「米大統領 国葬で14列目のワケ」「日本の天皇の姿も」… 米英メディア報じる

19日、ロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われたエリザベス英女王の国葬で、アメリカのバイデン大統領の席が後ろの方の14列目だったことが、米英メディアで報じられた。 各国の要人500人を含む2000人が参列したこの国葬での、バイデン大統領夫妻の席順について、米ニューヨークポストは「世界でもっとも力を持つ人物かもしれないが、エリザベス女王の国葬では最前列の席を確保することができなかった」と報じた。 厳重な警備と道路規制のため、会場への移動は、天皇皇后両陛下を含む世界中の多くの要人が大型の乗り合いシャトルバスを利用した。一方バイデン大統領は、セキュリティの理由から、専用リムジン「ビースト」での到着を認められた数少ない要人の1人だった。そのため「交通渋滞に巻き込まれて遅刻したようだ」と英ガーディアンは報じた。 事前に発表されていたスケジュールによると、500人の要人ゲストは、午前9時35分から午前9時55分の間に着席する予定だったが、バイデン夫妻が着席したのは午前10時5分だったという。流れが中断されぬよう、夫妻はすぐに席に通されず、着席までしばし待つことを余儀なくされた。 大統領夫妻が着席したのは通路側の14列目で、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領夫妻の後ろ、チェコ共和国のペトル・フィアラ首相夫妻の前、スイスのイニャツィオ・カシス大統領の隣だった。 通路を挟んで、チャールズ国王夫妻らが最前列に着席し、その後ろに英連邦でチャールズ国王を国家元首とする英国以外の14ヵ国の要人の席が続いた。そしてその後ろの方には、世界中のリーダーの席となっていた。ここでは、フランスのエマニュエル・マクロン大統領夫妻や、韓国のユン・ソクヨル(尹錫悦)大統領夫妻の姿もあった。 ガーディアンは「ホワイトハウスから依頼された特別扱い(ビーストでの到着)は、特に無理難題ではなかった」としたものの、(英国と親密な関係であるはずの)アメリカの大統領としてこのような席順になったことについては、「おそらく、要人を乗せたバスに便乗しなかったことによる結果だろう」とした。つまり、ほかの要人とは別行動での到着となったため、入りやすいよう、前の方でなく後ろの方の席が確保されたということのようだ。 「滅多に外国訪問しない天皇の姿も」と英紙 いくつかのメディアは天皇、皇后両陛下のご臨席についても、記事で触れた。 英インディペンデントは、「日本の天皇、徳仁(Japan’s emperor, Naruhito)のような、ロイヤルメンバーの姿があった。これらのロイヤルファミリーの多くは長年、英女王と所縁がある」とした。 ガーディアンは「参列者の中には、滅多に外国を訪問しない日本の天皇、徳仁(Japan’s emperor, Naruhito)と、愛子内親王(Princess Aiko)を出産後、宮内庁発表があった『適応障害』に苦しみ、公の場にほとんど出席していない皇后雅子(Empress Masako)の姿も目にした」として、記事を結んだ。 両陛下の席次について読売新聞は、ひつぎを挟んで向かい側の各国王室からの参列者席で「天皇、皇后両陛下は6列目」「隣はマレーシアのアブドゥラ国王だった」などと報じた。 写真を見る SNSでは「日本の天皇は両親の国葬を除いて葬儀に参列しないから、英女王の国葬に出席したのは非常に重要なこと」「ブータンの国王はいつも伝統的な衣装で良い。日本の天皇が英国式のモーニングスーツ(モーニングコート)を着ているのも好感が持てる」などの声が上がっている。 過去記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止

「英女王の国葬、市民の税金から」米有力紙が問題提起、SNSでヒートアップ。国葬費の意見

今月27日に予定されている安倍元首相の国葬。その費用が総額16億円以上になる見通しが示され、国民のさまざまな意見が上がっている。 国葬費用についての関心は、日本だけではない。 アメリカでは9月14日付の米ニューヨークタイムズが、The queen’s funeral will be paid for by British taxpayers.(女王の国葬は英国の納税者によって支払われる)という記事を発表し、物議を醸している。 今月19日にイギリス・ロンドンで予定されているエリザベス女王の国葬とその費用について、詳細はまだ英国政府から発表されておらず「いずれ公表される」とし、国(税金)による負担で「かなりの高額になるだろう」と、同紙は予想している。 過去の例を見ていくと、国葬ではなかったが、エリザベス女王の母にあたるエリザベス王太后(エリザベス・ボーズ-ライアン)の葬儀(2002年)の費用は、弔問用の公開安置に82万5000ポンド(95万4000ドル、日本円で1億3600万円相当)、セキュリティに430万ポンド(500万ドル、日本円で7億円相当)などがかかったと言われている。 英国で急激に進むインフレの上昇率を加味したとしても、今回のエリザベス女王の国葬費用は、エリザベス王太后の葬儀や、前回の国葬であるウィンストン・チャーチル元首相の葬儀(1965年)を上回るものになるだろうと同紙。 インフレに加え、今年後半から長い景気後退が始まるだろうと予想される中、英国民にとっての大きな問題は、「一般市民は32万5000ポンド(5300万円相当)を超える相続に対し40%の相続税を支払う義務があるのに、王室メンバーは相続税徴収の対象とならず、王室の財政は透明性に欠ける」とし、不公平について辛辣に問題提起をし、国民感情を憂慮した。 一方で「葬儀は葬儀。しかも女王のためのもの(景気問題とは別)」とする欧州政治および外交問題が専門の大学教授の声も取り上げている。また女王の国葬には、アメリカのバイデン大統領をはじめ、世界中の要人が参列することから「最大の外交機会になる」とも述べた。この辺は、安倍元首相の国葬における弔問外交の意義を示した岸田政権や日本の一部の専門家と同意見のようだ。 この記事に対して、ソーシャルメディアでは大きな反響が沸き起こっている。ツイッターでは現在、いいねは1万2000、コメントは6800を超えている。 多額の国葬費用について: 擁護派 自分の税金が女王の葬儀に充てられることをうれしく思う 英国の納税者として、納税者の大半は満足していると言える 反発派 凍え死ぬ年金受給者がいるのだから、ごもっともな問題提起 新国王は女王の巨額な遺産を非課税で相続するのだから、彼らが葬儀費用を支払うべきでは そのほか 記事の言わんとしていることはわかる。でも今、英王室に言いたいのは(各メンバーの)スキャンダルの方 国葬費を問題提起したNYTやアメリカへの意見 正直なジャーナリズム。ありがとう (アメリカ)大統領のエアフォースワンやトランプ(前大統領)のゴルフ旅行のセキュリティ費用はどうなのさ 世界中から嫌われているアメリカ。その理由がわかった。まったく卑劣な記事 (このような記事を発信したことは)世界的な恥 このように、税金による国葬費用の負担について問題ないとする意見から、問題提訴をした記事に嫌悪感を示す意見までさまざまで、人々はヒートアップしている。国葬費については、日本のみならず、イギリス、さらには君主制とは程遠いアメリカでさえ、このように議論が大きく分かれているようだ。 過去記事 Text by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人より一部転載)無断転載禁止