最多メダル米から見た東京五輪【まとめ】夏冬二刀流選手に、世界記録更新した選手は…

8日、東京オリンピックが幕を閉じた。 米オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)の発表によると、今大会には205の国と地域、国際オリンピック委員会(IOC)の難民選手団から、代表選手1万1650人以上が出場した。 メダルを獲得したのは、前回のリオ大会の86の国と地域をさらに上回る、史上最多の94の国と地域からの代表選手団だった。 ◆数字で振り返るUSチーム (USOPC発表) アメリカの代表選手数 626人 メダル数(世界最多。96年以来7大会連続) 113個(金39、銀41、銅33) メダリスト数 257人 うち29人が複数のメダルを獲得、7人は複数の金メダルを獲得 団体競技で27のメダルを獲得。女子バスケ(7大会)、男子バスケ(4大会)、女子水球(3大会)の連勝記録を更新 メダリストの男女比(トランスジェンダーの選手含む) 女性アスリート:164人 男性アスリート:93人 メダリストの最年少 17歳 メダリストの最年長 56歳 選手村滞在の平均日数 13日間 大会期間中の新型コロナ陽性者 代表選手および関係者1600人のうち、陽性判定は2人 すべてチームUSAに限った人数 ◆選手別ハイライト アリソン・フェリックス選手(陸上) 2004年のアテネ以来5度目のオリンピックとなったアリソン・フェリックス選手は、今大会で女子4×400mリレーで金メダル、個人400mで銅メダルを獲得。 オリンピックメダル総数は11個(金7、銀3、銅1)となり、カール・ルイス元選手(10個)を抜いて米オリンピック陸上史上もっとも多いメダル数となった。35歳のフェリックス選手は五輪キャリアに幕を閉じることを表明しており、今大会で有終の美を飾った。 シモーン・バイルス選手(体操) リオ大会で4個の金メダルを獲得した体操女子のエース、シモーン・バイルス選手は、今大会でもメダリストとして有力視されていた。しかし過度な期待を背負ったことにより調子が狂い、メンタルヘルスを理由に団体総合決勝(銀メダル)と個人総合決勝を棄権した。後半は立て直し、種目別平均台で銅メダルを獲得し、オリンピックのメダル獲得総数は7個(金4、銀1、銅2)となった。 体操選手としては、シャノン・ミラー元選手と並ぶ、オリンピック史上もっとも多いメダルを持つ選手となった。 エディ・アルバレス選手(野球) 今大会で侍ジャパンに敗れ銀メダルを獲得したアメリカの野球チーム。中でもエディ・アルバレス内野手は、異色の経歴の持ち主だ。 2014年のソチ冬季五輪で、ショートトラック・スピードスケート男子5000mリレーで銀メダルを獲得しており、夏季と冬季の両大会の二刀流メダリストとして、オリンピック史上6人目(アメリカ人としては3人目)となった。 普段はMLBのマイアミ・マーリンズに所属している。 ◆世界記録を塗り替えた選手 ケイレブ・ドレッセル選手(水泳) ケイレブ・ドレッセル選手は、今大会で5個の金メダルを獲得した(4×100mメドレーリレー、4×100mフリースタイルリレー、100m自由形、100mバタフライ、50m自由形)。前回のリオ大会と合わせて7個の金メダリストとなった。100mバタフライでは、世界記録を更新した。 シドニー・マクローリン(陸上) シドニー・マクローリン選手は、今大会で陸上女子4×400mリレーと400mハードルで2つの金メダルを獲得。400mハードルは、これまでの世界記録を塗り替えた。 そのほか、東京オリンピックで塗り替えられた記録と世界中の選手たち(参考:ニューヨークタイムズ) ◆そのほか 惜しくも決勝で日本が負けた女子バスケットボール。アメリカの強さは健在だった。中でも、2004年のアテネ以来、5大会連続で出場しいずれも金メダルを獲得しているスー・バード選手とダイアナ・タウラシ選手は、今大会で5つ目の金メダルを獲得。オリンピックのバスケ選手として、史上もっとも勝利を収めた選手となった。 カリッサ・ムーア選手は、新競技の女子サーフィンで、初の金メダルを獲得。 女子バレーボールはこれまでどうしても金メダルに到達できなかったが、今大会で念願だった初の金メダルを獲得した。 サラ・ロブレス選手(重量挙げ)は、リオと東京の2大会で2つのメダル(銅)を獲得した初のアメリカ人女性選手となった。 ザンダー・シャウフェレ選手とネリー・コルダ選手(共にゴルフ)は、男女のゴルフ個人タイトルを独占し、アメリカ人として121年ぶりに個人種目でオリンピック金メダルを獲得した。 レスリングチームは、1984年以来最多となる9個のメダルを獲得した。 メダルを取った選手、取れなくても最善を尽くした選手・・・。ほかにも、国籍問わず多くの選手が希望と勇気を与えてくれた。 24日から始まる東京パラリンピックでは、さらにどのような感動が待っているだろうか。 オリンピック・パラリンピック競技大会概要  第32回オリンピック競技大会(2020/東京) 7月23日~8月8日 33競技…

