「NYでも大会準備、着々と」2026年ワールドカップ3ヵ国共同開催に向け米国でキックオフ!

次回のFIFAワールドカップ(W杯)へ向けたキックオフ・イベントが18日、ニューヨークのタイムズスクエアで行われた。 各国のサッカーファンを迎え、ニューヨーク市のエリック・アダムズ市長とニュージャージーのフィル・マーフィー州知事が、壇上で大会開催に向け抱負を語った。 開催都市の1つになっているニューヨークとニュージャージー地区。試合会場となるニュージャージー州メットライフ・スタジアム(別名ジャイアンツ・スタジアム)は、1994年に7試合、99年に女子ワールドカップの4試合を開催した実績がある。 マーフィー州知事は再開催について、「大規模なイベントは我が都市がもっとも得意。着々と大会開催に向け準備を整えている」と語った。参加国が22年大会の32ヵ国から48ヵ国に増えることについて、アダムズ市長も「ここでは200以上の言語や方言が話され、48ヵ国すべての人が住むなど多様な文化がある」とし、「世界中のサッカーファンを迎え入れる日を楽しみにしている」と述べた。 事前登録してイベントに参加したメキシコ人のヤリーズさんは、共に訪れたアルゼンチンチーム・サポーターのマリーナさんらと、「こんなに近くで開催が決まり嬉しい。今からとてもワクワクしている」と喜びを表した。 キックオフを記念し、タイムズスクエアの電光掲示板はワールドカップ一色になり同地区開催の公式ロゴがお披露目された。 48チームが出場する次回の大会は、2026年6月11日から7月19日までの1ヵ月強にわたり、アメリカ、カナダ、メキシコの3ヵ国で初めての共同開催となる。 ニューヨーク/ニュージャージー地区のメットライフ・スタジアムのほか、ロサンゼルスのSoFiスタジアムやダラスのAT&Tスタジアムなど国内の11都市を含む3ヵ国全16都市で試合が行われる。 W杯関連 2022年大会の記事 Text and photos by Kasumi Abe (Yahoo!ニュース 個人「ニューヨーク直行便」(c) 安部かすみより一部転載)無断転載禁止

カタールW杯が我々に残したものは「不安な未来の兆候」。感動に水を差す米有力紙の辛辣な総括

カタールで開催されたワールドカップ(W杯)に、世界中のスポーツファンが釘付けになった。 男子サッカーがそれほど強くないアメリカ。今大会の早い段階で代表チーム敗退後も、大会自体への注目度は高く、連日のように試合結果がニュースとして取り上げられた。決勝戦の日は盛り上がりが最高潮に達し、近年高まるサッカー熱を感じずにはいられなかった。 これだけ盛り上がったのだから、大会後に心にぽっかり穴が空いたような気持ちになる人も多い。 19日付けのNPRは「あなたが典型的なアメリカ人であれば、W杯終了後の今、何をしていいかわからないだろう」と題し、フロリダ州インター・マイアミやフランスのパリ・サンジェルマンなど世界中のプロサッカークラブや国際選手権を紹介している。 またアメリカは女子の代表チームが強豪でFIFA(国際サッカー連盟)女子ワールドカップの優勝の常連だ。来年7月よりオーストラリアとニュージーランドで開催されるW杯も期待されている。 「熱狂が開催国の“汚染”払拭」 米主要メディアNYTの手厳しい総括 さて今回のカタール大会だが、大会当初から驚きの連続で、まるで映画か小説のようなドラマチックな試合展開となったアルゼンチンとフランスの決勝戦で盛り上がりは頂点に達した。 米報道も、優勝国アルゼンチンの表彰式でメッシが着せられた中東の伝統衣装ビシュトから、ゴールキーパーのマルティネスによる卑猥なジェスチャーの話題まで、さまざまなヘッドラインがメディアを飾った。 数ある報道の中で19日早朝に発信されたニューヨークタイムズのポッドキャストが興味深かったのでここで紹介する。 How This World Cup Changed Soccer(このW杯がサッカーをどのように変えたか) この回は司会進行のサブリナ・タヴァニス記者が、ゲストにチーフ・サッカー特派員で現地取材をしたロリー・スミス記者を迎え、解説したもの。 タヴァニス記者は冒頭、「W杯に世界中が釘付けとなり、スター選手のメッシ、アルゼンチンがフランスに勝利。連日の熱狂で当初問題になっていた『汚染』がどのように覆され、未来にどう繋がるのか。このW杯がプロサッカーの不安な未来の兆候かもしれない理由を話しましょう」と、インタビューを開始。 そもそもの話だが、今大会は開催前から物議を醸していた。中東地域では21世紀の今も明らかな男尊女卑、男女格差が色濃く存在し、同性愛は犯罪だ。