新型コロナウイルスに関するNY最新現地事情まとめ(3)ロックダウンまでのタイムライン篇

日本でも緊急事態宣言が出され、都市封鎖かと心配されている方が多いと思います。ニューヨークでの緊急事態宣言が発令されてからロックダウン(外出制限、ニューヨークでは – ON PAUSE – ポーズ=静止という言葉が使われています)までのタイムラインを、ここでまとめてみました。 3月1日 NY州で初の新型コロナウイルス感染者を確認 (筆者が、街中のマスク着用者を初めて見かけたのは1月末だが、3月上旬の時点でマスク着用者は全体の0.5~1%くらい) 3月7日 NY州知事が緊急事態宣言を発令 3月13日 5pm 市内の全ブロードウェイが閉鎖 収容人数500人以上の集会禁止 (この前後から、スーパーでは水やトイレットペーパーなどが売り切れ) 3月16日 8pm バー、クラブ、映画館、カジノ、スポーツジムなどが閉店 レストランは持ち帰りとデリバリーのみ許可 500人以下の場合は収容率50%以下に 職場で働く人の数を50%以下に削減 この週から、学校、図書館、博物館、美術館、デパート、ショップなども次々とクローズ。また職場で在宅勤務が増え始める。 (筆者の感覚で、マスク着用者は5%くらいに増えたことを実感) 3月19日 8pm ショッピングモール、遊園地、ボウリング場などがクローズ 職場で働く人の数を25%以下への削減を要請 3月21日 8pm 美容室、理髪店、ネイルサロン、タトゥーパーラーが閉店 (筆者の感覚で、マスク着用者は10%以上に増えたことを実感) 3月22日 8pm エッセンシャルサービス* (生活に必要なもの)以外、すべて閉鎖。人々は自宅待機、在宅勤務へ (* 医療従事者、救急隊員や警察、消防隊、スーパー、デリ、薬局、公共交通機関、郵便局、銀行、電話、電気、水道、ガス、WIFIなど) [All photos and video by Kasumi Abe] All images and text are copyrighted. 本稿はYahoo! Japan News個人からの転載。無断転載禁止

新型コロナで死者千人超えでも希望を捨てない人々(ニューヨーク今日の風景)

ニューヨーカーの希望の光 「我々が必要としていたものが今、ここに到着した。我々の仲間、海軍兵士によるこの病院船は、ただベッドや医療物資を届けるためだけにやって来たのではない。これは私たちの希望(Hope)なのだ」 現地時間3月30日午前、アメリカ海軍の病院船「USNSコンフォート」(以下コンフォート)がニューヨーク市マンハッタン区のピア90に到着し、ビル・デブラシオ市長はメディア向けのプレスカンファレンスで、力強くこのように語った。 ニューヨーク州内ではこの日、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染者が6万6497人、死者が1218人(前日965人)となった。コンフォートはこれらの事態を受け、州内にある医療施設のキャパシティを増やすために派遣された。 船内には1000床のベッド、12の手術室、80の集中治療室、医療ラボなどを備えており、ここでは新型コロナウイルス感染症以外の救急患者の治療が行われる。医療関係者1200人が任務にあたる。 Updated April 6: ニュージャージー州も含む新型コロナ患者の受け入れに転換しました(最大500床)。 コンフォートの船内の写真 バズフィードニュース コンフォートは通常、国外でのハリケーンや大地震の救済に使われているもので、ニューヨークにやって来たのは2001年の同時多発テロ以来だ。 実はこの日、ほかにジャビッツセンター(Javits Center)が仮設病棟としてオープンした。ジャビッツセンターは平常時、コミコンやNY NOWなどが行われる大型展示会場だ。ここには2500のベッドが設置され、新型コロナ感染症以外の患者が搬送される。 Updated April 3: 新型コロナ患者の受け入れに転換しました。 州内ではほかにも、大学のキャンパスやセントラルパークの屋外テントを仮設病棟とする計画が急ピッチで進められている。 コンフォートを一目見ようと多くの人々が集まったが、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)の確保がされておらず、警官が出てくる一幕も。 取材帰りの非現実的な光景 in タイムズスクエア ニューヨークでは今、エッセンシャルワーカー(医療現場や交通、スーパーや薬局などで働く人々)以外、自宅待機が求められている。筆者は前夜遅く、コンフォートのプレス用カンファレンスの知らせを急遽受け取り、この日約2週間ぶりに取材に出かけた。 カンファレンス終了後、地下鉄へ向かう途中、ニューヨークの中心地、タイムズスクエアがある。 いつもは全米そして世界中からやって来た観光客でごった返し、なかなか前に進めないくらい人が多いタイムズスクエアが、新型コロナの影響でガランとしている。 どの店もシャッターが降り、店内が暗い。人もまばら。いつもならうるさいほどのクラクション音もない。 感謝祭やクリスマスなど一連のホリデーがすべて終わり、年末最後の大騒ぎをする大晦日の翌朝、つまり静まり返った元旦のようだ。 この街とは1990年代からの付き合いだが、こんなに寂しいニューヨークを初めて見た。 駅に向かって歩いていると、タイムズスクエアの顔なじみの人と遭遇した。 年中パンツ一丁でギターを弾くネイキッド・カウボーイこと、パフォーマーのロバート・バーク氏だ。筆者は15年ほど前、彼に同じ場所でインタビューをしたことがある。まさかこんな誰もいない日にも彼がここに出没しているとは思わなかった(しかも気温は10℃ちょっと。まだコートが必要) 今日だけいつもと違うのは、オリジナルマスクを着けていることだ。 久しぶりに日本語の歌を目の前で歌ってくれたので、チップを出そうとしたところ、ロバートが「いらない、いらない」と言う。「なぜ?」と聞くと「今はソーシャル・ディスタンシングが叫ばれているからいらない。それより経済が早く回復してもらうことを願っている」とクールに言い放ち、次の通行人のもとへと去って行った。 さらに駅に向かって歩を進めると、今度はさっきまでシーンとしていたのに、突然大音量の音楽が聞こえてきた。派手な三輪のスポーツカー、スリングショットが信号待ちをしている。音楽はそのスピーカーからだ。 曲は、フランク・シナトラの『ニューヨーク・ニューヨーク』。 田舎からやって来た男性がこの街で一旗揚げるぞ、と意気込む希望の曲だ。この曲はニューヨークでは、イベントやエンターテインメントが終わった後、成功を記念してかかるお決まりで、毎年大晦日のタイムズスクエアのカウントダウン後の定番曲でもある。 筆者が最後にこれを聴いたのは、ちょうど同じ場所で2019年の大晦日のカウントダウンだ。 このスリングショットを走らせるのは、ニューヨーク州ロングアイランドから運転してきたマットさん。景気付けにやって来たようだ。 人のいないタイムズスクエアで、偶然出くわした『ニューヨーク・ニューヨーク』。 たった2、3人の通行人と共に聴く。 映画みたいなことが、いいことも悪いことも、 今ここニューヨークで起こっている。 [All photos and video by Kasumi Abe] All images and text are copyrighted. 本稿はYahoo! Japan News個人からの転載。無断転載禁止