米オリンピック視聴率激減が示すこと。アメリカ人は本当に五輪を観なくなった?それとも・・・

オリンピックのアメリカ放映権を持つ米NBCユニバーサルにとって、コロナ禍の東京オリンピックは最大のチャレンジとなっているようだ。 同社は2つの放送ネットワーク、6つのケーブルチャンネル、そしてストリーミングプラットフォーム「Peacock」で、合計7000時間に及ぶオリンピック放送をするために、10億ドル(約1000億円)以上もの巨費を投じたとされている。 それにも拘らず、8月3日の夜までの平均視聴者数は1680万人。もっとも視聴率が高かった日は先月25日で、それでも2000万人強だったとニューヨークタイムズが報じた。 アメリカの人口は日本の3倍の約3億3000万人だ。​​1680万人という数字が低いと見るか高いと見るかは人それぞれだが、少なくとも2016年のリオ五輪の同時期の数字、2900万人と比べてみても、1220万人も激減したことがわかる。 視聴率の低迷と言えば、先月23日の開会式もそうだ。NBCは朝の時間帯とゴールデンタイムを使って開会式の模様を伝えたが、視聴者数はテレビとストリーミングの両方で1700万人弱だった。こちらの数字も、開会式として過去33年間で最低値だ。 フォーブスによると、これまでの開会式の視聴者数は、平昌オリンピック(2018年)が2830万人、リオオリンピック(2016年)が2650万人、ロンドンオリンピック(2012年)が4070万人、北京オリンピック(2008年)が3490万人だったので、それらと比べても東京オリンピックの数字はかなり少ない。 視聴者数が低迷すればNBCユニバーサルはメイク-グッズ(広告主に無料広告で補償)しなければならない。同社は現在、広告主の一部に無料広告を提供するための提案中だと、ニューヨークタイムズは報じている。 今大会の視聴者数は開会式も試合開始後も激減しているが、それでもオリンピック放送自体がほかのエンタメ番組より高視聴率だという。例えば、CBSテレビの高視聴率番組『ビッグ・ブラザー』でさえ、最新の視聴者数は400万人を下回っている。 またNBCによると、パンデミック以降のゴールデンタイムの単独のエンタメ番組としては、今大会の開会式は、2番目に多い視聴者数だ。トップはオプラ・ウィンフリー氏によるヘンリー王子とメーガン妃の暴露インタビューだった。(高視聴率のスーパーボウル後に放送された番組を除く) 視聴率低迷の要因とは? 過去のオリンピックに比べて東京大会の視聴率が激減していることについて、各メディアが要因を探っている。 パンデミックによる1年の延期に加え、無観客試合、一部の選手の陽性反応、日本の世論の反対運動などのネガティブなニュースが人々のオリンピックに対する情熱を削ぎ、視聴率を低迷させた可能性は否定できない。 また、人気選手の欠場や早期離脱が相次いだことも影響がありそうだ。薬物検査で大麻の陽性反応があり、資格停止処分を受けた陸上のシャカリ・リチャードソン選手をはじめ、療養のためオリンピック出場を見送ったバスケットボールのレブロン・ジェームズ選手、出場はしたものの不調だった体操のシモーン・バイルス選手やテニスの大坂なおみ選手などだ。 ほかにもさまざまな声は上がっている。例えば、オリンピックのスケジュールが複雑すぎて視聴者が観たい試合を見つけるのが難しかったり、NBCの本放送で気が散るような分割画面の広告が多いことも酷評されている。 しかしもっとも大きな要因として、どうやら人々の視聴習慣の変化が影響しているようだ。アメリカ人、特に若い世代の人々は従来のテレビ視聴習慣からパソコンやスマホ上でのストリーミングの視聴習慣にシフトしている。 これを裏付けるものとして、NBCのウェブサイトやアプリでの平均視聴率は、リオオリンピック(16年)で72%、平昌オリンピック(18年)で76%も増えた。 実際に筆者の周りを見ても、年齢層が高い家庭のリビングルームにはテレビがある(だいたい壁に取り付けられている)が、筆者が以前勤務していたIT企業の同僚(主に30代以下)は7年前の当時でも、誰一人テレビを持っていなかった。大学生に最近話を聞く機会があったが、彼らのようなZ世代はあまりニュースや世界の出来事に関心がない。それでもパンデミック以降、新型コロナの最新情報を入手するために両親の加入するケーブルを観ることが増えたというが、基本的にはYouTube、Netflix、TikTokなどで情報収集するとのことだった。 Netflixをはじめとするストリーミング・プラットフォームが伝統的なテレビの優位性を奪い始めたころでも、ライブ試合やイベントの生放送はやはりテレビが強かった。しかし最近では、NBAなどスポーツ試合やアカデミー賞などの大型イベントでさえ、テレビ視聴率が低迷していることが伝えられている。 フォーブスによると、今年のNBAファイナルの視聴者数は、短縮された昨年シーズンよりは多かったものの、パンデミック前に比べるとはるかに少なかった。また先月のMLBオールスターゲームの視聴者数は、過去最低だった2019年からわずか1%しか増加せず、年間でもっともテレビで視聴されるスーパーボウルは今年、過去10年以上でもっとも少ない視聴者数を記録した。 アメリカでテレビ放送にあまり元気がない分、ソーシャルメディア上は賑やかだ。NBCユニバーサルのTikTokのオリンピックチャンネルのフォロワー数は、開会式以降348%も増加した。 つまりコロナ禍の影響も多少はあるが、深刻な視聴率低下はテレビ全体で起こっていることで、オリンピックに限ったことではないようだ。 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