開催国カタールも例外ではなく、女性やLGBTQの人権が軽視されている。またスタジアムの建設作業に奴隷同然に駆り出され死亡した移民労働者の冷遇についても問題視されている。そのような国で国際大会を行うことに不安があるとして、人権擁護団体を中心に批判が高まっていた。それが「汚染」という言葉に表れたようだ。 メッシの活躍とフランスの攻防戦の物語がすべての不安を払拭 メッシのファンであろうスミス記者は、そのプレーを生で観ることができ「本当に光栄だった。彼は優勝に値すると心から感じた」と、悲願のトロフィーを手にした栄光の物語に感服した様子だ。「記者である以上公平な立場を心がけた上で、納得のエンディングだった」と、アルゼンチンが36年ぶりに3度目の世界チャンピオンになった試合運びを振り返った。 「ところで世界はこのW杯が始まった時のことを覚えているでしょうか?」と、タヴァニス記者は問う。 「移民労働者が亡くなったが(優勝決定戦の翌日の)今、人々の記憶に鮮明に残ったのはアルゼンチンとメッシの勝利だ」。お祭りムードに水を差し、冷静に総括する必要がある姿勢を見せる。 「当初渦巻いていた問題がありますね」とスミス記者も同意する。問題にはスタジアムでのビール販売の可否から、LGBTQの差別撲滅を訴える選手の腕章着用の禁止なども含まれる。 「FIFAとカタールは平等や人権といった厄介な問題を超えるため、自らの権威を見せつけ反発を封じ込めようと決意した。しかしそれによりさらに問題が注目を集めていったのだが」(スミス記者) しかし実際試合が始まると、混乱からFIFAとカタールを救ったのは、観客の試合への熱狂そのものだった。その熱狂とは…。 衝撃はサウジアラビア、日本、そしてモロッコ 「まず、サウジアラビアがアルゼンチンを破った試合。その後日本がドイツとスペインを破った衝撃が続いた。さらにモロッコによる究極の躍進だ」とスミス記者。「今大会でのモロッコについて、これほどの強さを予想した人はいなかった。ベルギーを倒しスペイン、ポルトガルに勝ったことで(アフリカ勢初の準決勝進出という)新たな歴史を作った」。 スミス記者はさらに続ける。 「モロッコの人は自分たちをアフリカ人というよりアラブ人と認識している。そんな彼らを応援したのは北アフリカの人々。チュニジア人、エジプト人、レバノン人などイスラム教徒が多数を占める国だ。アラブの国で開催された初のW杯で、アラブ諸国の応援によりモロッコチームに力を与えたのでしょう」 タヴァニス記者も「モロッコはアラブ諸国を団結させる真の象徴になった」と同意した。 開催国カタールにとって、今大会はどんな意味があったか モロッコが勝ち進んでいくにつれ、話題の中心も変化していった。 「モロッコのようなアンダードッグ(下克上とも取れる)の快進撃は、カタールが望んでいたもの」とスミス記者。人々の関心はスタジアム建設のために死んでいった移民の話から、脚光を浴び始めたモロッコとメッシの活躍に移行した。この時点で、もはやどこがW杯の主催かなんてことは誰も気にしなくなった。 スミス記者によると、スタジアムなどインフラ建設でカタールはこの10年で劇的に変化したという。 ドーハではやることがそれほど多くないから、中には退屈な街だと思った人もいる一方、「W杯でテコ入れされた中心地ムシャラフには、流行に敏感なカフェや理髪店などトレンディな店が集まった」。それらのおしゃれスポットは大会期間中、試合観戦に訪れた外国人のための場所だったが、大会終了後は、地元の人に使われていくことになる。 さらに、世界中からVIPが集まり開会式や試合に足を運んだ。フランスのマクロン大統領、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子、アントニー・ブリンケン米国務長官、ジャレッド・クシュナー(トランプ前大統領の娘の夫)、イーロン・マスクなどだ。 「外交、政治、ビジネスの場として国際的な地位を確立しようとしているカタールにとって大会誘致は信じられないほどの価値をもたらした。その点でも今大会は大成功だったと言える」(スミス記者) このようにドーハが国際都市への第一歩を踏み出したことで、ビジネスをしたいと思っている人や国際社会へ安心感を与えたメリットがあるという。 「たとえ記憶の奥底に、このW杯がいかに物議を醸したか、開催までどんな代償を払ってきたかが残っていったとしても、カタールからすれば、W杯の恩恵によってそれらの代償は大幅に相殺されたと考えるだろう」(スミス記者) 「誰にとってもかつては『遠い外国』だった国が、W杯で『世界的な承認スタンプ』を押されたようなもの」とタヴァニス記者もうなずいた。 