全米の4人に1人が「ワクチン打たない」反ワクチン運動や職場訴訟も(動画あり)

摂氏34度の夏日となった6日午後4時過ぎ、ニューヨークのハーレム地区にある教会の前は多くの人が集まり騒然となった。 米国立アレルギー・​感染症研究所の所長、アンソニー・ファウチ医師とバイデン大統領夫人のジル・バイデン博士が共にAbyssinian Baptist Churchを訪れ、教会関係者、医療従事者、接種を受けに来た人々をねぎらった。この教会は今年1月以来、新型コロナウイルスのワクチン接種会場として使用されており、これまで1万2000人以上がここで接種を受けてきた。 ニューヨークではワクチン接種数の浸透と共に感染者数も減っており、先月19日より大規模な経済活動が再開した。 ニューヨーク州では少なくとも1回の接種を受けた18歳以上は68.6%。 この国で教会とは、人々の心の拠り所として、地域住民にとって欠かせない要の場所だ。社会的に弱い立場の人々にとっては尚更である。そのような神聖な場所が今、感染防止の最前線として大活用されている。 「特にブラック&ブラウン・コミュニティー(新型コロナで打撃を受けた黒人層やヒスパニック層が多く住む地域)であるハーレム地区の教会が接種会場になり、2人が視察してくれたことは意義深い」と、同教会のカルヴィン・バッツ牧師は地元メディアを通して語った。 ファウチ医師とバイデン博士が訪れ、現場を激励した時の映像 一方で会場外では、ワクチン接種反対派の人々による抗議活動も同時に行われていた。 ホワイトハウスの発表では、米国内で新型コロナワクチンを少なくとも1回接種を受けた成人は63%に、1回もしくは2回の接種を「完了」したのは52%に達している。 バイデン政権は来月の独立記念日(7月4日)までに「成人の70%が少なくとも1回の接種を受ける」という目標を掲げており、すでに70%を達成したのは12州となっている。全米で見てもあともう少しといったところだ。しかしワクチン反対派による抗議活動を見る限り、簡単な道のりとも決して言えないようだ。 なぜなら、これまでの数々の調査で、アメリカ国内のおよそ25%の成人が、ワクチン接種を受けるつもりはない、もしくは未定とされている。 その25%にあたる人々の一部がこの日抗議活動を行い、「私たち国民に選択の自由がある」「ワクチン必須な世の中なんて御免だ」「我々は実験用ネズミではない」などと、ファウチ博士やバイデン博士の方針を強く批判した。 市内ではすでに『レイトショー』などテレビの人気公開放送番組や、新たな観光スポット「リトルアイランド」の有料イベントなどさまざまな場所で、「入場するにはワクチン接種済み証明書が必要」という動きが出ている。 クオモ州知事も「今後ワクチンが完全に承認されれば、州立大学や市立大学の秋学期以降の対面授業には、接種完了の義務付けを予定」と発表した。 「スポーツ会場や大学などさまざまな場所でワクチンパスポートが必須なんてことになってはならない」と懸念するのは、「マスク、ワクチン、(歯磨き粉の)フッ素反対」という看板を掲げたショーンさん。 ただし現時点で成人の60%以上が少なくとも1回の接種を受けている現実を見れば、これらの反対派はごく一部の人々ということだろう。抗議の様子を離れた場所から冷ややかに見ていた近隣住民の男性は、ちょうど博士の視察中に息子がワクチン接種を受けに行ったため、外で待機中とのこと。CDC発行のワクチン接種完了カードを誇らしげに筆者に見せながら、デモについて「この人たちはクレイジーだと思う。やれやれ」と呆れ顔だった。 進む分断 ワクチン反対の動きは今や、訴訟問題にまで発展している。 米南部テキサス州のヒューストン・メソジスト病院(Houston Methodist Hospital)では、医師や看護師などこの病院に勤務するすべての医療従事者が現地時間の今日7日までにワクチン接種を受けるよう通達されている。接種を受けなければ2週間の無給待遇の処分を受け解雇もあるとし、「従業員にワクチンの臨床試験への参加を強制することは違法」と、117人が勤務先の病院を相手に訴える騒ぎになっている。 ファウチ博士とバイデン博士はハーレムの教会視察の翌7日朝、ABC局のトーク生番組『ライヴ・ウィズ・ケリー・アンド・​ライアン』に軽やかな表情で出演した。司会者にワクチン反対派についてどう思うかと聞かれ、バイデン博士は「接種はあなたのためだけではなく、あなたの周りの人のためでもあります」と答えた。 ホワイトハウスは出会い系アプリ9社とコラボするなどし、主に若い世代を対象にワクチン接種啓蒙活動に力を入れている。