メダル候補の失速とメンタルヘルス── 大坂なおみ選手は「うつ」なのか?英語の意味を米心理療法士が解説

アメリカの体操の女王も不調 オリンピックにはやはり魔物が棲んでいる? 東京オリンピックでは、日本をはじめとする各国選手が続々とメダルを獲得する中、メダルの有力候補だった選手も次々と敗退している。 体操で過去4つの金メダルを持ち今大会でも有力候補のシモーン・バイルス(Simone Biles)選手もそうだ。開会以来、着地で幾度となくバランスを崩すなど本来の実力を思うように発揮できず、27日団体総合決勝で途中棄権した。チームとしてはロシア五輪委員会(ROC)に破れ、銀メダルを獲得した。 途中棄権の理由についてバイルス選手は、身体的な問題ではなく「自分のメンタルヘルス(心の健康)を保つため」と話した。また「頭で考え過ぎてしまっている」「年齢を重ねるごとに緊張するようになった」と、絶対王者らしからぬ不安な気持ちが露呈した。 スター選手を擁するアメリカの体操チームは、選手村に入らず選手にホテル滞在をさせるなど、体と心の健康に配慮し手厚い環境を整えている。開会式にも出席せず、こぢんまりとセレモニーを行うなど徹底した新型コロナの感染防止対策で準備万端だったはず。しかし、現実は厳しいようだ。 これについてCNNは、「バイルス選手の感傷的なインタビューが、オリンピック選手のメンタルヘルス問題を人々に投げかけた」と報じた。 バイルス選手がメンタルヘルスの話をしたのは、筆者にとって目新しいことではなかった。4月にオンラインで開催された「チームUSAサミット」では、1年以上に及ぶパンデミック中の選手のメンタルヘルスが1つのトピックだった。バイルス選手も微笑みを浮かべリラックスした表情で登場したが、「昨年は非常にナーバスな時期もあった」と、揺れ動いた胸の内を明かしていた。 新型コロナの感染拡大、ロックダウン、練習場の閉鎖、オリンピックが延期か中止か・・・精神的なショックが続き、まるで出口の見えないトンネルをさまよっているかのような時間を過ごしてきたという。そろそろ引退を考える年齢(24歳)にさしかかっていることも言葉の端々で匂わせた。体操選手としての自身の限界を感じているのかもしれない。 バイルス選手は29日に個人総合決勝が予定されており、28日はメンタルの休息にあてるようだ。メダルの女王として、なんとか最後の踏ん張りを見せてほしい。 Updated: バイルス選手は28日、個人総合決勝出場の辞退を発表。 大坂選手のメンタルヘルス問題。本当に「うつ」なのか? メンタルヘルスの問題と言えば、テニスの大坂なおみ選手もそうだ。 長期にわたるディプレッションを告白し、全仏オープンを棄権した​​大坂選手。その後、全英オープンも欠場して休養し、オリンピックで久々にコートに戻ってきたばかりだった。しかし27日の女子シングルス3回戦でミスを重ね、世界ランク42位のチェコ選手にストレートで敗れ、ベスト8進出を逃した。 全仏オープンの時期は日本のメディアで「うつ状態」と大きく報じられたが、その後スポーツ系の雑誌の表紙を水着姿で飾り、自身のバービー人形やNetflixのオリジナル番組がリリースされ、オリンピックの開会式で聖火台に火を灯す大役を果たした彼女に、「うつではなかったの?」「内向的な性格には見えない」と世間の風当たりは強い。 英語「Depression」の意味とは 大坂選手の言う「Depression」とはどういう意味なのか。ニューヨーク州ライセンスを持つメンタルヘルス・カウンセラー、心理療法士のダニエル・ファン氏(Daniel Huang, LMHC)に話を聞いた。 まずファン氏は、メンタルイルネス(精神障害、うつ、心の病気)について、「白か黒か(うつかうつじゃないかといったレベル)の話ではない」と言う。 症状の軽いものから自殺をするほどの重いものまで段階があり、診察なしでは言い表せないと言う。ファン氏が心の治療にあたっているハミルトン-マディソンハウスでは、入院治療までを必要としない患者を受け付けており、カウンセリングをした上で各人の症状に応じて治療する。 メンタルイルネスを引き起こす要因もさまざまだ。遺伝的なもの、性格的なもの、育った環境、職場や家庭のストレスなど外的なものなどが、複雑に絡み合う場合もある。自殺未遂を起こすほどの深刻な患者は以前は年間1、2人程度だったが、パンデミック以降、失業や孤立などのストレスが加わり、その数は10人ほどに膨れ上がっている。 大坂選手の症状として、どのような状態が考えられるだろうか。ファン氏は「直接診察していないし、自分はスポーツ専門のカウンセラーではないのではっきりしたことはわからない」と前置きをしながらも、「開会式の様子などを観る限り、自殺を考えるほどの重度の症状ではないように見えます」と言う。 ただし、重くないと言えど、心がどれほど病んでどれほど辛いかは他人には決してわからない。 大坂選手が発したツイートの中の一文:I have suffered long bouts of depression since the US Open in 2018 and I have had a really hard time coping with that.(2018年の全米オープン以来、私は長い間ディプレッションで苦しんでおり、対処するのにとても時間がかかっている)の解釈について、英語ネイティブの立場から、ファン氏はこのように答えた。 「Depressionをどう解釈するかは先ほど述べたように、人によって症状や状態が違うのでわからないが、この一文から私が感じることは、大坂選手の気分が良くない、普通ではない状態が、数日単位ではなく数週間、または数ヵ月という長いスパンで続いているというのは確かでしょう」 ツイート内容の訳語を含む関連記事 「気分の落ち込みは18年USオープンから」 大坂なおみ全仏棄権と衝撃告白、各界の反応は? 最後にファン氏は、スポーツ選手に限らず、一般の人々がメンタルヘルスを健康に保ち重症化させないために、このようにアドバイスした。 「人は落ち込んだ気持ちや悪い状態を隠す傾向にあるのですが、そのような状態は悪化する前に早めに告白してしまうのが良いです。その点では大坂選手は(自殺などを起こすような)重症化する前の段階で、自分がどのような状態にあるのか、どんな気持ちなのかを包み隠さずに話しました。良いお手本だと言えるでしょう」 オリンピック・パラリンピック競技大会概要 …

【東京五輪】開会式当日と翌日、米主要紙の一面を飾った話題は?

