見方もあった。 NPRによると、このイベントへの登壇はFTXが経営破綻する1ヵ月前にブッキングされていたという。この日、本人が本当に姿を現すのかに注目が集まっていたが、予定通りオンライン上で現れたバンクマン-フリード氏。ソーキン氏から、「弁護士は(このような場に現れ)口を開くことについて、良いことだとあなたに提案があったのか?」と尋ねられると、神妙な口調で「いいえ、まったくそうではない。(今は)何も語るな、穴に隠れろと言われている」と正直に答え、聴衆から失笑を買った。登壇した理由については「正しい行いのためにできる限りのことをし、説明する義務があるから」と述べた。 バンクマン-フリード氏は同日、経営破綻後初となるテレビインタビューにも登場した。ABC局の朝の番組『グッドモーニングアメリカ』に録画出演し、「何が起こっているのかを理解する責任感をもっと持つべきだった」「多くの人が損害を被った。私の責任だ」と自責の念を表した。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

2022年のサンクスギビング 感謝の心で過ごす

2022年の感謝祭 幼馴染がNYへ 毎年この時期は自分の人生で大切な人への感謝(Gratitude)と、自分も誰かに与える(Giving)ことの大切さを考えさせられる。 今年は地元の幼馴染Kがニューヨークにやって来た。感謝祭当日の予定を考えていたら、ありがたいことに今年もホームパーティーに呼んでくださるファミリーがいて、幼馴染もどうぞと言ってくださったので、お言葉に甘えて参加させていただいた。 まず午前中は、NY名物バルーンパレードへ。 驚くなかれ、実は私、NY在住20年で初のメイシーズパレードでした!これまで感謝祭の日は他州やロングアイランドで過ごすことが多く、あまり市内にいなかったのと、市内のパーティーに呼ばれてもなぜかバルーンパレードにご縁がなく。(基本的にこの手のパレードは観光客が多く、地元の人はそれほど行っていない) でも実際に見てみると、期待値が低かったからか?これが結構良かったのです。 まず通常のパレードと違い、上空を浮かんでいるので、遠くからも見ることができるのと、見る角度によって違って見える。やはりなんでも実際に見てみるものだなと思いました。 午後からは、ミッドタウンにお住いのご家族のホームパーティーへ。美味しいお料理をたくさん出していただいた。来ているゲストもさまざまな職種の人で、とても楽しくついつい長居をさせてもらいました。。。 私たちはスイーツやドリンク類を持参したのですが、スイーツはせっかくなので幼馴染Kに博多のお菓子をよろしくとお願いしておいた。予感は的中し、みんなに気に入ってもらって良かった(特に通りもん)。 実はこの前日、幼馴染Kが誘ってくれて、ブロードウェイを久しぶりに観劇することがあった。 幼馴染Kがニューヨークに来た一番の目的は「K-Pop」ブロードウェイショー。演者の一人、ケビン・ウーの大ファンのK。私にも見て欲しいと200ドル近くするチケットをなんとプレゼントしてくれたのだ。 お誘いがなかったら観なかったであろうショー。これが実際に観ると、このショーもとても良かったです。歌、踊り、ストーリー展開、演出とエンタメの完成度がさすが高く、演者との距離も近くて迫力あり。 幼馴染Kは、6歳の頃から知っている貴重な友人(アメリカは引っ越しが多いからこの話をするととても驚かれる)。お母さんごっこしていたシーンやセリフ、セーラー服姿だったKもはっきり記憶にあり笑 別の大学に行った以外は、小中高とずっと同じ仲。今でも一時帰国のたびに、高校時代の同級生を集めてくれ、飲み会を開いてくれる。幼馴染Kにもこのショーのみならず、いつも色々与えてもらっている。 彼女はケビン・ウーにGivingだけをしているわけでなく、ケビンからもエネルギーをらっているから自分だけが与えている感覚はないとのこと。なるほど。 良い話ばかりではなく。 