先月24日、ファウチ医師や人気ユーチューバーらと共に記者の前に現れたバイデン大統領は、このように訴えかけた。 (緊急事態下において)「ワクチン接種はあなただけの話ではない。これはオブリゲーション(人としての義務、責任)なのだ」 当日会場外のワクチン反対派のデモの映像 関連記事 米国で見え隠れする「ワクチン差別」…「ところでワクチン打った?」という会話に潜む危険性(現代ビジネス) アメリカで「ワクチン接種数」が“頭打ち”…? これは数ヵ月後の日本の姿かもしれない(現代ビジネス) 新型コロナに「打ち勝った」“先行事例”となるか?NYが復興へ前進、大規模再開へ NY主要駅で新型コロナワクチン接種。ワクチンツアーの観光客にも好評【筆者の接種体験】 米「ワクチン接種でマスク不要」 NY中心地のマスク率は? 街の人の声は? Text and photo by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

NY主要駅で新型コロナワクチン接種。ワクチンツアーの観光客にも好評【筆者の接種体験】

アメリカでは新型コロナウイルスのワクチン接種を拡大させるために、あの手この手で「ワクチン推進キャンペーン」が進められている。 最新(17日時点)の接種状況 人口の48.1%(1億5782万人)が最低1回の接種。 37.1%(1億2382万人)が1回もしくは2回の接種を「完了」。 ニューヨーク市でも実験的な試みが行われている。「予約なし」で気軽に新型コロナのワクチンを接種できる場として、先週12日から16日まで、指定された主要8駅に接種仮設会場が設置された。 州の発表では、1駅につき1日最大で300回分のワクチンが用意され、15日までに4637回の投与が行われた。この期間中、自国での接種が遅れているとし、日本や南米など国外から訪れ、接種を受けている姿も見られた。 州はこの試みが大成功したとし、より多くの人が訪れた4箇所の駅を22日まで延長し、引き続き予約なしのワクチン接種を受け付けている。 筆者も16日、指定駅の1つのペンステーションに行き、ワクチンを接種してきた。 アメリカでは先月19日以降、16歳以上なら誰でも接種ができるようになったが、筆者がこの1ヵ月の間に受けなかった理由の1つは、アクセシビリティの問題があった。 接種を受けることは厭わなかった。接種を受けることにより行動範囲が広がり、自分同様に周囲にも安心感を与えられるなどメリットを感じていたし、テレビをつければワクチン、ワクチン、人々との間でも毎日のようにワクチンが話題に上るので、否応なしにワクチンのことは常に頭の中にあった。近しい人からのプレッシャー(のようなもの)も日に日に高まっていたので(!)、接種はいつにしようか…と考えてはいたものの、罹患したら重篤化するような健康上の問題があったり高齢の家族が周囲にいるわけではないので、面倒な予約作業をしたり接種会場に足を運ぼうという動機を見つけられないままでいた。 よって最寄りの主要駅で予約なしで今すぐに受けられるお手軽さ(しかもメトロカード=地下鉄7日間乗り放題の特典付き)は、筆者のようなタイプには好都合だった。 日曜日の午後3時過ぎ、開始時間に合わせて会場の1つであるペンステーションに到着すると、前日よりもっと長い列ができていた。中には、これまでワクチンの優先接種対象となったであろう高齢者も何人か見かけた。 混乱に備えてか警官も何人か配備されていたが、物々しい雰囲気はしない。 並んでいるときに前後数人と会話になったが、ある30代くらいの男性は「利用駅にあるのでついでに来た」ということだった。筆者のすぐ後ろに並んでいたのは、スペイン語を話す4人組で、祖父母入れた家族総出で来たようだ。 あまり長く待つのであれば止めておこうかなという気にもなったが、30分ほどで受付に到達した。 ここは問診コーナーだ。まず今日の気分を聞かれた。写真付きIDを見せ、氏名、住所、電話番号、生年月日などが確認され、タブレットに情報が入力される。新型コロナに感染したことはあるか、これまでにワクチンでアレルギー反応があったことはあるか、などの質問もあった。難しい質問はなく、5分ほどで終了。CDCのロゴ入りカードを渡され、中程のブース前で待つように指示される。 中の流れは良いようで、ブース前で待っているとすぐに呼ばれた。 このプロジェクトと提携している市内の医療機関の看護師(もしくは医師)が注射を担当するとされており、私を担当してくれたのは、30、40代くらいの女性看護師(もしくは医者)。彼女にカードを渡す。 とてもリラックスした態度で、今日の体調やこの2週間で新型コロナの症状のようなものはあったか、などを聞かれた。