波乱の東京オリンピックがいよいよ始まった。 すでに日本をはじめとする各国選手が金メダルを獲得したり、メダルの有力候補と言われていた選手が思わぬ不調だったりと、感動や驚き、失望が起こっている。 筆者はこれまで、アメリカ在住の立場、およびUSチームのオンラインサミットに参加した経験から、日本のメディアにこのように聞かれることが度々あった。東京オリンピックについて「アメリカではどのように受け止められているのか?」「アメリカの人はどう思っているのか?」。 筆者の答えはこのようなものだった。 「春以降、少しずつメディアがオリンピック関連の話題を取り上げるようになった。特に主要紙のスポーツ記者は、金の亡者であるIOCの腐敗について非難し、コロナ禍での開催反対の立場を取っている。一方で一般の人々はと言うと、多くの人がオリンピックに関心を寄せていない。日々アメリカ国内の問題が山積みなので、オリンピックまで気持ちが届かないのだろう。しかし、大会が始まって自国の選手がメダルを取ったら目を向け始めるだろう」 これは街頭インタビューや、友人やパーティーで出会った人との会話から、筆者が感じたリアルな感想だった。日々さまざまな人に話を聞いてみても、オリンピックが直前に迫った時期でさえ「今度のオリンピックは北京だよね?」「今年開催?来年に再延期では?」など、日本からすると到底信じられないようなコメントが返ってくるのが1人、2人のレベルではなかった。それほどアメリカの一般の人々は、(開催まで)オリンピックへの興味や関心がもともと薄い。 もちろんすべての人ではない。少数派ながら「誰がメダルを取るかなど、オリンピックは気になる」と言う人や、「関心はあったけど、昨年延期が決まった時点で関心の糸が切れた。今年開催なら好きな競技はチェックする」と言う人もいる。 開会式の2週間前から、アメリカでの放映権を持つNBCがオリピック関連のCMを大々的に放送するようになり、機運が高まってきた。地方紙や深夜帯のテレビ番組までもが東京オリンピックのさまざまな問題やゴシップ(緊急事態宣言や選手の陽性判定、担当者解任・辞任、トイレ臭、選手村の簡易ベッドなど)を取り上げるようになり、(ネガティブな話題も含んだ)オリンピックムードが出てきたところだった。 実際に開会式が終わり、日本では評価が二分している。大絶賛する声が多いが、中には否定的な意見もあるようだ。果たしてアメリカは他国開催の開会イベントに興味を持ったのだろうか? 筆者は、東京オリンピック開催日の米主要紙の朝刊がどのような話題なのか気になり、いくつかかき集めてみた。 開会式当日の各紙朝刊一面 ニューヨークタイムズ (新型コロナ)ニューヨークが新型コロナでロックダウンをした時期に支えてくれたエッセンシャルワーカーの特集 (国際)アメリカ軍のアフガニスタン撤退関連 (新型コロナ)ワクチン未接種者が感染拡大につながっている、など ウォール・ストリートジャーナル (国際)香港で子どもを扇動する絵本の発行団体が逮捕 (ビジネス、製造)世界的な半導体不足が2023年まで続く可能性 (経済)経済回復においての有価証券取引について、など ニューヨークポスト (セレブ、ゴシップ)ラッパー、ドクター・ドレーの離婚した元妻の慰謝料 (新型コロナ、スポーツ)ナショナル・フットボール・リーグが選手に新型コロナワクチン接種を促す (同紙の裏表紙=日本の新聞の一面にあたる右サイドは、スポーツ記事の一面だ。この日の話題はMLBのヤンキース対レッドソックス戦で、ヤンキースのブルックス・クリスキー投手の負け試合について) これらの新聞は、ニューヨークエリアで流通している主要メディアの一部だが、一面にオリンピック関連の見出しは見当たらなかった。 スポーツ記事も、どちらかというとNFLやMLBの方に関心が寄せられているようだ。 ならば中面はどうか? スポーツ面でやっとオリンピックの話題を見つけた。 これらの紙面を見る限り、主にUSチームの選手にフォーカスした記事だ。日本で大騒ぎになったオリンピック・スキャンダルに関する否定的な記事は見なかった。 開会式翌日の各紙朝刊一面 開会式の様子はNBCにて、日本のリアルタイムの半日遅れの午後7時30分から深夜まで放送された。 その翌朝の新聞は・・・。 ニューヨークタイムズ (オリンピック)東京オリンピックが厳粛な空気に包まれ、無観客でいよいよ開幕 (国際)ハイチのモイーズ大統領埋葬など、暗殺事件続報 (新型コロナ)ワクチンのブースター(追加免疫。接種完了から数ヵ月経った後に再び接種するワクチン)の必要性 (新型コロナ)ニューヨーク市長が市の職員にワクチン接種を義務付け、など ウォール・ストリートジャーナル (オリンピック)1年遅れの東京オリンピック、空の会場で開始 (経済)暴落から一転し、NYダウが3万5000ドル超え (ビジネス、製造)電気自動車への移行 (新型コロナ)科学者による長引く新型コロナの謎解き デイリーニュース (オリンピック)史上もっとも奇妙な五輪が開幕 (事件、ローカル)ブロンクスの住宅敷地内から、幼児の歩行に必要な特別なスニーカーが盗まれる オリンピック関連は開会式の翌日、一面および中面で大きく取り上げられていた。記事の内容は「無観客の中で行われた、オリンピック史上稀に見る奇妙な大会」という趣旨だった。開催国からするとオリンピックが世界の一大行事よろしく思うかもしれないが、アメリカではほかにも新型コロナや経済ニュースなど、新聞が伝えたい話題や事件が山ほどあるため、俯瞰して見てみると開会式はほんの1つのイベント扱いだ。 ドローンやピクトグラムの演出を賞賛する声がソーシャルメディアで話題になっていたり、無観客で寂しい、奇妙、長いなどのハイライト記事、『イマジン』の歌詞についての否定的な記事などを見たが、日本の一部のメディアや知識人のようなネガティブな評価をしている記事は筆者が確認する限り見なかった。(専門家や批評家でもない限り、人々はそこまで他国開催の「開会式」に注視していない) 最低の視聴率か? CNNは23日、FOXスポーツの元幹部で、メディアコンサルタントのパトリック・クレイクス氏のコメントとして「今大会はこれまでの夏季オリンピックで、おそらく史上最低のテレビ視聴率になるだろう」との分析を紹介した。 ただし、あくまでもテレビ視聴率の低迷の危惧であり、ストリーミングやソーシャルメディアなどでの視聴や、ハイライト、選手のインタビューなどのコンテンツの視聴などが悪いとは限らない。 CNNによると、もし視聴率が大きく低迷すればメイク-グッズ、つまり広告主に無料広告で補償しなければならなくなる可能性があるという。ただし低迷といえども、今夏にテレビ放送されるほかのどの番組よりもオリンピックの視聴率は高くなるだろうと予想している。 今後メダル獲得数が増えるにつれ、オリンピックが気になってしょうがないという人も必ずや増えていくだろう。 オリンピック・パラリンピック競技大会概要  第32回オリンピック競技大会(2020/東京) 7月23日~8月8日 33競技…