実は感謝祭の前日、朝起きたら日本の元同僚から、会社の先輩だった男性が亡くなったことを知らされた。この先輩はいつも笑顔で、集まりごとが好きで、私が一時帰国するときもその度に飲み会に来てくれていた。しかし今春はコロナもあって、会えていなかった。それだけが悔やまれる。 57歳の若さでの突然死。まだまだ働き盛りの年齢でした。つい1ヶ月前に呑んだ人の話ではとても元気でイキイキと働く様子を話していたという。まだこれからも一緒に集まりたい人だった。 生前いただいた綺麗なブローチを見るたびに思い出す、日本から来たばかりの私にとても親切にしてくれたアメリカのおばあちゃん。友人の家族。日本の近所のおばあちゃん。そして先輩。 人生の各ページで出会った人とのご縁を大切に、会える時に会っておかないとね。自分が周りの大切な人にいかに恵みや愛を無償で与えられているかに感謝しないとね。それは決して「当たり前」ではないから。感謝の気持ちはテキストとかではなくできるだけ言葉で伝えるようにしている。 そして与えられるだけではなく、自分も与える人間でありたい。何かを必要とする人に、無理をせず自分ができる範囲でGivingする。見返りは求めないしどうでも良い(ただしビジネスで「利用される」のとは違います)。そんなことを考えた今年のThanksgiving(サンクスギビング)でした。 Text and photos by Kasumi Abe

騙された感が半端ない!米インフレで企業の苦肉の策「スキンプフレーション」 ── 日本も他人事ではない

筆者がたまにランチなどで購入する、お気に入りのインドカレーがある。 トロッとしたバターチキンカレーと独特の風味があるバスマティライスがセットになったパッケージ商品だ。物価高が続く中、だいたいどこのスーパーマーケットでも9ドル(約1260円)以下と当地ではお手頃価格で売られていて、味も良い。 しかし最近それを食べようとして「あれ?」と思ったことがあった。これまでカレーの具は柔らかいチキンの胸肉だったが、いつものチキンは入っておらず「チキンのすり身団子」にすり替わっていた。 パッケージを確認するとやっぱり「チキン」と書かれてあるが、改行後に「ミートボール」という文字があるのに初めて気づいた。パッと見のデザインが同じなので、これまで同様、カットされた肉塊の具だと思って購入する消費者も多いことだろう。 また別の日、ミッドタウンの中華料理店に食事に行った時のこと。 我々がオーダーしたクルーシャン(フナ)の煮付け料理(21.95ドル=約3000円)はメニュー表によると、付け合わせにネギが入っているということだった。しかし運ばれてきた魚料理には、約3cmにカットされたネギが気持ち程度に数切れ入っているだけで、代わりに砂糖で味付けされた甘いタレがたっぷりとかかっていた。 飲み物のジャスミン茶も、明らかにジャスミン茶とは言えるものではなかった。間違ってオーダーが通ったのではないかと店員に確認したが、やはりジャスミン茶で間違いないという。食事の雰囲気が台無しになるためそれ以上は追及しなかったが、明らかに質の悪い烏龍茶のような味がした。 これらは、典型的なスキンプフレーション(Skimpflation)の一例だろう。 「ケチる」からきた新たな造語、スキンプフレーション インフレになって、「ポテトチップスの大袋を開けると中身が少なくなっていた」「1枚の大きさが以前より小さい」「歯磨き粉を買ったら、箱の大きさは同じだがチューブが明らかに小さくなっている」などの声がよく聞こえる。商品価格をほぼ変えずに内容量を減らすこれらの動きが、Shrink(縮める)をもじったシュリンクフレーション(Shrinkflation)と呼ばれて久しい。 同様にスキンプフレーション(Skimpflation)も、記録的なインフレが進むアメリカで最近、頻繁に聞こえるようになってきた。 スキンプフレーションのSkimp(スキンプ)は、時間やお金、材料を必要以上に費やさない(つまりケチる)という意味。