筆者は「両腕に悪寒を感じることはたまにあったけど発熱はなかった」と答えると、彼女はそれは問題ないとし、これから注射するもの(ジョンソン&ジョンソンのワクチンで、1回の接種で完了すること)を端的に説明してくれた。 接種後は奥の待合室で15分座って安静にし、様子を見ること。また副反応として患部が腫れたら、アイスノンのような冷やした不凍ゲルをあてたらいいということだった。ほかに質問は?と聞かれ、特にないと答えると、 「さぁ、どちらの腕に打ちましょうか?」 病院には滅多に行くことのない筆者にとって、久しぶりの注射となる。筋肉注射のため、針が刺さった瞬間は「意外と痛くないんだ」と思ったが、ワクチンを注入する間に少し鈍痛のようなものがあった。それも一瞬のこと。「はい、終わり」。 筆者はカードを受け取りながら、まったく準備をしていなかったが、このような言葉が心の底から自然と出てきた。 「一生懸命に人々のために働いてくれてありがとう!」 「どういたしまして!」と女性看護師も嬉しそう。 笑顔でブースを去った。 混みいった待合室で15分間休憩。先ほどのスペイン語を話す家族も接種をし終わっていたが、皆やっと打てたと言わんばかりの笑みがこぼれていた。特典のメトロカードをもらって出口へ。列に並んでから、すべては1時間ほどで終了した。 駅から外に出た瞬間、今の自分は打つ前の自分とは違うような気がし、なんだか清々しく感じた。接種歴カードの写メを送り、近しい人にも報告。「おめでとう!誇らしく思うよ」という声が返ってきた。 副反応について 今日で接種から3日が経過。あくまでも筆者の個人的なものになるが、以下が副反応と思われる症状だ。 打った夜: 両腕にゾクッと悪寒がしてドヨ〜ンとなり、何となく「コロナに罹ったらこんな感じなのかな?」と思った。倦怠感や発熱はまったくなくいたって元気。念のため、早めに就寝した。 翌日: 打った箇所が少し筋肉痛のような症状が出始めた。腕は普通に上がる。夜、少し両腕に悪寒がした。患部が痒かったが、絆創膏のせいかもしれない。体調は良い。 3日目: 打った箇所の痛みは残っている。常に痛い訳ではなく、腕を真横に上げた時だけ鈍痛がする。腕は普通に上がる。体調は良い。 日本からの観光客もすんなり打てるのか? アメリカは「7月までに70%の人が少なくとも1回の接種を受ける」という目標に向け、州単位で今後もこのような「ワクチン推進キャンペーン」を続けていくと思われる。 特にニューヨークは、落ち込んだ観光業の立て直しのために、市外からの観光誘致に力を入れている。今後も観光客を含む人々を対象に、さまざまな企画を練っていくだろう。 そうなれば日本の皆さんが気になるのは、「日本から観光で訪れても、ワクチンを接種できるのか?」ということだろう。 答えは「当日の現場」によることもあるため、ここでの明言は避けたい。つまり入国審査と同じようなもので、自分がどのように臨んだかによって、状況が変わることもある。 ただし言えることとしては、筆者が会場を訪れた15日と16日は共に、日本を含む国外からの観光客も実際に接種を受けられていた。またアメリカでは「外国からの観光客だから」という理由で、断られる可能性は低いと思う。万が一断られるとすれば、コミュニケーションを取るのが困難だったり体調不良など「別の理由」が考えられる。 医療や健康に関する重要なことを英語で受け答えしなければならないため、言葉に不安な人は現地の日系旅行会社などに相談するのも良いだろう。また現在、指定駅で接種されているワクチンはジョンソン&ジョンソン製であり、1回のみの接種で完了という利点はあるものの、有効性は2回接種が必要なファイザー製やモデルナ製よりも低いとされている。 日本国内で新型コロナワクチンを接種する場合とは違い、国外では一口にワクチンと言ってもさまざまな種類があるし言葉の壁もある。安易に予約不要だからと「ワクチン接種ツアー」に飛びつかず、まずは自分の接種する「目的」を明確にし(自身の感染や重症化を極力抑えたいのであれば有効性の高いワクチンを選ぶ、など)、それに応じて国外でもいいから1日も早く接種したいのか、また接種するのであればどのワクチンにするのかなどを、今一度考える必要はあるだろう。 関連記事 米「ワクチン接種でマスク不要」 NY中心地のマスク率は? 街の人の声は? Text and photo by Kasumi Abe ( Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

米「ワクチン接種でマスク不要」 NY中心地のマスク率は? 街の人の声は?