「大丈夫、じゃなくてもいい」東京五輪直前、大坂なおみ選手が伝えたかったこと

テニスの大坂なおみ選手が米タイム誌の東京オリンピック直前特集号(19日)に手記を寄せ、8日電子版でも公開された。 大坂選手は全仏オープン(ローラン・ギャロス)直前の今年5月、ソーシャルメディアを通じて「記者会見でアスリートの心の健康状態が無視されている」と問題提起し、全仏中は試合後に会見を行わない意向を表明した。それが発端で思わぬ騒動に発展し、全仏オープンの棄権を発表。 その発表の際、実は2018年全米オープン以来、記者会見での記憶がトラウマとなり、気分の落ち込みや憂鬱な気分に長い間、悩まされていることを告白した。日本のメディアでも「うつ状態」などと大きく報じられた。 大坂選手はその後充電期間に入り、アメリカのスーパーに姉のまり氏と食品の買い物に行く姿などがキャッチされていた。また先月28日から今月11日まで開催の全英オープン(ウィンブルドン選手権)にも欠場している。一方、23日から始まる東京オリンピックには初出場する意向を示している。 関連記事 「気分の落ち込みは18年USオープンから」 大坂なおみ全仏棄権と衝撃告白、各界の反応は? タイムに寄せた手記で、大坂選手は5月以降の騒動をこのように振り返った。 人生とは旅です。 これまでの数週間、私の旅は予想外の道をたどりましたが、(その経験が)私に多くのことを教えてくれ、私に成長をもたらしました。私はいくつかの重要な教訓を学びました。 大坂選手の言う重要な教訓とは何だろうか。 学びその1: すべての人を喜ばせることはできない(全員の同意や理解、満足を得ることは難しい)。 自分が生きてきたたった23年間でも、世の中にあるたくさんの分断を見てきた。(昨年以降のBLM関連でも)自分にとっては明らかに不当な差別問題でさえ、さまざまな意見が分かれるのだから、精神的なケアのために、全仏オープンの記者会見を欠席すると発表した時、その後の展開について、覚悟しておく必要があった。 学びその2: 誰もが心の健康に関わる問題を抱えている。あるいは周りにそのような人がいる。 これは自分の下に届いた数多くのメッセージから知ったこと。私たちは皆、感情や情緒を持つ1人の人間である、という点でほぼ共通している。 また、自分の行動が誤解を招き人々を混乱させたのかもしれないが、プレス(記者やメディア)と記者会見が混同されていると分析している。 「自分は(これまで素晴らしい関係を築いてきた)プレスのことは大好きだが、すべての記者会見を好きなわけではない」と再度、明確に表明。その上で、大多数のテニスライターは同意をしていないが、彼女自身の個人的な意見としては「記者会見の形式自体が時代遅れで、刷新が必要」と再び問題提起をした。 家族や友人、励ましてくれた世間の人々、ミシェル・オバマ氏など彼女を支援してくれた各界の著名人、パートナーであるスポンサー企業らに感謝を表明しながら、自分の性格について再び、内向的で注目されるのは苦手と改めて告白した上で、「自分がこれは正しい(&間違っている)と思うことは自分を奮い立たせて発言するようにしている」と言う。しかしその結果、代償として大きな不安に襲われることがよくあるとした。 「大丈夫、じゃなくていい」 彼女がもっとも強調したかったであろうアスリートのメンタルヘルスについて、個人的な症状や病歴はプライバシーの観点から二度と開示したくないし、メディアにもその辺は聞かないでほしいと釘を刺した。さらに、「自分にとっては新たな分野で、いつもはっきりした答えが自分にあるわけではない」としながら、 大丈夫、じゃなくてもいい。 辛い時には辛いと言っていい。 このように人々に共感してもらい、メンタルヘルスに対する人々の理解がより深まることに期待を寄せた。 競泳の金メダル保持者、マイケル・フェルプス選手に「あなたが話すことで命を救ったかもしれない」と言葉を送られたエピソードも紹介し、このようにも語っている。 もしそうであれば、(自分の症状を告白するだけの)価値がありました。 助けてくれる人はいるし、どんなトンネルの先にも光はあるものです。 東京オリンピックに寄せて 手記の中には、迫り来る東京オリンピックについても言及している。 この数週間、大切な人と時間を過ごして充電し、反省すると共に前を向くことができました。東京でプレーできることをこの上ないほど楽しみにしています。オリンピック自体が特別なものですが、日本のファンの皆さんの前でプレーする機会を得られることこそが夢のようです。皆さんに誇りに思っていただけるようなプレーをしたいです。 気分の落ち込み、反省、そして充電を経て再び心身ともに強くなった大坂なおみ選手が誕生したようだ。日の丸を着けた大坂選手の、東京オリンピックでの活躍が楽しみでならない。 Naomi Osaka | Official Trailer | Netflix 今夏「Naomi Osaka旋風」到来の予感! 今月16日より、ネットフリックスで大坂なおみ選手のドキュメンタリーがスタートするとして、アメリカでも大注目されている。 予告編で大坂選手は、幼少時の家族の写真なども交え「母はいつも残業し、時には車内泊をするなどし、子どもたちのために自分を犠牲にしてきた。そんな母を自分がテニスをすることで救い、母には幸せになってほしかった」と振り返っている。大坂なおみ選手の知られざる生い立ち、強さの秘訣、テニス選手だけではない1人の女性としての一面も垣間見られそうだ。 関連記事 「気分の落ち込みは18年USオープンから」 大坂なおみ全仏棄権と衝撃告白、各界の反応は? 大坂なおみ、女子スポーツ界長者番付で世界トップ&年収で新記録樹立! 米メディア発表 大坂なおみ優勝 黒人差別に対するメッセージも含め米メディアはどのように報じたか 大坂なおみ選手と重国籍問題 アメリカ国籍を選んだ「元日本人」に聞いた 大坂なおみ「世界トップアスリート」に。米紙に語った「私にとって、もっとも大きなことは・・・」 大坂なおみ帰国会見「自身のアイデンティティについてどうお考えですか」 インタビュアーとして思うこと Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース…