FIFAとサルマン皇太子の関係 FIFAは年々ビジネス寄りの傾向が強くなっているとファンの間で言われているが、これについてはどう考えているか。 「カタールと同国の政治家だけが大会誘致で莫大な資金と評判を得ているわけではなく、FIFAもそうですよね」とタヴァニス記者。 スミス記者は「FIFAにとってこれ以上にないほどうまくいっている」と答えた。報道によれば16日、FIFAは過去12回の大会で75億ドル(約9900億円)の収益があったとされる。また、前大会と今大会の間に生まれた利益は10億ドル(約1300億円)という。 さらにFIFAが潤沢な資金で、W杯を通して実行しようとしているのはディズニーランドのような「FIFAランド」だという。 「FIFAは開催国に到着し領土を主張し、(屋台やオフィスを大会中閉鎖し、多くのフェンスを設けて通行規制し、至る所で西洋の音楽をかけるなど)独自のルールを設定し、スポンサーだらけにし(主に西洋のブランド。中東のブランドでも西洋の有名人やサッカー選手を起用)、街ごとFIFA一色にする。これこそFIFAがやりたいものだ」(スミス記者) 資金と言えば、前述のサルマン皇太子が、今年のワールドカップで目に見える存在感を示してきた。 「サルマン皇太子はFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長と親交があり、FIFAに資金提供している。またサウジアラビアは近年イギリスのニューカッスル・ユナイテッドを始め、ゴルフやフォーミュラ1などスポーツに多額の投資を行っている」。イエメンでの内戦、そしてサウジアラビア人記者のジャマル・カショギ氏の殺害をめぐり国際的な批判がある中、「スポーツ界への介入は同国の戦略の一部」という。 「FIFAはカタールでの成功で、今後大会をサウジアラビアに持ち込まない理由はなくなったと感じているかもしれない」(スミス記者) 大会は私たちに何を残したか? 大会中の数々の衝撃と感動、ヒーローとなったメッシの美談…。それらがこれまでの酷評のすべてを払拭し、人々は人的犠牲や人権問題の論争を忘れ去った。 「問題に直面しながら記者としてカタールをこのまま去るのは本当に残念だ。一方で、そんな問題を覆し成功を成し遂げられるのがスポーツの持つ力であり、これこそがカタールがW杯を開催したかった理由だ」とスミス記者。問題がありながら結果的にカタールとFIFAにとって大成功を収めたと言わざるを得ないという趣旨の内容で、エピソードを終えた。 2022年ワールドカップ関連記事 (冒頭写真)ワールドカップイメージ写真…

W杯ブラジル「勝利のダンス」は本当に非礼か?踊りについての考えが根本的に違うとわかる友人の意外な一言

「今日の試合は最高に楽しかった!昔、私が子どもの頃に観たものを思い出させてくれるものだ」 筆者の友人で、ニューヨークに長年住むブラジル出身の大のサッカーファン、ジェトゥーリオ・ジェフ・サントスさんは、ネット中継で観ていた試合終了後、このように感想を話した。 カタールで行われたサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)決勝トーナメントで、韓国を4対1で圧勝したブラジル。その喜びは相当なもので、ブラジル選手は試合中、ゴールを決めるたびに踊りまくり、チッチ監督までが踊り出す光景が全世界に伝えられた。 戯けたようにも見えるこの「歓喜のダンスパフォーマンス」について、元アイルランド代表のロイ・キーン氏は「ストリンクトリーのようだ」と眉をひそめ、疑問を呈した。 ストリンクトリーとは「Strictly Come Dancing」、ダンスコンテストのテレビ番組のことだ。「初回はまぁ良い。しかし4ゴールごとに毎回踊り、しかも監督まで。相手チームへの敬意を欠くものだ」と不快感を露わにした。 この後、踊りの是非について、サッカーファンの間で議論が分かれた。キーン氏の意見に同調する人もいれば、「ダンスは文化の一部だ」など、ブラジルを擁護する声までさまざまだ。 FIFAによる動画 ↓ Neymar and Brazil dancing in Qatar この試合や様子を客観的な立場として見て、筆者が思ったのは「ブラジルは試合を完璧に支配してしまった」「このダンスを見た韓国チームやファンは、からかわれた気持ちになるだろう」ということだった。そしてニュースとして取り上げられているのを見て、さらにいくつか思いが浮かんだ。 