アメリカでは先月19日以降、16歳以上なら誰でも新型コロナウイルスのワクチン接種を受けられるようになり、接種数は順調に伸びてきた。 最新(14日時点)の接種状況 人口の47.3%(1億5525万人)が最低1回の接種。 36.6%(1億2025万人)が1回もしくは2回の接種を「完了」。 ただし1日ごとの接種数の伸びは4月半ばでピークを迎え、その後の接種の速度は落ちている。 集団免疫獲得のため、政府は独立記念日(7月4日)までに70%以上の人々が最低1回の接種をする目標を立て、特に若い層を対象にあの手この手で「ワクチン推進キャンペーン」を進めている。特典として無料のハンバーガー、ドーナツ、ビール、スポーツの試合や博物館などの入場券、有給時間休などがある。オハイオ州では、抽選で100万ドル(約1億円)を贈呈する事例も。 ニューヨーク市内でも実験的な試みとして12日から16日まで、指定駅に接種仮設会場が設置されている。面倒な予約が不要で、しかも1回の接種(J&J)で完了という手軽さがうけ、開始から2日で1100人以上が接種した。(Updated: 22日まで延長) 地下鉄駅で接種した特典として、メトロカード(地下鉄7日間の乗り放題)などが配布されている。 これらに加え、「これも特典のうちか?」と囁かれているのが「マスク着用不要」の新指針だ。CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は13日、接種を「完了」した人は、屋内外を問わず、マスクを着用しなくても良いと発表した。(例外:公共交通機関、飛行機、病院、刑務所。店内では店の方針に従う) CDCは先月27日、接種完了者に「屋外」でのマスクは不要と発表していた。今回の新たな発表により、マスク不要な場所に「屋内」も追加された。 ニューヨーク州での接種状況は、少なくとも1回の接種をしたのは成人人口の61.4%、1回もしくは2回の接種を「完了」したのは51.5%(15日現在)。 これらの数字からも、CDCの新ガイドラインの発表以来、街の人々の半数はマスクを取り去るのではないかと筆者は思っていたが…。 銃撃事件から1週間、タイムズスクエアのいま 13日の「マスク不要」発表の翌日、市内の中心地タイムズスクエアに、様子を見に行った。 6日前に発砲事件が起き、3人が負傷した場所だが、この日(14日)は金曜日ということもあり、そんな大事件を払拭するほど、ものすごい人通りで活気に満ちていた。筆者は昨年3月、ロックダウンで誰もいない同所を歩いて寂しい気持ちになったものだが、あの記憶がすっかり消え去るほど、以前のような「混雑した賑やかな観光地」に戻っていた。 マスクは現時点で、まだ8割くらいの人が着用していた。マスクをしていない人の数も少しずつ増えてはいるものの、劇的に増えているようには見えない。 マスクを着用していない人の中には、すっかり「無防備状態」のような光景も。 ここで、人々に話を聞いてみた。 南部から旅行でやって来た60代の夫婦は、共に2回のワクチン接種を完了したが、この日もマスクを着用していた。「ダブルマスクとまではいかないけど、念のためこれまで通りマスクを着けています」。 別の女性も接種を完了したそうだが、マスクを着用していた。理由は同じく“念のため”。「接種していない人もまだ多いし、(電車や店の)隣合わせになった人が(接種済みか否か)わからないから」と答えた。 ゴリラ姿のジェイコブ・マーコさんは3月に最初の接種を受けて、すでに2回の接種を完了した。だが、まだマスクは着けている。理由は「新規感染数は依然と高いし、まだ(マスクを)取る(心の)準備ができていない。人々がマスクを取るまでに、もう少し時間がかかるだろう」。 ワクチンを打っていないが、マスクも着用していない人も少数ながらいた。 「インフルエンザワクチンの接種もしたことがない自分には、コロナワクチンも不要。日光に当たって免疫力を上げればワクチン同様の効果をもたらしてくれて病気になんてならないものさ」という意見や、マスク不要の新指針について「ワクチン接種者への特典のようにも受け取れるこの発表はいかがなものか。