Flation(フレーション)は文字通りインフレのことで、この2つをもじった新たな造語がスキンプフレーションだ。 具体的には、企業がこれまでとほぼ同じ価格帯を保ちながら、商品の製造コストを削減するために、より安価な原材料を使用し製品化することを指す。例えば、ある食品企業は食品の原材料としてこれまで本物のアーモンドを使っていたのにいつの間にか「アーモンド風味」に置き換えたり、バターの代替商品の原材料である植物油の含有率が以前は60%超えだったのが40%以下に減少したりしているのが報告されている。 チキンが「チキンのすり身」にいつの間にか置き換わっている件のチキンカレーも、飲食店でオーダーしたものがメニュー表の説明と「微妙に」異なったり、客の期待に応えるほどの質を満たしていないものだったりするのも、スキンプフレーションと言えるだろう。消費者からすると一抹の「騙された」感がよぎるものである。 日本経済新聞の14日付の記事には、「インフレならぬ『ケチフレ』である」と書かれている。記事によると、スキンプフレーションにはサービスの削減も含まれるといい、「小売りなら販売時の説明を省く、ホテルなら送迎や清掃の頻度を減らす」も、スキンプフレーションの1つという。さらに「米国が震源のスキンプフレーションだが、実はコロナ後の日本でこそ大きく広がる余地がある」ということだ。 最近、日本の大手コンビニのサンドイッチの具が少ないとネット上で話題になっていたが、以前からも言われているような弁当の底上げも含め「見た目はボリュームがあるのに実際の中身が少ない問題」も、シュリンクフレーションやスキンプフレーションの一端と言えるだろう。 スキンプフレーションが我々の食生活に与える影響 前述の中華料理店の3000円の魚の話に戻ると、甘いソースがたっぷりかかっていることで、どのような質の食材でも「美味しく感じさせ満足させる」のは明らかだ。しかし砂糖たっぷりの味付けが、健康に良いはずはない。 医療系の米非営利団体、ヘンリー・フォード・ヘルスは9日、スキンプフレーションが我々の食生活に与える影響について発表している。 この記事でも、「風味を加えるためのもっとも簡単で安価な方法は、塩分と糖分を加えること」とある。よって「食品企業が高騰した原材料を使用する代わりに塩や砂糖を追加投入して味を調整するのは、驚くことではない」と同団体の登録栄養士、アレグラ・ピカノ氏は述べている。 「消費者は原材料の配合の変化に気づかず、これまでと同じ食品を買い続けるかもしれないが、栄養価や健康面では良いとは言えない」。 その上で「質の良い製品に辿り着く方法」として、記事はこのように紹介している。 1. 栄養成分表示を確認する(日常的に購入してきた商品でも) 成分表のトップに書かれているものはメインの原材料なので、「ポテトスープ」の場合は最初に「水」と書かれているが、その後に書かれている素材、ポテトの「質」なども確認すること。パッケージに大きく「マルチグレインのパン」と書かれている商品でも、成分表の最初に書かれているのが「無漂白の強化小麦粉」だとしたら、穀物から栄養素を取り除いて再び加えたものなので、栄養素の含有量が減ったことを意味する。 2. ナチュラルフレーバーは必ずしも「自然」とは限らない ナチュラルフレーバーとは、本物の原材料を使う代わりにそのような香りを使用したものを指す。例えばタンパク質が豊富なアーモンドの代わりに、アーモンドから抽出されたアーモンドフレーバーなど。ストロベリーキャンディーと呼ばれる商品にストロベリーフレーバーが含まれていても、本物の苺が原材料に含まれているとは限らない。ナチュラルフレーバーには栄養価はない。栄養成分表示を確認すること。 3. 低ナトリウムの商品を選ぶ スープなど多くの包装済み食品はナトリウムが多く含まれるので、無塩または低ナトリウムの商品を選ぶ。手作りが良いのは論を俟たない。