新型コロナウイルスに関するNY最新現地事情まとめ(2)ニューヨークにアジア人差別はある?篇

旅行、もしくは仕事や留学でニューヨークを訪れる方も多いと思います。いくつか関連記事を書いているので、ここでまとめたいと思います。 第2回目は、日本人として気になる「アジア人への差別はありますか?」について。 これはコロナ以前から、日本から視察や観光で来られた方にたまに受ける質問でした。 私の答えは「人の心の中までは知る由がありませんが、実際に私が直接感じたあからさまな差別はニューヨークでは特に思い出しません」ということです。 私が住むニューヨークとは違いますが、ロンドンやパリではびっくりする出来事が、たったの数日の滞在でいくつかありました。 例えば、2018年に訪れたロンドンのハイエンドなアフタヌーンティの店で、テーブル待ちをしていた時のこと。謂れ無き理由で白人の年配のカップルに待合室の椅子を強制的に譲るように、スタッフに言われてびっくりしたことがありました。ニューヨークでは感じたことがない経験でした。この時に移民の国と、王族・貴族の由緒ある国でのアジア人(観光客)の扱い方の違いを身近に感じました。 フランス、パリでもちょっとした意地悪をお店のスタッフにされたことがあります。 ただ、ロンドンでもパリでも差別をする人は「一部の心ない人」だと思うので、私はそれくらいでその国の人々を嫌いになったりはしません。ただ「この国ではそういうことが起こるんだ…」っていう程度の感想です。 またアメリカでも15年以上前のことになりますが、中西部でこんなことがありました。 その街では白人がほとんどで、アジア人は滅多に見かけません。友人(白人)とダイナーでご飯を食べていた時、隣のテーブルに2人組の女性が座りました。うち1人が私をチラッと見て「そう言えば、私最近、中国人に仕事を取られたのよねぇ〜」と話しはじめました。私を中国人と思って言った言葉であることは間違いありませんでした。 18年間、海外に住んでいますが、今思い出す差別はこれくらいです。 (細かいこと言えば〜の対応が悪かった、などはありますが、社会的立場の高い教養のある方から差別や失礼な態度を取られたことは一度もありません) 今回、新型コロナウイルスが中国から発生したということで、私もアジア人として嫌がらせを受けたりしないかと初めのころは身構えていたのですが、特に何も起こっていません。 ただ1月末に1度だけ、ちょっと嫌な気持ちになったことはあります。 電車に乗っていた時、向かいに東欧系の言葉を話す白人の女性2人が座っていました。チャイナタウンの駅で中国系の女性が乗車し2人の女性の隣に座った時、そのうち1人が笑いながらタートルネックを鼻の上まで引き上げました。私はその瞬間、眠ったふりをしました。見ていられなかったのです。しばらくするとタートルネックは降ろされていたのでほんの冗談のつもりだったとは思うのですが、同じアジア人としてまったく良い気はしませんでした。 でもこの出来事も後でよく考えてみると、差別をしたのは「ニューヨークの人ではない」というのがポイントかと思います。ニューヨーカー(ここに長く住む人々を含む)は、多様性の中で生きているので「普通の人」は差別などしないです。 それでもたまに差別や憎悪犯罪が起こるとしたら、それはもう「事故」にあったようなものでしょう。 (以下は、Tabizineに寄稿した記事の一部を抜粋します) ヨーロッパなどでは言われなき差別をアジア人が被ったというような話がよく聞こえてきます。 ニューヨークは移民の街であること、アジア人がもとから多いことなどから、私自身も、周りの友人も特に目立って大きな差別を受けていません。 クオモ知事も、このようにツイッターで発信しています。 「ニューヨークの街の強さは多様性だ。ここにはヘイトなんて起こるスペースは1mmもない」#NoHateInOurState マスクをしていることで「病気を移さないで」とからかわれたことがある人もたまにいるようなので、病気でなければニューヨークではマスクを着けない方がいいでしょう。 正気でない人が、アジア人に向かって嫌がらせをしている様子がたまにソーシャルネットワークなどに上がってきますが、そのような正気でない人はきっと全人口の一部だと思いますので、それを気にしてニューヨーク行きを諦めるのはもったいないです。 【新型コロナウイルス:速報】感染者急増のニューヨーク最新現地事情と渡航情報 3.11.2020 Coronavirus is NO excuse for racism. This assault is disgusting & I am directing the State Police Hate Crimes Task Force to assist in the investigation to make sure…