緊急事態宣言が東京五輪の1ヵ月前まで延長。米メディアはどう報じたか

東京オリンピック・パラリンピックまで60日を切った中で、日本政府が発表した6月20日までの緊急事態宣言の延長について、アメリカの主要メディアも続々と報じた。 ◇ 公式パートナー「朝日」も大会中止を求める ニューヨークタイムズは「Japan extends a state of emergency until one month before the Olympics.」(日本は緊急事態宣言をオリンピックの1ヵ月前まで延長)と報じた。 同紙は、朝日新聞が行なった最新の世論調査結果を引用し、回答した人の83%が今大会の延期または中止を望んでいることや、朝日新聞がオリンピックの公式パートナーであるにも拘らず、菅首相に対して大会中止を求める社説を今週掲載したことなどについて紹介した。 また、関係者による最新コメントとして、以下のように触れている。 「理事会では誰も、大会を中止または延期にすべきという見解を明確には述べていない」 「新型コロナウイルスの症例数が減少するにつれて、世論は『改善するだろう』」 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長(27日に行なった記者団との懇談にて) ◇ 利害関係に動機付けられ開催の確固たる姿勢を維持 一方ワシントンポストも「As Olympic opposition intensifies, Japan extends coronavirus state of emergency until late June」(オリンピック反対が高まる中、日本は緊急事態宣言を6月下旬まで延長)と報じた。 同紙も、朝日新聞による最新の世論調査と社説を紹介しながら、IOC(国際オリンピック委員会)について「(それでも)莫大な財政的な利害関係に動機付けられた東京大会を開催するという、確固たる姿勢を維持」と述べた。 同紙も、関係者や有識者の最新コメントとして、以下のように触れている。 「東京はオリンピック史上最も準備の整った主催都市だ」 (アスリートへのコメントとして)「大きな自信を持って来日し、大会に向け準備をしてください」 IOC、トーマス・バッハ会長(27日) 「大会まで60日を切った。大会がもし中止ということになるのであれば、それはもっと早くに決まっていたはずだ(大会中止の可能性を否定)。私たちは今、大会実現に向かっているモードだ。開催のための運営手順はすべて進行中」 (万が一、開会式まで東京の緊急事態宣言が延長された場合でも) 「大会は(開催に向け)進められるだろう。なぜなら緊急事態宣言はバブル(試合会場や選手村、選手や関係者が、外部の一般市民との接触を遮断されていること)の外側で行われるし、関連施設および周辺は厳重に(感染防止対策が)整えられる予定だから」 IOCの最古参委員、ディック・パウンド氏(27日の電話インタビューにて) 「IOCは世論に注意を払いながらも、内部で世論調査も実施している。外部からの批判により決定を左右されることはない」 「最新の科学に基づいての開催決定であり、大会実現に向け進められれば、否定的な声が多く集まってくる(のも避けられない)」 「(ワクチン接種済みの選手や関係者数は)*非常に多く、増えている」 IOCの広報担当責任者、マーク・アダムス氏(今月初め) *(同紙は、IOCが選手村を利用する大半の選手や関係者が新型コロナのワクチン接種を済ませていることを期待しているが、IOCが接種済みか否かをどのように把握しているのか、そもそも把握自体をしているのかなどについては不明としている) 「1年間かけてコロナの感染防止策を学び、ワクチン接種が浸透したことで、オリンピックに向けて楽観的に考えられるようになった」 「我々は昨年オリンピックが延期されて以来、長い道のりを歩んできた。よって大会は無事に、そして安全に開催できると思う。しかしながら当然、多くの作業が伴う」 「アスリートたちがマスク着用やソーシャルディスタンスなど(*プレイブックに明記された)一般的な感染防止策をきちんと理解し、それに従うことが重要だ。また、選手村ではその情報が多言語でしっかりと伝えられる必要がある」 新型コロナウイルスの感染者情報を公開しているジョンズ・ホプキンス大学の上級研究者で、2004年アテネオリンピックの銀メダリスト(水泳)、タラ・カーク・セル博士 * プレイブックとは?(日本語の第2版) オリンピック代表選手や関係者に共有されているルールブックのこと。選手および大会に関わるすべての関係者がルールを1つ1つ頭に入れ、厳密に従うことが大会を安全に開催するために最も大切とされている。…

米「日本への渡航中止勧告」が意味すること 米英メディアはどう報じたか

東京オリンピックを2ヵ月(8週間)後に控えた24日、アメリカ国務省は、日本で新型コロナウイルス感染者が増加し緊急事態宣言の延長が検討されている状況を鑑み、国民に対して日本への渡航中止を勧告した。 この勧告は、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)が日本への渡航警戒を最高レベルの4(Do Not Travel)へ引き上げたことを受けたもの。 この日、渡航中止勧告(レベル4)を受けたのは日本だけではない。感染が拡大するスリランカもそうだ。レベル4の対象国は現在かなりの数となっており、メキシコ、ブラジル、トルコ(すべて2021年4月20日)、インド(2021年5月5日)など、さまざまな国が渡航を控えるよう勧告を出されている。 米国務省のウェブサイトでは、それぞれの国への渡航勧告状況を発信。 (台湾はレベル3、中国はレベル3、韓国はレベル2など) ↓ アメリカから国外の渡航警戒情報 ただしレベル4だからといって、その国への渡航が禁止されているわけではない。国務省のウェブサイトには「(それでも)もし渡航する際は、するべきこと」とした上で、例えば日本への渡航が避けられない場合は、在日米国大使館やCDCが発信する関連情報を注意深くチェックした上で、健康管理に留意し、かかりつけの医者に渡航について相談することなどを勧めている。 米英メディアは渡航中止勧告をどう報じたか? 日本にとって今回の渡航中止勧告で気になるのは、オリンピックからわずか2ヵ月(8週間)前という微妙なタイミングだろう。米英メディアはこの勧告がオリンピック・パラリンピックに与える影響についてどう見たのだろうか? 「US issues Japan travel warning weeks before Olympics」(オリンピックの数週間前に米国が日本旅行を警告)と報じたのは英BBC。「レベル4の勧告にも拘らず、米オリンピック関係者は、米代表選手が安全に大会に参加できると確信している」とした。また、IOCのコーツ副会長による「東京がまだ非常事態下にあってもオリンピックは(開催に向け)進むだろう」とのコメントにも触れ、「日本の人々は外部からのプレッシャー、つまり”gaiatsu”(外圧)なくしてオリンピック中止はないだろうと考えており、今回の渡航中止の勧告が、米国代表チームがオリンピック出場を取りやめる前兆になることを望んでいるだろう」と報じた。 また記事では、「アスリートではなく人として考えるならば、もし人々が安全を感じることができない大会ならば、それは大きな懸念事項だ」と、日本に住む人々の気持ちに寄り添ったテニスの大坂なおみ選手のコメントも改めて紹介した。 米メディアもこぞってこの件について報道している。 CNNは「US citizens warned not to travel to Japan as Tokyo Olympics near」(東京オリンピックが迫る中、米国市民に日本への渡航中止を警告)という見出しで、大会開催は「ますます高いハードルに直面している」と報じた。まだ5%にも満たない日本でのワクチン接種の遅れを指摘し、オリンピック反対の声が上がっている日本の現状も触れた上で、前述のレベル4の意味合いなどを紹介した。 ニューヨークタイムズ紙は「With Tokyo Olympics Weeks Away, U.S. Warns Americans Not to Travel to Japan」(東京オリンピックが数週間後となり、米国は国民に日本に旅行せぬように警告)という見出しで、日本の感染者数は欧米基準で考えると低いとしながらも、人々の多くはワクチン接種の遅れなど、政府の反応に不満を抱えていると報じた。 「米国からの選手団の派遣は関連しない」 ワシントンポスト紙は「Japan says US travel warning for virus…