「そもそも歓喜のダンスは、ブラジルが相手国を侮辱しているからしているものだろうか?おそらくそうではない。ダンスは彼らなりの喜びの表現であり、文化の一部なのだから、いくら無礼だと言われても誰も彼らのダンスを止めることなんてできないだろう」 中南米にルーツを持つ人が多く住むニューヨークでは、彼らのダンスや音楽に対しての考え方が日本など他の地域の人々の考えとは根本的に違っていると感じる。それは昔、ドミニカ共和国にルーツを持つ友人に言われたある一言でも証明される。 筆者はある日、「日本の飲み会は2時間も3時間も踊らないでいったい何をしているの?」と驚かれたことがあった。 確かにドミニカ共和国、プエルトリコ、キューバ、コロンビアなど中南米系のパーティーでは、飲みながら踊ったり楽器を演奏したりが基本であり、じっと椅子に座って飲んでいるなんてことはほとんどない。大体が会の半ばで、誰からともなく自然にダンスし、演奏が始まるのである。 だからその友人にとって、居酒屋でじっと何時間も座って喋るだけの集まりというのが信じられないのは納得できた。筆者は「忘年会や結婚式では出し物をすることもあるよ」と説明したが、あまりピンときていないようだった。 中南米の人々にとってダンスが「文化」であるのは、歴史が物語っている。 スペインの植民地だった中南米には15世紀以降、アフリカから多くの人々が奴隷として送られ、重労働を強いられた。そんな辛い日々から彼らを救ったのが、踊りや音楽である。それが後にブラジルではサンバや格闘技のカポエイラとなり、コロンビアやキューバではサルサなどに代表されるようなラテンのリズムに昇華した。 つまり仲間と一緒に踊り、体全体で喜びを表現することは、彼らのDNAの一部と言えるだろう。生まれた時から染み付いたその文化を誰も奪い取ることなんてできやしない。 世界中にはさまざまな価値観が存在し、立場が違えば見方も一転する。 ブラジルチームの気持ちを代弁すると「え、逆に聞きたいですが、なぜあなたたちは点が入っても踊らないのですか?」であろう。 「これはもう文化の違いだと思います」と言うのは、パーカッショニストの小川慶太さんだ。スナーキー・パピーとしてグラミー賞の受賞歴がある小川さんはバンド加入前の2007年、音楽を学びにブラジルに滞在した経験を持つ。 小川さんはブラジルでの日々をこのように思い出す。「音楽とダンスはブラジルの生活に浸透していて、滞在中は毎日が音楽とダンスの洪水でした」。だからこそ、ブラジル選手のゴール後のダンスについても「ブラジルのサッカー自体に踊りのステップの要素が染み込んでいると思うので、相手を侮辱したものではなく、自然に喜びがダンスとして出てきていて、仲間と一緒に純粋に分かち合いたいのでしょう」。 FOXスポーツは、WHY BRAZIL’S ELABORATE CELEBRATIONS ARE WHAT WORLD CUP IS ALL ABOUT(ブラジルのお祝いの仕方がワールドカップのすべてである理由)という記事を発表。マーティン・ロジャーズ記者はこのように述べている。 ブラジル人がサッカーと同じくらい好きなことがあるとすれば、それはダンスだ。そして祝う価値のある何かがあるとき彼らは通常、ダンスでお祝いをする。 サッカーは年々ビジネス寄りの傾向が強くなっており、ファンとしてそれを受け入れるしかなくなっている中、W杯は世界規模の試合のショーケースで、文化がその大切な役割を担っていることこそが、大会の魅力や醍醐味そのものである。 また記事は、ブラジルのルーカス・パケタ選手や米サッカー解説者のアレクシ・ララス氏のコメントも引用している。 ダンスはゴールを決めた喜びを表現したものであり、誰かを軽視するためのものではない。また対戦相手の目の前でそれを行なっているわけではない。これについて気に入らない人に対して言う言葉は特にない。(パケタ選手) ゴール後の踊りに眉をひそめる不機嫌な人に対しては、生きている喜びのない人生なんだなと気の毒に思う。(ララス氏) サッカーの世界王者を決めるW杯は、サッカーの祭典(お祭り)でもあるわけだから、結局のところ筆者はブラジル選手がそのような大舞台でも心から楽しんでいる姿を見て、彼らの大会に対する余裕と自信を感じた。リラックスして試合に臨み、サッカーのお祭りを心から楽しんでいる。それが最もわかるボディランゲージではないだろうか。 逆にそれくらいのチームでないと、世界の頂点に立つのは難しいことなのかもしれない。 さぁ、どの国が勝ち進むか、引き続き応援していきましょう! FIFAによる動画 ↓ All the BEST CELEBRATIONS at…