低ナトリウムのブロス(出汁)にたっぷりの野菜、肉、ハーブなどを入れて作るのが良い。 4. 小腹が空いたらホールフードスナックを選ぶ シリアル、クラッカー、ポテトチップス、クッキーの代わりに、アーモンド、クルミ、ヒマワリの種、リンゴ、アボカド、セロリ、ニンジンなどのホールフードスナックを選ぶ。. 5. 栄養成分表示で、砂糖(糖分)の量を確認 自然由来の糖質はヨーグルトや牛乳にすでに含まれているものだが、多くのケースで我々の健康に害を及ぼすのは追加された砂糖(糖分)であるため、栄養成分表示を確認する。 また記事では、「冷凍や缶詰の野菜や、冷凍の果物は生鮮食品より長持ちし、価格も低い」「キノア、玄米、豆、レンズ豆は良質のタンパク質であり、価格も(アメリカでは)比較的安価の傾向がある」などとし、これらの食材をうまく使い分けることもインフレを乗り切る方法の1つとして紹介した。 物価高騰の折、不健康な食習慣にならぬよう、また騙されたという気にならぬよう、消費者側も知識を持ってより賢く商品や店を選んでいく必要があるだろう。 関連記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

なぜ走る?「それができるから」… 5万人が5万通りの走る理由を掲げ市内を走り抜いたNYCマラソン

6日に行われたニューヨークシティマラソン。 1970年に始まった歴史ある国際マラソン大会だ。初年度は男子55人(女子0人)からスタートし、2019年には過去最高の5万4118人(男子3万1182人、女子2万2936人)が出場した。 今年も世界125ヵ国と地域から5万人のランナーが出場した。 完走者はこれまで通算120万人を超え、2019年の出場者5万4118人のうち、完走したのは5万3639人と、どの国際マラソンよりも多かった(今年の正式な数字はこれから*)。 5万人いれば、5万通りのストーリーがある。 この日完走した一般ランナーに、出場した感想や走る理由を聞いた。 「走ることができるから走る」 「人々とハイファイブしたり、沿道からの声援を受けたりして、楽しいレースだった」と、バージニア州から参加したカサンドラ・オールダムさん。ニューヨーク大会は初めてだが、フルマラソン出場はなんと40回目! 今日のタイムは4時間20分で、自己ベストは3時間42分を出した今年9月のベルリン大会だ。 なぜ走るのか?との問いに「走ることができるから走るのです」とカサンドラさん。20歳の時に大事故に遭い左足首の関節を失い「もう2度と走ることができない」と診断された。10年間車椅子生活を送り、そこから復活して今ここにいる。「走ることは、2度とできないと言われたことでも可能であるということを私に教えてくれるものです」。2024年の東京マラソン参加も目指すそうだ。 この2週間で2マラソンを完走 メキシコ出身のアントニオ・メディーナさん。この日のタイムは3時間58分。自己ベストは2015年の3時間21分。「今日ももっと早くゴールできたけど、暖かかったのでペース配分に気をつけました」。マラソンが大好きで、現在の居住地ニューヨークの大会だけでも12回出場。つい2週間前にもアトランティックシティマラソンに出場したばかりだと言う。「自分でもクレイジーな挑戦というのはわかっているよ」と苦笑い。よって今日のレースはあまり期待していなかったらしいが「最後の2、3マイルが大変だったけど楽しく走ることができた。今とても幸せな気持ちです」。 走る理由について「自分自身への挑戦のため。生きているって感じるし、健康になれるし、周りの人に良い刺激を与えられるものでもある」。 東京から参戦!「また走りたい」 「蒸し暑かったです。3日前に到着し、時差ボケが抜けなくてコンディションも最悪でした」と苦笑いするのは、東京から出場した岡本晃一さん。フルマラソンの挑戦は4回目で、この日は3時間50分弱で走り抜いた。 「沿道の皆さんの温かい声援がずっと途切れなくて、走りながら途中手を振り返したりしていたら、立ち止まることができなくなり、休むことなく完走できました」。