今後『ワクチンを接種していない=悪者』のような誤った見方や差別が生まれないことを祈る」という意見もあった。 またこの日の街の声としては上がってこなかったが、ほかにも「マスクを取らない理由」として、さまざまな意見が上がっている。 人々はこの辛い激変の1年間を乗り越え、マスクと共にあるニューノーマルに慣れ切ってしまったため、そう簡単に元に戻れないとする分析もある。市内に住む27歳の女性は、パンデミック以来初めてモールを訪れ、人の多さにショックを受け体が硬直したという。「人々は死、悲しみ、孤立、ストレス、不安、失業…を体験し、トラウマになっている」とヴァイス誌。 この女性でなくとも、マスクをする生活が1年以上に及ぶ今、久しぶりの外出先でコロナ前の日常風景を目にし「なんか変」という不思議な感覚に陥ることはよくある。マスクを取ってもいいよと急に言われても、今度は逆にその無防備さに戸惑うのだろう。 ワクチンの浸透と共に、少しずつ日常生活が戻り、人々の疲れた心の中も浄化されつつあるが、大多数の人が清々しい気持ちで「マスクはもういらない」という気持ちになるまで、もう少し時間がかかりそうだ。 Updated: CDCの新指針に基づいたマスク解除は週ごとに行われており、ニューヨーク州のクオモ知事は19日より同州のマスク着用義務解除を認めました。その後もマスクを着用し続けている人は老若男女、依然多い状態です。(2021.05.25) 関連記事 アメリカ人がパンデミックでマスクを着用し始めたのはいつから? ↓ 外出の際、顔はカバーすべきですか?「はい」とNY市長 アメリカでマスク改革、はじまる 「マスク外してみて。顔が見たい」は新たなセクハラになるのか? 米紙 アメリカで「ワクチン接種数」が“頭打ち”…? これは数ヵ月後の日本の姿かもしれない(現代ビジネス)  Text and photo by Kasumi Abe ( Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

G7でワクチン承認されていないのは「日本だけ」だが、実は・・・。米紙はどう見た?

イギリスを皮切りにアメリカ、EU諸国、イスラエル、アジアでは中国、シンガポール、ネパール、ミャンマーなど、世界各国で次々と新型コロナウイルスのワクチンが承認されている。 そんな中、イギリスでの開始から2ヵ月経っても、未だに日本だけがG7の中で唯一「承認すらされていない」と、アメリカでも報じられている。 菅首相は2日、国内での接種開始を前倒しして今月中旬を目指す考えを示した。遅れにはさまざまな事情があるにせよ、世界に「大きく出遅れた」感は否めない。 1日(日本時間の2日)付の主要紙ワシントンポストは、Japan’s pharmaceutical industry is huge. But it was left behind in the race to get vaccines to Japanese citizens.(日本の製薬業界は大きいが、国民へのワクチン接種の(世界的な)競争で取り残された)と報じた。 記事にはこのようにある。 G7の中でワクチン接種プログラムの開始を待っているのは日本だけ。しかし裕福な国で、ワクチン接種が始まっていないのはオーストラリアと韓国も同様。 日本が大きく遅れを取っている理由についてまとめると、このような内容だ。 日本は、アメリカと中国に次ぎ3番目に大きな医薬品市場だが、パンデミック初期のころも厚生労働省は、精度に関する懸念から検査キットの導入に消極的で、検査開始に時間がかかった。現在も、国外からのワクチン調達に苦労しており、国内でのワクチン開発も大きく遅れている。承認されても浸透しづらいだろう。 その理由として、非常に慎重な官僚の文化、ワクチンの安全性に懐疑的な国民性、国内のワクチン業界の競争力の低さ、これまでの訴訟問題や議論、パンデミックへの準備不足、などを上げている。 以下は概要となる。 パンデミックへの準備不足: 厚生労働省は2016年の報告書の中で、すでに警告を発していた。