米国代表はコロナ禍の今大会をどう受け止めているか? 東京オリンピックまで【100日】

4月14日、東京2020オリンピック(五輪)まであと100日となった。日本では聖火リレーが始まり、少しずつオリンピック・パラリンピックムードが高まっている。アメリカでも同競技大会に向け、メディアを対象としたサミットが開かれた。 米オリンピック・パラリンピック委員会(The United States Olympic & Paralympic Committee)が主催した「Tokyo 2020 Team USA」(4月7日〜9日)は、コロナ禍により初のオンライン形式で行われた。全米各地や国外で最後の仕上げをしている代表選手約100人が参加し、委員会メンバーらと共に東京オリンピック・パラリンピック(以下オリンピック)への抱負を語った。 ここではサミット3日間のハイライトを紹介する。 安全面が第一優先 記者からもっとも質問が集中したのは、大きく2点だった。 1. 練習および競技をする上での安全対策 2. 昨年延期になったことによる精神面への影響、気持ちの立て直し、ロックダウンをどう乗り切ったか 安全面については、新型コロナウイルスのワクチン接種をしたか否かの質問が多く出た。アメリカの代表選手は一般国民と同様に、新型コロナワクチンの接種を奨励はされているが、あくまでも任意であり「義務」ではない。また、優先接種の対象でもない。 しかし選手に聞いてみると「すでに打った」もしくは「予約済みでもうすぐ1回目を打つ」などと答えた選手が多かった。万が一の副作用を考え、今の時期に済ませているようだ。「居住地で接種可能な年齢に達していない*」などの理由で打ってないと答えた選手もいたが、多くはワクチン接種に好意的な姿勢を見せた。「万が一自分が感染でもしたらチームや周りに迷惑をかけてしまうから、絶対にそれは避けたい」というのが理由のようだ。 * アメリカでのワクチン接種は各州主導で行われている。 また感染拡大防止策として、今大会は日本国外からの一般観客の受け入れはできないことになっている。つまり選手の家族は、日本で応援ができない。 初出場のリオで4つの金メダルと1つの銅メダルを獲得し、東京でもメダリスト有力候補の、体操のシモーン・バイルズ(Simone Biles)選手は、「再延期や中止の可能性を聞いたときはナーバスになったが、そこに住む人々の安全のために、国外の観客を受け入れない試合になるとアナウンスされてからは安心し、気持ちが随分と落ち着いた」と心の揺れを振り返った。 また、「オリンピックとは、普段はバラバラの各国の代表アスリートが一堂に集まりベストを尽くす場で、世界平和そのものだと思う。いい試合になるでしょう」と100日後を見据えた。 ほかの選手も概ね、海外からの観客受け入れ中止について「問題なし」という考えのようだ。 過去2度オリンピックに出場し、5つの金メダル、1つの銀メダルを持つ水泳のケイティ・レデッキー(Katie Ledecky)選手は、安全のために、またトレーニングに集中するために、この1年間家族の誰とも会っていない。 もちろん1日も早く家族に会いたいと本音を覗かせたが、もうしばらくお預けだ。それもこれも、すべてはオリンピックで「勝つ」ため。 「この数年間、毎朝コーチより『特別モーニングトレーニング』を受けてきた」とレデッキー選手。それは「前夜より翌朝、より早く泳ぐことができるようになる秘策の特訓」という。オリンピックというゴールが彼女の現在のすべてだ。コメントからは、大会への本気度、「勝つ以外に選択肢はない」ほどの揺るぎない自信が伝わってきた。 共にオリンピックに2度出場歴があり金メダル保持者の女子サッカー、ベッキー・サウアブラン(Becky Sauerbrunn)選手も「家族が試合を観に来ることができないのは残念だけど、故郷で応援してくれているから大丈夫。何より安全に試合を開催できることがもっとも大事なこと」と答えた。ミーガン・ラピーノ(Megan Rapinoe)選手も「祝いのパーティーは帰国してから、家族と共に!」と相槌を打った。 ロックダウンが与えた影響 次に、1年延期になったことがメンタルにどう影響したか、またロックダウン中のユニークな訓練方法などにも質問が及んだ。 選手は皆、口を揃えて「辛い1年だった」と、心の中の葛藤を明かした。昨年の大会がなくなり選手は「目標」を見失った。「再延期なのか中止なのか」や「延期の場合の時期」がしばらく宙に浮いた状態だったため、まるで暗いトンネルの中にいるような、不安で落ちつかない日々が続いたという。 「新型コロナで多くの命が失われ失業者も増えるなど、ロス(喪失)の1年だった」と振り返るのは、陸上のアリソン・フェリックス(Allyson Felix)選手。6つの金メダル、3つの銀メダル保持者で、5度目のオリンピックを迎える。先行き不安の状態で「気持ちが前に進めなかった」と言う。「でもそれを考えてもしょうがないので、気持ちをそこにフォーカスすることを止め、自分に今できることをしようと決めた」と言う。 まず、感謝日記をつけ始めた。感謝することを毎日見つけて書き留めることで、感情的にならずポジティブな気持ちでいられたと、心を安定させる秘策を披露した。また身体的には、ロックダウンで陸上トラックが使えない時期、あるときはストリートでまたあるときはビーチで「走ることができる場所ならどこでも」練習を続けた。「これまで近所をジョギングしたことはあったけどスプリント(短距離の全力疾走)はなかったので、ご近所さんも驚いたでしょう!」。 プライベートでは、2年前に女児を出産、一児の母となって初のオリンピックとなる。今年35歳の彼女は、「引退の時期はいつにするかは決めていないけど、今年は(自分にとって)最後のオリンピックを予定している。だからとても楽しみにしているし、自分のベストを尽くして頑張ります」と笑顔を見せた。 東京オリンピックで実施される33競技の中には、新たに「空手、ソフトボール、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン」の5競技が追加されている。 「日系アメリカ人としてこの国を代表し、日本で闘えることがとても楽しみ」と話すのは、空手のサクラ・コクマイ(Sakura Kokumai)選手。コクマイ選手は日本とハワイの両方で育った。「空手が大好きで、数年間このためにトレーニングしてきた」。追加種目になって喜んだのも束の間、延期が決まった時は「今後中止もあり得るかもしれず怖かった」。不確定の中でもロックダウン中は自宅ガレージにウエイトトレーニング、空手マット、鏡を備え付け練習を続けた。「日本の家族や知り合いが私を待ってくれているから、落ち込む時間はなかった。この1年でメンタル的に強くなった」。 ロックダウン中の練習については、ほかにも面白いエピソードが飛び出した。2度目のオリンピック出場となる柔道のアンジェリカ・デルガド(Angelica Delgado)選手は苦笑いしつつ「フィアンセを投げ飛ばしました」と、困難時に支えてくれたパートナーに感謝した。 ジムがクローズしたため、家族にベンチプレスの重りとして協力してもらった選手や、メンタルの維持について「充電の期間だと思い、一時期いっさいの練習をやめた。良いリセットになり、再びゴール=東京を目指すために頑張ることができている」と語った選手もいた。 日本の夏の高温多湿対策については、「出身地フロリダの湿気や暑さに慣れているから平気」(ラグビー、ペリー・ベイカー Perry Baker)選手や「いろんな場所で試合をしてきたので大丈夫。やるだけです!」(ミーガン・ラピーノ選手)など「問題なし」とした。 日本ファンも多い オリンピックは今回2度目で、3つの金メダル保持者の水泳、ライアン・マーフィー(Ryan Murphy)選手は、「日本食や五輪選手村の設備が楽しみ」と笑顔で語った。 「I love Japan!…

G7でワクチン承認されていないのは「日本だけ」だが、実は・・・。米紙はどう見た?