楽しすぎて、もう一度走りたいと早速意欲を見せる。「身体は走りたくないけど心が走りたいと言っています!」と最高の笑顔を見せた。 5週間前にロンドンマラソン アイルランド出身でロンドン在住のルース・ダーヴァンさんもなんと、5週間前にロンドンマラソンに出場したばかり。「とても蒸し暑かった」今日のタイムは、3時間39分。自身の中で悪い成績と分析したが、前の大会から十分な時間が空いておらず、楽しかったのでそれで良しと笑う。 なぜそこまでマラソンが好きなのか?「私は挑戦が好きだから」と即答。「今はもうクタクタな状態だけど、おそらく明日になるとまた別のマラソン大会に申し込むでしょう!」。 関連記事 筆者が撮影した2021年の動画 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

大迫傑 復帰そして世界の強豪コメント NYCマラソンいよいよ明日(現地時間5日配信)

今年もニューヨークシティマラソン(TCS New York City Marathon)の季節がやってきた。 今年は51回目を数える。新型コロナの感染拡大で大会が2020年に中止となったが、昨年規模を縮小して復活。今年は通常通り、5万人のランナーの参加が見込まれている。 日本選手は上杉真穂(女子)、大迫傑(男子)、鎧坂哲哉(男子)、渡辺勝(車椅子、男子)、さらに多数の一般ランナーが国内外から出場する予定だ。 大会を目前に、優勝候補の有力選手(一部)に抱負を聞いた。 大迫傑 20年東京大会で自己記録、マラソン復帰戦 2020年の東京マラソンで自己記録(2時間05分29秒)を出し、21年の東京五輪(6位)後に引退した大迫傑選手。今年2月に現役復帰を表明し、アリゾナでトレーニングを積んできた。5000mとハーフマラソンで復帰しているが、フルマラソンは五輪以来となる。 「復帰してから準備期間が長ければ良いと思っていた」ことから本大会の出場を決めた。「アメリカで再スタートが切れ、モチベーションが上がります」。 当日の気温予報は摂氏24度と11月にしては暖かくなる予定。「寒いより暖かい方がいいので」と条件は悪くなさそうだ。 何より、心身共に復帰後は余裕が出てきたと語る。マラソン“初戦”という意気込みはなく、リラックスできていることが伝わってきた。「しっかりと自分の力を出し走り切ることが第一目標。いつも通りスマートなレースを心がけている。後半のセントラルパークが上り坂なため、そこに向けて体力を温存して走りたい」。 アルバート・コリル  昨年同大会の勝者 昨年の同大会(男子)の勝者(タイムは2時間08分22秒)、ケニアのアルバート・コリル(Albert Korir)選手。圧倒的な強さが印象的だった。 豪快に大きくジャンプしたゴールシーン(冒頭の写真)について、「幸せな気持ちを見てくれた人々に表したかった」と振り返った。 当地の大会に強く、19年も2位に輝いている。また17年のウィーン大会、19年のオタワ大会でも優勝。今年4月のボストンマラソンは6位(2時間08分50秒)だった。 トレーニングプログラムは変えていないが「体が強くなったと感じている」と自信をにじませる。今大会に向け「準備は整った。昨年のような良い結果になることを期待している。楽しみだ」と語り、王者の貫禄を見せた。 エバンス・チェベト ボストン大会の勝者 4月のボストン大会の勝者、ケニアのエバンス・チェべト(Evans Chebet)選手(タイムは2時間06分51秒)。2020年のバレンシア大会で、自己最高の2時間03分00秒を出すなど、調子は上り坂のようだ。 本大会ではデビュー戦となる。抱負としては「ボストンと同じ調子になれば」と語った。「まず30kmで調子が良かったらそこから35km、そしてゴールに向けてメンタルをフォーカスする」。 