それは『日本のワクチン業界は競争が激しくなく、ワクチンの安全性に対する国民の意識が低い。パンデミックが発生したら、日本は深刻な状況に直面するだろう』という内容だった。「この報告書は、パンデミックへの備え不足を警告していた世界中の報告書と共に棚上げされた」とある。 つまりパンデミックへの準備不足は、日本だけではないということだ。 ワクチン業界の競争力の低さ: WHOによると、世界中で臨床試験が行われている63のワクチンのうち、日本のものは1つ(アンジェス)だけ。しかし、それすら今年末までフェーズIIIの試験に入ることができない。 安全性に懐疑的な国民性と、訴訟問題: 1994年、日本政府は「ワクチンの義務化を放棄したが、同時にワクチンの安全性について国民に啓蒙することもやめてしまった」。これはどういうことかと言うと、予防接種法改正により、予防接種が社会防衛から個人防衛として大きく舵を切ったことだ。昭和時代の終盤に相次いだ予防接種禍訴訟が背景にある。2013年、比較的軽微な副作用で物議を醸した子宮頸がん予防のHPVワクチン接種の推奨も中止となった。 「これにより、数千人の命が(子宮頸がんによって)奪われた可能性がある」と記事にはある。日本人がワクチン接種による利点の方に目が向かないのは「『完璧さ』への期待、過ちへの不寛容、物事が完璧でない場合に責任の所在を明らかにする傾向など、さまざまな日本の文化に根ざしている」(在日経営コンサルタント)。 接種を様子見しているのは日本人だけ、ではない アメリカでの新型コロナウイルスのワクチン接種は、12月14日に開始した。筆者の住むニューヨークでも、フェーズごとに優先順位をつけて接種が進んでいる。フェーズ1aと1bまで(エッセンシャルワーカーや65歳以上)が接種可の対象となっており、2日よりタクシー運転手や飲食店の従業員もフェーズ1bの対象内となった。 ちなみに接種はすべて無料で行われている。「すべての人」が接種を受けられるのは当初第2四半期とされてきたが、最新の情報では「夏ごろ」になる見通しだ。ただし、最近になってワクチン不足が叫ばれ始めているので、その時期もずれ込むかもしれない。 アメリカの報道では、連日のように予防接種を受けたり接種会場に並んだりする人々の姿が映し出されている。一方、1日付のニューヨークポストでは「アメリカ人の半数が新型コロナワクチンを拒否または様子を見る」という、最新の調査結果が発表された。 カイザーファミリー財団(Kaiser Family Foundation)による世論調査では、ワクチン接種を希望する人の数は12月以降増加しているが、それでも51%の人が接種を「拒否または延期する」と答えた。約半数がワクチンの副作用や有効性に関する十分な情報がないと答えており、その内訳は31%が接種前にワクチンの有効性と副作用についてさらなる結果を見たいと述べ、13%は接種を拒否、7%は(旅行や就職などで)必要となった場合のみ接種するとした。一方で回答者の41%は、できるだけ早く予防接種を受けたいと答えており、その数は12月に比べて7%増加した。6%は世論調査が実施された時点(1月)で、すでに接種を受けていた。 また世論調査には、黒人とヒスパニック系の成人で若い世代は、情報不足に警戒しているが、これらの層の中にも先月以降、予防接種を受けたいと考え始めた人が増えているとある。 日本人の傾向としてワクチンに懐疑的と言われているが、同調査によるとアメリカの人も半数近くは接種に前向きだが、同数の人が足踏みしているということだ。ちなみにアメリカでは農村部に住んでいる共和党支持者ほど、接種にためらう傾向にあるという。 アメリカのメディアでは最近になって再び、東京オリンピックについての報道を見かけることも増えてきた。日本でのワクチンの承認や浸透について気になるのは、オリンピックの開催にも関わってくることになるからというのも一理あるだろう。 関連記事 【新型コロナワクチン】死者30万人超の米国 初接種の感想は?一般はいつから? (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース…