NY屋内活動に「ワクチン接種証明」義務づけ 全米初の試みが始まったが・・・街の様子は

ニューヨーク市は17日、屋内飲食と屋内アクティビティの利用時に、新型コロナウイルスのワクチン接種証明の提示を義務づける新施策を開始した。 施策は「Key To NYC Pass」と呼ばれるものだ。屋内レストランやバーほか、映画館、コンサート会場、劇場、博物館、ジム、スポーツ試合など屋内アクティビティ施設において、従業員と12歳以上の利用客は、少なくとも1回のワクチン接種を終えていなければならない。入り口では「ワクチン接種証明書」もしくはデジタル管理された「ワクチンパスポート」の提示が求められる。 感染力の強いデルタ株が広がる中、頭打ちとなったワクチン接種率を後押しするための施策で、3日デブラシオ市長により発表された。市長は記者会見で、「いよいよワクチン接種が必要な時が来た。接種を受けた人はこの街であらゆることを満喫できる。しかしまだ受けていない人は、残念ながら多くのことができなくなる」と述べた。 似たような試みはフランスやイタリアでも導入されているが、全米の都市としてはニューヨーク市が初となった。 1ヵ月の移行期間の後、9月13日より罰則化される。ルールに従わない店や施設には1回目の違反時に1000ドル(約10万円)、2回目の違反時に2000ドル(約20万円)の罰金が課せられる。 ワクチン接種についてほかにもニューヨーク州では、9月6日のレイバーデーまでに州の職員に義務付け(もしくは毎週の検査でも可)、医療従事者や介護施設に勤務するヘルスケアワーカーにも義務付けるなど、じわじわと接種の義務化が進んでいる。 街はどのように変化しているのか、店や施設は早速新ルールを適用したのか、17日から20日にかけて街の様子を見に行ってきた。 ワクチンが義務化された街の様子 ちなみに筆者は5月に接種を受けたが、これまでの3ヵ月間で接種証明書などの提示を求められたことはなく、唯一6月にスイスに入国する際に必要になっただけだ。友人・知人の多くも同様に提示を求められたことがないと言い、1人だけ「クリスピークリーム(ドーナツ屋)で無料ドーナツを配る時に証明書を見せた」という人がいるだけだ。 17日から20日にかけてはどうだったかと言うと・・・。 図書館 求められず、何も聞かれず(要マスク着用) レストラン&バー(小規模経営店) 求められず、何も聞かれず(屋外スペースがあったので利用) レストラン&バー(一大有名チェーン店) 求められず、何も聞かれず(入り口に、ワクチン接種が完了していなければマスク着用を求めるサインあり) しかし、最後までワクチン接種済みか否かは聞かれなかった。 日本食レストラン(日本人経営店) 提示を求められた やはり真面目な日本人の国民性か、ルール開始と共にたまたま入った某日本食レストランでは、ワクチン接種証明書の提示を求められた。しかし証明書が実際に自分のものであるか否かの判断材料となるIDまでは求められなかった。 映画館 求められず、何も聞かれず(入り口の係員に話を聞いたら、今は入館を認めているが、9月13日からワクチン接種者しか入館できないと教えてくれた) 罰則化がスタートしなければ、大半の店はギリギリまで導入を見送っているようだ。確かに店側の立場で考えると、不況が長引く中、ワクチン接種証明書がないという理由だけで利用したいと言っている客を断るのは断腸の思いだろう。 ・・・と思っていたら、最後にあった!厳密にチェックしているところが。 マダムタッソー 提示を求められた マダムタッソーというハリウッドスターの等身大フィギュアを展示した観光施設の入り口では、「厳密」に証明書とIDの提示を求められた。 中には、未接種や証明書を携帯していない人が足止めされ、係員に懇願していたが「法律で決定したから」と入館を断られていた。 筆者は係員に、証明書の代わりにコロナ検査の陰性証明書は有効か否かを尋ねると、証明書もしくはワクチンパスポート「のみ」有効だと言われた。 現時点で「厳密に」チェックしている店や施設は少なかったが、9月13日以降は本格化していくだろう。 さまざまな場所をチェックしたが、ワクチン接種証明書の提示が必要なスポットは「観光客を相手にビジネスをしている場所」が多いと感じた。であれば、博物館は必要で図書館は不要の辻褄が合う。 ワクチンの義務化は果たしてうまくいくのか? 筆者は日本に住む人からさまざまな質問を受けることがある。 例えば「この義務化はうまくいくのでしょうか?」というものだ。筆者の考えはこうだ。「昨年以降、誰もが体験したことがないことに立ち向かっていて、そのたびに新しい試みをしているので、これについてもうまくいくかどうかは誰もわからない。トライ&エラーで試し、うまくいかなければ調整していくのだろう」。 州や市は昨年以降、経済を再開させるためにあらゆる対策を講じてきた。例えば、屋内飲食の再開も初めから100%オープンさせるのではなく25%からはじめ、感染状況を見ながら少しずつ調整し、100%再開を目指し進めてきた。この施策もトライ&エラーの1つだろう。 ワクチン反対派の反発や抵抗は非常に大きく、よくデモが起こっているが、反対派にはどう対応していくのか、そちらの方が気になる。屋外飲食スペースは増えたため、屋内飲食不可というのは未接種者にとって打撃は少ないかもしれないが、屋内アクティビティが利用不可というのは、冬季が長くて厳しいこの街では痛手だろう。 関連記事 全米の4人に1人が「ワクチン打たない」反ワクチン運動や職場訴訟も(動画あり) 未接種で解雇、接種証明書の転売 …「ワクチン接種か否か」で揺れる米国 またマダムタッソーを見ていて思ったのは、この施策の実行には、入り口でチェックするスタッフが追加で1人必要になり店側の負担も増える。そしてその担当者が、接種証明をどの程度チェックするのだろうか?客の多い時間帯はおそらく、IDと照らし合わせたり偽物か否かの判断が容易にできなくなるだろう(注:アメリカでは偽札や偽の卒業証明書などが多く、すでに偽の接種証明書も出回っている)。果たして、入り口でのチェックがどのくらい徹底されるのかは疑問だ。なにせ全米初の試みなので、他都市もニューヨークの今後の動向をうかがっているところだ。筆者も引き続き見守っていきたい。 NYのコロナ対策関連記事 – 2021年6月 1年3ヵ月ぶり「非常事態」が解除 NYはいま【昨年との比較写真】 – 2021年5月 新型コロナに「打ち勝った」“先行事例”となるか?NYが復興へ前進、大規模再開へ 米「ワクチン接種でマスク不要」 NY中心地のマスク率は? 街の人の声は? – 2020年10月…