今大会の最大のライバルを問うと、アルバート・コリルとエチオピアのシュラ・キタタ(Shura Kitata)の2選手を即答した。「とは言えこのレースに向けトレーニングを積んできたから(勝つ)自信はある。自分のベストを出し切り、最高の結果を出したい」と語った。 ゴティトム・ゲブレシラシエ オレゴン世界選手権の勝者 7月のオレゴン世界選手権マラソン(女子)の勝者、エチオピアのゴティトム・ゲブレシラシエ(Gotytom Gebreslase)選手(タイムは2時間18分11秒)。昨年のベルリンマラソンでも1位の成績を残している。 3位だった今年3月の東京マラソン(2時間18分18秒)についても「非常に良いレースだった」と振り返る。 本大会で勝つための戦略を尋ねると、余裕の笑みを見せながら、こう一言放った。「勝つだけ。ただそれだけよ」。大会で結果を出すためにトレーニングを積み、今ここにいる。そして迎える本番。「余計な戦略はなし」と自身の奥底からの自信がみなぎる。筆者の斜め後ろにいた記者が「勝つだけ。好きだわ、その答え」とうなずいた。 そのほかの強豪選手 2017年のシカゴ大会の勝者(21年は2位)のガレン・ラップ(Galen Rupp)選手は本大会ではデビュー戦となる。36歳の今「10年、15年前にやれていた厳しい練習をこなせない現実がある反面、年齢と共に心臓機能はより鍛えられている」「練習を積めば、例え40歳であろうと世界記録更新は可能」と前向きな姿勢を見せた。「タイムより順位重視」と語り、優勝を目指す。 かつての米女子記録保持者のケイラ・ダマト(Keira D’Amato)選手も本大会ではデビュー戦。「今年は調子がいい。スタート時は気分が高揚しスピードが上がりがちだが、過去のレースの敗因を糧に、周囲を窺いながらペースを上げるべきか否か冷静に判断したい」と語った。 東京五輪米代表選考会で1位でゴールしたアリフィン・トゥリアムク(Aliphine Tuliamuk)選手は、翌21年1月(五輪の半年前)に出産。新型コロナ規制が敷かれる中、授乳が必要な乳児を母親が帯同できるようルール変更を求めてIOCに働きかけ、それが叶った。五輪レースでは腰の故障で途中棄権し結果を残せなかったが、本大会で再起を賭ける。 今年のソウル大会(タイムは2時間04分51秒)で米大陸の記録保持者となった、ダニエル・ド・ナシメント(Daniel Do Nascimento)選手、今年10月のシカゴ大会(車椅子、女子)の勝者、スザンナ・スキャローニ(Susannah Scaroni)選手らの活躍も見逃せない。 5000mで東京五輪をはじめさまざまな大会でメダルを獲得しているケニアのヘレン・オビリ(Hellen Obiri)選手は、今大会で初マラソンに臨む。 市内各所でイベントも 市内各所では、ちびっ子マラソンやLGBTQランナーなどさまざまな関連イベントが開催され、本番への機運が高まっている。 4日にはセントラルパークのゴール付近で、オープニングセレモニーが開かれた。各国ランナーや応援団によるパレードがあり、日が暮れた後は花火が夜空を舞い、祭り気分を盛り上げた。 本番当日、沿道では一般市民からの声援に加え、DJやパフォーマーが出場者の気分を盛り上げる。音楽に躍動された一般ランナーの中には仮装姿でノリノリな人やリズムに合わせて踊りながら走る人の姿も見かけるほど。 2019年には出場した5万4118人のランナーのうち、5万3639人が完走。どの国際マラソンよりも完走者が多い。その理由の1つとして「声援が勇気づけに繋がっていたら嬉しい」と語るのは、沿道からの応援を始めて10年以上になるニューヨーク太鼓愛好会の代表、遠山京子さん。毎年声援を送る場所は、サウスブロンクスからと決めている。「コース後半に差し掛かり、地域柄沿道の人も少ないので、そんな場所から太鼓の音色でランナーを勇気づけられたら」と語る。 選手、応援団、受け皿となるニューヨークの街、すべての準備は整った。あとは本番を迎えるだけだ。 関連記事 Text…