新型コロナウイルスに関するNY最新現地事情まとめ(1)マスク篇

旅行、もしくは仕事や留学でニューヨークを訪れる方も多いと思います。いくつか関連記事を書いているので、ここでまとめたいと思います。 第1回目は日本でも品切れの「マスク」事情について。   2月3日(月)の週になって、ドラッグストアにマスクを買いに行ってみたところ、見事に売り切れ状態でした。 マスク姿は「ウイルス持ち」「病気」のようなイメージを人々に与えかねないため、滞在中に予防用マスクをする際は十分気をつけましょう。 【新型コロナウイルス:速報】ニューヨークの最新現地事情とアメリカ人のウイルス防止対策 (2.8.2020) これについては、マスク姿のアジア人女性と男性が地下鉄の駅でいざこざになり、女性が男性に暴行されているところがSNS上で拡散され話題になりました。2人の間に何が起こったかは知る由がありませんが、中にはピリピリしている人もいるのは間違いないでしょう。 また私の知り合いの女性も先日地下鉄の駅で、防止用のためにマスクをしていたところ、通りすがりの女性に「病気を移さないで」と言われたそうです…。   街中や電車内でマスクをしている人はほんの一部(筆者の感覚では0.5〜1%ほどの割合)なので、おそらく転売業者などが買い占めているか、華僑が自身で使用したり、中国の家族や親戚に送るなどしているのかもしれない。 価格はやや高いが(2枚で5ドル=約500円)、路上などでは現在このように販売されていたりもする。 NYで初の感染者、全米で死者6人 パニックで水や米の買い占め騒動に? (3.3.2020) マスク不足と言っても、あるところにはあるんですよね。(箱から出されたマスクの衛生面が気になるところですが…) ちなみに私は、2月上旬に薬局でスタッフに尋ねたところ、始めは「売り切れ」と言われたのですが、後で倉庫の隅に残っていた「最後の1個が残っていた」と持って来てもらいゲットでました(上写真)。 アメリカ国内には需要に応じて、4,300万枚のマスクの供給準備があり、今後もさらに製造、入手可能の予定。 (その後、マイク・ペンス副大統領が「医療関係者や感染の疑いがある人以外は、マスク着用の必要性はまったくない」とフォローし釘を刺した) 新型コロナで初の死者も専門家により封じ込めに自信 「パニックになることは何もない」トランプ大統領 (3.1.2020) CDC(アメリカ疾病管理予防センター)では「マスクは健康な人には必要ない」と発表されています。そういう事情で、感染者が出たニューヨークでもいまだにマスク率は低いです。私もまだ、マスクは着けたことはありません。 以上、旅行や滞在の際の参考になれば幸いです。 (Photos and text by Kasumi Abe) 無断転載禁止