イギリスを皮切りにアメリカ、EU諸国、イスラエル、アジアでは中国、シンガポール、ネパール、ミャンマーなど、世界各国で次々と新型コロナウイルスのワクチンが承認されている。 そんな中、イギリスでの開始から2ヵ月経っても、未だに日本だけがG7の中で唯一「承認すらされていない」と、アメリカでも報じられている。 菅首相は2日、国内での接種開始を前倒しして今月中旬を目指す考えを示した。遅れにはさまざまな事情があるにせよ、世界に「大きく出遅れた」感は否めない。 1日(日本時間の2日)付の主要紙ワシントンポストは、Japan’s pharmaceutical industry is huge. But it was left behind in the race to get vaccines to Japanese citizens.(日本の製薬業界は大きいが、国民へのワクチン接種の(世界的な)競争で取り残された)と報じた。 記事にはこのようにある。 G7の中でワクチン接種プログラムの開始を待っているのは日本だけ。しかし裕福な国で、ワクチン接種が始まっていないのはオーストラリアと韓国も同様。 日本が大きく遅れを取っている理由についてまとめると、このような内容だ。 日本は、アメリカと中国に次ぎ3番目に大きな医薬品市場だが、パンデミック初期のころも厚生労働省は、精度に関する懸念から検査キットの導入に消極的で、検査開始に時間がかかった。現在も、国外からのワクチン調達に苦労しており、国内でのワクチン開発も大きく遅れている。承認されても浸透しづらいだろう。 その理由として、非常に慎重な官僚の文化、ワクチンの安全性に懐疑的な国民性、国内のワクチン業界の競争力の低さ、これまでの訴訟問題や議論、パンデミックへの準備不足、などを上げている。 以下は概要となる。 パンデミックへの準備不足: 厚生労働省は2016年の報告書の中で、すでに警告を発していた。それは『日本のワクチン業界は競争が激しくなく、ワクチンの安全性に対する国民の意識が低い。パンデミックが発生したら、日本は深刻な状況に直面するだろう』という内容だった。「この報告書は、パンデミックへの備え不足を警告していた世界中の報告書と共に棚上げされた」とある。 つまりパンデミックへの準備不足は、日本だけではないということだ。 ワクチン業界の競争力の低さ: WHOによると、世界中で臨床試験が行われている63のワクチンのうち、日本のものは1つ(アンジェス)だけ。しかし、それすら今年末までフェーズIIIの試験に入ることができない。 安全性に懐疑的な国民性と、訴訟問題: 1994年、日本政府は「ワクチンの義務化を放棄したが、同時にワクチンの安全性について国民に啓蒙することもやめてしまった」。これはどういうことかと言うと、予防接種法改正により、予防接種が社会防衛から個人防衛として大きく舵を切ったことだ。昭和時代の終盤に相次いだ予防接種禍訴訟が背景にある。2013年、比較的軽微な副作用で物議を醸した子宮頸がん予防のHPVワクチン接種の推奨も中止となった。 「これにより、数千人の命が(子宮頸がんによって)奪われた可能性がある」と記事にはある。日本人がワクチン接種による利点の方に目が向かないのは「『完璧さ』への期待、過ちへの不寛容、物事が完璧でない場合に責任の所在を明らかにする傾向など、さまざまな日本の文化に根ざしている」(在日経営コンサルタント)。 接種を様子見しているのは日本人だけ、ではない アメリカでの新型コロナウイルスのワクチン接種は、12月14日に開始した。筆者の住むニューヨークでも、フェーズごとに優先順位をつけて接種が進んでいる。フェーズ1aと1bまで(エッセンシャルワーカーや65歳以上)が接種可の対象となっており、2日よりタクシー運転手や飲食店の従業員もフェーズ1bの対象内となった。 ちなみに接種はすべて無料で行われている。「すべての人」が接種を受けられるのは当初第2四半期とされてきたが、最新の情報では「夏ごろ」になる見通しだ。ただし、最近になってワクチン不足が叫ばれ始めているので、その時期もずれ込むかもしれない。 アメリカの報道では、連日のように予防接種を受けたり接種会場に並んだりする人々の姿が映し出されている。一方、1日付のニューヨークポストでは「アメリカ人の半数が新型コロナワクチンを拒否または様子を見る」という、最新の調査結果が発表された。 カイザーファミリー財団(Kaiser Family Foundation)による世論調査では、ワクチン接種を希望する人の数は12月以降増加しているが、それでも51%の人が接種を「拒否または延期する」と答えた。約半数がワクチンの副作用や有効性に関する十分な情報がないと答えており、その内訳は31%が接種前にワクチンの有効性と副作用についてさらなる結果を見たいと述べ、13%は接種を拒否、7%は(旅行や就職などで)必要となった場合のみ接種するとした。一方で回答者の41%は、できるだけ早く予防接種を受けたいと答えており、その数は12月に比べて7%増加した。6%は世論調査が実施された時点(1月)で、すでに接種を受けていた。 また世論調査には、黒人とヒスパニック系の成人で若い世代は、情報不足に警戒しているが、これらの層の中にも先月以降、予防接種を受けたいと考え始めた人が増えているとある。 日本人の傾向としてワクチンに懐疑的と言われているが、同調査によるとアメリカの人も半数近くは接種に前向きだが、同数の人が足踏みしているということだ。ちなみにアメリカでは農村部に住んでいる共和党支持者ほど、接種にためらう傾向にあるという。 アメリカのメディアでは最近になって再び、東京オリンピックについての報道を見かけることも増えてきた。日本でのワクチンの承認や浸透について気になるのは、オリンピックの開催にも関わってくることになるからというのも一理あるだろう。 関連記事 【新型コロナワクチン】死者30万人超の米国 初接種の感想は?一般はいつから? (Text and photo by Kasumi Abe  Yahoo!ニュース…